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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年10月03日

国体少年男子決勝 東京都×大阪府@味スタ

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ajista1003.jpg日本一を巡って対峙するのは東の最強軍団と西の最強軍団。爽やかな秋晴れの下で行われるファイナルは味スタです。
地元開催というプレッシャーを跳ね除け、とうとう最後の1試合を決勝という最高の舞台で迎えることになった東京都。「決勝に進めれば彼らの持っているものを解放してあげたかったので、今日は本当にその分我慢しようと言い続けた」と奥原監督も振り返った昨日の準決勝は、延長にもつれ込む熱戦になりましたが、最後はエースの神谷優太(1年・東京ヴェルディユース)がヘディングで押し込んで京都府を振り切る劇的勝利。「いつもと変わらず僕らのサッカーをやり通すだけ」(奥原監督)というファイナルに挑みます。
対するは3試合で12ゴールという抜群の攻撃力を生かして、味スタまで辿り着いた大阪府。昨日の準決勝も福島県相手に小田垣旋(1年・ガンバ大阪ユース)の3戦連続となる2発を含め、大量5ゴールを奪って快勝。「とにかく頑張ってくれるという気持ちの部分を感じられるチーム。どうやっても大崩れはしない」と坂元博晃監督も自信を口にしています。小中学生も多く詰め掛けたスタンドには2359人の観衆が。「お互いにとってやりたかった相手同士なので、素晴らしい決勝になると思う」と坂元監督も太鼓判を押したファイナルは、11時30分にキックオフを迎えました。
開始44秒の積極性は東京。相馬勇紀(2年・三菱養和SCユース)が右サイドを切り裂いて、そのままフィニッシュ。ボールは枠の右へ外れたものの、ホームでの戴冠に燃える東京がスタンドを沸かせるファーストシュートを放ちます。しかし、立ち上がりからゲームを支配していったのは初優勝を目指す大阪。
5分、ボランチの久保田和音(2年・大阪桐蔭)が中央をドリブルで抜け出し、そのまま放ったシュートはDFに当たって東京GK松嶋克哉(1年・FC東京U-18)がキャッチ。10分、左SBの初瀬亮(1年・ガンバ大阪ユース)を起点に、市丸瑞希(1年・ガンバ大阪ユース)を経由して、岸本武流(1年・セレッソ大阪U-18)が放ったシュートも松嶋がキャッチ。11分、右サイドを小田垣がドリブルで切り裂き、中へ送ったボールを岸本が枠に飛ばしたシュートも、松嶋が本人は「自分の中ではファインセーブではなく、普通のプレー」と謙遜する素晴らしい判断で回避しましたが、続く大阪のラッシュ。
12分の決定機も大阪。最終ラインで東京のCB岡崎慎(中学3年・FC東京U-15深川)が痛恨のパスミス。ボールを拾った小田垣がすぐさま放ったシュートはGKを破りますが、自ら責任を取る格好でゴールカバーに戻った岡崎が間一髪でクリア。13分にも右から久保田が上げたクロスに、岸本が合わせたヘディングは枠の左へ。「試合前から厳しい試合になることはわかっていた」とは東京のCBを務める渡辺拓也(1年・FC東京U-18)。15分には神谷の左CKから、最後は井上潮音(1年・東京ヴェルディユース)が放ったボレーもクロスバーの上へ。東京はひたすら耐える展開を強いられます。
攻勢を強める大阪は、ボランチに入った市丸と久保田がボールを受けて捌いてを繰り返し、対峙した渡辺も「駆け引きが上手くて、裏に飛び出すのも足元に受けるのも上手」と評した岸本の周囲には、相棒の小田垣に加え、両SHの牧野寛太(1年・履正社)と岩本和希(1年・ガンバ大阪ユース)がサポートに入りながら、連携で崩すアイデアを何回も披露。フィニッシュまでは行かないシーンでも、思わずスタンドが唸るようなコンビネーションを繰り出します。
ただ、押し込まれる流れにも「それぞれがジャストな判断をしてくれという話を昨日からしていた。押し込まれれば守備的になるのも選手それぞれの判断」と奥原監督が話したように、今大会を通じて抜群の守備の安定感を誇った東京は、1つ1つピンチの芽を摘んでいく着実さで対抗。「相手の前の選手は凄い迫力があって楽しかった」と笑った渡辺も、「前半はとりあえずボランチ2人とDF4枚で失点ゼロにすることだけ考えていた」と言及。26分には庄司朋乃也(1年・セレッソ大阪U-18)のフィードを岸本が収め、枠へ飛ばしたシュートも松嶋がキャッチ。29分にも左から岩本が蹴り込んだCKを、岸本が頭で狙ったシュートはゴール右へ。大阪ペースで推移した前半もスコアは動かず。0-0のままで最初の35分間は終了しました。
後半もまずは東京の9番を背負うアタッカーの突破から。36分、相馬が右サイドを抜け出して獲得したCK。神谷が入れたボールはDFにクリアされたものの、元気印の相馬が勢いを引き寄せるべく躍動しましたが、直後の決定機は大阪。37分、岸本が右へ展開すると、岩本はドリブルでエリア内へ侵入。短く付けたボールを小田垣はヒールで返し、岩本が至近距離から放ったシュートは枠の上へ外れるも、何とも大阪らしい崩しで決定的なチャンスを創出。41分にも牧野、岩本、岸本と回し、マーカーを振り切って枠を襲った小田垣のシュートは松嶋が何とかキャッチ。後半も変わらないゲームリズム。
