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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年10月02日

国体少年男子準決勝 京都府×東京都@西が丘

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nisigaoka1002①.jpg首都での戴冠を、そして首都でのオリンピックを視界の先に見据えた国民体育大会もいよいよ大詰め。セミファイナルで激突するのは古都とその首都です。
1回戦で富山に競り勝つと、2回戦では初戦で8ゴールを奪った優勝候補の神奈川県を延長の末に撃破。昨日のクォーターファイナルでは、前回王者の兵庫県をPK戦で振り切って、西が丘まで辿り着いた京都府。2回の延長戦を戦ってきた疲労は当然ですが、ファイナル進出へ向けてアクセルをもう一段踏み込みます。
今大会に向けて「数年越しで優勝と言われている」と奥原崇監督も苦笑交じりに話すのは、地元開催という圧し掛かるプレッシャーの中で、確実にここまで勝ち上がってきた東京都。宮城県と徳島県から続けて3ゴールを奪って勝利を収めると、難敵の埼玉と対峙した準々決勝も3-0と完勝。この年代の東京でサッカーをプレーするものにとって、"聖地"とも言うべきこの舞台で優勝へと続く道をあと一歩踏み出したいゲームです。朝からの雨が降りしきるコンディションで、水はけのいい西が丘にもさすがに影響が。大一番は東京のキックオフでスタートしました。
先にチャンスを創ったのは東京。6分、右から神谷優太(1年・東京ヴェルディユース)が蹴ったCKから、田代蓮太(2年・東京ヴェルディユース)がミドル。最後は混戦の中で郡大夢(1年・東京ヴェルディユース)のシュートはヒットしなかったものの、まずは味スタへの意欲を滲ませます。
「グラウンドがスリッピーだったので、ボールが足に付かなかった」と神谷も振り返った序盤は、ほとんどフィフティで推移。10分は京都。右サイドから井上陽(1年・京都教育大附属)がドリブルで持ち込んで枠へ飛ばしたシュートは、東京GK松嶋克哉(1年・FC東京U-18)が何とかセーブ。14分も京都。ボランチの山本蓮(1年・久御山)がミドルレンジから狙ったシュートも、松嶋が何とかセーブ。17分は東京。松嶋が飛距離のあるキックを飛ばすと、収めた神谷のシュートは京都DFが体を張ってブロック。やや東京が手数を出すものの、一進一退の攻防が続きます。
そんな中、23分に先制点を奪ったのは"ホームチーム"。それまでも再三右サイドを切り裂いていた相馬勇紀(2年・三菱養和SCユース)が、ここも右サイドを縦に鋭く持ち出してグラウンダーのクロス。ここに全力で走り込んだ田代は、ゴールポストをかすめながらニアサイドへダイレクトシュートをぶち込みます。「自分たちのペースを崩すことなく、我慢という展開は予想していた」(奥原監督)中での貴重な一撃。東京が1点をリードしました。
以降はスコア上のアドバンテージを後ろ盾に東京が掴んだリズム。31分には安部柊斗(1年・FC東京U-18)が右へ振り分け、相馬が中へ戻したボールは、危機察知能力に優れた京都のボランチ宅野海里(1年・京都サンガU-18)が間一髪でクリア。33分にも安部が右へ展開し、相馬が中へ送ると神谷に収まりかけたボールは、京都のCB小川礼太(1年・京都橘)が懸命にクリア。目立った相馬の推進力でやや押し込まれる展開も、「すごくまとまりのあるいいチーム」と敵将も賞賛した京都がきっちり凌ぎ、0-1のままで最初の35分間は終了しました。
後半のファーストシュートは京都。38分、最前線の井上が巧みに落とし、宅野のミドルは枠の右へ外れたものの、ようやく綺麗な連携からフィニッシュまで。39分には東京も神谷がゴール右へ外れるミドルを放つも、40分には再び光った京都のコンビネーション。バイタルで細かく繋ぐと、宅野は短くラストパス。木下英駿(1年・東山)のシュートはクロスバーを越えましたが、京都が同点への決意をはっきりと打ち出します。
41分は東京。ここも相馬が右から折り返し、郡のシュートはクロスバーの上へ。42分も東京。郡のシュートはDFに当たって枠の左へ。京都が守屋圭幾(1年・京都サンガU-18)と松下英右(1年・京都サンガU-18)を一気に送り込んだ2枚替えを経て、45分はその京都。山本のパスからキャプテンの沼大希(1年・京都サンガU-18)が放ったボレーは枠の左へ。46分と48分は共に神谷。揃って枠をしっかり捉えるシュートを放ちましたが、本人も「GKの上手さもあった」と認める若原大志(2年・京都サンガU-18)のファインセーブで、スコアボードの数字は変わりません。
京都の切り札が輝いたのは50分。山本が中央からパスを付けると、右サイドを持ち運んだ松下は果敢なミドルにチャレンジ。雨粒を切り裂いてゴールへ向かったボールは、右スミギリギリを射抜いてネットへ飛び込みます。途中投入に結果で応えた松下のゴラッソ。点差は一瞬で消え去りました。
