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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年07月08日

プリンス関東2部第8節 千葉U-18×國學院久我山@ユナパ

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unpa0707.jpgかたや群馬への切符を勝ち取ったクラブユース勢。かたや福岡への切符を勝ち取った高体連勢。お互いに晴れ舞台を1ヵ月後に控えたチーム同士の激突です。
FC東京U-18、鹿島アントラーズユース、ヴァンフォーレ甲府U-18と強豪ひしめくグループを見事に2位で通過し、副島博志監督体制1年目ながら、関東全体の8位でクラ選全国出場権を獲得したジェフユナイテッド千葉U-18。「今は全国を決定したことで達成感があって、フワッとしたチームの状況」と話すのは副島監督ですが、現在プリンスでも好位置の3位に付けており、先週の大敗を払拭する意味でも大事なホームゲームを迎えます。
対するは準々決勝からの登場となったインターハイ予選で、駒澤大学高と当たった初戦を1-0で何とかモノにすると、準決勝では昨年の選手権準決勝で敗れた修徳相手に、やはり終盤の決勝ゴールで1-0と競り勝ち、全国大会出場を決めた國學院久我山。現在首位に立っているプリンスは、チームも選手権と並ぶプライオリティで臨んでおり、さらに順位表の一番上を快走するためにも直接のライバルは叩いておきたい所です。会場はユナイテッドパーク。梅雨も明け、30度を越える暑さの中、まだ陽も低くない16時にゲームはキックオフされました。
早々に動いた試合。スコアボードの数字が変わったのは6分。右SBの齋藤拓海(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が小さく戻したボールを、開いていた和田凌(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がピンポイントクロス。このボールをニアに入った新堀真也(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がヘディングで叩くと、確実にゴールネットを揺らします。ここ2試合を振り返り、「立ち上がりが良くなく、そこで失点をして負けというパターンが続いていたので、立ち上がりはとにかくしっかり入っていこうと話していた」と副島監督が触れた、"立ち上がり"での先制弾。千葉が1点のアドバンテージを握ります。
畳み掛けたホームチーム。右サイドで獲得したFKは12分。今日は左SBでスタートした浦田樹(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が鋭く低いボールを蹴り込むと、ルーズボールをいち早く拾った御船翔太(2年・三井千葉SC)は間髪入れずにフィニッシュ。至近距離からのシュートにGKは成す術なし。「ここ2試合の大きな課題の克服を、今日はうまく達成できた」と副島監督も笑顔。CFの力強い一撃で、千葉が早くも2点のリードを手にしました。
以降もペースは千葉。1.5列目の和田も比較的外へ流れながら、右SHの新堀や左SHの仲村京雅(2年・ヴィヴァイオ船橋)とうまく絡みつつ、サイドを効果的に攻略。ボールを持たれることが予想された中で、しっかりパスを回しながらも、勝負所では守から攻への素早い切り替えからカウンターを発動させるなど、ゲームリズムを掌握。16分には仲村がミドルを狙い、24分には浦田のFKとCKが久我山ゴール前を脅かすなど、自分たちの時間を創ります。
一方の久我山は持ち味のショートパスやショートドリブルが鳴りを潜め、なかなか攻撃の形を創るまでにも至らない状態。「頭がボーッとしていて、集中力もないし、体も動かない。ウチの悪い所がすべて出た」と李済華監督も苦戦を認めたように、ポゼッションもままならないような苦境に立たされ、30分にはアンカーの平野佑一(3年・東京ヴェルディJY)がフィードを裏へ落とし、富樫佑太(3年・ジェファFC)が中央へ戻すと、キャプテンの渡辺夏彦(3年・FCトリプレッタ)はエリア内でボールを受けたものの、フィニッシュまでは繋げられず。1本のシュートも打てないままに、ジリジリした時間が経過します。
