mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2013/09

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年09月11日

関東大学1部第11節 桐蔭横浜大×東洋大@三ツ沢陸上

mas o menos
  • Line

mitsuzawa0911.jpg明暗がクッキリと分かれた昇格組同士の今季ファーストマッチは一巡目のラストゲーム。舞台は"トラック"のある三ツ沢です。
開幕戦で昨年度王者の専修大に6ゴールを奪われる大敗を喫すると、ここから5節まで勝利を挙げることができず、初挑戦となる1部の高い壁を痛感する格好になった桐蔭横浜大。しかし、6節でそこまで無敗の日本体育大相手からようやく勝ち点3を奪取すると、以降は国士舘大、慶応義塾大、流通経済大と強豪を相次いで撃破。前節の順天堂大戦も2点のビハインドを跳ね返す劇的な逆転勝利と、現在怒涛の5連勝中。順位も3位にまでジャンプアップしています。
開幕戦こそ全国屈指のタレント集団とも評される明治大に0-1で競り勝ち、1部デビューを華々しく飾った東洋大。しかし、2節以降から辿って来た道は茨のそれ。4節では筑波大と5-5という派手なゴールショーを演じるなど、得点力は決して低くないものの、リーグワーストタイの20失点を献上している守備面には不安材料が。前節の流通経済大戦の敗戦で3連敗となり、とうとう最下位に転落。「最下位ということをしっかり受け止めて、本当の意味でのチャレンジャーということで戦わざるを得ない」とは古川毅監督。いわゆる前半戦最後の一戦で勝利を収め、巻き返しへの契機にしたい一戦です。昨年は2部を舞台にしていた"昇格同期"の負けられないゲームは、三ツ沢の陸上競技場でキックオフされました。
先にいい形からチャンスを創出したのは桐蔭横浜。6分、CFの今関耕平(1年・ジェフユナイテッド千葉U-18)がうまく落とし、平山玲央(4年・横浜FCユース)は左へ送ると、上がってきたSBの井上玄太(4年・東京ヴェルディユース)はマイナス気味に中へ。このボールを右SBの田内廉(3年・大分トリニータU-18)が狙ったミドルは枠の右へ逸れましたが、まずは両SBが前線まで顔を出して好機を掴みます。
一方の東洋は9分に相手のハンドで得たエリアすぐ外、中央からのFKを三田尚央(4年・FC東京U-18)が直接狙い、これはわずかにゴール左へ外れたものの、14分にも右から斉藤昂太(3年・八千代)が持ち運び、小山大貴(2年・大宮アルディージャユース)は左へラストパス。切り返した三田のシュートはDFのブロックに遭うも、少しずつ持ち味のパスワークも表現され始めます。
システムもお互いに4-3-3を敷き、ボールを回したい意図は伝わる中、「前半はお互いにミスが多くて、トライアングルを創れずに、奪った選手が探して探してになっていた」(古川監督)「ボールを大事にできず、失う回数が多いので自分たちの時間にもできず、リズムも生まれてこない状況」(横浜桐蔭大・八城修監督)と両指揮官が振り返ったように、ややミスでボールが相手に移る膠着した展開に。それでも右から黒須大輔(4年・習志野)、小山、三田と並んだ3トップにボールの入る回数の多かった東洋が、徐々に握り始めた主導権。
ところが、次に決定的なシーンを続けて創ったのは桐蔭横浜。25分、山根視来(2年・ウィザス)、山﨑将(3年・浜松開成館)と回したボールをDFがクリアしきれず、拾った平山のシュートは別のDFが体を投げ出してブロックしましたが、26分にも絶好の先制機が到来。ハーフウェーライン付近で相手ボールを奪った今関はそのまま独走。完全な1対1に今関は右へ持ち出すも、東洋のGK浅沼優瑠(3年・成立学園)も粘って倒れずファインセーブで阻止。スコアは動きません。
以降は東洋が繰り出した手数。29分、左サイドを黒須がえぐり、三田が収めて左へ流すも、小山はシュートまでいけず。34分、CBの筑井駿(3年・前橋育英)は精度の高いフィードを裏へ蹴り込み、追い付いた小山はGKをかわずも、クロスは中央と合わず。42分、黒須からのリターンを受けた三田は右45度から対角線上にボールを打ち込むも、ここは桐蔭横浜GK島崎恭平(4年・流通経済大柏)がファインセーブで仁王立ち。さらに45分には小山、45+1分には三田が枠外シュートを放つなど、スコアレスとはいえ、東洋が「自分たちが主導権を握った方が勝つ確率は上がっていくということで、守備の所というよりは、ボールを失わないことだったり、よりゴールということに繋げていく部分を強調した」(古川監督)中断期間の狙いを攻勢という形で体現して、最初の45分間は終了しました。
