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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年06月09日

インターハイ東京1回戦 正則学園×修徳@清瀬内山

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kiyose0609.jpg昨年のインターハイから都内の一発勝負で行われたコンペティションではわずかに1敗。"トーナメントマスター"が清瀬内山に登場します。
都立調布南をPK戦で下すと、ブロック本命と目されていたT1所属の国士舘を2-1で撃破し、2次トーナメントまで進出してきたのは、T3でもブロック首位に立つなど好調をキープしている正則学園。緑と黄色の伏兵がディフェンディングチャンピオンに挑みます。
迎え撃つのは昨年の1年間で都内最強とも言っていい結果を残した修徳。関東大会予選こそ帝京の前に屈しましたが、全国へ繋がるコンペティションは今大会の1次トーナメントを含めて現在15連勝中。9連勝で全国切符を掴んだ昨年のインターハイを引き合いに出し、「まだ今回は2回勝っただけだから」とお得意の豪快な笑顔を見せた岩本慎二郎監督。一発勝負を熟知した知将です。まだ午前中にもかかわらず、クラクラ来るような炎天下での一戦は、10時ジャストにキックオフを迎えました。
開始3秒、修徳の10番を背負う田上真伍(3年・FC東京U-15深川)が繰り出したキックオフシュートで幕を開けたゲームは、正則に勢い。4分には左サイドを阿部亮介(3年・墨田中)が抜け出し、最後に宮澤優(3年・フッチSC)が枠へ収めたシュートは、修徳の左SBを務める今野尚也(3年・GOODLY U-15)がライン上でクリア。7分には修徳も佐藤悠輝(3年・FC東京U-15深川)が右から中へ付けると、久保祐貴(3年・習志野第一中)がクロスバーを越える左足アウトミドルを放ちますが、8分も正則。右SBの井原翔(3年・GRANDE FC)は積極的なミドルにチャレンジ。全体の出足も良く、最高に近いゲームの入り方を成功させます。
すると、先にスコアを動かしたのも正則。10分、左から中盤アンカーに入った積田隼人(3年・江戸川松江第三中)が斜めにパスを送り込むと、飛び出したGKより阿部が一瞬早く触ったボールは、ゴールネットへゆっくりと転がり込みます。「アレしかないのはわかっていたから、出し手が前向きになった時はバックが下がらないと」と岩本監督。逆に望外の先制弾に沸き上がる緑と黄色。挑戦者が1点のアドバンテージを握りました。
4-3-3のシステムで臨んだ正則は、アンカーの積田と、その前に配置された鈴木圭人(3年・江戸川小岩第一中)と柴田謙(2年・FRIENDLY)で構成される中盤3枚がしっかりボールを動かせる上に、右の阿部と左の宮澤は裏を狙う意識も窺わせるなど、横と縦をうまく使っていた印象。最後尾では声を切らさないキャプテンの河内佑弥(3年・C.A.アレグレ)がうまく全体をコントロールし、リードにふさわしい立ち上がりを披露していました。
さて、ビハインドを追い掛ける展開となった修徳も、やや相手の積極性に面食らった時間帯を過ぎると、少しずつ左右にボールを振り分けながら、創り出すチャンス。16分には田上の右FKを佐藤が頭で狙ったシュートはクロスバーの上へ。25分にここも田上が左から蹴ったFKに、CBの渡邉黎生(3年・LARGO FC)がバックヘッドを敢行するも再びクロスバーの上へ。28分にも池田晃輔(3年・埼玉ユナイテッドFCフェスタ)が右へ配り、佐藤のクロスを加藤禅(3年・柏レイソルU-15)が頭で中へ。田上のボレーは正則GK蔦谷恵太(2年・FC HORTENCIA)にキャッチされたものの、一気に強めた攻勢。
32分も修徳。加藤が右クロスのこぼれを拾い、小野寺湧紀(2年・荒川第五中)が上げたボールに佐藤が飛びついたヘディングは枠の右へ。34分も修徳。右ロングスローの流れから、田上のラストパスを小野寺がゴールへ頭で流し込むも、判定はオフサイドでノーゴール。さらに36分には田上の右FKからヘディングで大野翔平(3年・クリアージュ)が、37分にはGKのFKから小野寺が、38分には峰和也(3年・Wings U-15)の右ロングスローから佐藤が、相次いで紡いだ惜しいシュート。大応援団にも籠もる熱。
殊勲は指揮官も「勉強もよくするし向上心がある」と認める守備の人。前半も終了間際の40+3分、左へ回ってきたボールを小野寺が中へ戻すと、彼の意図とはズレたボールが中央付近まで流れるも、ここに走り込んできたのは渡邉。30m以上はあったゴールまでの距離にも怯まず、そのままダイレクトで打ち切ったミドルは、アウト回転しながらゴール右スミギリギリへ吸い込まれます。CBのスーパーなゴラッソ。前半10本目のシュートで修徳が追い付いて、最初の45分間は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも大きな流れは変わらず、修徳の攻める時間が続きますが、正則も河内と岩浅拓斗(3年・ヴェルディSSレスチ)のCBコンビと積田でしっかりビルドアップにトライする姿勢が。蹴って跳ね返されての連鎖からは抜け出し、膠着した時間をうまく創り出してみせます。
