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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年11月09日

高校選手権東京A準決勝 東海大菅生×修徳@西が丘

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nishigaoka1109②.jpgセミファイナル4番勝負の第2弾は、昨年に続いてこのステージまで進出してきた実力者同士の対峙。会場は言うまでもなく西が丘です。
一昨年、昨年に引き続き、3年連続でセミファイナルまで勝ち上がってきたのは東海大菅生。「今年は"ツルリ"と何のプレッシャーもなかったですから」と豪快に笑うのは手塚弘利監督ですが、3年生主体だった昨年のチームから大幅にメンバーが入れ替わる中でも、やはり選手権に向けてきっちり仕上げてくる手腕はさすが。準々決勝ではアウェイで都立東久留米総合相手に粘り強く戦い、最後はPK戦を制して手にした西が丘への切符。13年ぶりの頂点まではあと2つです。
昨年度はインターハイと選手権の2冠を堂々達成。改めてそのトーナメントマスターぶりを都内に知らしめた修徳。今年のインターハイ予選では國學院久我山の前に屈し、3大会連続の全国出場とはいかなかったものの、菅生同様にやはり選手権での勝負強さは多くの人が知る所。今大会は都立保谷に4-2、都立狛江に3-0と得点力も披露してのベスト4進出。連覇へ懸ける覚悟は十分です。第1試合に続き、バックスタンドを埋め尽くした両チームの大応援団。曇天の西が丘に4232人を集めたゲームは、修徳のキックオフでスタートしました。
ファーストチャンスは修徳。まだ開始から1分経たない内に獲得したFK。キッカーの小野寺湧紀(2年・荒川第五中)はキックモーションから小さく右へ。走った佐藤悠輝(3年・FC東京U-15深川)のクロスはDFにブロックされましたが、まずはサインプレーからゴールを窺うと、6分にも小野寺が右からショートコーナー。佐藤と連携したクロスはDFのクリアに遭うも、練習を積んだセットプレーで好機を掴みます。
立ち上がりから押し込んだのはディフェンディングチャンピオン。10分にも関秀太(3年・スクデット)、佐藤と回し、小野寺が打ったシュートは菅生の1トップ下に入った加藤拓帆(3年・JFAアカデミー福島)が体でブロック。15分には右SBに入った峰和也(3年・Wings U-15)のフィードから、加藤禅(3年・柏レイソルU-15)が頭で繋ぎ、佐藤のヘディングは枠の左へ。19分にも左CKの流れから、最後はキャプテンの池田晃輔(3年・埼玉ユナイテッドFCフェスタ)が狙ったボレーもDFがブロック。直後に峰が右から上げたクロスを、佐藤が頭で合わせたシュートはゴール左へ。ゲームを優位に進めていきます。
「ディフェンシブにやれという指示は特にないが、押し込まれるのは理解していた」と手塚監督も話した菅生は、圧力を受ける中でも最後尾から常に大声を張り上げる守護神の田中晶(3年・東海大菅生中)、中田優哉(3年・府ロクJY)と小村和也(2年・東海大菅生中)のCBコンビを軸に、1つ1つの攻撃へ落ち着いて対処。「あそこで裏へ出して行くのは狙い」と指揮官も明かした、左のハイサイドへスピード豊かな森毅斗(2年・FC杉野)を走らせるカウンターも時折チラつかせ、24分には加藤拓帆が中央をルーレットで切り裂くと、最後は森が枠の左へ外れるミドル。さらに27分には右から須田翔馬(3年・東海大菅生中)が蹴ったCKを、キャプテンマークを巻いた榎戸皓平(3年・FC東京U-15むさし)が高い到達点から打ち下ろしたヘディングはわずかにクロスバーの上へ。少ない手数にも、漂わせるゴールへの予感。
30分は修徳。佐藤が右へ振り分け、加藤禅が上げたクロスは田中が好フィスティングで回避。39分も修徳。左SBの今野尚也(3年・GOODLY)が縦へ放り込み、加藤禅がそのまま放ったシュートはゴール左へ。40+1分も修徳。関とのワンツーから佐藤が枠へ収めたシュートは田中がしっかりキャッチ。40+4分は菅生。須田の右CKに、再び合わせた榎戸のヘディングは修徳GK高橋太郎(3年・すみだSC)がキャッチしたものの枠内へ。「粘られることはある程度予測していた」(岩本慎二郎監督)「久留米とやった時もあれだけ粘っていたので、これだけ粘ってくるということはわかっていた」(池田)という2人の予想通り、あるいは予想以上にしっかり粘った菅生が最初の40分を確実に凌ぎ、スコアは動かないままでハーフタイムを迎えました。
後半は先に飛び出した"あきる野の虎"。41分、左SBの梶原烈(2年・石神井マメックスFC)がオーバーラップから中に付け、1トップの谷沢郁弥(2年・入間野田中)はカットインからフィニッシュまで。ここはDFにブロックされましたが、47分にも榎戸、谷沢と回ったボールを加藤拓帆は枠の右へ外れるミドル。「リアクションでどう行けるか」(手塚監督)というチームの命題を前に、少しずつ近付き始めている最適解。変わりかけた流れ。
岩本監督の決断は51分。1枚目のカードとして、小野寺と入れ替えたのはチームの絶対的なエース田上真伍(3年・FC東京U-15深川)。負傷の影響からベンチスタートとなった10番をこのタイミングでピッチへと解き放ち、「取られたボールを取り返した時にどう攻めるか」というポイントを、キープ力に優れる田上で解消しに掛かります。
