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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年09月16日

J2第33節 千葉×京都@フクアリ

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soga0916.jpg"7"か"1"かの昇格争い直接対決。荒天一過。4位と6位が激突するビッグマッチはフクアリです。
例えば3連続引き分け。例えば4連勝。例えば4試合勝ちなし。例えば6連勝。その時期その時期の触れ幅が大きい中で、ここまで4位と、13節以降は昇格プレーオフ圏内を一貫して堅持している千葉。2週間前の前節は福岡と殴り合いを演じ、最後は3-4で5試合ぶりの勝ち点3を強奪。天皇杯でも快勝を収め、上り調子でこの大一番を迎えます。
24節の松本戦に引き分けると、そこから2ヶ月の7試合は3連敗を喫するなど、わずかに1勝と急ブレーキが掛かり、順位を6位にまで落とした京都。ただ、主力3人が出場停止となった前節の熊本戦では、今シーズン初スタメンの倉貫一毅と下畠翔吾が代役以上のパフォーマンスを見せ、ホームで2-0と快勝。千葉同様に久々に挙げた1勝を連勝へと繋げ、直接のライバルに肉薄したい90分間です。心配された雨もすっかり上がり、スタンドを埋め尽くした大半の黄色と一角の紫。欲しいのは勝利だけ。注目の一戦は千葉のキックオフでスタートしました。
強い意欲をファーストシュートに滲ませたのは千葉の心臓。開始わずかに1分、中盤でこぼれたボールを佐藤勇人はボレー気味にミドル。軌道は大きく枠を越えたものの、5分には伊藤大介が蹴ったFKのクリアを、天皇杯の好調を買われ、リーグ戦初出場初スタメンとなった町田也真人も枠を越えるボレーにトライ。7分には米倉恒貴、町田と繋いだボールは、最前線まで駆け上がってきていた佐藤勇人へわずかに合いませんでしたが、古巣相手に3列目からの推進力を見せ付けたキャプテンの気持ちが、ゲームリズムを千葉へ引き寄せます。
さて、「今日は2トップだったですね」と大木武監督も話した京都は、山瀬功治と三平和司を最前線に並べ、中盤も倉貫一毅と秋本倫孝のドイスボランチに、右へ工藤浩平、左へ駒井善成を配し、「向こうのストロングポイント」(安藤淳)であるSBの攻め上がりを念頭に置いた4-4-2を敷きましたが、攻撃面では2トップにうまくボールが入らず孤立気味に。11分には山瀬の右CKに、三平が合わせたヘディングが枠を捉えるも、シュートコースにいた酒井隆介が頭に当ててしまい枠外へ。13分に駒井と山瀬の連携から、最後は工藤が放ったミドルも岡本昌弘がファインセーブで阻止。「スカウティングよりちょっと来ている感じだった」(工藤)千葉からペースを奪い返せません。
すると、リズムそのままに記録された先制点。16分、伊藤が右からファーまでCKを届けると、ケンペスはマーカーより頭1つ分競り勝って中へ。至近距離で田中佑昌が頭に当てたボールはゴール右スミへ飛び込みます。殊勲のサムライを中心に広がる歓喜の輪。ホームチームが1点のアドバンテージを握りました。
17分には左へ流れた工藤を基点に秋本がミドルを枠内へ、21分には山瀬が右サイド、ゴールまで約25mのFKを枠内へ収め、共に岡本にキャッチされるなど、京都もすぐに反撃態勢の手数は繰り出したものの、「向こうは中盤の球際に勢いがあって僕たちが全然負けていたので、崩されたというよりはそこで流れを持っていかれた感じはあった」と安藤が話したように、流れは相変わらず千葉で推移する時間帯。29分には高橋峻希、町田、ケンペスと回し、高橋のクロスを田中が頭で折り返すと米倉がボレー。クロスバーの上に消えたシュートも、フィニッシュまでの形は流麗。ボールを持つ時間も攻勢も千葉。
攻撃の好リズムは守備にも伝播し、38分には京都が秋本の力強いインターセプトから、工藤が狙いすましたスルーパスを通すも、走り込んだ山瀬へ寄せた竹内彬が素晴らしいカットで回避。「ちょっと裏を多めに狙っていこうという話はしていた」(工藤)京都のアタックも、竹内と山口智を中心に高い集中力で事前寸断。逆に39分にはケンペスの"無"からゴールを生み出さんとする左足ミドルが飛び出し、京都GKオ・スンフンがギリギリで回避。アウェイチームも43分には相手のミスを奪い、駒井のクロスに山瀬がフリーで待っていましたが、タイミングが合わずにボールはクロスバーの上へ。「前半はまずまずのゲームができた」とは鈴木監督。上位直接対決は千葉が1点をリードして、ハーフタイムに入りました。
「逃げるな!最後は自分がやるという意識を持つこと!」(大木監督)。シンプルな、それでいて熱いメッセージに奮い立つ古都のイレブン。47分、安藤、倉貫と回ったボールを工藤が左足で狙ったミドルは岡本が何とかセーブ。48分、倉貫が出足鋭いボールカットから左へ振り分け、山瀬が右へ送ったパスを三平はダイレクトで枠の上へ外れるシュート。53分、安藤のパスから山瀬が打ち切ったシュートは竹内が体でブロック。58分、駒井が積極的に仕掛け、三平を経由して工藤が枠へ飛ばしたシュートは岡本がキャッチしたものの、「後半の立ち上がりはいい入りをしたかなと思う」(工藤)「後半の入り方はだいぶ良かった」(福村貴幸)と2人が同じ印象を口にした京都の反攻。
