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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年04月27日

プリンス関東2部第4節 関東第一×國學院久我山@清瀬内山

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kiyose0427①.jpgこのディビジョンで考えるならば、新たに勃発した"東京ダービー"。関東の舞台で東京高体連の2強が対峙します。
2年続けて掴みかけた全国への切符が、固く握り締めていたはずの両手から儚くすりぬけていったのは関東第一。プリンス関東のチャレンジは2年目であり、リーグでの結果を追い求めながら、まずは夏の王者を目指します。
煌めく1年生を擁し、冬の全国を沸かせたのは2年前。さらなる躍進を期待された昨年、トーナメントのコンペティションでは悔しい結果に終わったのは國學院久我山。とはいえ、T1を堂々と制した対価の関東で今シーズンは早くも存在感を示しています。舞台は強風が舞う清瀬内山。インターハイや選手権ファイナルでもおかしくない好カードは、11時ジャストにキックオフを迎えました。
ファーストシュートは18秒の久我山。相手陣内でボールを受けた富樫佑太(3年・ジェファFC)は、ミドルレンジから右足を一振り。軌道はわずかに枠の右へ逸れたものの、「プリンスの得点王と優勝が目標」と話す10番がいきなりその実力の片鱗を披露します。
セカンドシュートは6分の関東第一。左サイド、ゴールまで約30mの距離で獲得したFK。スポットに立ったのはキャプテンマークを巻く忠岡義紀(3年・フレンドリー)。思い切って直接狙ったボールは、ストレートにグングン伸びてわずかにゴール左へ外れましたが、こちらもキャプテン自ら打ち合う姿勢を明確に表明します。
ただ、立ち上がりからボールを握り、ゲームをコントロールしていたのは久我山。U-17日本代表にも選出されるなど都内屈指のプレーメーカー渡辺夏彦(3年・FCトリプレッタ)を中心に、ショートパス主体で崩しに掛かるスタイルは今年も健在。「あまりにもいい形でシュートを打とうとしているかな」と李済華監督が指摘した部分は確かにあるとはいえ、小田寛貴(3年・ジェファFC)や松村遼(3年・國學院久我山中)などドリブラータイプも要所に配し、チャンスメイクという意味でのバリエーションは間違いなく全国レベル。迫り続けるシュートの"一歩"手前。
対する関東第一は、やや押し込まれる中で長いボールを用いたアタックを強いられましたが、サイドを使えた時にはきっちりチャンスを創出。12分には忠岡が右へ付け、田中裕也(3年・Forza'02)が小倉涼(3年・クリアージュ)とのパス交換からシュート気味のクロス。ここは久我山GK仲間琳星(2年・ジェファFC)に弾き出されたものの、21分にも右SBの高野幸祐(3年・Wings U-15)がダイアゴナルに走った攻撃参加からCKを獲得するなど、反発力は失いません。
24分は久我山。渡辺が富樫との連携からエリア内へ侵入すると、シュートのタイミングで滑った関東第一ディフェンスは何と3人。こぼれを拾った富樫にもしっかり寄せ切り、シュートは枠の左へ。29分も久我山。混戦からのルーズボールに小田が絡み、それを拾った飯原健斗(2年・横浜FC JY)のシュートは関東第一GK大藤洋輔(3年・ヴェルディSSレスチ)がキャッチ。徐々に押し込む久我山。
千載一遇の先制機は36分。関東第一のチャンスはやはりサイドアタック。忠岡を起点に渡部太一(3年・FC杉野)が右へ綺麗に展開。田中の高速クロスは中央でフリーになった小倉へドンピシャも、ヘディングは枠を捉え切れず、黄色のイレブンは一斉に頭を抱えます。
すると、サッカーの鉄則とも言うべき"ピンチの後にチャンスあり"が現実に。38分、右サイドでボールを動かす久我山は、渡辺が小さく富樫へ。角度のない位置から「相手もあまり来ていなかったので、打てるかなと思ってあまり何も考えずに」右足を振り抜いた富樫の一撃は、まさに弓矢の如く左サイドネットへ突き刺さります。位置の確保。シュートへの決断。コースと強さの選択。すべてがパーフェクト。富樫のスーパーな先制弾で、久我山が1点のアドバンテージを手にしました。
