mas o menos

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2013/04

S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年04月12日

T1リーグ第2節 都立駒場×成立学園@駒沢第2

mas o menos
  • Line

komazawa0411.jpg昨日4試合が行われたT1第2節で、唯一の木曜ナイトゲーム。東京高校年代では最も使用頻度が高い"駒2"が舞台です。
昨年はインターハイ、選手権共にベスト32敗退と、悔しさが残ったトーナメントとは対照的に、T2を準優勝で駆け抜けてトップディビジョンに帰還した都立駒場。T1唯一の都立勢は名将・山下正人監督の下、「今はどれだけ自分たちでできるか。ここまでやってきた練習で何ができるか」という時期のリーグ戦で、"トリコマ"らしさを磨きます。
対するはプリンス関東からの降格を受け、久々に東京のコンペティションに戻ってきた成立学園。昨年のインターハイ予選も、あと1勝で全国という準決勝敗退。近年はなかなか檜舞台まで辿り着けないシーズンが続いており、指揮官も太田昌宏監督に替わった今シーズンは、再び強豪としての矜持を取り戻したい1年になります。海沿いではないものの、今日の"駒2"も寒さは真冬級。2日続けてブルブル震えながらキックオフの時を迎えました。
T1開幕戦、関東大会予選と「ウチのサッカーがあまりできなかった」(太田監督)成立の決意は2分。相手GKへ猛然と掛けたプレス。山本涼太(3年・東川口FC)がセカンドを拾い、河上知樹(3年・FC杉野)のシュートは枠を越えたものの、「相手の陣地でやりたいので、自分たちからアクションを起こす狙い」(太田監督)をいきなり体現すると、その勢いは4分に結実。左から河上が入れたCKを、中央でフリーになったCBの内田悠磨(2年・東松山ペレーニア)が左足ボレーでゴールへグサリ。まさに先制攻撃。成立が早くもリードを手にします。
10分には駒場も菊地広輝(3年・フレンドリー)がクロス気味に放ったミドルがクロスバーに当たるシーンを創りますが、基本的には成立が山本と河上のドイスボランチを中心にボール支配。15分と17分には共に河上がミドルで相手ゴールを牽制するなど、「入りは良かった」と太田監督も認める出来で、主導権を奪ってみせます。
駒場もしっかりサイドへと展開する姿勢は窺え、20分には左サイドで粘ってキープした船倉康平(3年・国分寺第一中)がシュートを打ち切るも、成立GK中座大輔(3年・ソシエタ伊勢SC)がファインセーブで回避。直後にもレフティの篠原力(2年・FC東京U-15むさし)が右サイドから積極的なミドルを枠内へ飛ばし、整える反撃体勢。
ただ、「ボール際のプレッシャーがただ行くだけで、取りに行っていない」と山下監督も振り返ったように、20分過ぎからは徐々にラインも下がってしまい、成立のパスワークに後手を踏む格好に。その成立は23分、左SBの新岡稜(2年・成立ゼブラFC)が上げたクロスから、ファーへ潜った浅野裕永(3年・鹿島アントラーズJYつくば)のヘディングは枠の右へ。30分には浅野が右へ展開したボールを丸紘生(3年・ジェフユナイテッド千葉U-15)が繋ぎ、右SBの吉田将也(2年・成立ゼブラFC)がトライしたクロスはDFに当たり、あわやオウンゴールに。両SBも積極的に前へ飛び出し、攻撃に厚みを加えます。
すると、2度目の歓喜は31分。左CKの流れから、逆の右サイドを河上がスルスルと抜け出し、GKを外す絶妙のスピードとコントロールで中央へ。無人のゴールへプッシュしたのは、またも内田。「カバーリングやインターセプトを集中してやってくれているので評価は高い」と指揮官も守備面に言及したCBのドッピエッタ。点差が広がります。