ところが、「東京も若干ショートカウンター気味に狙ってくる所もあった」と坂元監督が警戒した部分は、「ハーフタイムに奥原さんから『絶対カウンターが3本あるから、後ろはそれを信じて守ってろ』と言われた」と渡辺が明かしたそれと合致。監督が3本と予言した"1本目"は47分。中盤でボールを拾ったキャプテンの田代蓮太(2年・東京ヴェルディユース)は素早く縦へ。バイタルに潜った井上は利き足と逆の右でスルーパス。ここへ走り込んでいたのは「ウチのチームが点を取るのはショートカウンター。出て行けるチャンスがあったら出て行こうと思っていた」ボランチの小松駿太(1年・横浜F・マリノスユース)。ストライカーさながらの冷静さで放ったシュートは、ゴール左スミへゆっくりと転がり込みます。生かしたワンチャンスにも「チーム的にはアレは偶然じゃない」と奥原監督。一瞬の隙を見逃さなかった先制弾。東京が1点をリードしました。
さて、圧倒的に近い攻勢の中でまさかの失点を喫した大阪。51分には前半に負傷していたCBの松岡秀平(1年・ガンバ大阪ユース)と羽田健人(1年・金光大阪)を入れ替えると、53分には絶好の同点機。左サイドで果敢なチェイスからボールを奪った岸本が強烈なミドルを打ち込みますが、球体が選んだのはクロスバー。追い付くことはできません。
55分には両監督が同時に交替策を。奥原監督は井上と大熊健太(1年・FC東京U-18)を入れ替え、坂元監督は牧野と丸岡悟(1年・セレッソ大阪U-18)をスイッチ。共に攻撃的なカードを切るあたりに、透けて見える追加点と同点への意欲。59分も大阪。市丸が右へ振り分け、吉岡裕貴(1年・ガンバ大阪ユース)のクロスへ飛び込んだ岸本のヘディングは枠の左へ。白熱のファイナルも、残すは10分間とアディショナルタイム。
62分も大阪。右SHへスライドした小田垣、前線へ移った岩本、丸岡と繋がり、右から吉岡が入れたクロスは松嶋がキャッチ。64分は東京。相馬の強引なミドルはクロスバーの上へ。66分は大阪。中盤でボールを収めた岸本のミドルは、わずかに枠の左へ。「やっぱりゴールの所はちゃんと消しているので、そこは最後やられないようにという所で、堂々と構えているように見えた」と坂元監督も評した東京のディフェンス陣。今日は右SBに入った柳貴博(1年・FC東京U-18)、相変わらずの危機察知能力を見せ付けた左SBの相原克哉(1年・FC東京U-18)に、ボランチで守備に奮闘した安部柊斗(1年・FC東京U-18)も含め、「みんなFC東京で中学からやってきたメンバーなので、守備陣への信頼は大きかった」とは守護神の松嶋。ゲームはいよいよ最終盤へ。
67分も大阪。右から丸岡が蹴ったFKは、中と合わずにゴールキックへ。70分も大阪。丸岡の右CKから、岸本が執念で当てたヘディングも松嶋がキャッチ。70+2分も大阪。左から初瀬がトライしたロングスローがこぼれ、小田垣が残したボールを岩本が打ち切ったミドルもクロスバーの上へ。「基本的にはボールを動かして、相手の空いた所の隙を狙ってというのはチームとしてずっと継続してきた所なので、そこに逆にこだわりました」と坂元監督が話したように、最後まで貫く"大阪スタイル"。
70+3分には殊勲の小松と鴻巣良真(2年・國學院久我山)を交替させ、最後のクローズに着手した奥原監督。70+4分も大阪。左から丸岡が放り込み、小田垣が懸命に残したボールを岸本が狙いますが、ここに体を投げ出してブロックしたのは岡崎。14歳が勝利へ滲ませた勇気。凌ぐ、凌ぐ東京。70+4分のラストプレー。岩本が右から丁寧に蹴ったCKはこぼれ、反応した市丸が丁寧にインパクトしたミドルは、しかしクロスバーの上へ。味スタの秋空を切り裂いたホイッスルは、優勝を祝うファンファーレ。「笑顔で終わるつもりだったんですけど、嬉しくて涙が出てきた。嬉し泣きは人生で初めて」と渡辺が話したように、笑顔と涙の入り混じった戴冠。東京が地元開催の重責を果たし、見事なタイトル獲得を達成する結果となりました。
大阪は間違いなくグッドルーザーでした。東京の3倍近くのシュートを放つ攻撃性を発揮し、ゴールこそ遠かったものの、「ワンチャンスを取られて負けたが、大阪のサッカーを見せてくれたと思う」という坂元監督の言葉にも納得の、ハイレベルなアタッキングサッカーは見る者を魅了したと思います。負けた直後は涙をこらえ切れなかったものの、スタジアムを去る時にはいつもの笑顔を見せていた初瀬を筆頭に、"いいヤツ"揃いだった彼らの今後が非常に楽しみです。
「本当に16人の選手は"かわいい"ので、FC東京じゃない選手も本当にかわいくて、それぞれの良さをサッカーで出してあげたいなと思っていた。優勝を意識して活動してきたつもりなので、本当にホッとしているのが正直な気持ち」と安堵の表情を見せた奥原監督に率いられ、堂々たる開催地優勝を成し遂げた東京。ただ、「地元だからどうのこうのじゃなくて、サッカーに向き合うことを考えていた。みんなで楽しくやろうと話していた」とは渡辺。この対照的な発言を聞くと、選手たちは純粋に優勝という目標に突き進んでいたのかもしれません。「色々な指導者の方に教わったんですけど、とりあえずその人たちを胴上げすることしか考えてなかった」(渡辺)選手たちの念願が叶う時が。「実際に口では彼らも言っていたけど、本当にその瞬間が来て、色々な想いがこみ上げてきた」という奥原監督が味スタの宙に舞い、日本一のチームに日本一の笑顔が弾けました。       土屋

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