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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年09月19日

T1リーグ第15節 帝京×実践学園@清瀬内山

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kiyose0919.jpg残り4節と佳境に差し掛かりつつあるT1リーグ。3位と7位が対峙する平日ナイターは清瀬内山です。
首位を走る横河武蔵野ユースと対戦した前々節に敗れ、連勝は3でストップしたものの、前節の国士舘戦ではエース柳下大樹(3年・浦和レッズJY)のドッピエッタできっちり勝ち点3を積み上げた帝京。現在、横河との勝ち点差は4。7年連続2位という"シルバーコレクター"ぶりを今年こそ返上し、9年ぶりの関東へ返り咲きたい所です。
インターハイ予選は1次トーナメントでPK戦の末に敗退。T1でも4勝5分け5敗と黒星が先行し、ここまで7位と今シーズンはやや苦しい戦いが続いている実践学園。とはいえ、選手権に向けて「チームがまとまってくれれば、私は凄くチャンスだと思っている」と深町公一監督。帝京、成立学園との強豪2連戦を含む、リーグの4試合でしっかり結果を残し、いきなり難敵の国士舘と激突する選手権予選の初戦へ勢いをつけるべく、まずはこの一戦に臨みます。夕闇の清瀬内山には、残り少ない高校生活となった我が子の雄姿を目に焼き付けるべく集結した保護者の皆さんも。18時ジャスト、実践のキックオフでゲームはスタートしました。
先にシュートを放ったのは帝京。4分、右スローインの流れからこぼれを土井幸大(3年・帝京FC)が枠内ミドル。ここは実践GK遠藤透(3年・FC.GONA)がキャッチしましたが、6分にも右から阿久津義和(3年・帝京FC)が鋭いFKを蹴り入れるなど、まずは右の阿久津、左の竜崎廉(3年・FC駒沢)というスピード豊かなSHによくボールが入った帝京が、やや押し気味に立ち上がります。
さて、9分には左サイドでボールを引き出した平井政哉(3年・FC杉野)が枠の左へ外れるミドルにトライし、ようやくファーストシュートを放った実践は、なかなかシンプルに入れる長いボールが前に収まらず、行って来いの展開を強いられ、攻撃の時間を創り切れません。12分にはボランチの近藤大洲(3年・帝京FC)がうまく裏へ落とし、森田竜太(3年・FC府中)が距離のあるループを放つも、帝京GK本山航大(3年・GRANDE FC)がパンチングで回避。14分には「落ち着いているし、能力はかなり高い」と深町監督も認める大瀬貴己(3年・AZ'86 tokyo-ome)の左FKに、ニアで合わせた高橋龍世(2年・FC多摩)のヘディングは枠の左へ。手数は2つ出したものの、ペースを引き寄せるまでは至りません。
17分は帝京。阿久津が右サイドの裏へ落とし、走り込んだ柳下のボレーはDFが何とかブロックしてゴール右へ。22分も帝京。右サイドへ展開したボールを阿久津が速いクロスで中へ。ファーで構えた竜崎のボレーは枠を捉えるも、遠藤が何とかセーブ。26分にも桶谷亮太(3年・帝京FC)と阿久津の連携でCKを獲得するなど、続く帝京の攻勢。実践もこの前後に「毎日自主練をやるような選手なのでチャンスを与えた」と指揮官も言及した堀﨑唯人(3年・RESC)と平井の位置を入れ替え、直後には大瀬の高精度FKを、またもニアで高橋が合わせるもボールはわずかに枠の右へ。大瀬のセットプレーは武器になるものの、スコアは動かせず。
すると、前半終了間際にカナリア軍団へ訪れた絶好の得点機。右サイドで自ら倒されて獲得したFKを柳下が直接狙い、ボールが壁に当たると主審はハンドとジャッジ。PKが宣告されます。キッカーはやはり柳下。左へ力強く蹴り込んだボールに対して、GKは逆側へ。時間は45分。流れそのままに帝京が先制して、前半の45分間は終了しました。
ハーフタイムで決断を下した実践ベンチ。後半開始から堀﨑に替わって、田嶋翼(3年・FC Branco)を送り込み、「前線とサイドは全部できるようにさせている」という深町監督の言葉通り、アタッカーの配置も入れ替えつつ、残りの45分間に向かう準備を整えます。