次の歓喜も黄色と緑。34分、和田のポストプレーを基点に左へ展開したボールを、浦田は素早く縦へ。ここに入っていた和田が絶妙のタイミングでクロスを上げると、しっかり飛び込んでいたのは13番のCF。シュートはやや当たり損ねましたが、GKのタイミングが外れたボールは、コロコロとゴールへ吸い込まれます。「主力になりつつある。まだ"つつ"ですけどね」と副島監督も期待を寄せる御船のドッピエッタ。点差は3点に広がりました。
40分にはキャプテンの鳥海晃司(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が体調不良で、奥野滉平(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)と交替するアクシデントこそありましたが、42分には齋藤のクロスから御船があわやハットトリックというシュートも。44分には久我山も渡辺が富樫のリターンを引き出し、GKを粘り強くかわして無人のゴールへ蹴り込むと、ここは懸命に戻った千葉のCB秋山翔(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)がスーパークリア。「11人全員を替えたいくらい悪過ぎた」と珍しく李監督も厳しい言葉を紡いだ通り、パーフェクトに近いパフォーマンスを披露した千葉が、大きなリードを手にしてハーフタイムへ入りました。
後半もファーストシュートは千葉。キックオフから1分も経たない46分、浦田のパスを受けた和田は得意のゴリゴリドリブルから強引にシュート。ボールはDFに当たってゴール左へ逸れたものの、4点目の意欲もしっかり打ち出すと、直後のCKも浦田がファーへ送ったボールを竹之内勇人(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が高い打点で折り返し、シュートまでは行けないまでも、トレーニングの成果と思われるセットプレーでさらなる追加点を窺います。
李監督は52分に1人目の交替を決断。CBの花房稔(2年・横河武蔵野FC JY)を下げて、同じポジションに木村快(2年・インテリオールFC)を投入すると、直後の53分にはその木村が相手ディフェンスラインの裏へ高精度フィード。富樫はやや持ち過ぎてシュートチャンスを逸しましたが、いきなり木村が攻撃で貢献。54分には小田寛貴(3年・ジェファFC)が左へ送り、松村遼(3年・久我山中)が中へ切れ込みながら富樫へ託すと、左足シュートは枠の左へ外れるも、帰ってきた久我山のリズム。
続くのは交替選手がきっちり果たす攻撃の活性化。56分、平野が縦に入れ、渡辺は巧みな身のこなしからスルーパス。1分前に投入されたばかりの萩原優一(3年・横河武蔵野FC JY)が迎えた1対1は、千葉GK岩渕航平(2年・FCラルクヴェール千葉)がワンハンドでのビッグセーブで阻止しますが、木村に続いて指揮官も「12番目の選手というより、11番目に含まれてもいい選手」と評価した、全国決定弾男の萩原もチャンスにしっかり顔を出します。
逆に「暑さに慣れていないので、完全に足が止まってしまった」(副島監督)千葉は、前への推進力が一気に減退。58分からの3分間に3回を集めた浦田のCKも、中とはまったく合わず。63分には1枚目の交替カードとして、竹之内を鈴木慶太(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)に入れ替えるという、CB同士の交替を選択。3点の大きなアドバンテージを背に、乗り切りたい残り30分近く。
65分は久我山。左サイドのシュートコーナーから、加藤寿弥(3年・FC東京U-15深川)を経由して渡辺がカットインしながら放ったシュートは、鈴木が体でブロック。66分も久我山。平野が蹴った左CKは、DFのクリアボールが内藤健太(2年・Forza'02)に当たって枠内へ。浦田が必死に頭で搔き出しましたが、続けて右から蹴った平野のCKに、今度はしっかり意図した内藤が頭で合わせたシュートは岩渕がキャッチ。押し込まれる千葉も守備の集中は続きます。