さて、どちらかと言えばチャンスを多く創っていたにもかかわらず、同点に追い付かれてしまった東京。それでも、「シュートを外したことによって後ろが焦れたりとか、攻撃陣が焦ったりとか、どんどんオレがオレがとならないようにというだけ。あとはいつもやっているサッカーを変えずにと話していた」とは奥原監督。失点後の10分近い膠着した時間帯をやり過ごすと、再び引き寄せたゲームリズム。59分に安部のミドルがゴール右へ外れると、直後にレフティの大熊健太(1年・FC東京U-18)を投入し、最後の10分間に臨みます。
ここからの終盤も含めて、「どっちが先に崩れていくのか」(奥原監督)というゲームを締まったものにしていたのは、守備陣の基本的なレベルの高さ。スリッピーなピッチに加え、悪天候という条件の中でも、最終ラインの選手がイージーミスをするような場面は一切なし。その安定感は、「すべての選手を信用していますけど、あの4枚はすごくマジメに献身的に、チームのためにという部分で基盤になって支えてくれている」と奥原監督が話した東京の守備陣も京都の守備陣も同様。東京は右から鴻巣良真(2年・國學院久我山)、渡辺拓也(1年・FC東京U-18)、柳貴博(1年・FC東京U-18)、相原克哉(1年・FC東京U-18)。京都は右から高木將圭(1年・東山)、小川、太田京輔(2年・京都サンガU-18)、武市穣太(1年・京都サンガU-18)。彼らの奮闘には拍手を送りたいと思います。
62分は東京。安部、田代と繋ぎ、神谷が放ったシュートは若原がキャッチ。直後も東京。小松駿太(1年・横浜F・マリノスユース)のミドルはクロスバーの上へ。64分は京都。山本が左のハイサイドへ落とし、松下が中へ戻すと、門司康成(1年・京都サンガU-18)のシュートはヒットせず。残された時間は5分間。
66分は東京。右サイドで1人かわして、カットインした神谷の左足ミドルはクロスバーの上へ。68分は京都。守屋のミドルはゴール左へ。69分は東京。前線にポジションを移した相馬が左サイドを抜け出し、神谷の左足シュートはここも若原がファインセーブで回避。「ちょっとシュートが嫌になりました」と神谷が冗談交じりに語るほど、彼と若原の攻防は見応え十分。その左CKを神谷が蹴り込み、渡辺のヘディングが枠の右へ逸れると、西が丘に響いた規定時間の終了を告げるホイッスル。両者譲らず。熱戦は前後半10分ずつの延長戦へもつれ込むこととなりました。
延長前半は東京がラッシュ。72分、右からのCKはゴール前に混戦を生み出し、最後は小松が枠内シュートを打ちますが、京都DFがゴールライン上で決死のクリア。77分、左から神谷が入れたFKに、鴻巣が合わせるも若原がキャッチ。78分、安部を起点に神谷が右へ。鴻巣がマイナスに折り返し、神谷はフリーでシュートを狙うもミートできず。揺らせないゴールネット。
ようやく歓喜の咆哮を迎えたのは「自分が決めないと勝てないと思っていた」ストライカー。79分、鴻巣のパスを引き出した大熊は、利き足の左で柔らかいクロス。ここに飛び込んだのはやはり神谷。「とっさに頭が出てきた。頭しかないなと」体を投げ出してボールを当てたヘディングは、ゴール右スミを力強く捕獲します。「最後取り切った所に、彼のメンタル的な成長を感じた」と奥原監督も納得の一撃は、神谷の「とにかく気持ちで押し込んだ」今日自身8本目のシュート。東京がとうとう1点を強奪しました。
追い込まれた京都は82分に最後の交替カードとして大川聡一郎(1年・洛北)をピッチに解き放ち、勝利への執念を発揮。84分、宅野を起点に松下は右へスルーパス。守屋が抜け出しましたが、ここは「カバーリングの所は彼の課題だった」(奥原監督)という相原が絶妙のカバーリングでインターセプト。90分、沼のパスから同点弾を決めた松下がミドルを枠に収めるも、松嶋にきっちり弾かれると、これがこのゲームのラストシュート。90分間の激闘は東京に軍配。「東京のチームで、今回の選手も多くいるヴェルディとFC東京のホームスタジアムでできる喜びもある」と奥原監督も触れた、"味スタ"でのファイナルへ駒を進める結果となりました。
掛け値なしの好ゲームでした。最後の最後までどちらが勝ってもおかしくないようなゲームだったと思います。勝利を収めた東京で特筆すべきは、失点を喫した後の時間帯ですぐに立て直して、相手にリズムを渡さなかったこと。「こっちが変化を起こしちゃうと京都さんの思うツボだと思うので、あそこで頑張れたことが今日の勝因の1つかな」と奥原監督も話したように、失点にも動じなかったメンタルの強さも際立っていた印象です。決勝に向けて、「勝ちに自分の目が行かないようにというか、手前の1つを潰していくような作業をやって、最後にそこまで辿り着けばとここまで進んできたので、明日急に勝ちが欲しくなったらそこが崩れてしまいますから、いつもと変わらず僕らのサッカーをやり通すだけです」と語ってくれた奥原監督。追い求めてきた地元開催での日本一まで、「奥原監督を胴上げするという目標」(神谷)までは、あとわずかに1勝です。         土屋

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