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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2014年01月03日

高校選手権3回戦 松商学園×修徳@駒沢陸上

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koazawa0103①.jpg未知なる全国8強への扉へ片手を懸けた両雄の対峙。信濃のボトムアップイレブンと東京・下町の野武士軍団が激突する3回戦は駒沢陸上競技場です。
3年ぶりに帰ってきた選手権の舞台で、チームが貫くのは選手主導の"ボトムアップ理論"。ベンチ外の選手が監督役を務めるスタイルで長野予選を見事に突破すると、迎えた全国初戦では西京と激しく打ち合うゲームを演じ、最後は中澤健太(3年・FC ASA FUTURO)のハットトリックもあって、3-4と逆転勝利。昨日の広島皆実戦は終了間際に追い付かれる苦しい展開も、PK戦を制して同校最高位タイのベスト16へ。長野県勢としてもベスト8に入れば、松本県ヶ丘以来となる37年ぶりの快挙。新たな歴史を築くべく、この大一番に挑みます。
2回戦の駒沢陸上は昨年度のこの大会で青森山田相手にPK戦で屈したのと同じステージ。滋賀の新鋭・綾羽とのゲームは押し込まれる時間もありながら、エースの田上真伍(3年・FC東京U-15深川)がねじ込んだFK一発で"らしい"勝利を収め、「去年の記録を超えるという所から入った」とキャプテンの池田晃輔(3年・埼玉ユナイテッドFCフェスタ)も話す今年の目標を1つ達成した修徳。ただ、それで満足するはずもない彼らの次なるターゲットは「修徳の歴代の中でも初」(田上)というベスト8です。東京代表の登場ということもあって、スタンドには4226人の観衆が。気温5.9度。選手権らしい寒さの中、松商学園のキックオフでゲームはスタートしました。
1分経たずに繰り出したファーストシュートは修徳。佐藤悠輝(3年・FC東京U-15深川)がDFラインの裏へ送り、田上が合わせたボレーは松商学園のGK小林哲也(2年・サームFC)にキャッチされたものの、積極的なシュートチャレンジ。3分には松商学園も右SBに入った上條寛太(3年・FC ASA FUTURO)のアーリークロスを高橋隼人(3年・南長野JY SC)が繋ぎ、中澤が放ったシュートは枠の左へ逸れましたが、まずはお互いにチャンスを創り合います。
8分に動いたスコアの場面は「ウチはセットプレーでしか点が取れないから」と岩本慎二郎監督も笑った、そのセットプレー。右サイドからSBの峰和也(3年・Wings U-15)が蹴り込んだFKはGKが掴み切れず、ゴール前で混戦に。そんな中、ボールの行方を見極めていたのは渡邊黎生(3年・LARGO.FC)。「焦っていたというか、バタバタしながら打ったけど、しっかり最後までボールは見えていた」"リクの王者"のシュートは、フワリとゴールネットへ収まります。昨日は守備面で大活躍したCBが、今日は攻撃面でも大仕事。早くも修徳が1点のリードを手にしました。
「先に取れれば守備の方が自信があるチーム」(池田)のラッシュ。11分は修徳。右の高い位置で奪った池田のクロスに、ヒールで持ち出した加藤禅(3年・柏レイソルU-15)はシュートまで持ち込めなかったものの、トリッキーなプレーを。12分も修徳。池田のパスから久保祐貴(3年・習志野第一中)のミドルは枠の右へ。14分も修徳。左CKを田上が短く出し、小野寺湧紀(2年・荒川第五中)の入れたクロスがこぼれ、加藤のシュートを小林がセーブしたリバウンドは佐藤の目の前。自ら「訳の分からないキック」と振り返ったシュートはヒットせず枠外へ消えるも、16分にも渡邊の完璧なインターセプトから、田上が枠を捉えるミドルにトライ。「こっちが押せ押せになったので、昨日よりもいい形で攻められたパターンは多かった」と佐藤も話したように、修徳が押し込み続けます。
さて、「昨日は相手が格上過ぎたので、疲労はメンタル的にも来ていたと思う」と高山剛治監督も話した松商学園は、最前線の高橋隼人に預けて打開を図りたいところですが、「10番は意識していた」と語る渡邊と大野翔平(3年・クリアージュ)の修徳CBコンビにうまく抑えられ、前へのスイッチを入れられず。18分には上條が左から蹴ったFKに、上田怜(3年・飯田高陵中)が頭で競り勝つも、間一髪で大野がクリア。なかなかフィニッシュまで取り切れません。
逆に「修徳があまりボールを持つこともないと思うんですけど」と池田が苦笑したように、ボールも保持しながら手数を繰り出し続ける修徳。特に「自分はスタミナが持ち味なので、攻守に貢献しようと思っていたし、昨日より全然手応えはあった」という小野寺と、「『昨日はSBの上がる所が全然見られなかった』と岩本先生に言われたので、今日は行こうと思ってやった」という今野尚也(3年・GOODLY)で組んだ左サイドは相手を圧倒。30分には小野寺のスローインを今野が右足で中央へ放り込み、佐藤が敢行したオーバーヘッドは小林のファインセーブに阻まれましたが、31分の好機も左サイドから。小野寺を回った今野のクロスがDFに当たると、こぼれを小野寺は小林にキャッチを強いるダイレクトボレー。全国で羽ばたく修徳の"左翼"。
