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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年12月23日

インカレ準決勝 国士舘大×鹿屋体育大@西が丘

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nishigaoka1222②.jpgどん底から這い上がった関東の古豪が、日本一を明確な目標として掲げる九州王者に挑む構図。セミファイナルの第2試合も最高のピッチ状態を誇る西が丘です。
"前期"最下位から"後期"優勝へ。「みんなの意識が変わって、戦う意識が出てきた」とキャプテンの石川喬穂(4年・広島皆実)が話したように、今やタイトルへの意欲がピッチに立つ全員から感じられるような集団になっている国士舘大。関西最強との評価も高かった阪南大、総理大臣杯王者の流通経済大を共に2点差で下しての4強進出。西が丘から国立への道筋ははっきりと見えています。
インカレ、総理大臣杯、そしてインカレ。3大会連続で全国ベスト4まで勝ち上がってきている国立大学の雄は鹿屋体育大。九州チャンピオンとして臨んだ今大会は、初戦で当たった中京大を6ゴールで葬り去ると、準々決勝の関西学院大戦は終盤の2ゴールで関西の難敵をも撃破。「優勝カップを九州に持ち帰ることが目標」と青木竜監督も話した通り、西が丘はあくまで頂点へのステップです。2日前とは打って変わって、快晴の青空が広がる東京。注目の一戦は鹿屋のキックオフでスタートしました。
ゲームはお互いにやや慎重に入ったこともあって静かな立ち上がり。ファーストシュートは12分の国士舘。相手のクサビを鋭い出足で奪ったCBの仲島義貴(2年・ヴィッセル神戸U-18)が、GKの位置を確認して自陣から放った60mミドルは枠の右へ外れるも、悪くないチャレンジにどよめくスタンド。13分も国士舘。橋本拓門(4年・柏レイソルU-18)の右FKを、ニアで合わせた佐々木陸(3年・東福岡)のヘディングは鹿屋GK吉満大介(3年・神村学園)にキャッチされたものの、まずは国士舘が2つのシュートを繰り出します。
共に4-4-2の布陣を敷く中で、ボールを握っていたのは福田晃斗(3年・四日市中央工業)と中原優生(2年・佐賀東)の散らせるドイスボランチを擁する鹿屋。準々決勝では左SBの下坂晃城(2年・東福岡)が目立っていましたが、今日は右SBの粕川正樹(4年・前橋育英)が高い位置を取りつつ、奪いたいサイドの主導権。17分には小谷健悟(3年・神村学園)が左サイドを得意のドリブルで運び、そのまま左足で狙ったミドルは枠を越えるも、ファーストシュートが記録されます。
なかなか前でボールが収まらなかった国士舘をアクシデントが襲ったのは27分。その前の接触で傷んでいた前線の平松宗(3年・アルビレックス新潟ユース)のプレー続行が難しくなり、ここ最近はジョーカー的に起用されていた福田真也(4年・日本航空)を投入。ポストプレーに特徴を持つFWの交替は、チームの流れを考えてもやや苦しい状況に。
32分は国士舘。左サイドから進藤誠司(3年・流通経済大柏)が枠へ飛ばしたシュートは、吉満が何とかキャッチ。36分は鹿屋。福田が右へ展開すると、小谷はマーカーを振り切ってマイナスに折り返し、走り込んだ中原のシュートはクロスバーの上へ。40分は国士舘。中盤でボールを奪った新村武玄(4年・東京ヴェルディユース)はそのままスルーパスを繰り出し、福田が懸命に走るも、ここは鹿屋のキャプテンマークを巻いたCB代田敦資(4年・前橋育英)がタックルで回避。「前半は風下でゼロで帰ってきたのはOK」とは青木監督。動きの少ない前半はスコアレスで45分間が終了しました。
後半はスタートから出し合う手数。47分は鹿屋。小谷のパスから福田が左足で狙ったミドルはわずかにクロスバーの上へ。48分も鹿屋。CBの坂田良太(4年・大津)がスルスルと上がり、福森健太(1年・FC東京U-18)とのリターンからエリア内へ侵入しかけ、最後はDFのブロックにストップされましたが、最終ラインからの積極的なアタックにゲームの動く予感が。
50分は国士舘。後方からのフィードに進藤が競り合い、こぼれを拾った松本和樹(3年・西武台)のシュートはクロスバーの上へ。51分も国士舘。石川が裏へフィードを送り込み、橋本が抜け出しかけるもカバーに入った坂田がクリア。ここも続けてチャンスを創りましたが、さらに押し込みたい国士舘に訪れた2度目のアクシデント。何と前線の新村も負傷退場を余儀なくされてしまい、56分に田中智也(1年・横浜F・マリノスユース)が左SHへ送り込まれ、進藤がFWの位置へスライド。結果的にスタメン2トップが揃って負傷交替という事態に見舞われます。
