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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年04月29日

プリンス関東2部第4節 武南×水戸ユース@清瀬内山

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kiyose0428.jpg「去年、僕が来た時には正直に言ってプロになろうとしている集団ではなかった」と振り返ったのは樹森大介監督。それから1年。「彼ら自身もしっかり変わってくれて、やってやろうという雰囲気になっている」とその指揮官に言わしめた水戸ユースにとって、新たなチャレンジとなるステージはプリンス関東です。
2年続けての県リーグ6位。過去のトップ昇格者はわずかに4人と、決して県内においてもその存在感を示しているとは言い切れなかった水戸ユース。しかし、昨シーズンの鮮やかな反攻。県リーグで鹿島高校や水戸商業などの強豪を抑えて県王座に就くと、参入戦でインターハイ群馬代表の前橋商業を破り、見事に昇格を勝ち取りました。辿り付いた関東ではここまで3連敗と結果は付いてきていないものの、「毎週モチベーションを持って、トレーニングもしっかりできている」と樹森監督。同じ昇格組であり、昨年のインターハイで全国準優勝に輝いた埼玉の名門・武南に挑む第4節は、午前中から続く強風の中で14時にキックオフされました。
様子見のような立ち上がりを経て、先にチャンスの芽を掴んだのは水戸。6分、右SBに入った額川大和(1年・水戸ホーリーホックJY)のフィードは逆サイドに潜った浅利航大(2年・1FC川越水上公園)へドンピシャ。浅利のトラップが流れ、フィニッシュは取れなかったものの、シンプルなアタックでまずは背後の脅威を相手に与えます。
現状のチームを把握する樹森監督は「自分たちのスタイルというよりは、相手を見てしっかりサッカーをしよう」という戦い方を選択しており、システムは4-3-3を採用。「前半は風上なのでセカンドボールを意識して」(樹森監督)中盤に厚みを持たせ、3トップのワイドにも献身的な守備を求めるなど、まずはしっかりした守備からという形を徹底させてゲームに臨みます。
9分の武南。鈴木裕也(3年・市川大洲中)の右CKを、中川風希(3年・武南JY)が叩いたボレーはDFがクリア。10分も武南。中盤のルーズボールを収めた室﨑雄斗(3年・武南JY)のミドルボレーは枠の左へ。12分も武南。ボランチの小宮孝介(3年・武南JY)を起点に中川が右へ振ると、田中兄也(3年・武南JY)のシュートはこれまた枠の左へ。一気に攻勢へ出た紫の古豪。
14分には連続CKを獲得した水戸も流れを引き寄せるまでには至らず。18分も武南。右サイドをスルスル抜け出した田中は、そのままシュートまで持ち込み、水戸GK畔上和也(3年・F.C.中野エスペランサ)にキャッチされましたが、個の強さを発揮。24分には中央から右へ流れながら、腰を回して逆サイドを狙った奥村宣彦(3年・FC KASUKABE)のシュートは左のポストを直撃。こぼれを再び狙った奥村には、畔上が寄せて何とか危機を回避するも、30分にもCKから最後は鈴木が枠を越えるミドルを繰り出すなど、武南の時間が続きます。
その武南で目立っていたのは中川と田中の前線コンビ。比較的揃って右サイドに流れることが多く、12分や18分のチャンスはその動きから。ボールの引き出し方も巧みで、3列目の鈴木や小宮が前に出て行く時間の創出という意味でも、かなり重要な役割を果たしている印象を受けました。
31分は水戸。高い位置で入栄貴(3年・水戸ホーリーホックJY)がボールを奪うと、栗田昌明(1年・水戸ホーリーホックJY)のシュートはDFのブロックに遭い、枠までは届かず。再び武南の猛攻。36分、左サイドを鈴木がぶち抜き、そのまま枠へ飛ばしたシュートは畔上がファインセーブ。37分、鈴木の右FKから、最後は高野拓実(2年・大宮アルディージャJY)のシュートがゴール左へ。
40分は水戸。エリア内で粘った入が、何とか最後に足を伸ばしたシュートは武南GK荒井文弥(2年・C.A.アレグレ)がしっかりキャッチ。42分は武南。右へ回った左SHの室﨑がクロスを送り、こぼれを田中が打ち切ったシュートは畔上がセーブ。水際で踏みとどまる青の壁。
