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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年07月26日

クラ選1次ラウンドEグループ 浦和ユース×鳥取U-18@敷島補助

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shikishima0726.jpg昨年度の大会でも1次ラウンドで激突した両者のリターンマッチ。舞台は昨年の酷暑から一転、気温28度の敷島補助です。
高円宮杯プレミアからの陥落を経て、今シーズンはプリンス関東1部を戦っている浦和ユース。黒星先行の8位という、なかなか結果が付いてこないリーグ戦の現状を打ち破るべく、昨年もベスト8まで進出した夏の激戦を糧に、今後への巻き返しを図りたい大事なコンペティションに挑みます。
対するは中国地域予選でファジアーノ岡山U-18を1対0で撃破し、2年連続の全国出場となった鳥取U-18。昨日は愛媛ユースに敗れたものの、前述したように昨年もこのステージで対峙した浦和との再戦に、「去年レッズさんとさせてもらって、そこからどのくらい成長しているかなというのは楽しみにしていた」と畑野伸和監督。4-0という1年前のスコアと内容をどれだけ縮められるかが、ある意味ではこの大会の最重要課題です。雨もすっかり上がり、観戦する側も凌ぎやすい気候の敷島補助。浦和のキックオフで80分間の戦いは幕を開けました。
序盤からボールを握ったのは浦和。中盤アンカーの齋藤翔太(2年・浦和レッズJY)と、その前に位置する小川紘生(2年・1FC川越水上公園)、松﨑洸星(2年・浦和レッズJY)という2年生中盤トリオを中心に左右へ揺さぶり、穴を窺うような展開を醸成。12分には前線で関根貴大(3年・浦和レッズJY)がスルーパスを狙い、キャプテンの進昂平(3年・浦和レッズJY)がGKと対峙した1対1は枠の左へ外れましたが、まずは惜しいチャンスを掴みます。
とはいえ、最初の20分間で浦和が放ったシュートはこの1本と、17分に右からカットインしながら関根の放ったシュートがDFにブロックされた2本のみ。「去年とかは結構"ユニフォーム"に負けていたんですけど、今年はそんなでもなかった」と畑野監督も話したように、鳥取は押し込まれる中でもCBの津森大生(2年・ガイナーレ鳥取U-15)を中心に凌ぎながら、簡単にクリアするようなことはせず、きっちりと繋ぐ意識を最終ラインから表現。チャンスこそ創り切れないものの、ある程度は自分たちのやろうとするスタイルを打ち出します。
24分にはその鳥取にチャンス。中盤センターの礒江太勢(1年・FCカミノ)が右へ展開し、上がってきたSBの坂井秀(2年・レスポール浜田FC)が下げたボールを石輪聖人(2年・ガイナーレ鳥取U-15)はクロス。中央に入っていたキャプテンの西村洸佑(3年・ガイナーレ鳥取U-15)はわずかに触れなかったものの、ようやく狙い通りの形から創出した"あわや"。
また、どうしても触れる必要があるのは、畑野監督も「やっと身長が止まったので、動きも少しずつスムーズになってきた」と言及した、かのピーター・クラウチをも超える203センチの"超"長身FW畑中槙人(2年・サルパFC)の存在。「全国は強い相手とできるので自分の幅が広がる。相手の方がやっぱりうまいので、そこを改善して超えるようにというようなプレーがどんどん出てきて楽しい」と語った畑中は、頭というよりも自ら得意と語る"胸"でのポストプレーで何度かいい基点を創るなど、独特の存在感を放ってみせます。
ただ、おそらく鳥取の選手にもスコアレスでの前半終了がよぎり始めた35分、牙を剥いて襲い掛かった浦和のアタック。齋藤翔太のパスを受けた松﨑は、右サイドの裏へ絶妙のループスルーパス。抜け出した進のボレーは激しくゴールネットへ突き刺さります。さらに2分後の37分、左から小川が上げたクロスは少しファーへ流れましたが、拾った進が後方へ落とすと、関根のミドルもゴールネットへ一直線。「最後は1対1で剥がされてからの"漏れ"」と畑野監督も言及した立て続けの2失点。
39分には鳥取も影山真大(2年・サンフレッチェくにびきFC)の繋ぎから、畑中がチームファーストシュートとなるミドルを放つも、DFに当たったボールは枠の左へ。直後のCKから礒江が入れたボールのこぼれに、柏木悠弥(2年・ガイナーレ鳥取U-15)が合わせたボレーもわずかにゴール右へ。終盤の5分間で離れた点差。浦和が2点のリードを手に入れ、最初の40分は終了しました。
