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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年03月04日

J1開幕戦 柏×川崎@日立台

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hitachidai0303.jpg春の訪れが確実に迫り来る3月初旬の休日。"そこにある日常"が我々の元へ帰ってきました。2013年のJリーグ。栄えあるオープニングマッチです。
2011年、Jリーグ王者。2012年、天皇杯王者。21世紀に入ってからは2度の降格を経験するなど苦しい時期を経て、今やリーグの中でも確固たる立ち位置を獲得しつつある柏。水曜日に中国でのACLを戦ってきたばかりですが、「去年も経験していること」とキャプテンの大谷秀和が話したように、タイトなスケジュールは強豪の証。さらなるステップアップに挑む1年がスタートします。
J1昇格から9年。悲願のタイトル獲得に向けて、"あと一歩"を打ち破るため、プレシーズンから風間八宏監督が"イズム"を注入し、より独自のスタイルを色濃くした印象のある川崎。大久保嘉人という強烈な個も加わり、色々な意味で注目を集める存在なのは間違いありません。ホームゴール裏は黄色と黒に、アウェイゴール裏は水色と黒に彩られ、選ばれし者だけがまっさらなピッチに立つことを許される34分の1の特別な一戦は、クレオがボールを蹴り出してその幕が上がりました。
お互いにテンションの高いゲームへの入り方を選択した立ち上がりを経て、スコアが動いたのはいきなりの5分。ポイントは自ら「得意ではない」と語る茨田陽生の"守備"。「激しく行こうと決めていた」という4年連続で開幕スタメンを飾った21歳が高い位置でボールを奪うと、工藤壮人を経由してレアンドロ・ドミンゲスが左へショートパス。受けたクレオはエリア内で冷静にマーカーをかわし、右足でGKの股間を破るファインゴールを沈めます。これが2試合連発となるクレオも素晴らしかったですが、「フロンターレはパスを繋いで相手を崩すイメージがあるので、やり辛さを与えるためにも激しく行くことはみんな意識していたと思う」とチームの姿勢を体現した茨田の好守備が生み出した先制弾。早くも柏がアドバンテージを握りました。
7分には柏ディフェンスの連携ミスをレナトが拾い、大久保のミドルに繋げるなど、少しバタバタするような流れが続きましたが、徐々にゲームが落ち着き出すと、際立っていったのは柏の安定感。ちばぎん、ゼロックスとチャレンジした3バックではなく、ACLの貴州人和戦同様に、4バックを採用したDFラインは、比較的キム・チャンスと増嶋竜也を配したSBの攻め上がりも自重しながら、川崎のパスワークに対応。「ボールは自分たちが持っていた」と風間監督も話したように、ある程度キープはされる中でも、ポイントではタイトに寄せて危険なゾーンへの侵入を阻止。27分には大久保、レナト、田中裕介、レナトとショートパスでエリア内まで入り込まれたピンチも、絞っていたキム・チャンスが間一髪でクリア。1つずつ確実にチャンスの芽を潰していきます。
その川崎にとって普段との違いは、絶対的な司令塔の中村憲剛を体調不良で欠いていたこと。4-3-3の布陣で、中盤3枚はアンカーに入る稲本潤一の前に、風間宏希と新加入の森谷賢太郎を並べる形を選択しましたが、細かいパスを"凶器"にまで昇華させるには至らず、「ボールを動かしてくるが、最後はレナトの個人技」と大谷が言及したように、ファイナルサードで可能性を感じさせるのはレナトのドリブルばかり。3トップ中央に入った"受け手"の小林悠も流れに絡めません。
ただ、柏も「お互いが何をしたいかがわかってきて、コミュニケーションが取れてきた」というクレオはポストワークにキレを見せ、40分には「自分のミスだったので、最低限できることは追い掛けてボールを取ること」と大久保に奪われたボールを40m近くチェイスしてクリアするなど、格段にコンディションが向上してきたことを窺わせたものの、チーム全体は「ボールを奪った後に相手のラインが高いこともあって、カウンターを狙い過ぎた」(大谷)こともあり、フィニッシュを取り切れません。20分に相手GKのクリアを拾い、無人のゴールへ放った工藤のシュートは枠外へ。38分にクレオ、レアンドロと回し、ワグネルが枠へと飛ばしたブラジリアントリオでのアタックも西部洋平がキャッチ。双方合わせて枠内シュートが3本だった前半の45分間は、ホームチームが1点をリードしてハーフタイムへ入りました。
風間監督の決断は後半開始から。「多少足が痛いことと、少し前に入り過ぎて視野を失っていたこと」を理由に森谷を下げて、矢島卓郎を最前線へ投入。小林が右にスライドし、大久保は中盤前目へとポジションを移して、ビハインドを覆しにかかります。
53分は川崎。カウンターからレナトが右へ送ると、開いた小林は鋭いグラウンダーのクロスを中へ。双方の枚数が揃っていた中、矢島の前で体を投げ出しながらクリアしたのは鈴木大輔。もはや完全にチームへフィットしたCBがチームの危機を救うと、54分は柏。茨田を起点にワグネルを挟み、クレオは左へ。レアンドロのピンポイントクロスにクレオが宙を舞うも、ボールは左のポストを直撃。交互に創り合うチャンス。