34分も左。田上のスルーパスを池田はタメて左へ送り、今野の折り返しを加藤が左足で狙ったシュートは枠の左へ。松商学園も35分には中澤を下げて、塩沢大(3年・長野東北中)を投入しますが、36分も修徳の左。今野が裏へ放ったボールを佐藤が戻し、田上の強烈なミドルはわずかに枠の上へ。40+1分も左。ここも小野寺を回った今野の低いクロスへ、突っ込んだ田上のシュートはクロスバーを越えたものの、「あっちを狙っていた訳ではないけど、あの2人が調子良かったんじゃないですか」と池田も笑った"左翼"の躍動で松商学園を凌駕した修徳が、1点のアドバンテージを握る格好で最初の45分間は終了しました。
後半開始から2人目の交替を決断した松商学園"ベンチ"。合津嵩人(2年・AC長野パルセイロJY)と中野佑哉(3年・高浜FC)を入れ替え、前線のアクセント創出に着手しますが、応援団が歌うおなじみの"葛飾ラプソディー"で送り出された修徳に早くも訪れた追加点機は42分。小野寺を起点に「禅がスペースに走ってくれたので、自分がスペースを使ってちょうど抜けたのを晃輔が見てくれた」という田上が池田のリターンを引き出すと、最後はDFに倒されてPKを獲得します。キッカーは田上自ら。「サイドに速いボールを蹴れば入るというイメージはあった」キックは、小林もわずかに触れたものの、ゴールへ弾み込んだ球体。"クリティカルフェーズ"での2点目。リードが広がりました。
余裕の出てきたホームチームは魅せるプレーまで。45分の右サイドで獲得したCK。田上が短く付けたボールを、佐藤は受けた位置へヒールでチョコン。走り込んでいた田上がマイナスに折り返し、池田が狙ったシュートはクロスバーの上へ消えるも、練習の成果をこの大舞台で堂々と披露。ノッてきた下町の野武士軍団。
50分には松商学園も久々にチャンス到来。CBの平林良太(3年・豊科南中)が右へ展開すると、上條のクロスをニアで高橋隼人が合わせるも、修徳GK高橋太郎(3年・すみだSC)が丁寧にキャッチ。直後も修徳。田上のパスから佐藤が上げたクロスはゴール方向に飛ぶと、そのままクロスバーにヒット。53分も修徳。田上のミドルは小林が何とかセーブ。「成立の時には2-0から逆転されたので、その経験がある。今日は2点取っても慌てずに我慢できた」と今野。苦い経験も力に変えた修徳のダメ押しは55分。
田上と小野寺の連携で奪ったCK。左から田上が蹴り入れたキックを加藤が頭に当てると、ボールは右ポストの内側を直撃。跳ね返りが中央にこぼれると、最後に押し込んだのは「どんな形でもいいから点を決めたかった」と笑顔を見せた小野寺。「最初の方は気を遣うことが多かったけど、最近はラクにできるようになった」というスタメン唯一の2年生が大きな3点目を記録し、大勢は決しました。
緩めない攻撃への手綱。57分には渡邊のフィードに、この日も圧巻のキープ力でボールを収め続け、指揮官も「ウチにとっては欠かせなくなってきている」と認める加藤がここもきっちり繋ぎ、佐藤のボレーは枠を越えましたが、好アタック。59分には小野寺が左へ回し、上がってきた今野は枠の左へ外れるシュートまで。61分には小野寺と藤本優斗(3年・ジェファFC)を、66分には峰と沖山正信(3年・板橋志村第四中)を相次いでスイッチ。66分にその藤本が得意のドリブルシュートを打ち切ると、70分には大野と田中拓夢(3年・Wings U-15)も入れ替えるなど、3年生を続々とピッチへ解き放ちます。
「もっと走れないと思っていたが、思っていた以上にやってくれた」と高山監督も話した松商学園も、70分を過ぎるとゴールへの執念を前面に。71分、上田が強引に持ち込んだシュートは入ったばかりの田中が体でブロック。73分、上條のクロスから塩沢が放ったミドルは枠の上へ。77分、赤羽舜(3年・松本山雅FC U-15)の左FKに、舞った草間大希(3年・FC ASA FUTURO)のヘディングは枠へ飛ばず。同じく77分、右から上條が投げ入れたロングスローを、高橋隼人はヘディングで枠へ飛ばすも、高橋太郎がしっかリキャッチ。78分には「このまま終わりたくないからパワープレーに行く、駿河を入れる、とどんどん動いていってくれた」と指揮官も言及したように、駿河亨(3年・FC ASA FUTURO)を投入して、打破しにかかった"このまま"。
沖山のパスから加藤がヘディングをクロスバーに当て、藤本のパスから田上が枠内ボレーを放ち、迎えたラストプレーは松商学園のロングスロー。80+4分、右から上條が全身を使って放り込んだボールも、今野がヘディングで弾き返すと、「国立に挑戦できる"パス"」は岩本監督が率いるイレブンの元へ。「本当に凄くうまく試合を運べたと思う」と渡邊も手応えを口にした修徳が、同校史上初の全国8強へ堂々と生き残る結果となりました。
「落ち着いてボールも回すこともできたし、自分たちのゲームができたと思う」と池田も語った修徳の快進撃が止まりません。「今日みたいに点が取れれば、我慢して耐える力はみんな持っている」とは渡邊。加えて「とにかく一番良かったのは失点をしなかったこと」という岩本監督の言葉通り、2試合連続での完封勝利というのも誇っていい勲章でしょう。「『自分たちは凄いな』と言いたい所ですけど、そこは心の中に閉じ込めて、謙虚な気持ちを持って戦いたいです」と話したのは全国初ゴールを決めた小野寺。「こことはまた見える景色が違うと思うので、今後の修徳のためにも行かなくてはいけない場所」(渡邊)へ。その"場所"へ辿り着くために必要な勝利は、あと1つです。            土屋

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