以降も久我山のラッシュ。38分、ゴール前で飯原が粘り、渡辺が至近距離から放ったシュートは、DFとGKで築いた関東第一の人垣がブロック。43分、右サイドからのシュートコーナーを、最後は平野佑一(3年・東京ヴェルディJY)が枠を越えるミドル。44分、左SBに入った加藤寿弥(3年・FC東京U-15深川)のクサビを柔らかく吸収した富樫は、ターンからトーキックでのフィニッシュを枠の上へ。「前半はゲームをコントロールできていたと思う」と李監督。久我山がリードして、最初の45分間は終了しました。
後半も大きく流れは変わらず、やや久我山ペースで推移した立ち上がりを経ると、関東第一を率いる小野貴裕監督の決断は55分。「もうちょっと1枚がボランチの前で浮くはずだったけど、横並びになってしまった」小倉と小林海輝(3年・三井千葉SC)の2トップを、そっくりそのまま田中ヨシ(3年・Az'86 tokyo-ome)と竹内晨(3年・FC府中)に入れ替え、前線に変化を加えます。
この交替策以降、「風もあって押し込まれた」と富樫も認めたように、風上というアドバンテージも"追い風"にして徐々に巻き返す関東第一。59分には左サイドでのスローインから、山崎健之郎(3年・Wings U-15)が上げたクロスに、田中はシュートまで持ち込めず。61分にも高野、田中とパスが回り、竹内が枠へ飛ばしたミドルは仲間がキャッチ。65分にも忠岡が35m近い距離から、わずかにクロスバーを越えるFKを放つなど、同点への意欲を隠しません。
70分には関東第一に2人目の交替。田中裕也と替えた菊池優生(3年・三菱養和調布)が左SBへ入り、山崎が1列前へ。71分には久我山に1人目の交替。飯原に替えて、1年生の小林和樹(ジェファFC)がそのまま3トップの右へ。両指揮官の交差する思惑。72分は久我山のチャンス。渡辺のスルーパスに、マーカーと体を入れ替えて前へ出た富樫のシュートは大藤がキャッチ。ゲームは最終盤へと突入します。
73分、歓喜の輪は黄色。忠岡、角口大征(2年・FC府中)と繋いだボールから、エリア内へ侵入した田中ヨシを久我山DFが倒してしまい、主審はPKを指示します。ようやく巡ってきた絶好の同点機。キッカーは忠岡。静まるピッチ。忠岡の決断は右。仲間の決断も同サイド。しかし、わずかに食い違った高さの狙いで忠岡に軍配。1-1。キャプテンが重責を果たし、ゲームは振り出しに戻りました。
意地と意地のぶつかり合う一戦は残り10分。両者に勝利の可能性を残して推移していく時間。そんな激闘に終止符を打ったのは、交替で投入されていた1年生の積極性。84分、右サイドで渡辺とのワンツーでエリア内へ潜っていった小林に、やや遅れて飛び込んだ関東第一DFが接触。もつれた2人の明暗。ファウルは守備側。今度は久我山にPKが与えられます。キッカーは松村。プレイス。助走。右スミへ打ち込んだボール。GKは逆。「2チームしか昇格できないことを考えれば、一戦一戦が本当に大切」と李監督。89分には富樫の退場こそあったものの、最後は10人でゲームをクローズした久我山が、首位をキープする3つ目の白星を奪い取る結果となりました。
「ウチに対するいい意味でのライバル心もあるはず」と李監督も口にした"新・東京ダービー"は熱戦になりました。勝敗を分けたのは結果的に2つのPKでしたが、お互いにボールを大切にしたスタイルでやり合う姿勢を見せ、今シーズンも東京を牽引していく2チームであることをピッチ上で証明してくれたと思います。個人で言えば、やはり「ウチの2枚看板」と李監督も評した渡辺と富樫は別格の存在感。特に「ネイマールと"昔の"ロナウドを参考にしている」という富樫はゴールシーンのみならず、落ち着き払ったプレーで異次元の空気を纏っていました。「ネイマールみたいに楽しくサッカーをしたいです」と語る今シーズンの彼には大いに注目していきたいと思います。             土屋

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