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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
年が変わるより一足早く開幕した高校サッカー選手権大会。ゼットエーオリプリスタジアムの1回戦第2試合は、1963年の出場からおよそ半世紀を経て念願の50年ぶり6度目となる本選出場を決めた愛媛県立松山商業と、東日本大震災により校舎とグラウンドが使用できなくなり、チームを取り巻く環境が大きく変わりながらも、多くの人々に支えられ5年ぶり2度目となる本選出場権を獲得した福島県立富岡の一戦。この大会に懸ける思いは人一倍強い高校同士の戦いとなった。
1試合目の余韻が残る緊迫した雰囲気の中、白いユニフォーム、松山商業のボールでゲーム開始。両チームともに4-4-2の布陣で勝利を目指す。松山商業は序盤からボールを前線に大きく蹴り出し、2トップに早く当て速攻からの先制点を奪いにかかる。しかし、立ち上がりすぐに流れを掴んだのは富岡だった。3分、高い位置からのFKにペナルティエリア内で内山翔太(3年・ビアンコーネ福島U-15)がヘディングで合わせ先制。内山が「早い時間に点が欲しかった。良い流れをつくることができた」と振り返るように、182センチという身長を生かした素晴らしいゴールは、ゲームの流れを富岡に大きく手繰り寄せた。
早い段階で得点を許してしまい巻き返しを図りたい松山商業は、小木曽正悟(3年・FCゼブラ)のクロスから大西翔大(2年・松山三津浜中)がゴール前へ飛び出すもオフサイドの判定。シュートまで繋げることができない。そして、先制点から10分後、富岡が追加点を挙げる。右サイドからのクロスに高木洋輔(3年・勿来フォーウィンズ)がヘディングで合わせ0‐2。富岡が松山商業を突き放す。
前半の内に最低でも1点差まで追い付いておきたい松山商業はロングボールを多用し反撃を試みるが、富岡の強固なDF陣が松山商業に攻撃のチャンスを与えない。その後はお互いに中盤で潰し合い、どちらのチームもシュートまで持ち込むことができない時間帯が続いた。そんな状況を打開すべく、先に動いたのは松山商業だった。
31分、大竹博久監督は高橋昇利(3年・松山津田中)と松木良太(2年・松山椿中)を交替させ、攻撃のリズムに変化をつけようと試みる。そのかいあってか、少し落ち着きを取り戻し、繋ごうとする意識が強くなったように見えた松山商業だったが、やはり富岡のDF陣を突破することができない。そして前半終了間際、富岡が怒涛の攻めを見せる。36分、佐野慎太郎(3年・アストロンJY)の右サイドからのクロスに高木が合わせてシュート。39分、高木の左サイドからのクロスに内山がヘディングで合わせゴールを狙う。しかし、追加点とはならず0-2のまま、前半は終了した。
富岡の圧倒的な運動量と堅い守備を前に松山商業は攻めきることができない前半を経て、後半開始序盤は、富岡が両サイドを起点にゴールを狙う。46分、内山のサイドチェンジから佐藤大悟(3年・郡山第一中)がペナルティエリアへ持ち込んでシュート。49分、佐藤大悟と黒澤健太(3年・福島ユナイテッドFC U-15)のワンツーで左サイドを崩し、クロスボールから最後は内山。しかし、惜しくも合わずゴールとはならなかった。
そして58分、積極的にゴールへ迫りチャンスを創っていた内山が、疲労から足をつり保田省吾(3年・福島ユナイテッドFC U-15)と交替。その頃から、松山商業はショーパスが繋がるようになり、右サイドを中心とした攻めからゴール前まで攻め込めるようになるが、決定機を創ることができないまま、試合終了を迎えることとなった。
先制点を挙げた内山は「相手の気持ちも強かったがこちらの方が(気持ちが)上回っていたため勝利することができた」と話し、2006年の創部以来指揮を執る佐藤弘八監督は「全国の舞台に立ち勝利することができたのは多くの人の支援と協力のおかげ。試合の立ち上がりは、選手たちが緊張していたし相手も必死だったため、簡単には勝てないと思っていた。」と語った。
全国の舞台で待望の初勝利を収めた富岡。1月2日(木)2回戦の相手は、強豪・立正大淞南を破った水戸啓明。激戦区Dブロックを勝ち上がり千葉の地に旋風を巻き起こすのはどちらのチームか。次の対戦が今から待ち遠しい。 鈴木
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