「後半に入ってイージーミスが多くて、取ったら取られて、奪ってまた取られてという展開」と捉えた鈴木監督は58分に決断。「非常にミスが多かったのとなかなか起点になれなかった」谷澤を下げて大塚翔平を投入することで、まずは中盤の立て直しに着手。大木監督も60分に1人目の交替。三平に替えて投入したのは中村祐哉。「大木さんもドリブル突破を期待してくれているので、自分の持ち味を出していかないと」という"ルーキー"を送り込み、さらに掲げる前への推進力。
62分も京都。山瀬を起点に倉貫が左へスルーパス。上がってきた福村のクロスはDFにクリアされたものの、千葉最大のストロングである米倉に対して、「前で基点を創らせないことと、取られたらすぐにボールに行って自由に蹴らせないということを後半はしっかりやれていた」と振り返った左SBのオーバーラップでワンチャンス。64分も京都。秋本が右へ展開すると、倉貫のクロスに宙を舞った工藤はオーバーヘッドを敢行。「叩くつもりが叩けなかったので、『どうだろう?』と思ったら音が聞こえた」その"音"はポストに当たった金属音でしたが、完全に掴んだ勝負の流れ。
結実は66分。安藤が右から中に切れ込んで左へ。山瀬はマーカーを浮き球で振り切ると、グラウンダーでクロス。ニアでGKともつれた秋本が粘って中へ戻し、DFのクリアが小さくなった所に待っていたのは安藤。カバーに入っていた2人の真ん中へ、ゆっくり転がしたシュートは京都サポーターが陣取る目の前のゴールへ吸い込まれます。「もう1回戦うという姿勢でやれば必ず流れは来ると思っていた」というキャプテンの同点弾。スコアは振り出しに引き戻されました。
京都の勢いに気圧される格好で、「ゴール前に張り付いてなかなか前に出てボールを奪いに行けないというような状況」(鈴木監督)の千葉にようやく後半ファーストシュートが生まれたのは68分。左サイドを高橋が運び、大塚とのワンツーを経てカットインミドルを枠に収めるも、オ・スンフンがファインセーブで回避すると、70分には福村、倉貫と回ったボールを山瀬がゴールの上に外れるフィニッシュ。それでもシチュエーションは同点。72分に田中と兵働昭弘を、76分にケンペスと森本貴幸を相次いで入れ替え、勝負に出た鈴木監督。
狂喜は紫。77分、「個人的には後半の方が強いタイプ」と語る駒井が全力のチェイスで兵働からボールを奪うと、福村、工藤を経由したボールは再び左サイドに開いた駒井の元へ。右足アウトで縦に絶妙のパスが入り、「中を見たら功治さんが1枚相手を剥がして、DFとGKの間に入ってくれていたので、そこを目掛けて蹴った」中村のダイレクトクロスを、山瀬は難しいバウンドもものともせずにダイレクトボレーで一刺し。「あの形になったらあそこしかない。イメージ通りの崩しができた」と山瀬。100点満点のカウンターが炸裂し、とうとう京都がビハインドを引っ繰り返してみせました。
結果としてストロングとウィークが表裏一体になっている右サイドの"裏"を突かれて、痛恨の逆転ゴールを献上した千葉。「プレッシャーを掛けるだけではなく、取りに行くというのを意識していた」(工藤)「中盤がボールに行ってくれていたので、限定はしやすかった」(福村)「中盤の選手が本当によく守備をしてくれた。貢献度はかなり大きかった」(安藤)と3人の認識が揃った京都の中盤を前に、とりわけ後半は自由を与えてもらえず、「反撃する力もそんなに残っていなかった」(鈴木監督)失点後は、タイムアップの笛が鳴るまでシュートはゼロ。「試合が終わってかなりウチの選手は疲れていたと思いますが、それが当たり前ですね。これがサッカーだと思います」と大木監督。終わってみれば京都の完勝。両者の勝ち点差は"1"に縮まる結果となりました。
一番のポイントは後半に入って、一気にスイッチが入った京都のプレスだったかもしれません。「中盤を代えてできるだけミスをしないように前に運びたかった」「かなり劣勢になっている状況で中盤を立て直さなければいけなかった」と鈴木監督が選手交替の意図について話したように、中盤で京都が連動してボールに行けていたことが、千葉の攻撃をかなり制限できていたのかなと。対照的に「千葉はちょっとバラバラに来ているというか、ボールを持っている選手は来ているけど、次の選手はフリーだったとかは多かったので、動けばもらえるというのはあった」と工藤が振り返った通り、千葉はなかなかプレスの網がうまく張れず、特に後半は選手間の距離も空き出して、後手に回った感は否めず、その差は大きかったと思います。「僕たちはトーナメントみたいな状態。全部勝てばJ1へ上がれるという状況にいると思うので、1試合1試合本当に勝ち続けるだけ」と安藤。京都が最後の戦いに向けて、再びアクセルに足を踏み入れました。        土屋

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