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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年04月08日

J2第7節 横浜FC×熊本@ニッパ球

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mitsuzawa0407.jpg3つの負けを重ねているホームチームと、3つの引き分けを重ねているアウェイチームの対峙。共に"3"からの脱出を懸けた一戦は、春の嵐が吹き荒れる三ツ沢です。
敵地で迎えた開幕戦は岐阜に快勝し、徳島、G大阪と難敵に引き分け、上々のスタートを切ったかに見えた横浜FC。ところが、山口素弘監督の地元へ乗り込んだ群馬戦で数的優位を生かせずに敗れると、そこからまさかの3連敗。特に前節の山形戦は、山口監督就任後ワーストとなる5失点を喫しての完敗。ホームで仕切り直しと行きたいゲームです。
一方の熊本は開幕2連敗と厳しい立ち上がりとなりましたが、背水の陣で挑んだアウェイの松本戦で今季初白星を獲得。以降はG大阪、東京V、富山といずれもドロー。「これを勝ちに繋げていければ、意味ある"引き分け"になる」とは北嶋秀朗。J2屈指の強豪相手にポジティブな"1"をスタートさせたい所です。前述した通り、ピッチを縦断する強風を受けて、コイントスに勝った熊本は風下を選択。エンドの入れ替わりを経て、横浜のキックオフでゲームはスタートしました。
いきなりの決定機は"風上"の横浜。5分、CBの森下俊がクリア気味に前へ送ったフィードは風で少し軌道が変化し、熊本のCB吉井孝輔は目測ミス。抜群のスピードで落下点へ走り込んだ今シーズン初スタメンの黒津勝がかっさらい、そのまま持ち込んだシュートは枠の右へ外れたものの、風と起用した選手のスタイルがいきなりマッチした格好でチャンスを創ります。
ただ、以降の横浜はなかなか風にアジャストし切れず、「前節の結果もあって、前半に関しては意気込んでいるのが見られた」と山口監督も認めたように、前への意識が空回りするシーンが多く、長いボールも大半がGKまで流れるか、ゴールラインを割ってしまいます。12分にゴール右寄りで掴んだFKのチャンスも、「風もあるから思い切って左足で行こうと」松下裕樹が直接狙ったボールはクロスバーのはるか上へ。18分には相手のクリアミスを拾った寺田紳一が右へスルーパスを送り、武岡優斗が狙ったミドルも枠の右へ。スコアを動かせません。
一方、攻撃の手数こそ多くないものの決してリズムは悪くなかった熊本は、齊藤和樹が膝の負傷によってわずか13分で「ゼロアップで入りました(笑)」という北嶋との交替を余儀なくされましたが、その北嶋とファビオも風下のボールが"止まる"特性をうまく生かしながら、前線で基点創りに奔走。膠着状態の中でも、少しずつゴールの予感を感じさせるようなアタックが出始めます。
すると26分には熊本に決定的なシーン。右サイドで仲間隼斗とのコンビネーションから藏川洋平が上げたクロスは、ファーサイドで待っていた藤本主税の足元へ。確実に止めてから放ったシュートは、しかし横浜GK柴崎貴広がビッグセーブで回避。先制点には至らず、28分にここも藤本がゴールまで約25mの距離から狙ったFKはクロスバーの上へ。35分に仲間が枠内へと飛ばしたミドルも柴崎にキャッチされ、スコアボードの数字は変わりません。
流れの中からは20分近くシュートのなかった横浜が、37分に掴んだビッグチャンスはセットプレー。右サイドでボールをプレースした松下のキックは高精度。ファーサイドに飛び込んだ西嶋弘之のヘディングは左ポストへハードヒット。こぼれに詰めた小野瀬康介のシュートも枠には飛ばず、千載一遇の先制機も霧散します。45+2分に小野瀬の右CKに合わせた野上結貴のヘディングも枠の上へ。「前半我慢して後半勝負」と話した吉田靖監督の狙いがハマったような熊本の流れで、最初の45分間は終了しました。
原田拓のキックオフシュートで幕を開けた後半は、スタートから横浜に勢い。48分に小野瀬が左から蹴り入れたCKは何とか熊本ディフェンスがクリアしましたが、54分にもチャンス到来。熊本のボランチに入っていた原田のミスパスから、拾った小野瀬は左へセンス溢れるスルーパス。黒津はいい体勢でボールを呼び込み、シュート体勢に入りかけると、ここは前半の借りを返さんとばかりに吉井がクリーンなタックルでボールを搔き出します。
