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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年07月08日

J2第23節 千葉×G大阪@フクアリ

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fukuari0708.jpgオリジナル10の両者が初めてJ2で激突する今シーズン。セカンドバトルの舞台はフクアリです。
4試合未勝利、4連勝、4試合未勝利を繰り返し、現在は3連勝中と、5位という順位以上に好不調の波が激しい印象のある千葉。優勝という目標のためには「これ以上離されたら終わり」(山口智)という状況を打破するためにも、この首位をホームに迎える「本当に大事な試合」(米倉恒貴)で求められるのは、今季2度目の4連勝を意味する勝ち点3のみです。
ここまで13ゴールのレアンドロと家長昭博の退団に加え、チーム2位の7ゴールを挙げている倉田秋も負傷で長期離脱を強いられるなど、ここに来て少し不安要素も垣間見えるのは首位G大阪。とはいえ、前節は岐阜相手にJ2新記録となる8ゴールを奪って大勝。さらに、最終ラインにはようやく岩下敬輔も復帰しており、長谷川健太監督は2試合続けて今野泰幸と遠藤保仁の代表コンビをドイスボランチに起用してきました。ナイトゲームにもかかわらず、気温は28.4度とかなりの高さ。初夏の大一番はG大阪のキックオフで幕が上がりました。
「立ち上がりはあまりよくないかなと思った」と鈴木淳監督が話したように、ボールを握りながら先に攻勢を仕掛けたのはG大阪。7分には今野が左へ振り分け、上がってきたSBの藤春廣輝を経由してパウリーニョが中へ入れると、平井将生がニアで合わせたシュートは枠の左へ。11分にも遠藤の短いパスから、パウリーニョが強烈なミドルを枠内に収めるも、ボールはクロスバーにハードヒット。目の前のゴール強襲が続き、黄色のサポーターも肝を冷やします。ただ、その1分後に沸騰したサポーターも黄色。
12分、3試合続けてのスタメン起用となったCBキム・ヒョヌンが鋭いクサビを縦へ。田中佑昌が落とすと、古巣対決となる大塚翔平は絶妙のスルーパスを右へ。ここに駆け上がったのは「チャンスがあったら前に出て行こうと思っていた」SBの米倉。1対1の場面にも、"元FW"はGKをあざ笑うかのような完璧なループで、ボールをゴールネットへ送り届けます。「ああいう飛び出しは十分警戒していたが、ゴールが非常にうまかった」と敵将の長谷川監督も認めた米倉の先制弾。千葉が先手を奪いました。
「勢いに乗った」(鈴木監督)ホームチームが繰り出す手数。17分のG大阪が遠藤と今野のパス交換から、加地亮のクロスをニアで阿部浩之が当て損なうと、20分にも千葉に決定的なチャンス。ケンペスが左へ送り、谷澤達也が思い切って狙ったミドルは右ポストを直撃。詰めた田中のシュートは藤春のブロックに遭いますが、ハッキリと見えた2点目への道筋。
照らされた道筋をミドルで切り開いたのは、「知っている選手も多かったが、首位にいるチーム相手で重要なゲームなので切り替えて入った」と語る14番。23分、左サイドをSBの高橋峻希が粘って粘って縦へ運び、中へ短く送り出すと、大塚はまったく躊躇することなくミドルにチャレンジ。ボールはGKを打ち破り、G大阪サポーターの目の前にあるゴールネットへ突き刺さります。「特別な意識はあった」と話す、ジュニアユースからトップまで青黒で育った男の痛烈な一撃。早くも千葉が2点のリードを手にしました。
さて、基本的にはボールを支配しながら、いつもよりはイージーなパスミスや呼吸のズレも少なくなく、ややフラストレーションの溜まる戦いを強いられたG大阪。「ラインが空いてくると間で受けるのはうまい」(山口智)相手に、千葉はその山口智を中心に高いラインをキープしつつ、最後は中央をしっかり固める守り方を徹底。その結果、G大阪も裏へと勝負させるボールが多くなりましたが、その精度の低さと千葉の入念なケアにチャンスを創り切れません。
32分には平井のパスから、パウリーニョが放ったシュートは山口智が体でブロック。38分にも遠藤を起点に、二川孝広の正確なクロスが上がり、中央で阿部が振ったボレーはわずかに枠の右へ。41分にも今野のパスから、パウリーニョのミドルはゴール左へ。さらに45分にはビッグチャンス。二川が縦へシンプルに入れると、反転して収めた阿部のシュートは、千葉GK岡本昌弘がファインセーブで阻止。「ウチの選手も割り切ってやっていた部分は凄くあった」と山口智も話した千葉が、相手にボールを握られながらも、2点のアドバンテージを持って前半の45分間を終了させました。
