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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年09月04日

関東大学1部第10節 日本体育大×明治大@西が丘

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nishigaoka0904①.jpg約3ヶ月の中断を経て、今日から再開される関東大学リーグ。1部の2試合が行われるのは、日本屈指のピッチとスタンドの一体感を有する、おなじみ西が丘です。
鈴木政一前監督のU-18日本代表監督就任を受けて、この3月からOBでもある前FC東京U-18監督の倉又寿雄氏がチームを率いている日本体育大。迎えた今シーズンは開幕4連勝という華々しいスタートを飾りながら、ここ5試合は未勝利で現在は3位。ただ、この中断期間には天皇杯東京予選で決勝まで進出するなど、「そこは私の中では絶対」と倉又監督が語る"攻守の切り替え"というポイントが、着実にチームへ浸透してきている印象です。
一方、国内屈指のタレント集団とも称される明治大は、開幕戦で昇格組の東洋大に敗れると、以降もなかなか調子が上がってこず、ここまでは1度も連勝なしの6位。とはいえ、こちらは関東王者として臨んだ先月の総理大臣杯で、大阪体育大や鹿屋体育大といった他地域の強豪を蹴散らして決勝進出。最後は流通経済大に屈し、準優勝に終わったものの、再開後のリーグ戦に向けて大きな自信を得たのは想像に難くありません。勝ち点差を考えてもまだまだ十分頂点も狙える両者の激突は、快晴と雨の入り混じった不思議な天候の下、明治のキックオフでスタートしました。
開始46秒のファーストチャンスは日体。左サイドのアタックから、稲垣祥(4年・帝京)がシュート。このボールはDFのブロックに遭いましたが、こぼれを拾った阿部潤(3年・矢板中央)が左クロスを入れると、飛び込んだ梅村徹(4年・野洲)のヘディングはわずかにゴール右へ外れたものの、いきなり決定機を創出。4分にも長谷川健太(3年・湘南工科大附属)のポストプレーを基点に、梅村が右クロス。こぼれを狙った小城拓真(4年・常総学院)のボレーはヒットせずも、まずは日体が好リズムで立ち上がります。
とはいえ、以降は「攻められるのはある程度覚悟していた」という倉又監督の予想通り、明治が徐々にペースを奪還。4分には高校時代に倉又監督の薫陶を受けていた梅内和磨(4年・FC東京U-18)が枠の右へ外れるミドルを放つと、10分には左サイドを矢田旭(4年・名古屋グランパスU18)が抜け出し、そのまま打ち切ったシュートは枠の上へ。22分にも差波優人(2年・青森山田)が左スミギリギリにコントロールしたミドルは、日体GK畠中翔太(2年・湘南ベルマーレユース)にキャッチされましたが、うまく両サイドの主導権を握りながら、明治がボールを支配下に置く時間が長くなっていきます。
そんな紫紺軍団の中でも特に目立っていたのは、1年生ながら右SBの定位置をがっちり掴んでいる室屋成(1年・青森山田)。序盤の何分かを凌いだ後は、何度も右サイドを駆け上がり、チームの推進力としても機能。彼がこのサイドでしっかりボールを受けられることで、逆サイドの厚みも増す好循環が見られ、早くも欠かせない戦力として躍動している印象を受けました。
25分も明治。藤本佳希(2年・済美)が左から中に切れ込み、エリア外からトライしたミドルは枠の上へ。30分も明治。左サイド、ゴールまで約30mの距離から差波が枠に収めたFKは、畠中が何とかセーブ。35分も明治。CKのこぼれを拾った山越康平(2年・矢板中央)が右からクロスを上げると、藤本が合わせたヘディングも畠中ががっちりキャッチ。
36分の決定機も明治。右に流れた差波が絶妙のアーリークロスを流し込み、和泉竜司(2年・市立船橋)がエリア内でフリーになるも、日体の右SBを務める横野敏大(3年・近畿大附属)が間一髪で体を張ったクリアを見せると、「全部裏ばっかりになってしまっていた」(倉又監督)日体も41分には久々のチャンス。左サイドで北脇健慈(4年・東京ヴェルディユース)、長谷川と繋ぎ、阿部はマイナス気味に中へ。上がってきた稲垣のミドルは、しかし梅内が体でブロックしてゴールには届かず。トータルで明治優勢の前半は、スコアレスのままでハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから明治に交替が。左SHの矢田を下げて、矢島倫太郎(3年・浦和レッズユース)を送り込み、さらに強めにかかる前へのパワー。49分には早くも後半最初の決定機が明治に。差波が右へ流したラストパスを、フリーで受けながらも切り返した梅内のシュートは、日体CB広瀬健太(3年・浦和レッズユース)が投げ出した体に阻まれると、ここで変わった流れ。
