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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年07月28日

J2第26節 千葉×徳島@フクアリ

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tokushima0727.jpg"6"から"7"か、"4"から"5"か。お互いにクラブ史上"初"を懸けた一戦はフクアリです。
4戦未勝利から一転、20節からクラブ記録に並ぶ6連勝と一気にスパートを掛けた感のある千葉。特にここ3試合連続完封と、リーグで3番目に失点の少ない守備陣は抜群の安定感。この連勝がスタートした徳島を再び返り討ちにして、新記録を達成したいゲームになります。
一方、こちらは千葉、G大阪と上位相手に連敗を喫し、一時は15位まで順位を下げた徳島。とはいえ、1つ勝てば順位が2つや3つは平気で動く混戦模様の中で怒涛の4連勝を飾ると、一気に昇格プレーオフ圏内を視野に捉える7位まで浮上。こちらも2005年のJ2参入以降で見ると、5連勝となればクラブ新記録。「少しハードワークができるようになってきたのではないか」と小林伸二監督も手応えを掴みつつある今、アウェイとはいえ、このゲームは勝ち点3を全力で奪いに行く90分間です。新たな歴史の扉を開くべく、ピッチへ勇猛に現れた両イレブン。真夏のレコードマッチは千葉のキックオフで幕を開けました。
先制攻撃は徳島。柴崎晃誠が裏へフィードを落とし、走った津田知宏は中央へ折り返すと、こぼれに食い付いた濱田武はシュートこそ打ち切れなかったものの、その時間はわずかに開始28秒。連勝中の勢いをアウェイの地でもしっかり打ち出して、ゲームへと入ります。
逆に「立ち上がりは相手のプレッシャーが強くてボールを動かすのに手間取った」(鈴木監督)千葉は、3分に伊藤大介の左CKを、ケンペスがゴール右へ外したヘディングでのファーストシュート以降は、なかなかフィニッシュまで持ち込めない状態に。11分に佐藤健太郎が中盤で鋭いパスカットを見せ、当てたクサビを大塚翔平は反転ミドルに持ち込むも、ボールは枠の左へ。徐々に膠着していくゲーム。
お互いに探り合うような時間の中、目立ったのは「連勝しているというのもあるが、自信を持ってやっている」とCB起用も板に付きつつある青山隼も認めた徳島のポゼッション。以前はどうしてもボールを繋ぎ切れずに蹴ってしまうことが多く、前でも収まらないために再び攻撃を受けるようなシーンが多かった印象でしたが、このゲームでは最終ラインでのボール回しはもちろん、中盤のラインで詰まった時にも無理せずに後ろへ一旦戻して創り直すシーンが頻発。「むやみに蹴らずに繋げるところは繋いで、ちゃんと敵と敵の間にポジションを取って、ポゼッションしようということを掲げてやっている」という青山の言葉にも頷けるような、共通理解に基づいたポゼッションには、少し驚かされました。
15分は徳島。柴崎、橋内優也と繋ぎ、キム・ジョンミンがミスパスをすぐさまリカバリーしたミドルは枠の上へ。27分も徳島。左サイドでSBに入った藤原広太朗が縦に付けると、大﨑淳矢は無回転気味のミドルを枠内へ。31分も徳島。藤原、濱田、柴崎と綺麗にパスが回り、宮崎光平がチャレンジしたスルーパスはわずかに津田まで届きませんでしたが、「1人1人ポジショニングが良くなってきた」(青山)徳島に増える手数。ただ、エリア内でのスリリングなチャンスまでは創出できません。
流れを変えたのはやはり11番の右SB。34分、伊藤のボールを引き出した谷澤は、丁寧に右へスルーパス。全力で走り込んでいた米倉恒貴はDFともつれながらスライディングでシュートを放つと、コースを狭めた徳島のGK松井謙弥の体にブロックされたものの、千葉のスイッチとも言うべき右SBのビッグチャンスが一気に引き寄せたゲームリズム。
「前半30分以降に苦しい場面があった」と小林監督も言及したホームチームのラッシュ。35分も千葉。ケンペスのポストを谷澤はボレーで左へ。高橋峻希が右足で上げたクロスを、ケンペスが頭で叩くもゴール右へ。39分も千葉。伊藤が縦にクサビを入れると、バイタルで受けたケンペスは素早い反転から左足ミドルを枠の上へ。40分も千葉。ここも伊藤が縦へのベクトルでパスを突き刺し、谷澤が落としたボールをケンペスが強烈に枠内へ収めたミドルは松井が何とかキャッチ。
42分も千葉。ケンペスのミドルで獲得したCK。左から伊藤が蹴ったボールに、キム・ヒョヌンが合わせたヘディングはヒットせず。44分も千葉。左のハイサイドに潜ったのは、珍しく前まで飛び出してきていた佐藤健太郎。戻したボールを谷澤が狙ったミドルはクロスバーの上へ消えたとはいえ、「前半の残り10分はやっぱりサイドからのクロスとか、チャンスを創られた部分もあった」と青山も話したように、かなり千葉が押し込んだ中でも結局スコアは動かず。0-0でハーフタイムを迎えました。
後半はスタートから再び徳島に好リズム。46分、左サイドから柴崎が蹴ったCKを福元洋平はヘディングで枠に収め、千葉GK岡本昌弘にキャッチされたものの、4分後にもチャンス。チーム一のユーティリティさで、この日は左SBを確実に務めていた藤原が裏へ落とすと、追い付いた津田のランニングボレーはクロスバーを超えるも悪くないチャンス。すると、56分に訪れた決定機。