この時間帯に目立ってきたのは、渡辺と萩原の久我山2シャドー。「あの2人にはマークが付きづらいし、ギャップを使われてディフェンスの背後へ入られた」と副島監督も話したように、2人がうまくギャップに潜ってボールを引き出し、ワンタッチで前を向いてバイタル侵入というシーンが多く見られ、70分にも松村のパスをいい位置で受けた萩原が繋ぎ、平野の高速スルーパスで抜け出しかけたのは富樫。エリア内での接触で倒れるも、主審は笛を吹かずにPKとはいきませんでしたが、この日指折りのいい流れからフィニッシュ目前まで迫ってみせます。
72分には富樫の際どい判定に抗議した李監督が退席処分を命じられましたが、衰えない久我山の反発力。77分には千葉も新堀のクロスを御船がシュートまで持ち込むも、ボールはクロスバーの上へ。直後、「足が止まった選手から替えていった」という副島監督は、シュートに絡んだ新堀と御船をそれぞれ宮崎巧(1年・ジェフユナイテッド千葉U-15)とバリガ外山ジロ(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)にスイッチ。78分には早速宮崎がわずかに枠の右へ外れるシュートを放ったものの、3点のリードは変わりません。
79分、加藤、渡辺、加藤、富樫とテンポ良くパスが回り、途中出場の小林和樹(1年・ジェファFC)がシュートを枠内へ飛ばし、岩渕にキャッチされたプレーが残り10分への決意表明。82分には内藤のクサビから渡辺がうまいターンで前を向き、小林が繋ぐと富樫のシュートは枠の右へ外れるも、点差とは関係なく完全に掴んだ流れ。
執念の追撃弾は86分。7分前に松村に替わって投入されていた相馬哲平(3年・Az'86 tokyo-ome)が左サイドを切り裂いて中央へ。渡辺の高速ラストパスをダイレクトで打ち切った富樫のシュートは、綺麗な弧を描いてゴール右スミへ突き刺さります。2点に縮まった点差以上に、一変したピッチの雰囲気。89分には加藤のドリブルから、萩原がわずかに枠の上へ外れるミドル。押し込まれる千葉にとっては、「ある意味時間との戦い」(副島監督)に。
90+2分、次のゴールもアウェイチーム。SBの鴻巣良真(2年・ジェファFC)も絡みながら右サイドをしっかり崩し、富樫が短く出したラストパス。全力で走り込んだ渡辺の強烈なシュートは、GKの手を弾いてゴールネットへ収まります。そのボール回収へ3人が走った久我山。3-2。1点差。残された3分近いアディショナルタイムの行方は一気に不透明に。
攻める久我山に、守る千葉。相手と時間との戦いに、何とか勝利したのは後者。久我山も今年のチームらしい粘りを最後まで見せましたが、「交替枠が5つじゃ足りないくらい」と副島監督も苦笑しながら話した千葉が、何とか前半のリードを守り切った格好で勝ち点3を獲得する結果となりました。
久我山は前半の低調なパフォーマンスが最後まで響いた形になったものの、後半の一方的に押し込んだ展開と終盤の2ゴールは決して小さくない収穫のはず。「人生に色々あるのと一緒で、サッカーにも色々あると捉えればと思う」とは李監督。1点届かなかったこのゲームも、例年の久我山らしくない"執念"を最後の1秒まで見られたという所に、個人的にはポジティブな要素を見た気がしました。
千葉は前半だけ見れば、立ち上がりで2点を先制した上に、「相手の出てきたスペースは有効なので、狙っていたショートカウンター」(副島監督)で追加点を挙げるなど、文句の付けようのない試合。後半は一気に運動量が落ちたものの、勝ち切ったあたりにここ2試合からの変化を窺うことができます。昨年までザスパ草津(現・サズパクサツ群馬)を率いていた指揮官は、群馬で行われるクラ選に向けて「あの暑さを知っているだけに、これぐらいの暑さで動かないようじゃ話にならない」と経験を踏まえた発言も。対策としては「夏休みに入るので、少しでも太陽の下で体を陽に当てさせます」とのこと。選手たちは覚悟しておいた方が良さそうです。      土屋

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