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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年04月10日

T1リーグ第2節 修徳×帝京@大井第二

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ooi0410.jpg深遠なる"T"との再会。東京の高校年代によって争われる2013年のTリーグは先週から開幕しています。今日訪れたのは大井埠頭。舞台はこのリーグのトップディビジョンに当たる"T1"。修徳と帝京という名門同士が早くも激突することになりました。
インターハイ、選手権と堂々の2冠獲得。最後は都内の公式戦22戦無敗という圧倒的な結果を残し、臨んだ全国では青森山田とPK戦までもつれる大熱戦を演じるなど、改めてその存在感を示した修徳。新キャプテンの池田晃輔(3年・埼玉ユナイテッドFCフェスタ)や佐藤悠輝(3年・FC東京U-15深川)、久保祐貴(3年・習志野第一中)など昨年の主力選手も数人残り、2年ぶりの復帰となるT1で旋風を巻き起こしたいシーズンです。
昨年度はインターハイ、選手権共に準決勝で敗退。T1リーグも7年連続となる2位と無冠に終わった帝京。復帰2年目となる荒谷守監督の下、最後に全国を制した時のキャプテンを務めていた日比威氏をコーチに迎え、「何が正しくて、何が正しくないかを我々指導者が見せて、それをサッカーの中に落とし込む」(荒谷監督)という部分にも力を注ぎ込み、勝者のメンタリティを取り戻すべく、新シーズンに挑みます。海沿いのスタジアムに吹き付ける潮風。薄着の方は後悔するような寒さの中、帝京のキックオフでナイトゲームはスタートしました。
いきなりの殴り合い。1分経たない内に先制パンチを繰り出したのは帝京。エリアのすぐ外から古市拓巳(2年・岐阜VAMOS)が放ったミドルはクロスバーにハードヒット。3分の反撃は修徳。沖山正信(3年・板橋志村第四中)が左へ展開すると、藤本優斗(3年・ジェファFC)のクロスを加藤禅(3年・柏レイソルU-15)はワントラップから枠を越える左足ボレー。早くも決定機で牽制し合います。
すると、ゲームが動いたのは5分。動かしたのは"下町の雄"。田上真伍(3年・FC東京U-15深川)がFKをクイックで左へ。受けた藤本が軽快なステップでカットインしながら、右スミへコントロールしたボールはサイドネットへ吸い込まれます。「去年はAチームに呼んでいないけど、アイツはなかなかいい」と岩本慎二郎監督も評する小柄なテクニシャンの華麗な一撃。修徳が1点のアドバンテージを握りました。
続けてのチャンスも修徳。10分、高い位置で相手のパスを引っ掛けるとカウンター発動。田上はドリブルで運び、ミドルレンジからのシュートは帝京GK本山航大(3年・GRANDE FC)にキャッチされましたが、「前が追って競って、拾ったボールをカウンターに繋げられれば今年のチームは面白い」という岩本監督の狙いを体現するようなアタック。得点も含めて、修徳はうまく立ち上がります。
さて、ビハインドを追いかける格好となった帝京。12分には古市が左へ振り分け、小川一矢(3年・FCトッカーノ)のクロスを武藤稜(3年・浦和レッズJY)が折り返すと、都築洋平(3年・浦和レッズJY)のボレーは枠の右へ。25分にも左サイドをSBの木村俊輔(3年・Az'86tokyo-ome)がぶっちぎってクロスを送るも、ファーのシュートレンジで拾った武藤が選択した折り返しはDFがクリア。全体的にはボール保持も長い中、左右へとボールを動かす意識はあるものの、ハイプレスも考慮の上で「極力繋ぎたいが、今日みたいなチームにはロングフィードもしなきゃならないかな」と荒谷監督。崩し切る形はなかなか創れず、30分過ぎから膠着状態に陥った前半は修徳が1点をリードしてハーフタイムへ入りました。