大﨑の左クロスを大外で拾った津田は再び中へ。DFのクリアボールを大﨑が頭で繋ぐと、キム・ジョンミンのヘディングはわずかに枠の左へ。左右に揺さぶっての決定的なチャンスを外したキム・ジョンミンはここで交替。ドウグラスがそのまま最前線へ投入されます。
「チャンスがあったらプレッシャーに行ってボールを奪ったりとか、まずは守備から入れと監督に言われた」ブラジル人ストライカーの献身。61分、キム・ヒョヌンは深い位置でトラップを浮かすと、そこに襲い掛かったのは「トラップした瞬間にミスしたと気付いた」ドウグラス。ボールを奪ってすぐに対峙したのは岡本でしたが、「ちょうど淳矢が隣にいたので」無理せず左へラストパス。無人のゴールへ大﨑が流し込んだゴールは、貴重な貴重な先制点。ドウグラスの"守備"がもたらした一発で、徳島がリードを手にしました。
「ボールも動き、間にボールも入っていたのにミスから失点してしまった」(鈴木監督)千葉。指揮官も67分に1人目の交替。「チーム全体の問題として、最後のパスを出せていなかった」という判断から、谷澤を下げて兵働昭弘を送り込み、フィニッシュワークへと直結するプレーの増加を求めます。
ところがその交替から2分と経たない内に、歓喜の瞬間を享受したのはまたも徳島。69分、最終ラインでボールを持った福元はシンプルに裏へ。「福元が一発出してくると感じた」ドウグラスは、フリーランニングで最終ラインをブレイクすると独走。そして選択したのは、懸命にゴールへ戻ったGKを嘲笑うかのようなパーフェクトループ。「千葉はDFラインの裏には少しルーズな所がある」(小林監督)というスカウティング通りの形から生まれた追加点。一層強まった雨で霞む徳島のスコアボードに、"2"の数字が踊りました。
73分に兵働が蹴った右CKから、フリーで狙ったケンペスのヘディングも枠を越え、76分にここも右サイドを運んだケンペスのシュートが枠の右へ逸れるなど、追い付けないホームチーム。77分には田中佑昌とナム・スンウを入れ替え、何とか攻撃の手を強めたい流れの中で、浴びせられたさらなる追い討ち。最終ラインでのパス交換に突っかけた大﨑はボール奪取。たまらず手を掛け、大﨑を倒したキム・ヒョヌンに塚田健太主審が提示したカードの色は赤。一発退場。千葉はビハインドに加えて、数的不利まで被ることになります。
残していた最後の交替カードも必然的にCBの竹内彬ということになり、いよいよ追い込まれた千葉でしたが、懸命にボルテージを上げたスタンドに、10人の選手が呼応したのは時間切れ間近の88分。兵働が左へ送ると、高橋は右足でクロス。2人のDFが絡んだクリアは小さく、拾った兵働のシュートはDFに当たるとGKの頭上を破ります。天候と同じく風雲急を告げるゲーム終盤。アディショナルタイムは3分。
90+1分は千葉。兵働の左CKは、ニアへ飛び込んだナム・スンウが薄く当てるも、ボールは枠の左へ。90+2分も千葉。ケンペスのシュートから獲得した左CK。伊藤が入れたいいボールは、ニアでナム・スンウがフリックするもそのままゴールキックへ。徳島は3枚目のカードとして津田と佐々木一輝をスイッチさせ、ゲームクローズに着手したものの、直後にドウグラスがアウトプレーになった瞬間にボールを蹴ってしまうという、2回ともまったく同じ性質のイエローカードを提示されて退場処分に。10人対10人。数的均衡は取り戻され、最後の最後で試合は大きく動きます。
一気に伸びたアディショナルタイム。千葉の勢いとスタジアムの雰囲気から、同点への予感が充満するピッチ。90+6分、左サイドで獲得した千葉のCK。伊藤が最大限の集中力で蹴り込んだボールは、徳島が何とか掻き出すと塚田主審のタイムアップを告げるホイッスル。「上位で6連勝中のチームに勝てたというのは少し自信を持てると思う」と小林監督。徳島がクラブ新記録の5連勝を達成し、アウェイから勝ち点3を持ち帰る結果となりました。
連勝が6で止まった千葉。「0-2で相手が1人少なくなってから、やっと前掛かりになるような所があった。そこは非常に残念」と鈴木監督も話したように、リズムの良かった前半終盤の攻勢にもかかわらず、後半はエンジンの掛かり具合がちょっと遅過ぎた印象です。とはいえ、2つの失点はイージーミスとラインコントロールミスと原因もハッキリ。次戦に向けてはメンタルの回復が大きく鍵を握ってくるのは間違いありません。
さて、「チームとして、個人ではなくグループとしての狙いが少しできてきたような気がする」と小林監督が振り返った徳島は、終盤こそ1失点後は途端にバタバタし出したものの、アウェイで難敵相手に勝ち点3奪取という大きな成果を獲得。今シーズン1度もなかった、"3位以上の相手からの勝利"は、今後の上位対決を考えても大きな自信になったのではないでしょうか。特に大きな成長を遂げたチームでのポゼッションを問われると、「ちょっとずつですけど成熟してきているのかなと思う」と青山。ここに来て着実に右肩上がりの成長曲線を描きつつあるチームはこれで6位へ浮上。いよいよ昇格レースへの再参加に、徳島が堂々と名乗りを上げました。        土屋

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