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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年06月18日

インターハイ東京準々決勝 東久留米総合×修徳@駒沢補助

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komazawa0616②.jpg関東大会予選の東京王者と、昨年のインターハイと選手権を制した東京王者の激突。直近の3大会で優勝を経験している両者の頂上対決が、このベスト8で実現しました。
昨年はインターハイでまさかの1次トーナメント敗退を経験し、「自分も含めて変わらなきゃいけないし、変えなきゃいけない」と齋藤登監督が当時話したように、1つの転機を経験した東久留米総合。その悔しさを抱えて臨んだ選手権は、延長で敗れたもののベスト8進出を果たして復活の狼煙を上げると、今年度最初の公式戦となる関東大会予選では駒澤大学高、実践学園、帝京などを連破しての優勝を達成。全国へと返り咲く日を虎視眈々と狙います。
対するは、昨年の東京都で行われたコンペティション22戦無敗という金字塔を打ち立てた、ディフェンディングチャンピオンの修徳。無敗記録こそT1や関東予選で途絶えたとはいえ、今大会も1回戦で正則学園をPK戦の末に振り切り、勝負強さは健在。「自分たちの目標は去年を超えること」と話したのはキャプテンの池田晃輔(3年・埼玉ユナイテッドFCフェスタ)。そのためには、まずこの大会での東京制覇が絶対条件です。小降りになりつつあった雨も上がり、コンディション的には最高の状態に仕上がった駒沢第2。12時ジャストに、ベスト8のラストゲームはキックオフされました。
スタイル的にはハッキリした両チーム。最終ラインをコントロールするCBの森祥行(3年・東京久留米FC U-15)と岡野達也(3年・フォルチFC)は、2人でじっくりボールを回しながら穴を探し、ドイスボランチの大畑和樹(2年・三菱養和調布)と加藤有騎(3年・青梅霞台中)が降りて絡んで、そこからサイドへ展開という形を採るのが東久留米総合。一方、まずは最前線の加藤禅(3年・柏レイソルU-15)とその下に入る田上真伍(3年・FC東京U-15深川)に素早く付けて、そこからサイドへ展開という形を採るのが修徳。方法論こそ違うものの、お互いサイドを使いたい意識の中で、探り合うような時間が立ち上がりから続きます。
先にチャンスを掴んだのは修徳。10分、ややアバウトな前へのパスを東久留米総合ディフェンスがお見合いするような格好に。その隙間に飛び込んだ小野寺湧紀(2年・荒川第五中)のヘディングはわずかにゴール右へ。24分にも雪江悠人(2年・三郷Jr)の積極性から獲得したCKを右から田上が蹴り入れ、流れたボールを今野尚也(3年・GOODLY)は中へ。加藤禅が粘って落とし、渡邊黎生(3年・LARGO FC)のボレーは枠の左へ外れましたが、惜しいシーンを創ります。
ただ、手数に反して「リトリートした訳じゃないけど、前からみんな追えないので、最初は少し抑え気味に行った」(岩本慎二郎監督)ことで前へのパワーが出てこない修徳を尻目に、少しずつ勢いを増していったのは東久留米総合。26分にレフティの左SB増田久文(3年・東京久留米FC U-15)が右から蹴ったFKは、修徳GK高橋太郎(3年・すみだSC)にパンチングで防がれましたが、直後にもSBの野呂光(3年・三菱養和巣鴨)を絡め、右から大畑が中へ繋ぐと、今村優太(2年・三菱養和巣鴨)のミドルは枠の左へ。チャンスの数でも上回り始めた都立の雄。
28分には修徳も1本のフィードから池田、田上と回り、加藤禅が枠の右へ外れるミドルを放つと、以降は東久留米総合の攻勢。32分、加藤有騎が右へ振り分け、白井穂(2年・Forza'02)が左足で入れたクロスへ、果敢に飛び込んだ今村のダイビングヘッドはわずかに届かず。35分、今村が粘って収め、白井が右からカットインしながら左足で狙ったミドルはクロスバーの上へ。38分、SHの小島樹(2年・あきる野FC U-15)が左から中へ強いパス。今村のスルーを経て、右に流れた大畑のクロスは修徳DFが何とかクリアしたものの、終盤は東久留米総合がかなり押し込む展開の中で、前半の40分間が終了しました。
10分間のハーフタイムを挟むと、まずは東久留米の攻勢再び。42分、小島、保池瑶(2年・三菱養和調布)、今村と繋いだボールを、大畑が打ち切ったシュートはDFが何とかブロック。43分、加藤有騎の左CKを高橋がパンチングで回避すると、こぼれたボールに反応した小島は強烈な枠内ミドル。ここはゴールカバーに入った池田が体で飛び付き、先制とはいかなかったものの、その予感は十分に漂わせます。
やや差し込まれる展開の続いた修徳も44分には反撃を。左に開いた加藤禅がクロスを上げると、小野寺のヘディングシュートは当て切れずに東久留米総合GK倉科圭佑(3年・帝京FC)がキャッチ。45分には雪江が右からサイドチェンジにトライし、受けた小野寺はカットインで2人を置き去り、シュートまで持ち込むとここも倉科がセーブ。49分にも雪江が右から投げたロングスローがこぼれ、拾った田上のシュートは倉科が飛び出してセーブ。こちらも相手ゴールへ迫るも、スコアは動かせません。
そんな中、均衡が破れたのは52分。爆発した水色の歓喜。左サイドを崩して得たCK。加藤有騎の蹴ったキックはゴール前で混戦に。何とか修徳が掻き出したボールは、またも小島の元へ。一瞬の迷いもなく打ち込んだミドルは人垣をすり抜け、力強くゴールネットへ突き刺さります。「あのシュートは凄かった」と岩本監督も脱帽した、小島のゴラッソミドル。東久留米総合が1点のリードを手にしました。