「後半は風上ということも意識しながら前から行こうということと、ボールを奪った後は速くボールを回していい状況を創ろう」と指揮官に送り出された日体へ決定的なシーンが訪れたのは56分。左から阿部が蹴ったFKは一旦クリアされたものの、再び左へボールを展開すると、阿部は鋭いクロス。最後は中央でルーズボールに反応した北脇がシュートを放つも、ここは梅内が果敢なブロックで回避しましたが、直後にも2本のCKが立て続けに明治ゴール前を脅かし、60分には小城が枠の右へ外れるミドルも。「ボールを奪う位置が低くなったし、日体大が後半は落ち着いてきた」とは明治の神川明彦監督。押し込む青葉台の勇者。
60分には明治に交替。期待も高い分、「今日は調子が悪かった。ガゼッタ・デロ・スポルトで言えば"3"くらい」と指揮官に厳しい言葉を送られた和泉と石原幸治(3年・市立船橋)をスイッチ。66分には日体に交替。長谷川を下げて、「どれだけいけるのかを試しながら今週ずっとやってきたので、時間限定で本調子ではない」と倉又監督も認める田中豪紀(4年・三菱養和SCユース)をスクランブル投入。お互いに切り合った攻撃的な手札。
それでもボールアプローチの速さと、「ボールを失った後に奪い返すという意味では、連動性で奪い返せている部分は凄く評価していい」と倉又監督も話した"攻守の切り替え"で上回る日体ペースは変わらず。68分には稲垣の素晴らしいインターセプトから獲得した右CKを阿部が入れると、CBの菊地俊介(4年・伊奈学園総合)がフリーでヘディングするも、叩き付け過ぎたボールはクロスバーの上へ。72分にも相手CKから、真骨頂とも言うべき"攻守の切り替え"で上回ったカウンター。阿部が左へ送り、北脇のフィニッシュは枠の右へ逸れていったものの、先制点への香りは確実に漂い始めます。
苦しい時間が続く明治も「山越、小出の2人は、水際の所でよくやってくれたなと思う」と神川監督も話したように、山越と小出悠太(1年・市立船橋)で組んだ1、2年生CBコンビは、ラインコントロールも巧みに相手のオフサイドを誘発させるなど、劣勢にも冷静な対応を続け、失点は許さず。79分には「9番(田中)も入ってきて、中央からも攻められる状態ができていた」(神川監督)流れの改善に、ボランチを工藤将太朗(2年・大宮アルディージャユース)から伊池翼(1年・横浜F・マリノスユース)にスイッチさせると、81分にはゴール前で細かく繋ぎ、差波の優しいラストパスをトーキック気味に狙った藤本のシュートは枠外も、久々のチャンスに沸き上がる紫紺の応援団。82分にも差波のスルーパスから矢島が抜け出し、ここはフィフティのボールにも果敢に飛び出した畠中がクリアしましたが、「好調を保っていたので使った伊池がゲームをこっちに揺り戻してくれた」と神川監督。勝敗の行方は混沌としたままで、ゲームはラスト5分とアディショナルタイムへ。
87分は日体。右サイドで相手のクサビを狙って奪った横野は縦に付け、田中が中へ折り返したボールを、北脇は完璧なターンでマーカーを置き去りにしてシュートを枠に飛ばすも、明治GK三浦龍輝(3年・FC東京U-18)は正面で確実にキャッチ。89分は明治。差波の右FKに、梅内が懸命に合わせたヘディングは畠中がファインセーブで阻み、こぼれを小出が押し込むも、判定はオフサイドでノーゴール。「最後はお互いにこの暑さの中でちょっとバテてしまった」(倉又監督)熱戦が迎えた最終局面。
90+1分、右からのクロスに対して、「相手の3番なんか素晴らしかったじゃないですか。アレだけクロスも跳ね返されて」(神川監督)「菊地が安定した力を出してくれているのを間近で見れていて、彼自身も色々な所を聞きながら吸収している所があるので、これから楽しみな選手」(倉又監督)と両指揮官が言及した広瀬が決死のクリアを披露して生まれた明治のCKは、一転して日体のカウンターに。左サイドへ展開したボールを田中が持ち運び、最後はファウルで倒されたかと思いきや、主審はホイッスルを吹かず、これには倉又監督も猛抗議。90+2分、矢島が高い位置でボールを奪い返し、最後は今日一番"効いていた"差波が枠へ飛ばしたミドルも畠中が何とかキャッチ。「前半明治、後半日体という構図」(神川監督)のゲームは決着付かず。お互いに勝ち点1ずつを等しく分け合う結果となりました。
明治は「後半は特に相手の方がすべてにおいて上回っていたなと思うが、ゼロに抑えた所は評価できるかな」と神川監督も話したように、前述した山越と小出を中心にした守備面ではいい所が随所に出ていたかなと。攻撃面に関してはなかなか連携で崩すようなシーンが生まれて来なかった中で、秀逸だったのはドイスボランチの一角に入った差波。セットプレーのキッカーとして精度の高いボールを蹴りつつ、攻撃の起点としても長短の好パスを随所に披露。タレントが揃った明治の中にあっても、その存在感は強く印象に残りました。
日体はやるべきことをしっかりやれるチームだなと。「攻撃している時にどうしても一瞬隙を見せたり、無駄なファウルをしたり、FKを与えたりする所がある。そういう所をもう少しこまめにちゃんとやっていかないと。もっと1人1人が考えて、チーム全体としても徹底していかなくてはいけないのなかと思います」と話す倉又監督の、"ディテール"を突き詰めるスタイルはこのチームへ確実に根付きつつある様子。指揮官が今後の母校をどう変えていくかにも注目していきたいと思います。         土屋

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