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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年07月30日

クラ選ラウンド16 磐田U-18×甲府U-18@敷島

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shikishima0730.jpg敷島のラウンド16もセカンドバトル。ファイナルを3度経験している東海王者に、関東を4位で通過した新鋭が果敢に挑む一戦です。
1次ラウンドの全6試合中、実に5試合がドローという実力伯仲のグループで、唯一勝ち点3を獲得して1位通過を決めた磐田U-18。東海地域予選は首位で今大会出場を決め、プリンス東海でもここまで2位と好調をキープ。今にもピッチを走り出しそうな風貌の鈴木秀人監督に率いられ、昨年敗退を余儀なくされたラウンド16超えを狙います。
対するは、優勝候補との呼び声も高い広島ユースと引き分けるなど、フロックではない実力を見せ付け、グループ3位ながら堂々とこのステージまで勝ち上がってきた甲府U-18。そもそも関東予選でもFC東京U-18、鹿島ユース、千葉U-18が同居するグループを首位で突破しており、「関東の代表で来ているのでそれに恥じないプレーをしたいし、名前負けすることなくやれると思う」と保坂孝監督。歴史のさらなるページを開く準備は整っています。降り続く雨は果たして恵みの雨か。ピッチ状態はしっかり保たれた中、甲府のキックオフでゲームはスタートしました。
序盤からU-18日本代表の梅村晴貴(3年・ジュビロ磐田JY)と上原力也(2年・ACNジュビロ沼津)で組んだドイスボランチを中心に、ボールを動かしながら穴を窺う磐田がポゼッションでは上回る中で、甲府も最前線に入った若杉好輝(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)、1トップ下の伊藤駿(2年・ヴァンフォーレ甲府U-15)、さらに左SBの小林岩魚(2年・ヴァンフォーレ甲府U-15)というレフティトリオにボールが入ると、面白い展開を創出。フィニッシュには至らないものの、お互いに攻め合う意欲で立ち上がります。
先に手数を出したのは甲府。7分、右サイドから若杉が鋭いボールをゴール前に送り込むと、弾んだボールは誰にも当たらずゴールへ向かいましたが、ここは磐田のGK増田将(2年・ジュビロ磐田U-15)が何とかセーブ。8分には左からキャプテンの太田修介(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)が、9分には右から若杉がそれぞれCKを蹴り込むなど、セットプレーで先制点を狙うと、15分に沸いたスタンド。矢崎聖也(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)が左へ付けると、小林は左足一閃。ゴールまでの35m近い距離を一瞬で縮めたミドルは増田がキャッチしましたが、「予選からどのチームとやっても『7番の子はいいね』と言われていた。ちょっと空いたらシュートもセンタリングもできる」と保坂監督も話したレフティのチャレンジに、意気上がる甲府。
18分は磐田。中央をマルセイユルーレットで切り裂いた津島孝至(1年・ジュビロSS浜松)のミドルは、甲府GK杉山僚範(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)がキャッチ。直後も磐田。右サイドで金原唯斗(3年・ジュビロ磐田JY)とのパス交換から、竹下玲王(3年・ヤマハジュビロ掛川)がシュート気味に入れたクロスも杉山がキャッチ。19分は甲府。小林が右へ大きなサイドチェンジを飛ばし、土屋真輝(1年・ヴァンフォーレ甲府U-15)と若杉を経由したボールに、伊藤がトライしたミドルは枠の上へ。20分は磐田。梅村が右へ送り、粘って持ち込んだ中野誠也(3年・ジュビロ磐田JY)のシュートはDFのブロックに遭うも、こぼれを拾った梅村のミドルは枠の左へ。フィフティの攻防にゴールの予感も十分。
そんな中で徐々に目立ち始めたのは、磐田のストライカーを任された中野の積極性。「最初から注意していた」と保坂監督も認めたように、ボールを引き出す予備動作の質や、受けてからの身のこなしも含めて、増していく前線での存在感。27分にはカウンターから左SBの塩谷仁(2年・ACNジュビロ沼津)が左へ出すと、中野はドリブルから枠内へ収めるフィニッシュまで。30分にも右SBの鈴木拳士朗(3年・ACNジュビロ沼津)が中へ放り込み、竹下が潰れたこぼれに枠を越えるミドルを放ったのは中野。合い始めたゴールへの照準。