後半開始から動いたのは岩本監督。1トップに入った加藤を島雄生(3年・フレンドリー)にスイッチすると、48分にはその替わったアタッカーにチャンス到来。田上のスルーパスに反応した藤本が縦に持ち出し、マイナスに折り返したクロスへ反応した島のシュートは、難しい高さもあってヒットしませんでしたが、まずは交替で切ったカードが惜しいシーンに絡みます。
ところが、そこから攻勢を強めたのは伝統の黄色。51分、左サイドで島田武虎(3年・レジスタFC)とのワンツーから、都築がカットインして放ったシュートはDFのブロックに遭ったものの、56分にも到来した好機。小川からのミドルパスを引き出した島田が、エリア左から枠へ飛ばしたシュートは修徳GK高橋太郎(3年・すみだSC)がファインセーブ。襲い掛かる帝京。
58分、右から小川が入れたCKを高い打点で合わせた柳下大樹(3年・浦和レッズJY)のヘディングはクロスバーの上へ。62分、小川が右へ展開すると、CBの位置から右サイドを上がってきた柳下のクロスはDFが何とかクリア。63分、ここも柳下を起点に都築が左へ。島田のグラウンダークロスに、足を止めずに走り込んだ都築のシュートは惜しくもヒットせず。襲い掛かる帝京。
大井に轟いたカナリアの雄叫び。64分、ゴール右寄りで得たFK。古市の機転はニアサイドへのワンバウンド。弾丸のスピードで突っ込んだ柳下のヘディングは、勢いそのままにゴール右スミへ飛び込みます。後半はしきりにチャンスへ顔を出し、「元々は前の選手。ウチの中では攻守に一番」と指揮官も口にしたCBが殊勲の同点弾。スコアは振り出しに揺り戻されました。
徐々にイージーミスも減り始め、研ぎ澄まされる感覚。73分には両者に交替。修徳は関秀太(3年・スクデット)が、帝京は「一番脚力がある」と荒谷監督が信頼を寄せる阿久津義和(3年・帝京FC)がそれぞれピッチへ解き放たれ、お互いに最後の15分間で勝負を付けにかかります。
2度目の咆哮はまたもカナリア。83分、右から竜崎廉(3年・FC駒沢)がファーサイドまで届けたFKを、2トップの一角に配置されながらもなかなかいいシーンに絡めなかった山駿介(2年・クマガヤSC)はヘディングで競り勝ち、頭上に舞ったボールを自らループヘッド。緩やかな軌道が包み込まれた先はゴールネット。帝京がこの日初めて一歩前に出ました。
修徳は死なず。失点から1分後の84分、右サイドでの攻防を粘って粘って抜け出した峰和也(3年・Wings U-15)は、中を確認してマイナスにグラウンダー。ここで待っていたのは途中出場の関。力強くかつ冷静に右足を振り抜くと、打ち破られた帝京ゴール。「サイド攻撃へのポジショニングが悪く、ボールウォッチャーになった」と荒谷監督は渋い顔。リードはわずか1分で消え去ります。
春夜の激闘もクライマックス。アディショナルタイムは3分。意地と意地がぶつかり合い、双方シュートは打てず、もはやドロー決着濃厚と思われたラストプレー。古市が左から蹴ったCKを、中央で小川がシュートに変えると、ボールはDFの体へヒット。直後、主審が指し示したのはペナルティスポット。ハンドというジャッジで帝京にPKが与えられます。柳下の助走。構える高橋。柳下の選択は向かって右。高橋の選択は向かって左。「打ちのめされても、谷底に落とされても、何遍でも這い上がってくる」(荒谷監督)真骨頂がここに。帝京が劇的な決勝ゴールで勝ち点3を奪取する結果となりました。
「帝京にだいぶ力を引き出してもらった気はする」と岩本監督が語ったように、両チームが持てる力を出し合った好ゲームでした。去年のインターハイ準決勝も土壇場の大逆転で修徳が全国切符を獲得するなど、この両者の対戦はいつも"何か"に突き動かされたかのような、とにかく面白いゲームになることが多い気がします。「ウチとしては上出来だけど、まだまだこれからですよ」と荒谷監督。今シーズンもこの2チームは間違いなく首都の主役候補として我々を楽しませてくれるであろうことを確信した、極寒の大井埠頭でした。          土屋

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