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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年05月09日

T1リーグ第6節 東海大高輪台×駒澤大学高@大井第二

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ooi0508.JPG平日夜のお楽しみ。T1リーグは早くも第6節。勝ち点差3で迎えた首位と5位の対峙は大井第二です。
昨年末に行われた早稲田実業との入れ替え戦を制し、念願のT1昇格を果たした東海大高輪台。開幕戦こそ成立学園との打ち合いに屈したものの、2節から国士舘、都立駒場、そして昨年度"三冠"の実践学園を相次いで撃破。「ノせると勢いにノる子たちなので、最初の一巡目は相手も関係なくウチのやってきたことをやろうという約束でやっている」とは川島純一監督。現在白星先行の5位と、鮮烈な新風をリーグへ吹き込んでいます。
対するはここまで3試合で完封勝利を収めるなど、安定した戦いぶりで首位を快走している駒澤大学高。5失点はリーグ最少となる数字であり、昨年度のT1リーグ得点王に輝いた大川雅史(3年・フッチSC)を擁する攻撃陣も絶好調。3年ぶりの関東復帰へ向けて、絶好のスタートを切りました。大井第二にはおなじみ駒澤の150人近い超大応援団が。爆音での校歌合唱を経て、18時半にゲームの幕は上がりました。
4-3-3の3トップ左に入る伊藤竜之介(3年・ヴェルディSS調布)と、右の荒川真作(3年・FC駒沢)が繰り出すドリブルをスイッチに、まずリズムを掴んだのは高輪台。4分には小山拡志(3年・インテリオールFC)の右FKを廣瀬滉大(3年・FC駒沢)が合わせたヘディングは、高く上がってクロスバーへ静かにヒット。5分には左SBの清水郁也(3年・東海大高輪台中)が放り込んだロングスローから、金子真彦(3年・川口戸塚西中)のワントラップシュートはヒットせず。8分にも、吉野崚平(3年・川口在家中)を起点に岸本康太郎(3年・インテリオールFC)が右へスルーパス。伊藤が繰り出したクロス気味のシュートはクロスバーを越えましたが、いいアタックが続きます。
ところが、先にスコアを動かしたのは駒澤。9分、左に流れた大川が高速クロスを放り込むと、DFともつれながら足を出したのは田邉彬人(3年・川崎フロンターレU-15)。これが首位に立つ力強さか。ファーストチャンスをきっちり生かし、1点のアドバンテージを奪取しました。
こうなるとプレー強度の高さが目立った駒澤が以降は圧倒。12分には左ロングスローから、最後は井浦正人(3年・Forza'02)が枠の右へ外れるミドル。13分にも左ロングスローから、こぼれを杉山康介(3年・ヴェルディSS相模原)が放ったミドルは枠の左へ。「あの2人は伸びている」と大野祥司監督も認めるドイスボランチの尾門秦(3年・東急レイエス)と真砂慶太郎(3年・POMBA立川)がきっちり防波堤を築くと、前線の大川や杉山、田邉、松本将悟(3年・横浜茅ヶ崎中)もハイプレスを敢行。奪って攻めてを繰り返し、がっちり主導権を握ります。
29分にも中盤でのボール奪取から大川が40m近くボールを運び、鋭い切り返しから枠内にシュートを飛ばすと、ここから一気に押し寄せる駒澤の荒波。34分、右から松本が蹴ったCKをファーで田邉が折り返し、渡邊愛一郎(3年・インテリオールFC)が当てたヘディングはクロスバー直撃。36分、真砂が左へ展開したボールを右SBの吉村進太郎(3年・FC東京U-15むさし)が中へ戻し、大川が反転から打ち切ったシュートは高輪台GK砂田政和(3年・東海大高輪台中)がファインセーブ。37分、右CKのこぼれをキッカーの松本が自ら中へ送り込み、紺野容(3年・練馬光が丘第一中)が打ち下ろしたヘディングは、ここも砂田がビッグセーブで回避。にじり寄る駒澤。
結実は39分。大川のドリブルで獲得した6本目のCK。レフティの松本が高精度で送り届けたボールを、渡邊は丁寧に頭でゴール右スミへ沈めます。「守備面ではあまり良くなかったんですけど」と苦笑いは大野監督ですが、攻撃面で押し続けた対価として得た数字は妥当な結果。高輪台が41分に金子、42分に小山と相次いで放ったシュートも枠は捉え切れず、駒澤が2点のリードを手にして、前半の45分間は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも流れは変わらず。後半のファーストシュートも49分の駒澤。大川が縦に付けたクサビを田邉が右へ振り分けると、ここに上がってきたのはCBの渡邊。シュートはゴール右へ外れるも、アグレッシブな攻撃を披露。51分にはGKの位置を見た田邉が40m近いロングにチャレンジ。60分にも杉山との大きなワンツーから、大川が放ったシュートは味方に当たってしまいましたが、直後にも左でのコンビネーションから田邉は枠内シュート。3点目を貪欲に目指します。
