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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年01月20日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会決勝リーグ FC東京U-18×FC町田ゼルビアユース@小平

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kodaira0119.jpgこれから始まる長い1年へのスタートライン。新チームにとって初の公式戦となる"新人戦"は、いよいよ決勝リーグへ突入。東京に3つしかない"J"を冠した両雄の激突は、寒風吹きすさぶ小平です。
昨年のシーズン序盤はつまづきの連続。後半に差し掛かってその本来の力を取り戻したものの、目標としていたプレミア昇格へは手の届かなかったFC東京U-18。「去年はスタートの試合から負けてしまって、あそこでちょっと自信が持てなかった所はあると思う」とCBの大西拓真(2年・FC東京U-15深川)も話したように、初戦で横河武蔵野FCユースに敗れ、結果的に西が丘へも辿り着けなかった1年前の教訓を生かし、「立ち上げを早くしてこの大会にちゃんと臨みたいなという部分はあった」と佐藤一樹コーチ。あくまでも勝利にこだわる姿勢でこの初陣に挑みます。
今年はGKの千葉奏太がトップへ昇格を果たすなど、着々と育成組織としての役割が機能し始めている印象のあるFC町田ゼルビアユース。今シーズンの主戦場となるリーグは、東京のピラミッドで考えると上から5番目のカテゴリーに属するため、この大会は年代トップレベルを体感する意味でも貴重なステージ。「もちろん格上のFC東京さんということで、『恐れずにアグレッシブに行って90分間できればいい』と」選手を送り出したのは竹中穣監督。新チームの立ち位置を確認するには格好の相手と、"アウェイ"で激突します。前述したように強風が吹きつける小平にも、始動を見届けようとするギャラリーが多数。注目の一戦は13時ちょうどにキックオフを迎えました。
3分に大熊健太(1年・FC東京U-15深川)と高橋宏季(2年・FC東京U-15むさし)の連携で奪った左CKを高橋が蹴り込み、ここはDFのクリアに遭ったものの、まずはチャンスを掴んだFC東京でしたが、「予想通り硬さもあった」と佐藤コーチが振り返ったように、イージーなパスミスが目立ってしまい、リズムを自ら失うような展開を強いられます。
逆に6分には町田が繰り出したスムーズなアタック。キャプテンの橋本拓哉(2年・ヴェルディSS相模原)が付けたボールを、野地樹(2年・SC相模原)は左へ鋭いスルーパス。上がってきた左SBの小池万次郎(1年・FC町田ゼルビアJY)にはわずかに届きませんでしたが、良い流れに手応えを掴んだ様子。10分には相手DFに激しくプレスを掛けた馬場悠(2年・FC町田ゼルビアJY)がボールを奪い切り、GKの位置を確認して放った35mミドルは伊東倖希(2年・FC東京U-15深川)が辛うじてワンハンドで弾き出すも、16分にも細かいパスワークから大谷昭太(2年・SC相模原)が枠の左へ外れるミドルまで。「ちょっと受け身になっていた」(大西)強豪を相手に、堂々たる攻勢を仕掛けてみせます。
さて、「裏に抜けるヤツが今日はいなかったのでゼロトップ気味にして、サイドのヤツがどんどん関わっていくというイメージを持っていた」(佐藤コーチ)というFC東京は、ボールを持つ時間はある程度長い中でも、特に後方へと落とすボールにミスが頻発。そのまま相手に前を向かれて追走という場面が見られ、攻撃に出てこないリズム。31分には「サッカー理解が高く、状況によって判断ができる」と佐藤コーチも評した高橋が落とさずに反転して前を向き、佐藤亮(1年・FC東京U-15むさし)のリターンからシュートを枠内に収めるも、町田のGK朝日良(2年・FC町田ゼルビアJY)がファインセーブ。直後の左CKもオフェンスファウルで潰え、34分の連続CKもシュートには至らず。ゴールの予感がなかなか漂いません。