ところが、45+1分に飛び出したゴラッソはやはり武南。中央やや左、ゴールまで25m強の位置で獲得したFK。ボールをセットしたのは、昨年の全国準優勝も主力で経験している鈴木。短い助走から左スミを直接狙った弾道は、ポストを叩くとゴールの中へ勢い良く飛び込みます。これぞ武南の"10番"。鈴木のスーパーな一撃で、武南がリードを奪って前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、樹森監督は1人の交替とシステムチェンジを敢行。左SBの内山慧大(2年・鹿島アントラーズノルテ)に替えて、相樂駿太(1年・福島ユナイテッドFC JY)を送り込むと、アンカーの位置にいた小圷瑛士(2年・水戸ホーリーホックJY)を最終ラインに落とし、3トップのワイドも少し後ろに下げた5-4-1にシフト。「相手のSBが高い位置を取ってくるので、そこを狙おう」と指示を授けて、後半のピッチへ送り出します。
それでも武南のアタック強度は落ちず。52分には室﨑のクサビを中川はヒールで落とす好アイデア。フォローした室﨑は潰され、フィニッシュには繋がりませんでしたが、個のひらめきは魅力十分。53分にも室﨑のクサビを今度は田中が落とし、室﨑はゴール右へ外れるシュートまで。2度目はやり切る強い意志。
流れを変えたい水戸が、2枚目のカードを切ったのは55分。左SHの小原伯義(1年・FCアネーロ宇都宮)とスイッチした藤本隆太(2年・ウエストサイド境SC)はドイスボランチの一角に入り、そこにいた石川璃央(1年・水戸第一中)が空いた左SHへスライドして、同点を狙いに打って出ます。
攻めてはいるものの、2点目になかなか届かない武南。56分、左から勝山雄月(3年・坂戸ディプロマッツ)が入れたCKを、中川が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。61分、中川が右へ振り分け、SBの小池修斗(3年・グランデFC)が上げたクロスから、田中が放ったシュートもクロスバーの上へ。同じく61分、勝山、中川、鈴木と細かく回り、小宮の枠内ミドルは、しかし畔上がファインセーブで阻止。畔上やCBコンビの大橋陸人(2年・水戸ホーリーホックJY)と新居見拓人(3年・水戸ホーリーホックJY)を中心に、追加点を許さない水戸ディフェンス。67分には五来航(3年・アセノFC)、75分にはアサディ椎医奈(2年・練馬FC)を送り込み、「ラスト15分は前から行かせる」という樹森監督の下、果敢に目指す勝ち点獲得。
伝統の意地。76分、バックスタンドサイドのタッチを割った武南ボール。勝山が投げ入れたロングスローを水戸の人垣は跳ね返せず。混戦の中から頭で押し込んだのは、4分前に投入されたばかりの山本奨(2年・C.A.アレグレ)。広がる白と紫の輪。次の得点は武南に入りました。
苦しくなった水戸は84分に齊藤仁人(1年・つくば竹園東中)を最前線へ投入。何とか1点を返しに行きますが、85分、87分、88分と相次いで際どいシュートを見舞われるなど、なかなか自陣から飛び出せず、89分に中央で繋ぎ、入のパスからアサディが掴んだこの日初めての決定機も、シュートは枠の左へ。高い"1点"の壁。
最後の得点も武南。90+2分、右サイドを奥村がぶち抜いて中へ。何とか水戸ディフェンスもボールに食らいついたものの、最後は山本がきっちりゴールへ流し込みます。「最後は2トップにして、前から行かせたのである程度は仕方ない」と樹森監督。武南が終盤にその強さを発揮する形で、勝ち点3を積み上げる結果となりました。
「最後は力不足がはっきりしていた」と樹森監督も話した水戸。これで残念ながら4連敗となってしまいましたが、「1年間通してこういう戦いをできることは凄く幸せなことで、選手自身もそれはわかっている」(樹森監督)というチームが、関東の舞台で着実に積み上げているモノは、決して小さくなさそうです。「あとは結果の1つでも出れば、またどんどん自信を持っていける。絶対チャンスはあると思います」と力強く言い切った指揮官。"進め進め、とどまることなく。希望の拳、突き上げろ"。水戸ユースの新たなるチャレンジは幕を開けたばかりです。            土屋

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