「DFと中盤の間が空いているので、そこに浮き球を入れて、FWを使ってからサイドに展開しようと言っていた」(青木監督)「ラインを押し上げられず、ボランチとDFラインの間が間延びして、そこでタメを創られた」(石川)と両チームから聞こえてきた同じ見解。59分は鹿屋。小谷から大山に入れたボールで奪ったCK。小谷が右から蹴ったボールはDFのクリアに遭いましたが、64分にも福田が右へ振り分け、粕川がアーリークロスを放り込み、ニアに飛び込んだ米良知記(3年・大津)のボレーはゴール左へ外れるも、バイタル攻略で奪った主導権。直後は国士舘の決定機。キレのある動きを見せていた田中がドリブルで仕掛け、DFともつれたこぼれを福田がさらい、そのまま放ったシュートはわずかに枠の左へ、千載一遇の先制機も生かせません。
66分は鹿屋。吉満が左へピンポイントフィードを送ると、収めた大山は右へ回し、中原がミドルレンジから打ち切ったボレーは枠の左へ。72分も鹿屋。福森のパスから外側を回った粕川がクロスを放り込み、ファーで米良が頭で折り返すも国士舘のGK久保田晃次(3年・清水エスパルスユース)がキャッチ。74分も鹿屋。吉満のロングキックをDFが跳ね返せず、拾った小谷のシュートは久保田が何とかキャッチ。75分には青木監督も1枚目のカード投入の決断。福森に替えて、「あれだけ引かれていたし、パンチ力があるのでそれが風上で生きるかなと」湯浅寿紀(2年・FC東京U-18)をピッチへ解き放ち、90分間で勝ち切るための勝負に出ます。
「あそこまで支配されるのは予想していなかった」とは国士舘のキャプテン石川。78分は鹿屋。中盤でルーズボールを拾った福田のミドルは枠を捉えるも、久保田が丁寧にキャッチ。80分も鹿屋。湯浅を起点にカウンターが発動され、左のハイサイドへ上がっていた中原が中へ戻し、大山が枠に収めたミドルはここも久保田がキャッチ。押し込む青。押し込まれる白。
「相手もウチもいつかはチャンスが来るし、いつかはダメな時が来るから、その時を耐えることも、チャンスが来た時に決めることも大事。それを我慢できるかどうかが勝利の分かれ目だといつも言われている」と話した福田に、"勝利の分かれ目"となる瞬間が訪れたのは84分。橋本が右サイドから利き足と逆の左足で裏へ入れると、一旦DFとの競り合いで転倒しかけた福田は、体勢を持ち直してGKと1対1に。「1本目はインサイドで外したので、芝の状況とかも考えてインサイドじゃないなと思いっ切り打った」シュートは、GKのすぐ左脇をぶち抜き、ゴールネットへ突き刺さります。「集中を切らさずにDFラインでゼロに抑えれば、チャンスは来ると思っていた」(石川)という守備陣の奮闘に応える値千金の一発。最終盤に国士舘が1点のリードを奪いました。
「誰が出てもいい状況が今の国士の現状で、出た選手が必ずやってくれると思っている」というキャプテンの言葉を証明した追加点は、1度目の歓喜から3分後の87分。松本が蹴ったFKをDFがクリアすると、反応した田中がそのままボレーで叩いたボールは、30m近い距離をものともせずに、ドライブしながらGKの頭上を越えてゴールへ飛び込みます。「アイツらならやってくれると思っていた」という石川の言葉は、おそらくそのままイレブンの気持ち。途中交替のアタッカー2人がゴールをマークした国士舘がそのまま逃げ切り、国立ファイナルへと駒を進める結果となりました。
「今日も関東のチームが相手ということで結構圧されてゲームをするのかなと思ったらそうでもなかったので、そういう所は成長しているのかなと。目標のレベルは日本一だと、目に見えて選手から伝わってきた」と青木監督が話したように、押し気味に試合を進めながら敗れた鹿屋。それでも、昨年のインカレは早稲田大に0-5、今年の総理大臣杯は明治大に0-4と、関東勢に大敗を喫してきたこの全国4強というステージで、同じ関東の大学相手に互角以上の戦いを繰り広げたことは、間違いなく鹿屋の存在を全国へ向けて強くアピールすることになったと思います。「選手たちに申し訳ないという気持ちはそんなになくて、何で国立に連れて行ってくれなかったんだよという気持ちが強い」と青木監督。4年生が描いた"夢の続き"は、就任1年目の監督と下級生に引き継がれました。
リーグ戦の勢いそのままに、西が丘の舞台でさえも一気に駆け抜けた国士舘。「サブのヤツらが気持ちを切らさずにスタメンで出てやろうとやってくれている分、紅白戦は負けることが多い」と石川が明かしたように、今日も交替出場の福田と田中がゴールを記録するあたりからも、今のチーム状態が窺い知れる気がします。実はキャプテンの石川は広島皆実時代に高校選手権優勝を経験。ただ、「メンバーには絡めなかったので、いつかあの国立のピッチに戻って優勝したい」と思い続けてきたそうです。「自分の中では高校の時に優勝カップを掲げるシーンも目の前で見たので、あそこに立ってカップを掲げるイメージは凄くできている」と話す闘将のイメージは現実のものとなるのか否か。ファイナルは25日の15時、聖地・国立競技場でキックオフを迎えます。         土屋

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