奪ってから短い手数で繰り出すショートカウンターが冴え渡り、何回か相手ゴール前を脅かすシーンを創出していた町田でしたが、この状況を指揮官は良しとせず。曰く「ベースとして僕らがゴールまで速く進むというのは、実際に顔を上げてプレーをできていないという証拠」とのこと。「ボールが動く距離だとか、人が準備をしておくということは非常に怠けてしまっていたので、ああいう形になったのかなと思う」と本来の意図とは違う展開に、ベンチからも激しい指示を飛ばします。
両者の"意図"が噛み合わずに生まれた先制点は42分。歓喜は"意図しない好リズム"のアウェイチーム。CBの岡村安浩(2年・FC.GIUSTI世田谷)が当てたクサビに、「全部奪いに行って、ラインも高くして、後ろが数的同数でもいいぞくらいな感じでピッチへ選手を入れているので、やはりそれに応えるためにも多少無理な体勢でも奪いに行く」(佐藤コーチ)という意識付けに着手している東京DFは当然前へ。これを逆手に反転した馬場が左へ強いボールを送り、ワントラップで右へ持ち出した大谷が躊躇なく右足を振り抜くと、ボールはゴール右スミを力強く捕獲します。「彼らしいゴールを狙う姿勢が見えた」とシュート自体は賞賛した竹中監督ですが、ここも形自体は手数を掛けないアタック。意図とは違う攻撃が、意図通りの守備を打ち破り、町田が1点をリードして最初の45分間は終了しました。
「もう少しはできるかなと思ったんですけどね(笑)」と前置きしながら、「逆に0-1で前半帰ってきた時は、個人的にはありがたい状況だなと思った」と語ったのは佐藤コーチ。「シーズンの序盤から中盤にかけては総合力を上げていかなくてはいけないので、どの選手が出ても、どのポジションをやっても、サッカーができるチームにしていきたい」という狙いの下、ハーフタイムで一気に3枚替えを敢行。左SBの小山拓哉(1年・FC東京U-15むさし)、ボランチの渡部卓(1年・FC東京U-15深川)、大熊を下げて、相原克哉(1年・FC東京U-15むさし)を右SBへ、蓮川雄大(2年・FC東京U-15深川)を左SHへ、西元類(1年・FC東京U-15むさし)を1トップへ投入。右SBの山岸瑠(2年・FC東京U-15深川)が左SBに、左SHの佐藤が右SHに、右SHの渡辺龍(2年・FC東京U-15深川)が1トップ下へ、1トップ下を任されながら「何かやりづらかったみたいで、勝手にボランチの後輩をトップ下に上げていた」と佐藤コーチも苦笑した高橋が希望通りのボランチへ。大きく配置を入れ替えて、残りの45分間にチャレンジします。
後半のファーストシュートはFC東京。47分、安部柊斗(1年・FC東京U-15むさし)を起点に蓮川が左へ回し、山岸のクロスをニアで西元がシュート。ボールはゴールの左へ外れましたが、48分にも右へ開いた佐藤が中へ戻し、安部のシュートはDFに当たって朝日がキャッチするも、替わったサイドアタッカーが早くもフィニッシュにしっかり絡み、同点への意欲を前面に押し出します。
すると、やはり相手を崩したのはサイドアタック。55分、左サイドへ展開したボールは蓮川の足元へ。縦への持ち出しからマーカーを振り切って上げたクロスはファーまで届き、飛び込んだ佐藤のヘディングは朝日もよく食らい付きましたが一歩及ばず。「昨日まで修学旅行で今日も出すかどうか迷ったんですけど、入ったら迫力がありますからね」と佐藤コーチも認める蓮川の突破で、スコアは振り出しに戻りました。
失点直前の54分には飛田裕大(2年・FC厚木)と三好亮輔(2年・ARTE八王子FC)を、58分には野地と米山亮太(1年・FC厚木)をそれぞれ入れ替え、システムも前半の3バックから4バックに変更したものの、「4バックが5バックになったり6バックになったり、引き込まれてしまうシーンが多くなってしまった」(竹中監督)町田。59分には馬場、三好と繋ぎ、橋本が左スミを狙ったシュートも伊東がしっかりキャッチ。カウンターも繰り出し切れない時間が続きます。
61分はFC東京。山岸のインターセプトから、西元がトライしたミドルは枠の左へ。66分もFC東京。高橋のクサビから佐藤の反転ミドルはクロスバーの上へ。71分もFC東京。左CKのこぼれを再び高橋が放り込むと、ここは朝日が懸命にキャッチ。73分もFC東京。エリア内で2人をかわした渡辺のシュートは、DFに当たってクロスバーの上へ。「後半は前からどんどん行って自分たちのサッカーをしようという話をして、個人のいい所を少しずつ出せるようになった」とキャプテンマークを巻いた大西。最終ラインもその大西と渡辺拓也(1年・FC東京U-15深川)のCBコンビを中心に安定感を発揮し始め、勝利を渇望する青赤のラッシュ。
