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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年09月09日

天皇杯2回戦 千葉×カマタマーレ讃岐@フクアリ

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tennohai0908.jpg5年連続で実現させたJリーグ勢との対峙。昨年はJ1クラブも撃破した、香川からの刺客が参上するのはフクアリです。
カマタマーレ讃岐としては8回目の本大会挑戦にして、初めて予選を免除された彼らの肩書きは"JFLシード枠"。前回大会は2回戦で西野泰正が挙げた90+2分の決勝点で鳥栖を沈め、3回戦の浦和戦でも最後は惜敗したものの、一時は西野が同点ゴールを奪うなど、その存在感をJクラブ相手にも示した讃岐。24節が終了したJFLでも、首位の位置を堅持しているチームにとっては、今までで最も勝利を身近に感じながら臨む、Jリーグ勢との対戦になるかもしれません。
迎え撃つ千葉もリーグ戦の合間に組まれたゲームとはいえ、今後のことを考えても大事な終盤戦に向けての戦力を公式戦で見定めておきたい所。GKには大久保択生が、中盤には2年目の町田也真人が、そして最前線には国内復帰を果たした森本貴幸がそれぞれスタメンとして登場。名門の名に懸けても、敗戦は絶対に許されないゲームであることは間違いありません。千葉サポーターが歌うおなじみのチャントが鳴り響く前に、讃岐のゴール裏から聞こえてきたのもおなじみ"瀬戸の花嫁"。「CELESTE de CORAZON」を胸に秘めた水色のサポーターが声を張り上げる中、注目の一戦は京都時代のチームメイトでもある佐藤勇人と西野の両キャプテンががっちり握手を交わし、キックオフされました。
早速魅せた坊主頭のストライカー。3分、ケンペスが右へ送り、米倉恒貴は最高のアーリークロス。森本が左足ボレーで合わせたボールはゴールへ吸い込まれるも、ここはオフサイドの判定でしたが、その高い技術に圧倒される場内。4分には町田、森本、ケンペスと細かく繋ぎ、町田のラストパスはケンペスのかかとに当たるもゴールに向かい、吉澤佑哉が何とかクリア。5分にも森本が鋭いミドルをクロスバーの上へ飛ばすなど、千葉がいきなりラッシュを仕掛けます。
7分も千葉。伊藤の左FKに、ニアでケンペスが狙ったヘディングはわずかに枠の左へ。8分も千葉。米倉の完璧なアーリークロスに、飛び込んだ森本のヘディングは讃岐GK瀬口拓弥が何とかセーブ。11分も千葉。右サイドから米倉が中央へ流し、町田がエリア内へ侵入するも、讃岐のCB波夛野寛が何とかクリア。「球際の強さだったり、アプローチの速さだったり、そういう所で自分たちが後手に回ってしまった」とは石田英之。押し込まれる讃岐。
するとホームチームが勢いでアウェイチームを飲み込んだのは16分。最終ラインの窮屈なボール回しが波夛野で詰まると、見逃さなかった佐藤勇人の猛プレス。奪ったボールはケンペスに渡り、J2得点ランクトップのストライカーは、GKとの1対1も冷静に右スミへ。相手のミスをきっちりと得点に結び付けた千葉が、流れそのままに先制ゴールを手にしました。
「1点目は完全なミスから入ってしまった」(北野監督)「もったいない自分たちのミス」(野口遼太)と2人が声を揃えた手痛い"ミス"から、先制弾を許した讃岐でしたが、再び喫した失点はミスとアンラッキーの連鎖。23分、伊藤大介が右のスペースにスルーパスを送ると、走り込んだ米倉とカバーへ入ったアンドレアが交錯。ここに瀬口も飛び出していたため、ボールは無人となったゴール方向へ。懸命に戻ったアンドレアも一歩及ばず、左ポストの内側に当たったボールはゴールへ転がり込みます。確かにアンラッキーではあったものの、アンドレアと瀬口の連携にもまずさが。「格上のチームとやる時は失点をしてしまってはいけない」(北野誠監督)という鉄則も崩れる2点のビハインド。千葉が圧倒的優位に立ちます。
さて、「県を代表して、JFLを代表して戦うゲーム」(野口)で苦しい展開となった讃岐。24分には左サイドへ開いた大沢朋也のクロスは、わずかに中央の石田に合わず。31分にも左サイドを一旦は転倒しながら粘って持ち出したアンドレアが強烈なミドルを放ち、「今週の練習でもいい準備ができていた」大久保の好セーブに回避されましたが、「2点取ったこともあって、相手が少し緩んだ所もあったと思う」と石田が振り返った側面を差し引いても、徐々に全体での落ち着きを取り戻していきます。