「風下になった方が推進力を見せられたかな」と山口監督も振り返った横浜のラッシュ。56分、ピッチ中央、ゴールまで30m強の位置から松下がチャレンジした直接FKは、ボール1つ分だけ枠の左へ。60分も横浜。佐藤謙介が右サイドへ流れ、寺田のリターンを受けると、そのまま打ち切ったシュートはヒットせずに枠外へ。横浜寄りに振れ出した勝負の針。
決断した吉田監督。62分、原田に替えて、「ボールを動かすために」(吉田監督)養父雄仁をそのままドイスボランチの一角へ投入。「風上というのを少し全体が意識し過ぎていたように感じた」と北嶋も振り返った前への"急ぎ過ぎ"を抑止し、しっかりボールを回しながら攻撃するというメッセージを、改めて浸透させます。
66分は熊本。左サイドで片山を起点に、仲間が低空飛行の高精度サイドチェンジ。上がってきた藏川がグラウンダーのクロスをニアへ送り届け、飛び込んだ北嶋はオフサイドにこそなりましたが、しっかりした形から惜しいチャンスを創出。72分にも養父の左CKから、仲間、黒木と連続フィニッシュ。再び熊本が整えた反攻体勢。
73分は横浜の交替策。「少しリズムが相手に行きかけたので、前とサイドでポイントを創りたかった」という山口監督は、左SBの西嶋に替えて田原豊を投入。最終ラインには野上結貴、ペ・スンジン、森下の3枚が並び、その前に松下が鎮座。最前線には田原と黒津という「キャラクターも全然違う」(松下)2人が並ぶ、3-1-4-2へシステムも変更します。
それでも衰えない熊本の意欲。76分、右から左へ流れながら仲間が受けて放ったミドルは大きく枠の右へ。79分、藤本、ファビオと繋ぎ、ここも仲間が左へ流れながら打ったシュートはクロスバーの上へ。横浜を上回るシュートの数で、アウェイチームが燃える赤いサポーターと共にボルテージを上げていきます。
82分に山口監督が切った"2枚目"のカード。寺田に替えて中里崇宏をピッチへ送り込み、中盤にテコ入れを図ると、その前から「普段もどちらかのSBとCBの3人でパスを回しているので、それの変形というイメージ」(松下)という最終ラインもきっちりポゼッションに加わりながら、続く好リズム。
85分は横浜。松下がタッチライン際で粘って残すと、武岡は右サイドをえぐり切って中へ。こぼれに反応した小野瀬のシュートは熊本DFが体でブロック。88分は横浜の決定機。野上の右クロスを小野瀬が頭で折り返すと、中里が素早く振り抜いたボレーは枠を捉えるも、熊本不動の守護神・南が抜群の反応から足でストップ。89分も横浜。左から松下が当てたクサビを黒津がヒールで落とし、田原がきっちり枠内へ収めたシュートも、南がファインセーブでストップ。試合は最終盤へ。
熊本に訪れたラストチャンス。90+1分、左サイドで一度はロストしたボールに、粘り強く食らいついた藤本が右足アウトでクロス。得意のニアへ入ったのは北嶋。ストライカーらしい"潜り込み"でしたが、「ゴールポストの位置が感覚と違っていた」というヘディングはわずかにゴール左へ逸れてしまい、アディショナルタイムの先制弾とはいかず。横浜の"3"はストップしたものの、熊本の"3"は継続するスコアレスドロー。両者勝ち点1ずつを分け合う結果となりました。
熊本はこれで4試合連続のドロー。今日の相手も含め、昇格候補から勝ち点1ずつを獲得したというのはプラス材料だと思いますが、なかなか勝ち切れない試合が続いているとも言い換えられるでしょう。「自分たちから引き分けていることをネガティブに持っていかないようにしたい」と北嶋。"4"の次に続く数字が、今シーズンを大きく左右するのではないでしょうか。
横浜FCはこれで3つの引き分けを含む6試合未勝利。ただ、「前節の負け方を受けて、選手はその戦いからいい方向に持って行こうという意思や意識を非常に見せてくれた」と山口監督。連敗を"3"で阻止したことをポジティブに捉えている印象を受けました。「悲観はしていないが、悲観という言葉が好きではないだけで危機感はある」と口にしながら、「この状況は自分たちでしか変えられない」と言い切った指揮官。振り返れば去年の開幕7試合で獲得した勝ち点は3。このチームの驚異的なリバウンドメンタリティは誰もが知っているはずです。          土屋

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