75分には町田も馬場、小池とボールが回り、米山が右へ流れながら放ったシュートは伊東がキャッチ。さらに動いた佐藤コーチ。76分、西元を下げて柳貴博(1年・FC東京U-15深川)を右SBへ投入すると、「自分の良さは前にドリブルすることだと思うので、そういう起用のされ方は僕にとっては嬉しい」という相原を右SHへ1列上げて、残りの15分間で勝負を決めに掛かります。
79分はFC東京。相原のフィードに抜け出した最前線の佐藤は右サイドを独走も、至近距離から放ったシュートは朝日が果敢に体でブロック。81分もFC東京。左サイドで山岸のパスから蓮川が打ち切ったカットインシュートは、岡村が体を張ってブロック。84分もFC東京。高橋が華麗なターンからラストパスを繰り出し、サイドを駆け上がった相原のシュートは朝日がビッグセーブ。町田は小池と加藤康平(1年・FC町田ゼルビアJY)を、FC東京は同点弾の佐藤と城ヶ瀧友輝(1年・FC東京U-15深川)をそれぞれ送り込み、突入していく最後の5分間。
88分の決定機は町田。久々に訪れたのはこの日の町田にとって、最も可能性のあったカウンターからのチャンス。大谷が中盤から粘って運び、右へ流れたボールを米山が叩いたシュートは、しかしわずかにクロスバーの上へ。頭を抱える選手とベンチと応援団。
89分の決定機はFC東京。柳が左へ高精度のサイドチェンジを付け切ると、蓮川は得意のドリブルでグイグイ突き進み、速いグラウンダーのクロスを中へ。ボールがゴール前の密集を抜けると、ここに飛び込んで来たのは「監督からも『行け行け』と言われた」相原。利き足とは逆の左足で丁寧に蹴ったボールは、ゴールネットへ到達します。「相原の左足のシュートが決まった所なんてここ2年間見たことがないのに。開花しちゃったかな」と佐藤コーチも笑顔。「チームに貢献するとこが第一なんですけど、個人的にも得点を狙いたい」という"サイドハーフ"が土壇場で大仕事。「勝ちにこだわってずっとやっていこうというのは話をしている」(佐藤コーチ)FC東京が何とか町田を振り切って、新チームの初陣を逆転勝利で飾る結果となりました。
傍から見ると5つ上のカテゴリーで戦う相手に健闘したとも取れる町田でしたが、「スコアだけが収穫かなと。内容は散々というか、どっちかというとネガティブな捉え方しかしていない」と話したのは竹中監督。ただ、その厳しい目線は「以前よりスコアは縮めてきているし、今後またそれを追い越していくためのトライをしていく要素になるかなと思う」という、"追い越していくためのトライ"に手応えを感じているからこそ。今シーズンの目標を問われた竹中監督は、「各大会での数字を全部上げるということと、全国に出るということを一応目標にしていますけど、1人でも上に呼んでもらえるような選手を育成するというのは会社も僕らも想いは1つ」とキッパリ。選手時代から数えると在籍11年目を迎えた、クラブのDNAをおそらくは誰よりも理解する熱血指揮官の下、FC町田ゼルビアユースは新しい1年への第一歩を力強く踏み出しました。
「年度初めの公式戦の初戦がこういう『簡単じゃないよ』という形でも、僅差で勝てたことは良かったんじゃないかな」と佐藤コーチも言及したFC東京U-18にとって、昨年の序盤につきまとった開幕黒星という幻影を振り払う意味でも、まずは大きな1勝を手に入れたと言っていいのではないでしょうか。佐藤コーチが今年のテーマとしてしきりに強調していたのは"球際"。「フィフティフィフティのボールが自分の所に転がってくる回数が増えると、その回数が多いチームが結局主導権を握れる」というポリシーを浸透させるため、大西も「凄く練習の雰囲気も激しくなってきている」と認めるように、まずはその部分の意識付けを図っているようです。「僕は今年は総力戦というか、"FC東京U-18ファミリー"だという風に言い続けている」と佐藤コーチ。「もっと上でやりたいという気持ちはみんな持っている」と大西が言い切った通り、"ファミリー"が4年ぶりに帰るべき「もっと上」の住処はただ1つだけです。       土屋

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