このタイミングで早くも1枚目のカードを切ったのは北野監督。33分、中盤センターに入っていた山本翔平に替えて、「バタバタしたので落ち着かせるようにと、セカンドボールを相手に結構拾われていたのでそこを速く予測して拾う」という指示を授けた綱田大志をそのままの位置に送り込み、膠着している状態のさらなる安定を図ると、34分には野口の右CKに、ファーで叩いた波夛野のヘディングは大久保がファインセーブ。36分には大沢のパスから西野が果敢なミドルを枠の左へ。動きの少なくなった展開の中でも、「ウチもようやく落ち着いて、ゲーム自体も落ち着いて流れていった」(綱田)残り15分は、徐々に讃岐の手数も増えながら、スコアは2点差のままでハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから讃岐が創った攻勢の時間。「前からもプレスを掛けてボールを奪おうということを徹底した」(綱田)ことが奏功し、49分には左FK、50分には左CK、51分には右FKといずれも野口が際どいボールを蹴り込むと、52分には大沢と西野の連携で得た右CKをここも野口が入れると、ニアへ飛び込んだ西野のヘディングは枠の左へ。「少し向こうの時間帯が続いた」と千葉の鈴木淳監督も認める流れに、声を嗄らす水色のサポーター。
ところが、55分に最終ラインでのパス回しに瀬口が加わって右へ出したボールは短く、かっさらった谷澤達也のシュートは瀬口が自らキャッチして押さえましたが、流れを手放してしまうような格好になった直後に生まれた3点目。谷澤が左サイドでボールを溜めると、外を回った町田が中へ。ここに3列目から走り込んでいた佐藤勇人は、頭で難なくゴール右スミへプッシュ。「しっかり辛抱して反撃できた」と鈴木監督も賞賛した追加点は、「1アシストか1得点はしたかった」という町田と頼れるキャプテンで記録。あまりにも大きな3点のアドバンテージを千葉が握りました。
59分には持留新作から、62分には大沢から、それぞれパスを受けた岡村和哉が2本の枠外シュートを放ち、千葉はケンペスと佐藤健太郎を、讃岐は石田と木島良輔を62分というタイミングで同時に投入すると、止まらなかったのは前者の畳み掛けるパワー。63分、伊藤大介は左からのCKをショートでスタート。「結構前ががら空きだったので、思い切り蹴った」という高橋峻希のミドルは、懸命に伸ばされたGKの手を弾き、ゴールネットへ到達します。4-0。フクアリに広がる歓喜。大勢は決しました。
66分には右SBの吉澤と天羽良輔を入れ替え、何とか1点を返したい讃岐は73分にその天羽が右サイドで1人かわして低いクロスを入れるも、中央には誰も飛び込めず。続く80分には決定機。木島がうまいポストワークを見せ、アンドレアのシュートはDFにブロックされたものの、拾った西野のフィニッシュはわずかにクロスバーの上へ。「ボールを奪ってからフィニッシュまでの精度が低かった」(綱田)中でも惜しいチャンスを創りましたが、ゴールが遠い讃岐。
一方の千葉は83分、直前に谷澤とのスイッチで投入された鈴木隆雅のクロスに、鈴木監督も「今後に向けての貴重なオプションになったと思う」と評価した町田のシュートが枠の右へ逸れるも、5分後の88分に打ち止めの5点目。「今日は攻撃の基点の1つになっていた」(鈴木監督)米倉が右サイドを切り裂くと、ここに入ってきていたのはまたも7番のバンディエラ。「パスを出してから前に行く本来の姿が、ここ数試合はできてきた」と語る佐藤勇人の今日2点目はチームの5点目。スコアは5-0。「終始、主導権を握ってゲームをすることができた」(鈴木監督)千葉の祝祭。
雨の中で声援を送り続けるゴール裏のサポーターへ、何とか1点を届けたい讃岐のラストチャンスは90分。右から木島が短いパスをエリア内の西野へ付け、リターンを左足でファーサイドまで。宙を舞ったアンドレアのヘディングはゴールネットを揺らしましたが、ボールが着地したのはサイドネットの外側。「JFLでも常に100%を出して、チーム一丸となってやって、やっとどうかという試合ばっかりなので、勘違いしている訳ではないですけど、それがピッチの上でできなかったのがあかんと思う」と石田も唇を噛んだ讃岐にとっては何とも厳しい大差で、千葉がネクストラウンドへ勝ち上がる結果となりました。
「情けない試合をしてしまった。JFLで首位になって調子に乗っていたんじゃないですかね。いい薬になったと思う」と北野監督もお手上げの体で語った讃岐は、今までJリーグ勢と戦ってきたゲームの中でも、スコアと内容の両面で最も差を付けられたゲームだったのではないでしょうか。実は個人的に初めて讃岐を取材したのは2008年。場所は屋島サッカーグラウンド、別名"市東部下水処理場グラウンド"。ピッチは土で、当時の羽中田昌監督に率いられたトレーニングでは、まだお揃いのウェアもなく、選手が思い思いのそれに身を包み、砂埃の中でボールを追い掛けていた風景が印象に強く残っています。そのことを話すと、「もうあそこは使っていないんですよ」と笑いながら、クラブの変化について「結果を出すことによって練習場や環境、周りの観客も変わってきていることを、一番自分の中で感じています」と表現してくれたのはチーム最古参の綱田。現在はJFLで首位を快走しており、成績面での条件は満たせそうな状況下、それ以外の諸条件もクリアし、来年から念願のJの舞台へ昇格してくることは叶うのか。あの日のチームを見た1人のサッカーファンとして、讃岐の今後にも是非注目したいと思います。      土屋

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