後半もG大阪がポゼッションから"穴"を窺いつつ、千葉が隙を突いてカウンターを窺う展開に。52分にはロングフィードを山口智がクリアミス。拾ったパウリーニョがシュートを打つ寸前で、山口智が自ら責任を取るタックルで回避。55分にも高い位置でルーズボールを拾ったパウリーニョのミドルは、岡本がしっかりキャッチ。57分にもパウリーニョがミドルを放つと、ここも岡本がキャッチ。パウリーニョ3連発にも焦りの色が。
またも飛び出した古巣相手への恩返し弾。58分、左サイドで獲得したFK。スポットに立った伊藤大介が「アクションを起こしたら、いいボールを蹴る」と話していた相手は山口智。「タイミングとお互いの意思があった」ボールに、ニアで完璧なヘディングで応えた35歳の大きな3点目。「見る人が変な先入観が入っていて、いつもと同じプレーをしていてもそういう見られ方をするのかなと。今日だから気合が入っている訳ではない」と平然と語ったベテランの貴重な追加点で、さらに点差が広がりました。
「3点を引っ繰り返すのはかなり難しい」(遠藤)「3点目が取れれば終わると思っていた」(山口)という分岐点の3点目を経て、長谷川監督は59分に2枚替え。阿部と二川の両SHを下げて、川西翔太と大森晃太郎を投入。前線に平井と川西を並べ、SHは右にパウリーニョを、左に大森を配し、「何とか1点を」(長谷川監督)というファイティングポーズを取り直します。
それでもセットプレー以外ではチャンスらしいチャンスを創れないと見るや、72分に指揮官が切った最後のカードは平井とのスイッチで内田達也。その内田がボランチへ入り、「非常に得点力があるし、クロスが入っても中で合わせられる選手がなかなかいなかったので」今野を最前線へとスライドさせる意外な采配を揮います。
76分はG大阪。直接狙える距離のFKを遠藤が小さく蹴り出し、大森が狙ったミドルは大きくクロスバーの上へ。77分もG大阪。加地のオーバーラップから掴んだCKも、キッカーのパウリーニョと岩下の呼吸が合わずにゴールキックへ。ケンペスとナム・スンウの交替を挟み、80分もG大阪。加地のパスをバイタルでうまく引き出した今野が、枠内へきっちり飛ばしたミドルは岡本がファインセーブ。3点差は変わりません。
85分に積極的な攻守を見せ続けた高橋を下げて、大岩一貴をそのまま左SBへ投入し、90分には伊藤を下げて、佐藤勇人をそのままボランチへ投入して、ゲームをクローズに掛かった鈴木監督。90+4分、遠藤が中央やや左、ゴールまで約30mの距離からFKをクロスバーの上に打ち上げると、吹き鳴らされた廣瀬格主審のホイッスル。「今日は非常に良い形で勝つことができた」と鈴木監督も評価した千葉が、首位相手に快勝を収める結果となりました。
「今日の試合に関しては負けを認めるしかない」と長谷川監督も言及した通り、G大阪は完敗と言っていい結果と内容だったと思います。ボールは大半の時間で支配しながら、このゲームはエリア付近でのアイデアがパウリーニョと二川の"個"頼みになっていた感は否めず。今後、守備の強いチームと対峙した際の得点力に一抹の不安を感じさせるようなゲームになってしまいました。
「ガンバのポゼッションの巧みさに、ボールを持たれている時間が長かった」(鈴木監督)「ほとんど守っている感じはあった」(山口智)と2人が声を揃えたように、なかなか攻撃の時間を創れない中でも、しっかり3ゴールを奪って勝ち切った千葉。「ガンバを0で抑えたというのは、チーム全体にとっても自信になる」と山口智が振り返った通り、おそらく一番の収穫は8試合ぶりの無失点を首位相手に達成できたという部分。また、大塚が1ゴール1アシストという結果以上に「ガンバで教わったプレーの1つでもあるし、自分の得意なプレー」と語る、"間"で受けて捌いてという部分の強みを見せられたことも、小さくないポイントだったと思います。「まだ優勝を諦めている訳ではない」と山口智。遅れてきた昇格候補が、ジワジワと上位への追撃態勢を整えつつあるかもしれません。    土屋

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