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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年10月15日

天皇杯3回戦 広島×熊本@Eスタ

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tennohai0908.jpg屈したのは鳥栖、愛媛、福岡、そこまで届かずFC今治。4年続いている"鬼門"は果たして超えられるのか。今年は熊本をホームに迎え、3回戦という苦手なステージに挑む広島のゲームはEスタです。
リーグ戦では再び首位を奪還し、2年連続となるJ1制覇に向けて、いよいよラストスパートに入っている広島。ところが、前述したように不思議と天皇杯では3回戦の壁に阻まれ続け、ここ4年はJ1の最終節がそのままシーズンラストゲームになっています。日本代表の欧州遠征で西川周作こそ欠場しているものの、森保一監督が組んできたのは現状のベストメンバー。5年ぶりの4回戦進出を真剣に狙います。
一方、先週末のJ2では順位の近い富山をしっかり下し、また一歩降格圏との差を確実に広げた熊本。昨年の天皇杯では今日と同じ3回戦のステージで、J1の優勝争いを繰り広げていた仙台相手に、延長終了間際に奪った養父雄仁の決勝ゴールで劇的な勝利を収めており、大会へのいいイメージを持ってJ1王者とのアウェイゲームに臨みます。秋晴れのEスタにはバス5台で駆けつけたというロアッソサポーターも集結。15時ジャストに広島のキックオフでゲームはスタートしました。
「狙いは当然失点しないということ。前半は0-0で終わりたいと思っていた」と語った、熊本を率いる池谷友良監督代行の思惑が脆くも崩れ去ったのは、開始わずかに24秒。青山敏弘が左へ展開すると、清水航平はワンフェイクで縦へ持ち出しクロス。中央でこのボールに合わせた石原直樹のヘディングは、鮮やかにゴールネットを揺らします。あまりにも早過ぎる先制弾。「いい準備をしてくれて、いい集中を持ってゲームに入ってくれたことが得点に繋がった」と森保一監督。広島が1点のリードを手にしました。
6分にも塩谷司のフィードに反応し、ディフェンスラインの裏へ飛び出した佐藤寿人のミドルループはわずかに枠の右へ外れましたが、追加点機を創出。直後には熊本もボランチを務める黒木晃平が右へ送り、大迫希が強引に放ったミドルはクロスバーの上へ。9分は広島。塩谷司の横パスから、青山が狙ったミドルはゴール左へ外れたものの、「あまりにも早い時間に点を失って、少し浮き足立った感じがした」(池谷監督代行)熊本を、ホームチームが圧倒して立ち上がります。
同じ3-4-3を敷く中で、両者の差が顕著に現れたのはこの2つのシーン。11分の熊本。広島のプレスが掛かり、最終ラインへと下がったボールは、少し難しいスピードと強さでGKの畑実へ。焦った畑のパスは短くなり、石原がカット。シュートシーンには繋がりませんでしたが、かなり危ないシーンだったのは間違いありません。一方は15分の広島。やはり熊本のプレスに、ボールを少しずつ下げた広島は、危機回避も含めてバックパスをGKの増田卓也まで。すると増田は、寄せる相手2人の門を浮かせて塩谷へピタリ。そのままドリブルで持ち上がった塩谷のミドルは、畑がファインセーブで回避しましたが、「塩谷選手があそこでフリーでいたのはしっかり見えたので、そこにパスを出すことができたのは良かった。日頃からどんどんチャレンジしている成果が出たと思う」とは増田。当然志向するスタイルも異なるので単純な比較はできないかもしれませんが、この2人の守護神のプレーはある意味でこのゲームを象徴していたような気がします。
16分も広島。高萩の左CKから、石原が当てたヘディングは畑が正面で何とかキャッチ。24分は熊本。今日はボランチ起用となった吉井孝輔が左のハイサイドへフィードを落とし、片山奨典がシュート気味に入れたクロスは増田がセーブ。28分は広島。相手のパスミスを高い位置でかっさらった佐藤を起点に、青山は右へ完璧なスルーパス。シュートも打てた石原は折り返しを選択し、高萩が余裕を持って打ったシュートは、青木良太が懸命に戻ってブロック。イージーミスはすぐさま決定機に繋げる、広島の準備力と効率の良さ。対する熊本は1トップのウーゴと、その下に位置する藤本主税と養父にまったくボールが入らず、攻撃は手詰まりに。