仕事人の"必殺"は38分。梅村を起点に金原が繋いだボールを、竹下は冷静に右へラストパス。このボールをさらなる冷静さで、ゴール右スミへ流し込んだのはやはり中野。止められないヒットマンの連弾。40分、鈴木が縦に突き刺したクサビをDFは処理しきれず、後ろに逸らすと独走したのも中野。GKとの1対1を完璧なシュートで制した、チームかつ自身の2点目。3分間で一気に突き放した上に、41分にも中野は梅村のパスからあわやハットトリックという左ポスト直撃のシュートまで。「普通じゃあの辺で外してくれるんですけど、やっぱりあの決定力は凄い」と保坂監督も脱帽した11番の2ゴールで、磐田が大きなアドバンテージを獲得して、最初の45分間は終了しました。
「プラン通りにやれたんですけど、本当にちょっとした隙を突かれて」(保坂監督)2点のビハインドを負った甲府。保坂監督の決断は後半開始からの2枚替え。土屋と末木裕也(1年・ヴァンフォーレ甲府U-15)の1年生コンビを下げて、川手秀斗(1年・ヴァンフォーレ甲府)と遠山拓民(2年・ヴァンフォーレ甲府U-15)を送り込み、前線も1トップから遠山と若杉の2トップに変更。伊藤がボランチに1列落ち、川手を右SHに据える4-4-2で得点を狙いに打って出ます。
後半のファーストシュートは磐田。47分、梅村が相手のクリアボールをボレーで狙うもゴール左へ外れると、訪れた甲府の時間帯。49分、右から川手が中へ付けたボールを、伊藤が狙ったミドルはゴール左へ。52分、若杉が右から蹴った左足クロスに、ニアへ飛び込んだ川手のシュートは枠の右へ。53分、遠山、太田と回り、若杉がラインの裏へ浮かせて落としたパスを、角度のない位置から枠へ飛ばした遠山のシュートは増田が抜群の反応でセーブ。「攻めるしかなかった」(保坂監督)チームの覚悟が、結実するまであと少し。
しかし、61分の歓喜は王国のサックスブルー。金原のラストパスから、中野のシュートは杉山が凌ぎ、竹下のシュートも杉山が凌ぎ、こぼれを拾った金原のシュートもクロスバーが味方しましたが、その落下したボールがカバーに入っていたDFに当たり、ゴールの中へ吸い込まれると、記録上はオウンゴール。展開に大きな意味を持つ"次の1点"は磐田に入りました。
折れなかった甲斐軍団。64分、後半は積極的なドリブルでチームに推進力をもたらしていた、右SBの佐久間亮(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)の突破から獲得したCK。若杉のピンポイントキックをニアで矢崎がフリックすると、ファーサイドで押し込んだのはストライカーの遠山。「点を取る感覚のある子」(保坂監督)の起用がズバリ。残された時間は25分。風向きは果たして変わるのか。
依然リードを手にしている磐田も、65分には津島を下げて大西遼太郎(1年・ジュビロSS浜松)を投入する1年生同士のスイッチで中盤にてこ入れ。71分には金原の浮かせたパスを、竹下が胸で巧みに落とし、中野が左へ小さく出すと、上がってきた塩谷のシュートは枠の左へ外れるも、衰えない追加点への意欲でゲームをコントロール。ピンチの芽は山本新太郎(3年・ジュビロ磐田JY)と高部佳樹(2年・ジュビロ磐田U-15)のCBコンビを軸に、高い集中力できっちり摘み続けます。
76分に保坂監督が下した勝負の一手。山本拳士(2年・FCヴァリエ都留)を左SBとしてピッチへ送り込み、「後ろの方がいい状態で持てるので特徴が出やすい」小林を、「もう負けているし、できるだけ相手のゴールに近い所で」とSHに上げて、太田が右へスライド。1点に、そして2点に手が届くかどうかの残り時間は15分。
78分は甲府。遠山のドリブルでCKを得ると、右から若杉が入れたボールを、小谷野悠汰(3年・ヴァンフォーレ甲府U-15)がボレーで狙うもクロスバーの上へ。81分も甲府。右サイドを若杉がぶち抜き、40m以上を独走して持ち込んだフィニッシュは、懸命に帰ったDFがブロック。86分も甲府。右サイドを細かく崩し、太田が鋭く放り込んだクロスを遠山はゴールに流し込みましたが、主審はその直前のオフェンスファウルをジャッジ。そして、これが甲府に訪れたラストチャンス。「今ある力を出し切って、関東の代表に恥じないプレー、一生懸命やるプレーで最後の最後まで頑張ってくれたので、私の中では悔いはない」と保坂監督。磐田が昨年超えを果たすベスト8進出を勝ち取る結果となりました。
「確かに"いいゲーム"だったけど、今までのヴァンフォーレが"いいゲーム"をしてきたという話も本当によく聞くし、『ヴァンフォーレは頑張ってるね』って言われるけど、なかなかやっぱりそこが跳ね返せない」と保坂監督が話した甲府の今大会は、予選からここまで常に下馬評を覆しながら勝ち上がってきた大会でした。目標としていたベスト8にはあと一歩及びませんでしたが、「今回全国に出たので、気持ち的に"抜けた"ような所もあると思う。この経験を生かさない手はないし、ウチは1年生や2年生の若い選手も多かったので、是非悔しい気持ちを受け継いでもらいたいなと思っている」と保坂監督。"いいゲーム"のその先へ。甲府U-18の挑戦は続きます。       土屋

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