ハーフタイムで動いたのは八城監督。左SBの井上に替えて長谷澪杜(2年・関東第一)を投入し、少し押し込まれている展開に対抗するため、最終ラインの強度を高めに掛かりますが、後半開始20秒でチャンスを創ったのは東洋。左サイドを駆け上がったSBの馬渡和彰(4年・市立船橋)がそのままシュート。何とか福島が掻き出したものの、ペースは変わらず東洋。
すると50分に生まれた先制点は純白の志士。右サイドの高い位置でルーズボールを収めた馬渡はそのままクロス。ゴール方向に向かったボールがクロスバーを直撃すると、こぼれ球に反応した小山がマーカーより一瞬早くゴールへボールを押し込みます。「相手の目の前にボールが落ちちゃってGKは転んでいる状態。ウチにとっては不運」と八城監督は悔しさを滲ませましたが、「ゴール前にちょっと人が足りなかった部分があったので、アタッカーはゴール前の所に入っていけと指示した。ゴールライン上で押し込めたということはそこが出たかなと」古川監督からすれば、幸運の中でもしてやったり。東洋が先にスコアボードへ"1"を踊らせました。
「先に点が取れたことで、受身に回らなくて済んだ」(古川監督)東洋のラッシュ。51分、左からのスルーパスに前線まで走り込んだ馬渡の左足シュートは島崎がファインセーブで回避。52分、馬渡が入れた右FKから、アンカーの石川俊輝(4年・大宮アルディージャユース)が狙ったシュートはDFがブロック。59分、斉藤、小山、黒須が絡んで左サイドを崩し、SBの平石直人(3年・帝京)が中へ入れると、斉藤のシュートはここもDFがブロック。何とか劣勢を打開したい八城監督も、63分に平山を下げて坪井秀斗(3年・習志野)を送り込みましたが、次に歓喜を享受したのも攻勢の白。
68分、「足元足元になりがちだから、うまくやる必要はないからと要求した」と指揮官も話した斉藤が、左サイドを低い重心で突き進んでフィニッシュ。ここは島崎も懸命に弾き出しましたが、こぼれを押し込んだのはなんと左SBの平石。「元々アタッカーの選手なので、ただ守っているだけでは彼の特徴も生きないし、要所要所で思い切って上がっていいとは言っている」と古川監督も言及した攻撃的SBの"嗅覚"。点差が広がりました。
「相手のトランジッションが速くてやられっぱなしだった印象」と八城監督が話した横浜桐蔭も71分に、絶好のゴールチャンス。右から山﨑が鋭いFKを送り込み、ニアで坪井がフリックすると、ボールはフリーの古澤慶太(3年・習志野)へ。しかし枠へ飛ばしたヘディングは浅沼がファインセーブ。スコアは変わりません。
72分には桐蔭横浜が福島と石堂圭太(3年・成立学園)を入れ替え、システムも中盤ボックスの4-4-2に変更し、東洋も78分に三田と内田築(4年・市立船橋)を、81分に斉藤と年森勝哉(4年・FC東京U-18)を相次いで交替させ、ゲームは最後の10分間へ。
85分に変わったスコアボードの数字は"0"から"1"。相手のミスを高い位置でかっさらった今関は左サイドを独走。懸命に戻ったマーカーを切り返しでいなすと、中央へピンポイントクロス。坪井は少し難しい体勢のボレーも、きっちりゴールネットへ流し込みます。1-2。たちまち1点差。残りは5分とアディショナルタイム。
86分は桐蔭横浜の同点機。石堂が左からクロスを送り、今関は確実性の高い左へのパスを選択。フリーで待っていた山根のシュートは、しかし浅沼がボールに食らい付いてがっちりキャッチ。最後は「ある程度先に点を取っていれば、最後の所は気持ちで守り切れたりとか、そういうことは可能だと思う」という古川監督の言葉を証明すべく、88分に攻撃的なポジションへ投入された仙頭啓矢(1年・京都橘)が最終ラインでクリアするシーンも見られた東洋が、押し込まれながらも何とかアディショナルタイムも潰し切って聞いた試合終了のホイッスル。「前期は2部でやっていた時ほどボールや主導権を握れなかったが、自分たちが主導権を握った方が勝つ確率は上がっていくということを見直した」(古川監督)東洋が最後は執念で守り切り、開幕戦以来の勝ち点3を獲得する結果となりました。
「ウチが3位で東洋さんが最下位だって全然差なんかないと思うし、一歩間違えれば自分たちもわからない」と八城監督が話したように、両者の間に順位と見合った差は存在していなかったと思います。それゆえに、東洋からすれば久々の勝利をまだまだ十分実現可能な降格圏脱出に向けてのキッカケにしたい所。中断期間に「自分たちの良さを、より精度を上げたり伸ばしていくことに時間を充てて」(古川監督)シーズン2勝目を手にした東洋の浮上に、是非期待したいと思います。         土屋

  • Line