また、53分は左CK、59分は左CK、61分は右FKと、いずれも須田が蹴ったセットプレーに対しても、「前半はゾーンで守って2つ行かれたので、後半はマンツーマンに変えて、そこの芽を摘もうという策」(岩本監督)は的確にヒット。田中拓夢(3年・Wings U-15)と渡邉黎生(3年・LARGO.FC)のCBコンビもきっちりマンツーで人を掴み、榎戸と183センチの大型ボランチ吉永昂弘(3年・Forza'02)をケア。こちらも1つずつ懸念材料を潰していく丁寧さで、菅生にフィニッシュも許しません。
「田上に収まるようになってからはちょっと良くなったと思う」と岩本監督も話したように、60分以降は一気に修徳がラッシュ。64分、峰のフィードへ斜めに走り込んだ田上はわずかに届かず。66分、関が左へ送ると、田上は完璧なラストパスを中へ。加藤禅のシュートは、しかし最大限の勇気で飛び出した田中が体で阻止。思い切り加藤禅の体と激突した田中は頭を強く打ち、ゲームも一時中断しましたが、強い気持ちで再び戦線へ。これにはスタジアム中から拍手が巻き起こります。
71分も修徳。右サイドを抜け出した佐藤は最高の軌道でクロスを送り込むも、加藤禅のヘディングはクロスバーの上へ。74分も修徳。久保祐貴(3年・習志野第一中)を起点に、峰の折り返しを関はスルー。佐藤が打ち切ったシュートはわずかに枠の左へ。77分も修徳。田上の右FKはファーにこぼれ、詰めた加藤禅のシュートも田中が体でブロック。79分も修徳。田上のショートコーナーから、最後は中央絶好の位置から打った池田のシュートもボール数個分でゴール左へ。80+4分も修徳。佐藤とのワンツーを経て、田上が入れたクロスから加藤禅が狙ったヘディングも田中はがっちりキャッチ。「1つ取れればというシーンがたくさんあった」(岩本監督)修徳でしたが、スコアボードの数字は80分間を終えても変わらず。ゲームは前後半10分ずつの延長戦へ突入しました。
照明塔に明かりが灯り、頭部の負傷で包帯を巻きながら戦場へ帰還した榎戸と池田がコイントスと握手をかわし、修徳がボールを蹴り出してスタートした問答無用の20分間。82分は菅生。須田の左FKから、拾った森のシュートはDFがブロック。83分も菅生。左寄り、ゴールまで約25mの距離から須田がゴール左スミへきっちり飛ばしたFKは、高橋が横っ飛びでファインキャッチ。85分には手塚監督も1人目の交替として森と大関倖弥(1年・東海大菅生中)をスイッチ。86分は修徳。久保が裏へ落とすと、延長開始から登場した雪江悠人(2年・修徳中)が繋ぎ、田上が左足で振り抜いたミドルはゴール左へ。88分も修徳。中央で峰からパスを引き出した池田のミドルはクロスバーの上へ。攻め合う両者。泣いても笑っても、残すはわずかに10分間。
連覇への執念。97分は修徳。替わったばかりの藤本優斗(3年・ジェファFC)が左から右足でピンポイントクロス。加藤がうまく当てたヘディングは、しかしここも負傷を感じさせない田中がビッグセーブ。直後も修徳。藤本、加藤と回ったボールを田上が狙うも、田中がキャッチ。100+1分もラストチャンスも修徳。雪江の右ロングスローを渡邉が残し、池田が放ったシュートは「決めたかったんですけど、力んじゃいました」と本人が振り返ったように、枠のわずかに左へ。「守備をきっちりやってという所では、合格点を出さざるを得ないですね」と手塚監督。とうとう100分間でゴールネットは揺れず。ファイナルへの進出権は、PK戦で争われることとなりました。
「ちょっとPK戦になって満足した部分の心の隙が、ああいう結果になったのかなと。でも仕方ないです」と振り返ったのは手塚監督。「PKも相当練習している」(岩本監督)という修徳は、インターハイの正則学園戦同様に田上、池田、足を攣りながらキッカーを務めた久保と3人が続けて成功。一方の菅生は1人目と2人目が、それぞれ枠外とクロスバー。追い込まれた状態で迎えた3人目は、完全に読み切った高橋が気合でセーブ。菅生の健闘も一歩及ばず。修徳が苦しみながらも何とか難関のセミファイナルを潜り抜け、連覇へと王手を懸ける結果となりました。
「よく辛抱できたゲームでした」と手塚監督も評価を口にした菅生は、100%に近い力を出し切ったのではないでしょうか。守備の時間が長い中でも、最後の最後まで切らさなかった集中力は圧巻。特にPK戦までゴールマウスに立ち続けた田中は、こちらが圧倒されるほどの闘志を見せ続けてくれました。「チームのスタートの時点から考えるとよく仕上がってくれたかなと思っています」と手塚監督。菅生の伝統は今年のチームにも確実に受け継がれていました。
「シュートをあれだけ打っているのに点が取れなかったので苦しかった」と池田も振り返った修徳は、それでも終わってみれば2年連続のファイナルへ。「最後に勝つのはドイツだ」という名言を生み出したのはイングランドが誇るストライカーのギャリー・リネカーですが、東京に関してはその"ドイツ"がこのチームに置き換えられそうな、恐るべき勝負強さを今年も発揮しています。「決勝もウチ独自の堅守速攻で行きたいと思います」と岩本監督が話せば、「やることは変わらないので、修徳らしく成立に勝って連覇したい」とは池田。果たして今年も"ドイツ"は修徳なのか。注目のファイナルは16日の12時、西が丘でキックオフの時を迎えます。
           土屋

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