49分に実践は大瀬が、50分に帝京はキャプテンの小川一矢(3年・FCトッカーノ)が、ぞれぞれセットプレーで相手のゴール前に迫ると、56分には帝京に追加点のチャンス。柳下が左サイドでタメを創り、追い越した竜崎のグラウンダークロスはファーサイドまで。ここにフリーで高橋優人(2年・横河武蔵野FC JY)が飛び込むも、フィニッシュは枠の右へ。点差を広げることはできません。
59分は実践。ボランチの大木駿介(3年・FC杉野)を起点に、富田峻介(3年・町田JFC)は左へスルーパス。田嶋はカットインしながら、やや持ち過ぎてフィニッシュまでは取れませんでしたが、「ここ最近やってきたサイドからの攻撃」(深町監督)でチャンスの芽を生み出すと、徐々に実践が掴み出した自分たちのゲームリズム。天下谷真太郎(2年・FCトリプレッタ)と中村仁哉(3年・TACサルバトーレ)という2枚の切り札を送り込み、一気に勝負を掛けた直後の66分には、やはり富田のドリブルから奪ったCKのチャンスに、大瀬のキックをCB佐藤稜大(3年・FC多摩)は高い打点のヘディングで枠内へ。完全に入ったと思った瞬間、カバーに入ったDFが間一髪で掻き出しましたが、「攻守に渡って動き出してくれた」(深町監督)富田の推進力が、チームに大きな勢いをもたらします。
同点弾はやはり「入り方も含めて徹底的にやってきた」(深町監督)サイドアタックから。74分、大木が左サイドへ振り分けると、ここも富田は力強いドリブルでサイドをえぐってマイナスへ。最高のトラップから1つ右に持ち出した天下谷のシュートは、ゴール前の人垣をすり抜け、ゴール左スミへ飛び込みます。チームを指導する野口幸司コーチも「アイツは秘密兵器」と笑った2年生が殊勲の一撃。スコアボードに並んだ"1"の数字。
研ぎ澄まされた集中力。2度目の歓喜は青。77分、右サイドの深い位置までボールを運ぶと、収めた富田は短いボールを優しく後方へ。引き取った田嶋がカットインしながら、イメージ通りに違いない体の運びで、イメージ通りに違いないファーサイドへシュートを打ち込むと、やはりイメージ通りに違いない軌道が突き刺したゴールネット。「ドリブルはいいモノを持っている富田を中心に、彼が引き付けて周りを使う」(深町監督)イメージ通りの勝ち越し弾。途中出場の2人がゴールを奪い、わずか3分でリードが反転しました。
後半は一転して押し込まれる展開を強いられ、アドバンテージをビハインドに引っ繰り返された帝京も、85分にはビッグチャンス。桶谷、途中出場の古市拓巳(2年・岐阜VAMOS)と繋ぎ、後半は沈黙していた柳下が突如としてミドルレンジから打ち込んだ素晴らしいミドルは、しかし遠藤が懸命に弾き出すファインセーブ。「ネガティブなのは私くらいで、中ではみんながいい声を掛けてくれていた」と深町監督も認めたポジティブな勝利への団結。
トドメを刺したのも途中出場のレフティ。88分、前線の中央に入ってきたややアバウトなボールへ、天下谷が突っ込んでDFともつれながら粘ると、こぼれてきたボールは中村の目の前へ。チームトップクラスの技術を誇るレフティが、このチャンスを逃すはずもなく、きっちり流し込んだ対価はダメ押しの3点目。「途中から出た選手が運動量も含めてそれなりに活躍してくれた」と深町監督。ベンチスタートのアタッカー陣が奮起した実践が、見事な逆転劇でカナリア軍団を撃破する結果となりました。
「去年に能力的には劣らないと思っているが、どうしてもここまでは自信が持てていない」(深町監督)という昨年の三冠王にとっては、大きな自信を手に入れることのできた90分間だったのではないでしょうか。湘南内定の福岡将太(3年・JACPA東京FC)など主力数人が欠場する中で、天下谷のような下級生もチャンスをモノにしたという事実は、このシーズン最終盤に差し掛かって、いいサイクルに入りつつあるのかなと。前述したように、傍から見ると厳しい組み合わせとなった選手権も「勝てるかどうかは別にして、これ以上いい組み合わせはないよと言っている」と深町監督。「戦うしかないという気持ちにさせた方が前に行くパワーが出る」(深町監督)野武士集団は、最後に訪れたリベンジの機会を静かに、虎視眈々と狙っています。         土屋

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