さて、「細かい所で点を取られてしまったが、チームとしての戦い方は予定通りだった」(川島監督)高輪台。59分に吉野と三ヶ尻京平(3年・グランデFC)を、62分に清水と和田幸記(3年・ヴェルディSS調布)を相次いで入れ替え、人の配置もずらしたものの、なかなか効果が出ないと見た川島監督は、65分のやや可能性のないロングレンジの後半ファーストシュートを見届けると、さらに2枚替えを決断。中盤の岸本と阿部駿佑(3年・グランデFC)を下げて、岡田侑也(2年・グランデFC)と渡邊夢大(2年・FCトリプレッタ)を投入。前線に三ヶ尻と金子を並べ、岡田と渡邊はSHへ。そしてスタートは3トップに配した伊藤と荒川を、「2人は攻撃的なポジションならどこでもできる」と揃ってドイスボランチに落とし、4-4-2で勝負に出ました。
前半ほどの圧倒的な感じとはいかないまでも、「コートの半面でやっていて、ポゼッションもできていた」(大野監督)駒澤のペースは継続。69分には右サイドをうまく攻略し、田邉が枠内へ収めた好シュートはここも砂田のビッグセーブに阻まれましたが、さらなるゴールも視野に入れつつ、ゲームをコントロールしながら潰す残り時間。
予感のない追撃弾は77分。三ヶ尻が左へ送ったボールは長く、ラインを割りそうな軌道に。目線を切りかけた選手もいた中、諦めなかった金子は空中ギリギリで左足クロス。こちらも諦めなかった三ヶ尻が頭を突き出すと、ボールはゆっくりとゴール右スミへ飛び込みます。おおよそ決定機とは思えないようなシーンから、ゴールをひねり出した"諦めない"姿勢。1点差。にわかに活気付く黄色と黒。
それでも駒澤が狙うのは依然として追加点。80分、ハーフカウンターから大川のスルーパス。抜け出した杉山はGKと1対1になりかけるも、全力で戻った宮下諒也(3年・Y.S.C.C.)の好カバーでシュートは打てず。86分、ここもカウンターから最後は痛烈に枠を襲った田邉のフィニッシュも砂田が回避。87分、ゴールまで約25mの距離から松本が狙ったFKも砂田がキャッチ。攻める駒澤。しかし、相手のシステムチェンジに「いつも通りにやればいいのに、ちょっとポジションが悪かった。自分たちで修正できなかった」と大野監督が振り返ったわずかな守備の綻び。
87分に書き換えられた結末。左サイドをドリブルで抜け出したのは伊藤。3列目からの飛び出しに、2トップを2CBで見ていた駒澤ディフェンスが踏んだ後手。カットインから10番が振り切ったシュートはDFに当たるも、こぼれに反応したのも3列目から飛び込んだ荒川。一瞬の躊躇すらなく全力で振り切った右足。描いたゴールへのイメージと一致した軌道。歓喜と呆然。「ウチの選手がよく頑張った」と川島監督。「最後は相手がよくやったと思う」と大野監督。執念の同点劇。土壇場で追い付いた高輪台が、勝ち点1を強奪する結果となりました。
終盤で勝ち点2を失う格好になった駒澤。「89分間良くても、最後の1分間でやられてしまうようなチームでは...」といつも自チームに辛口の大野監督は話してくれましたが、それでも70分前後までのパフォーマンスには駒澤らしさが随所に見られ、個人的には3年前に全国の扉を開いたチームを思い出すようなゲームでした。「甘さがあったと思う。もったいない結果」(大野監督)という今日の悔しさを今後にどう生かせるかは十分な伸びしろ。今年の駒澤は面白いと思います。
一方、「これだけ押されながらもやれるんだということがわかったと思う。選手にも自信になったんじゃないですか」と川島監督が語った高輪台は、その指揮官が「やっていて面白いサッカーをやりたい」と言うだけあって、ボールを中心にしたスタイルを徹底している印象です。興味深かったのは同点のシーンで、ゴールに絡んだのは後半途中からボランチにスライドした"FW"の2人。ポジションが変わっても、やることは変わらないということを象徴するようなシーンだったのではないでしょうか。東海大高輪台。この名前を覚えておいて損はないでしょう。         土屋

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