同点か、追加点か。63分に記録されたのは後者。自陣から工藤が相手DFラインの裏へフィードを落とすと、ボールへチャレンジしたのはクレオ、中澤聡太、西部。クレオがワンタッチで西部を外したボールは無人のゴール方向へ。「相手が体を寄せてきたが、お互い戦って」(クレオ)残る2人が懸命に競り合うと、ゴール目前でお互いにもつれて倒れ、球体はネットへゆっくり到達します。西村雄一主審のジャッジはノーファウルでのゴール。ブラジル産セルビア人ストライカーのドッピエッタが飛び出し、柏がリードを広げました。
畳み掛ける柏。67分、相手のクリアミスを拾ったレアンドロが右サイドをドリブルで突き進み、カットインしながらヒラリヒラリとマーカーをかわして放った左足シュートは西部がキャッチ。押し返す川崎。70分、風間宏希がミドルパスをスペースへ落とし、反応した小林が1人かわして枠へ飛ばしたシュートは菅野がファインセーブで阻止。直後、風間監督は風間宏希を下げて、山本真希をピッチへ。にわかに活発さを増したゲーム。
そんな中、事実上の決着を付けたのはCBを務める近藤直也の"攻撃"。72分、「くさびが入るタイミングで縦パスを狙っていた」近藤はインターセプトからドリブル開始。持って、持って、相手を引き付けて右へラストパス。そこにいたのは守備面でも大きく貢献しながら、ワンチャンスを虎視眈々と狙っていた工藤。止めて、蹴り込んだ先に待っていたのは黄色い歓喜。「あそこはFWとして絶対に決めないといけない所」と振り返った"9番"の今季初ゴール。「攻めて来る分、置き去りにできる。狙いの1つ」と大谷も言及した完璧なカウンターで、トドメを刺しました。
さて、まずは1点を返したい川崎は73分に最後の交替カードを投入。小林とパトリックを入れ替え、前線はそのパトリックと矢島の2トップに移行。右に大久保、左にレナト、ドイスボランチに稲本と山本が並ぶ4-4-2へシフトして、ゴールを狙います。74分にはレナトの左FKから、中澤が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。78分、稲本が右へいいボールを送り、上がってきた田中裕介のシュートは菅野のファインセーブに阻まれ、こぼれを拾った大久保のシュートも鈴木がブロック。少しずつ得点の予感が漂い出すと79分、連続となった2本目の右CK。レナトが左足で巻いたキックは、ニアサイドのゴールカバーに入ったキム・チャンスも掻き出せず、そのままゴールへ飛び込みます。3-1。沸き返るゴール裏の水色。
2点のリードもあって、ややラインの下がり出した柏を攻め立てる川崎。81分、パトリックのリターンを山本が左足で狙ったシュートはクロスバーの上へ。85分、レナトのトリッキーなパスで山本が抜け出し、矢島が繋いで大久保が打ち切ったシュートは枠の右へ。86分にはネルシーニョ監督がようやく切った1枚目の交替カード。奮闘した茨田に替えて、安定の栗澤僚一をそのままドイスボランチの一角に送り込み、ゲームのクローズを図ります。
押し込まれながらも「最後の所でしっかりブロックができていた」(鈴木)柏は、高い集中力で前掛かる相手のブロックを回避。90+3分に田中裕介のフィードを大久保が頭で落とし、矢島が迎えた決定機も菅野が驚異的な反応で凌ぎ切ると、程なくして日立台へ鳴り響いた西村主審のファイナルホイッスル。「両チームともチャンスの多いゲームだったが、我々が決定力で上回れた」とネルシーニョ監督も評価を口にした柏が、力強くホームで勝ち点3を奪取する結果となりました。
川崎は「憲剛がいなければいけないという考え方はしていない」と風間監督は話したものの、攻撃の様々なバリエーションを考えると、やはり中村の不在が大きく響いた印象です。それが結果として、「間違いなく彼に集めて打開しようというのは、チームとして見えていた」と大谷が指摘した"レナト頼み"になってしまい、個では十分脅威を与えていたものの、厚みのある攻撃には繋がらなかったのかなと。「最後の部分を焦らずにやること。みんな技術もあるしできると思う」と話す大久保の生かし方も含め、大分相手にどれだけ攻撃面の修正ができるかが次節のポイントではないでしょうか。
柏は前述したようにかなり安定感が増してきたと思います。川崎がパトリックと矢島の2トップにしてきてからは、少し増嶋が絞って3バック気味で対応。「相手の状況を見ながら、ある程度後ろは柔軟にできている。3バックと4バックをゲームの中で応用していけるのではないかと思う」とは大谷。ベースはやはり慣れた4バックになりそうですが、増嶋の存在が「人を替えずに」(大谷)3バックへの移行をスムーズなものにさせています。「すべてにおいて100%になれば、チームの勝利に貢献できると思っている」というクレオのコンディション良化も好材料。攻守に噛み合い出した太陽王の強さが際立つ90分間でした。       土屋

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