52分に修徳が打った後半ファーストシュートは、佐藤のクロスを田上が繋ぎ、池田が左足で枠の左へ外したミドル。同じく52分、高い位置で奪った流れのまま、田上がゴールまで30m弱の位置からミドルボレーを狙うも、蔦谷がキャッチ。56分には加藤のポストを基点に池田が左へ送り、小野寺が外を駆け上がった今野へラストパスを送るも、その今野のフィニッシュは蔦谷がファインセーブで回避。逆に60分には最前線の行木勇人(2年・FRIENDLY)を高橋壮太(3年・POMBA立川FC)にスイッチさせた正則も、宮澤がわずかに枠を越えるミドルを打ち込むなど、少ないチャンスに滲ませる勝ち越しへの意欲。
それでも「キレないで我慢してやるのは他のチームに比べても長けている」と岩本監督も自信を口にした修徳が、ジワジワと侵食していく正則の危険なエリア。62分、峰のパスから佐藤のシュートは蔦谷がキャッチ。65分、佐藤、加藤と回ったボールを小野寺が枠へ飛ばしたシュートは蔦谷がキャッチ。68分には岩本監督も1枚目の交替カードとして、小野寺と藤本優斗(3年・ジェファFC)を入れ替えると、直後にはその藤本の左クロスから、走りこんだ池田のシュートは正則の右SB渡邉由典(2年・クリアージュ)が体でブロックするも、さらに強めた圧力。
73分に正則へ訪れたFKのチャンスから、GKがファンブルしたボールも押し込めずにクリアされてしまうと、ここからは80分間で勝負を決めたい修徳の猛ラッシュ。73分、ハーフカウンターから藤本が左へ流したラストパスを、加藤は思い切り振り抜くも蔦谷が丁寧にキャッチ。76分、佐藤のクロスから加藤が当てたヘディングは枠の左へ。77分には加藤と関秀太(3年・スクデットSC)、小野寺と雪江悠人(2年・三郷Jr)を相次いでスイッチし、一層踏み込むアクセル。
79分、関が前線で時間を創って右へ送り、雪江の蹴り込んだクロスは田上にドンピシャも、真っ芯を捉えたヘディングはわずかにクロスバーの上へ。80分、中央で雪江、関と細かく繋ぎ、最後に田上が至近距離から打ち込んだシュートも蔦谷が足でビッグセーブ。「正則も粘るので、なかなかフリーでシュートが打てなかった」と岩本監督。両者譲らず。文字通りの熱戦は前後半10分ずつのエクストラタイムへもつれ込むことになりました。
今度は岩浅がキックオフシュートを狙い、スタートした延長戦も前半は修徳ペース。82分、藤本のドリブルで獲得したCK。田上がショートから上げたクロスはゴール右へ。87分、田上が運んで運んで右へ短く出したラストパスから、自信を持って打ち切った関のシュートは、しかし左のポストに跳ね返り、岩浅が懸命にクリア。90+3分、ゴールまで約25mの位置から直接狙った田上のFKはカベにヒット。「交替で入った3人で結構チャンスを創れた」(岩本監督)中でもスコアは動かず、激闘は最後の10分間へ。
延長前半に右SBへ長沢健太(2年・POMBA立川FC)を、高橋の真下へ田中陽大(3年・フッチSC)を送り込んでいた正則も、最後の意地。92分、右で粘って粘って最後は阿部と田中がボールへ殺到するも、修徳GKの高橋太郎(3年・すみだSC)が果敢に飛び出してキャッチ。98分、田中との連携から阿部がラストパス。ラインの裏へ宮澤が完全に抜け出し、GKと接触して倒れたように見えましたが、主審のホイッスルは鳴らず。ラストチャンスは100+1分の修徳。田上の左CKを関が頭で押し込み、劇的な決勝ゴールと思われたものの、ここは主審がオフェンスファウルをジャッジ。規定の時間が終わったことを告げる笛の音と、会場を包んだ大きな溜め息。次のラウンドへの挑戦権はPK戦に託されました。
こうなると昨年もインターハイ予選で経験した3度のPK戦もすべてモノにし、「普段からPKの練習をしている」(岩本監督)修徳の強靭なメンタルが遺憾なく発揮されることに。1人目と3人目が枠を外した正則に対して、1人目の田上はGKに読まれながらもねじ込み、「アイツらは絶対外さない」と岩本監督も絶対的な信頼を寄せる、2人目の池田と3人目の久保が確実に沈めた修徳。さらに正則4人目のキックは、既に1年時にも選手権予選でPK戦を経験していた高橋が完璧なセーブでストップ。「PKでも勝ちを拾っていくことが大事」と岩本監督も胸をなで下ろした修徳が、際どい勝負の綱を渡り切り、準々決勝へ駒を進める結果となりました。
「そんな簡単に勝てないことはわかっていた」と岩本監督も話したように、正則は間違いなくグッドルーザーでした。特にCBでキャプテンの河内は、100分間途切れぬ声でチームを鼓舞し続け、それに周囲も呼応することで強豪相手に最後まで粘り強い戦いを繰り広げてくれました。PK戦での決着はやむなし。前回王者をギリギリまで追い詰めた正則には大きな拍手を送りたいと思います。       土屋

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