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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
今回で23回目と国内有数の伝統を誇る春のフェスティバルは"イギョラ杯"。今年も全国各地から名だたる強豪が集結し、新チームの腕試しに挑んでいます。大会最終日となる今日は、予選リーグの結果に応じてそれぞれ順位トーナメントが開催。西が丘では午前中の準決勝を受けて、3位決定戦と決勝が行われることになり、先に東京朝鮮と三菱養和SCユースが3位の座を懸けて激突することになりました。
昨年度はキム・デセン、ハン・ヨンジュンという強力2トップを軸に、各大会での上位進出が期待されたものの、全国の切符を掴むまでには至らなかった東京朝鮮。昨年からレギュラーを務めていた、SBでもSHでもプレーできる高精度キッカーのコ・ジャンギ(2年・ジェフユナイテッド千葉U-15)を中心に、今年の目標も当然悲願の全国大会出場になるのは間違いありません。
一方の三菱養和は生方修司監督から山本信夫監督に指揮官がチェンジ。2年連続で残留を果たしたプレミアイーストでの上位進出、そしてクラ選、Jユースカップでの躍進と、目指すべき頂を見据え、新チームが動き出しています。西が丘の13時半はポカポカ陽気。眠気すら誘うような絶好のコンディションの下、東京勢同士の3位決定戦はキックオフを迎えました。
ファーストシュートは養和。4分、天満大介(2年・三菱養和SC巣鴨JY)の右CKがこぼれたボールを、中盤アンカーに入った金裕志(2年・三菱養和SC調布JY)が枠の右へ外れるミドル。8分には東京朝鮮もオン・リャンギ(2年・東京朝鮮中)のフィードをキム・サンドク(2年・東京朝鮮中)が落とし、リ・キョンソン(2年・東京朝鮮中)がミドルレンジから枠を超えるボレーを放ちましたが、13分も養和。瀬古樹(中学3年・三菱養和SC巣鴨JY)がクロスバーを越えるミドルにチャレンジするなど、ゴールへの積極性を披露します。
そんな中、先制点へ繋がったのは1本のフィード。14分、3バックの右に入った青山航(2年・三菱養和SC巣鴨JY)が逆サイドの裏へフィードを落とすと、受けた秋田翼(2年・柏レイソルU-18)は強いクロスを中へ。GKが弾いたボールに黒木周(2年・三菱養和SC巣鴨JY)がきっちり詰めて押し込みます。ボールを回す中でも1つの狙いとして使っていた"左サイドの裏"を、結果的にうまく活用した格好で養和がリードを奪いました。
すると、追加点も"左サイドの裏"。21分、シンプルな狙いから今度は左へ流れた黒木がサイドを独走。慌てて飛び込んだDFをあっさりかわすと、冷静にゴールへ流し込んで2点目。さらに28分、3バックの左を務める池田樹雷人(1年・三菱養和SC巣鴨JY)の完璧なスルーパスに、再び左サイドを抜け出した秋田は二アサイドへクロス。走り込んだ木村陸人(2年・府ロクJY)がワンタッチでプッシュしたボールは、確実にゴールネットを揺らします。すべて左サイドからのアタックでリードを3点に広げた養和。早々にゲームは決まってしまいました。
時折左SHのリャン・ソッチュ(1年・大宮アルディージャY)の仕掛けは可能性を感じさせるものの、チームとしては攻撃の形を創り切れない東京朝鮮。31分にはキム・サンドクのパスをリ・キョンソンが繋ぎ、オン・リャンギがミドルを狙いましたが枠の右へ。学校が近くということもあり、部活帰り(部活途中?)の応援団による大きな声援になかなか応えられません。
養和で目立っていたのは、やはり秋田と池田の左サイドコンビ。35分にも池田のスルーパスから、秋田があっさり抜け出すと単独ドリブル開始。フィニッシュは東京朝鮮GKチョ・ヨンギ(2年・千葉朝鮮中)がファインセーブで回避しましたが、ここも2人で決定機を創出。秋田が左サイドの裏へ抜ける形と、池田が1本のスルーパスでチャンスを演出する場面がかなり印象的だった養和が3点のアドバンテージを持って、前半の35分間は終了しました。
ハーフタイムが明けると、いきなりの閃光は青い稲妻。開始20秒、右サイドをリ・キョンソンが切り裂いてうまい折り返し。中央に入ってきたキム・サンドクが左足を思い切って振り抜くと、ボールはゴールネットへ到達します。1トップに入って奮闘していたキム・サンドクの追撃弾。東京朝鮮が1点を返してみせました。
39分には木村が右サイドを抜け出し、枠へ飛ばした決定的なシュートもチョ・ヨンギがファインセーブで阻止するなど、少しずつ東京朝鮮が引き寄せた流れ。43分にはコ・ジャンギの左CKに、キム・キジュ(2年・東京朝鮮第五中)が頭から飛び込み、あわやというシーンも。コ・ジャンギの連続CKは相手のクリアに遭いましたが、ようやくチームに前への勢いが出てきます。
ただ、その攻勢も45分前後まで。46分は養和。天満の左CKは木村の頭に届き、シュートも枠を捉えましたが東京朝鮮DFがライン上で何とかクリア。49分にはまたも天満が際どいCKを蹴り入れると、50分にはオーバーラップを敢行した池田が枠内へミドル。養和がジワジワと奪還していくゲームリズム。
そして、次に得点を記録したのも養和。51分、三たび発動した池田の必殺スルーパスに、後半開始から投入された下田悠哉(1年・三菱養和SC巣鴨JY)が反応してピンポイントの左クロス。まったくのフリーになっていた木村は確実にゴール左スミへ蹴り込み、再び点差は3点に開きました。
苦しくなった東京朝鮮は57分にチャンス創出。キム・サンドクが放ったシュートはDFに阻まれましたが、こぼれを拾ったリ・キョンソンが右へ流れながらえぐってクロス。キム・サンドクは懸命に頭に当てるもボールの勢いが弱く、養和GK荷見龍太郎(2年・三菱養和SC巣鴨JY)がしっかりキャッチすると、これが両チーム通じて最後のシュート。攻守に圧倒した養和が1-4というスコアで、3位を勝ち取る結果となりました。
東京朝鮮は少し疲労感が隠せなかった印象です。このゲームに関しては、伝統のフィジカル的な要素をなかなか出し切れず、前への迫力を打ち出せませんでした。とはいえ、昨年からのレギュラーはGKのチョ・ヨンギとコ・ジャンギぐらいで、その他の選手は比較的フレッシュな顔が並んでいます。予選リーグではかなりいいサッカーをしていたとも聞いていますし、今年も是非注目していきたいチームの1つです。
養和は1月末に見た横河武蔵野戦からシステムに変化が。4-2-3-1気味の並びは、海外で言えばユヴェントス、日本では大分トリニータが採用している3-3-2-2という、いわゆる"ピルロシステム"に変わっており、ピルロや宮沢正史の位置には金裕志を起用。3列目に当たる"3"の両サイドも果敢に攻め上がることで、前へと人数を掛けた時の迫力はかなり増強され、ボールを回しながら、局面では最終ラインから相手の背後を狙うアタックが、かなりハマっていた印象を受けました。特に何度も言及しているように、秋田と池田で組んだ"左"のホットラインはおそらくプレミアイーストでも1つの武器になりそうな予感。難敵揃いのトップリーグでも、是非街クラブの存在感を全国に見せ付けて欲しいと思います。 土屋
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