ハーフタイムで動いた両ベンチ。浦和は松﨑と荒木聡太(2年・浦和レッズJY)を下げて、須藤岳晟(3年・浦和レッズJY)と広瀬陸斗(3年・浦和レッズJY)を送り込む2枚替え。鳥取は柏木に替えて木谷将(2年・ガイナーレ鳥取U-15)をボランチへ投入し、礒江をSHにスライドさせます。
すぐさま動いたスコア。動かしたのは赤い悪魔。42分、関根が右へ振り分けると、SBの橋岡和樹(2年・浦和レッズJY)のクロスはゴール前にこぼれ、嗅覚で進がプッシュして3点目。46分、右から小川が蹴ったCKに、中央で完全フリーとなった広瀬がヘディングを叩き込んで4点目。「1人1人の個の質の違いはデカいなと感じた」と畑野監督。一気に浦和が突き放しました。
50分には坂井と香河優太(1年・SC鳥取プエデU-15)を入れ替え、最終ラインにも変化を加えた鳥取を尻目に、続く浦和の猛攻。50分、広瀬が1人で運び、関根が打ち切ったフィニッシュは鳥取GK宇山卓見(2年・ガイナーレ鳥取U-15)がファインセーブで応酬。51分、関根の左CKから進が狙ったヘディングは枠の右へ。52分、小川が1人で突破を図り、そのまま枠へ飛ばしたシュートは、ここも宇山がファインセーブ。56分にも広瀬の絶妙スルーパスを受け、関根の独走シュートは惜しくも右ポストを直撃。耐えるグリーンの若武者たち。
「みんながワンツーとかの連携で抜け出す所はチャンスも創れていた」(畑中)鳥取の後半ファーストチャンスは57分。左サイドでいい繋ぎを披露すると、最後は影山がミドル。ボールは枠の右へ外れたものの、久々に訪れたチャンスに少し活気を取り戻します。
それでも容赦のない浦和の猛攻再び。66分、右からのショートコーナーで3分前に投入された安東輝(3年・JrユースSC与野)がクロスを放り込み、DFのクリアを自ら拾った安東は中央をドリブルでぶち抜き、右スミへ流し込む5点目。72分、高い位置で相手ボールを安東が引っ掛け、こちらも途中出場の邦本宜裕(1年・FC NEO JY)が絶妙スルーパス。安東は冷静にGKとの1対1を制して6点目。77分、橋岡のパスから安東は好クロスをファーへ。受けた広瀬は右へ流れながら力強くゴールネットに押し込む7点目。広がるスコア。
悔しい大量失点にも「本当に負けたくないという気持ちが強い」と指揮官も評した津森を中心に、下ろさなかったファイティングポーズ。80+2分、鳥取に訪れた最初で最後の決定機。中津孝亮(2年・ガイナーレ鳥取U-15)が左へ回し、SHへ移っていた西村はファーサイドへ高精度クロス。走り込んだ門脇彪夏(2年・ガイナーレ鳥取U-15)のヘディングはヒットし、悲鳴とも歓声ともつかない声が応援席から上がったシーンの帰結は、惜しくも枠の右へ外れたボール。終わってみれば浦和が危なげなく、大差で鳥取を退ける結果となりました。
鳥取は不思議なチームでした。大量失点に気持ちが折れてもおかしくない中でも、前述した通りに津森と三浦敬太郎(2年・シーガル広島JY)のCBを中心にして最後まで集中を切らさず守備に向き合い続けたり、ともすれば"異質"にもなり得る畑中がしっかり組織の一員として機能していたり、何か"チーム"を感じる集団だったんです。その不思議さも、「あまりシステマチックにはしてないので、彼らの判断を尊重しながらやっています。こっちの型にハメれば簡単ですし、そこのバランスが難しいんですけど、そこだけは注意している点です」という畑野監督の言葉を聞けば納得。彼が認めている"尊重"が、いい意味で一体感を生み出しているのだなと理解できました。
チームのことを生き生きと話す畑野監督に、「率直に全国大会は楽しいですか?」と聞くと、「メッチャ楽しいです」と即答。続けて「昨日も1-4で負けていて悔しいなと思うけど、実際は問題がないと成長は絶対ないし、もちろん日本一を目指しているんですけど、そこが目的かというとそうではないので、これを通じて彼らがどう感じるかが一番大事だし、もっと言うと僕がどうするかが大事なので、やっぱりメッチャ楽しいですよ」と笑顔を見せた指揮官。また1つ、今後が楽しみなチームを見つけてしまった気がします。      土屋

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