39分も広島。佐藤、青山と回したボールから森﨑和幸のミドルが枠を強襲し、畑が何とかパンチングで回避。43分も広島。高萩の右CKから、最後は水本裕貴の足元にボールがこぼれるもシュートは打ち切れず。45+1分も広島。塩谷が左へ鋭い弾道のサイドチェンジを送り、清水は丁寧に中へ。石原を経由して佐藤が枠へ飛ばしたシュートは、少し弱く畑がキャッチ。熊本からすれば「プランは1分で変わってしまった」(池谷監督代行)ものの、広島の逸機にも助けられ、前半で記録されたゴールは1つのみ。開始1分から続いた1点差のままで、最初の45分間は終了しました。
「何とか1点で前半は凌いでいた」(池谷監督代行)状況を受け、後半はスタートから動いた池谷監督。右のWBに入った大迫を下げて、そのままの位置に藏川洋平を投入。片山の推進力をベースに前半の中盤くらいから活性化し始めていた左サイドに比べ、清水に主導権を握られる格好で、なかなか攻撃に出て行けなかった右サイドのバランスに、まずは着手します。
それでも後半最初の決定機も広島。49分、ミキッチが右から上げたクロスを、マーカーに付かれながらも巧みな体捌きで石原が落とすと、詰めた佐藤のシュートは至近距離でしたがゴール左へ。思わず頭を抱えた11番は、53分にも左から清水が右足で入れたアーリーに頭で飛び付くも、ボールは枠の左へ。追加点とはいきません。
逆に熊本のチャンスはやはり左サイドから。54分、左へ展開した流れから、片山のクロスは古巣対決に燃える藤本へドンピシャも、少し力んだボレーは空振り。57分に広島もミキッチに替えて、山岸智を左サイドへ投入し、清水を右サイドへスライドさせると、60分には熊本が山岸のサイドからチャンスを創出。養父が右へ振り分け、藏川はカットインしながら中へ。黒木のミドルは増田が確実に弾き出しましたが、この前後はわずかながら広島にイージーなパスミスが散見。熊本も藤本に替えて、「自分が抜けてから負けなしで来ていて、正直悔しい思いもあった。うまい選手とやった方が僕は燃える」という堀米勇輝をピッチへ送り込んでおり、流れが変わり得る時間帯に差し掛かった感も。
そんなムードを払拭したのは、「結果にこだわってやった」というトップストライカー。63分、オーバーラップしてきた水本がパス交換に絡んで左へ。山岸がファーへ飛ばしたクロスを石原が落とすと、素早く詰めたのはやはり佐藤。「ポジション取りも動き直しも凄く速かった」と熊本の右CBに入った高橋祐太郎も舌を巻く、何とも佐藤らしいゴールが飛び出し、広島に大きな2点目が入りました。
膨らみかけた希望の芽を摘み取られるような格好になった熊本は、ある程度広島が受けるような流れの中で手数は増加。64分には黒木がヒールで返したボールを、養父はカットインしながら枠の右へ外れる左足ミドル。67分にも片山、養父と繋いで、黒木が狙ったミドルは枠の左へ。71分には早くも最後のカードとして、攻撃の数少ないポイントとなっていた片山と仲間隼斗をスイッチ。最終ラインも4枚に変更し、残された20分間で2点を、そして3点を狙いに打って出ます。
「今日はかなりゴールに向かってチャレンジしてくれた」と池谷監督代行も言及したのは堀米。「どんどん間でボールを受けろという指示」を受け、左サイドを中心に受けて潜っての連続。78分には黒木のパスを引き出すと、自らミドルレンジから強烈なシュートを枠内へ。82分にも養父のパスを左サイドでもらい、DFとGKの間に送り込んだアーリークロスはわずかに仲間へ届かず。直後にも堀米が左へタイミングを図ったスルーパスを通し、藏川がマイナスへ折り返すも、入り過ぎたウーゴはボールに触れず。堀米の躍動であと一歩までは迫るも、その"あと一歩"が遠い熊本。
89分のラストチャンス。仲間が左へ送り、堀米が送り込んだピンポイントクロスにウーゴが飛び込むも、ボレーで合わせた軌道はクロスバーの上へ。「勝つために試合を進めることを選手がやってくれたのは、チームの成長だと思う」と森保監督。終わってみれば90分間をしっかりコントロールした広島が危なげなく鬼門を突破し、4回戦へと駒を進める結果となりました。
広島の強さが際立つゲームだったと思います。1点目の入った時間が早過ぎたこともあって、なかなか2点目を取るまでに時間が掛かりはしたものの、守備の時にはしっかりブロックを築きながら、機を見て最終ラインの選手も攻撃参加する狙いは、まさに2点目のシーンで水本が体現したもの。「相手はどうであれ、自分たちが何をするかをチームのコンセプトの下、攻守に渡って選手がきっちりとやり遂げてくれた」と森保監督。来週末に控えた横浜FMとの首位攻防戦へ、弾みの付く勝利だったのではないでしょうか。           土屋

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