さて、「守る姿勢で行っていたので、攻撃のスイッチが入らなかった」状況に動いた岩本監督。54分、雪江に替えて投入されたのは佐藤悠輝(3年・FC東京U-15深川)。本来はレギュラーながら、この日は無念のスタメン落ちを経験し、「ショックだったし、出場できたらこの悔しい気持ちを試合に出してやろうと臨んだ」という切り札を、ここでピッチへ解き放ちます。
それでも攻める時間が長いのは相変わらず東久留米総合。54分、左サイドで白井が縦に持ち出しながら放ったシュートは、高橋が何とかキャッチ。64分、増田の縦パスを引き出した保池が、エリア内で鋭いターンから枠へ収めたシュートは高橋がキャッチ。66分、増田の左クロスから小島を経由し、保池が打ち切ったシュートは修徳のCB田中拓夢(3年・Wings U-15)が懸命にブロック。レギュラーの負傷もあって、スタメンに抜擢された田中は「頭がいいからよく声も出すし、アレだけやってくれるのは嬉しい誤算」と指揮官も賞賛するプレーで追加点は阻止し続けるものの、肝心の同点弾は予兆すら出てきません。
一気に勝負へ出た岩本監督。67分に右SBの峰和也(3年・Wings U-15)に替えて、沖山正信(3年・板橋志村第四中)をボランチへ送り込み、「自分はどっちもできるようにしている」という池田が右SBへスライド。直後にも大畑のクロスから白井に危ないボレーを食らうと、69分に小野寺と藤本優斗(3年・ジェファFC)を、70分に今野と関秀太(3年・スクデットSC)を相次いで入れ替え、「両SBを落として『行くんだ』という姿勢」(岩本監督)で、最後の10分間へ向かわせます。
75分には田上が右から蹴ったFKも、東久留米総合DFが確実にクリア。77分、田上は右CKをショートで始めるも、佐藤との連携からシュートには持ち込めず、着々と消えていく時間。追い込まれた修徳。ところが、「チームのみんなを信じて、どんなに攻められても行くしかないという"気持ち"」(池田)が呼び起こした奇跡。
78分、右サイドで関がボールを持つと、パスをもらった佐藤は再び右へ展開。中央を確認した関はニアサイドへ高速クロス。ここへ全力で走り込んできたのは加藤禅。頭で確実に、そして丁寧に当てたボールは、そのままゴール左スミへ飛び込みます。殊勲の男が一目散に駆け込んだのは熱狂の大応援団。「フリットやライカールトと一緒で、オランダの血が入っている」(岩本監督)ストライカーが、最後の最後で大仕事。負けない修徳。土壇場でスコアを振り出しに戻し、ゲームへ強引に20分間の延長戦を付け加えてしまいました。
わずかな休息を経て、再びピッチに帰ってきた両チームの選手たち。延長前半は東久留米のペース。82分、保池、今村と繋いで、途中出場の本田貴大(3年・Forza'02)が右から中へ送るも、保池は打ち切れず。83分、小島のパスから保池が狙ったミドルは高橋がセーブ。直後の左CKを加藤有騎が蹴ると、またしてもこぼれに照準を合わせていた小島のミドルが枠内を襲うも、ここは高橋がキャッチ。86分には修徳も沖山が高い位置でボールを奪い、加藤禅が右へ送るも、佐藤のシュートは倉科がキャッチ。双方打ち込めない決定打。
いよいよ迎えた最後の10分間。輝いたのは「自分が入る前に点を取られていたので、ヒーローになるチャンスだと」確信を持ってピッチに立っていた14番。95分、相手のCBが負傷交替したエアポケットを見逃さず、左サイドを凄まじい馬力で運んだのは「アイツは持ってるんだけどやらない。でも今日はやったね」と岩本監督も笑った関。えぐってえぐって中へ折り返すと、ファーに潜っていたのは「ディフェンスが自分のことを見えていなかったので、ちょっと後ろにポジションを取った」佐藤。スライディングで伸ばした右足に残った感触。目の前で揺れたゴールネット。「途中から入ったので、自分でやってやろうという気持ちは大きかった」男の劇的な勝ち越し弾。残った5分と、少し長めに取られたアディショナルタイムもしたたかに潰すと、104分42秒に駒沢の空へ吸い込まれたホイッスル。「本当に1人1人が気持ちは強いし、今日は応援の力も強かったと思う」と池田も話した修徳が、神懸ったかのような逆転劇でセミファイナルへ駒を進める結果となりました。
東久留米総合にしてみれば、悪夢のようなゲームだったのではないでしょうか。後半の残り2分までは、正直負ける要素はほとんどなかったと思います。ただ、結果として突き付けられたのは逆転での敗戦という厳しい現実。この経験は改めてサッカーの難しさを実感させられた100分間として消化し、是非選手権での躍進を目指して欲しいですね。
負けない理由を問われ、「一番は気持ち」と一度は答えた池田も、さらに同じ質問を重ねると「何なんですかね?」と首を傾げるような、理屈を超える勝負強さを見せ付けた修徳。「去年のヤツらを見ているから、いい習慣になっているかもしれないね」と岩本監督も話したように、去年からのトーナメントにおける勝率は凄まじいものがあります。2年連続での全国を懸けた次の相手は國學院久我山。「格上とやった方が自分たちのサッカーは生きる。我慢して修徳らしい速攻で勝ちたい」と池田が話せば、「みんな上手いのはわかっているので、修徳らしい諦めない気持ちでやれば勝てると思う」と佐藤。前回の選手権でもベスト4で激突した両者のリターンマッチは22日、12時より駒沢第2でキックオフを迎えます。      土屋

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