こうなると幕の下りない成立劇場。36分、今度は左サイドを巧みに突破した丸がグラウンダーで中へ流し込み、浅野は冷静に右スミへ突き刺す3点目。41分に上村諒斗(2年・クラブ与野)が左から送ったピンポイントクロスに、山本が合わせたボレーは枠の右へ外れましたが、45+2分の舞台は右サイド。創って創って上村のラストパスを、角度のない位置からやや強引に打ち切った浅野のシュートはGKの股下を破る4点目。「戦えていなかったよね」とは山下監督。意外な展開となった前半は、成立が大量4ゴールを奪って45分間が終了しました。
後半も先にチャンスを創出したのは成立。51分、右から佐藤倖一郎(3年・成立ゼブラFC)が2本続けて蹴ったCKの2本目。ファーサイドで中村諒介(3年・武南ジュニア)が狙ったヘディングはヒットせず、枠内へは飛ばなかったものの、まずは追加点を意欲的に狙った成立がセットプレーで機先を制します。
ところが、次に記録されたのは"5点目"ではなく"1点目"。54分、その直前の選手交替で、左SHから「普段やったことのない」(山下監督)左SBへ移っていた千葉丈太郎(3年・JACPA東京FC)のロングスローを、前半終盤に最前線へ投入されていた末益勇人(3年・調布第四中)が頭ですらすと、今井淳貴(3年・横河武蔵野FC JY)の左足ボレーは緩やかにかつ正確に右スミを捉え、ゴールへ飛び込みます。「ヘディングが異様に強い」と山下監督も認める末益の起用も含め、采配ズバリ。駒場がようやく1点を返しました。
ここから存在感を発揮したのは、元々はディフェンダーながら、「"落とし"を教えたら3回に1回はいいのが出てきた」と山下監督も言及した末益。得点直後の54分にもフィードを収めて反転すると、ミドルをきっちりと枠内へ。56分には高田朋幸(3年・FCトッカーノ)からボールを引き出すと、右へ優しいパス。篠原の折り返しに今井が走り込んだフィニッシュは、よく戻った吉田のブロックに遭いましたが、末益の"タメ"がもたらした攻撃の好リズムは、「後半は奪いに行けと言ったら、取りに行くようになった」(山下監督)守備面にも波及。流れは一変。駒場が攻勢を強めます。
十分なリードを手にしながら、「ちょっとバタバタして行ったり来たりになってしまった」(太田監督)成立。58分には河上のミドルも駒場GK前平麗也(3年・練馬中村中)のファインセーブに阻まれ、63分に右から投げ込まれたロングスローの流れから、最後は浅野が枠に収めたフィニッシュも前平がキャッチ。突き放せないゼブラを尻目に、「体が強いから頑張れるし、簡単に抜かれない」(山下監督)キャプテンの完山日大(3年・八王子由井中)をアンカーに置く4-1-4-1も機能したトリコマ。双方交替カードを次々と切り合う中、ゲームはラスト10分間の攻防にもつれ込みます。
83分は駒場。千葉のFKがこぼれると、高田が左足で狙ったシュートはゴール右へ。85分も駒場。ダイレクトパスが2本繋がり、高田が裏へ落としたボールに末益が走るも、中座が思い切り良く飛び出してクリア。87分は成立。上田悠起(2年・成立ゼブラFC)が左へ振り分け、途中出場の町田ブライト(2年・鶴ヶ島南中)はゴリゴリ運んだドリブルから、前平に好セーブを強いる好シュート。89分も成立。右サイドで深尾春輝(3年・FC杉野)が縦へ流し、吉田が鋭く送った低空クロスは中と合わず。
90+3分のラストチャンスは駒場。末益を起点に菊地を経由し、山口将也(2年・赤羽岩淵中)がチャレンジしたミドルは中座ががっちりキャッチ。「公式戦になるとどうしても縦、縦になってしまう」と苦笑いしながら、「結果が出ていることだけはいい」と太田監督も話した成立が、リーグ開幕連勝を飾る結果となりました。
「まだ"春"なのでこれを1年間どう続けていくか」と太田監督が語り、「まだ4月だもん。慌てなくていいよ」と山下監督も笑った通り、チームがまだ固まっていないが故に、色々な発見のある面白いゲームだったと思います。昨日の帝京同様、双方の大半が今シーズンからレギュラーを掴んだ選手たちで、「まだ競争させている段階」(山下監督)ならではの緊張感も。どちらも次の試合を見るのが楽しみになるような、底冷えの"駒2"でした。          土屋

  • Line