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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
伝統あるイギョラカップの大トリを飾るのは、西が丘でのファイナル。対峙するのは実践学園と流通経済大柏。昨年の長野インターハイでも激突したリターンマッチです。
昨年度は関東大会予選、インターハイ予選、選手権予選と都内トーナメント3冠を達成し、一躍脚光を浴びた実践学園。その前チームの偉業が後輩たちに与えた影響は大きく、「先輩たちの置き土産で色々なチームと試合をやらせてもらっている」と深町公一監督。「この時期にここでやれるというのは、ウチの数十年の歴史の中でも初めて」(深町監督)という聖地で、新チームの"1冠目"を狙います。
対する流通経済大柏は、前日まで出場していた2年生が横浜FCとの練習試合に臨むため、この日は1年生だけの構成に。午前中の準決勝では同じプレミアイーストに所属する三菱養和を1-0で下して、大会連覇へ王手を懸けました。ファイナルらしく、試合前には両チームのキャプテンに花束の贈呈が。最後の1試合は15時5分にキックオフされました。
大会3日目、そして午前中のゲームの影響もあってか、「向こうも出足が悪くて、それに合わせた感じ」と深町監督が評した立ち上がりは、お互いになかなか手数を出し合えない静かな展開に。11分は流経柏。高澤優也(1年・ジェファFC)のパスから、こぼれを相澤祥太(1年・ジェファFC)が拾い、渋谷峻二郎(1年・FC LIBERTAD)のシュートはDFがブロック。13分も流経柏。右サイドで伴恭輔(1年・ジェファFC)が粘って上げたクロスに、走り込んだ久保和己(1年・柏イーグルス)のダイレクトシュートは枠の左へ。19分は実践。新井直人(1年・FC渋谷)が鋭いパスカットから右に持ち出して入れたアーリークロスは、1トップの富田峻介(2年・町田JFC)へわずかに届かず。主導権の奪い合いが続きます。
21分には中村仁哉(2年・TACサルヴァトーレ)がFKを右から入れると、CBの佐藤稜太(2年・FC多摩)は頭を伸ばすもわずかに触り切れず。22分にはルーズボールを拾った中村が、左へ流れながら狙ったシュートは枠の左へ。「左足にはこだわっていきたい」と語るレフティの中村が、わずかに触れかけた攻勢の針を少しだけ実践側に進めます。
すると、この流れを生かしたのは右サイドアタッカー。23分、右SBの村田昇之(2年・FC VIDA)が裏へ送ると、飛び出した新井がGKとエリア内で接触。ホイッスルを鳴らした主審の指し示した先はペナルティスポット。実践にPKが与えられます。キッカーは中村。軽快な助走から左を狙ったキックは、流経柏GK鳥海祐哉(1年・グランデFC)も読んではいたものの、ゴールネットを確実に揺らします。「今はハイサイドを優先順位として取らせている」(深町監督)という狙い通りの形から、実践がPKで先制ゴールを奪いました。
ところがそのリードはわずか3分間で霧散。27分、右から相澤が蹴り入れたFKを福井崇志(1年・RIP ACE)が繋ぎ、浅沼拓己(1年・東京ヴェルディJY)のシュートはDFにブロックされましたが、再び戻ってきたボールを右から相澤が中へ放り込むと、残っていた山田健人(1年・Forza'02)はいち早く反応してボレー。GKと入れ違ったボールはゴールへゆっくり吸い込まれます。CBの泥臭く、華麗な一撃。1年生集団がすぐさま追い付いてみせました。
以降は流経柏にリズム。得点直後の28分には、寺澤勇志(1年・坂戸ディプロマッツ)がカウンターからドリブルシュートを放つも枠の左へ。30分にも左サイドを小川諒也(1年・Forza'02)が抜け出して中へ。GKが弾いたボールを高澤が押し込むも、ゴールライン上で実践の左SB大瀬貴己(2年・Az'86 tokyo-ome)が決死のクリア。同じく30分、左サイドで創った流れから、久保のカットインミドルはクロスバーの上へ。終盤は流経柏ペースで推移した前半は、タイスコアでハーフタイムへ入りました。
後半に入ると、再び前からのプレスがハマり出した実践に勢い。37分、「アイツはいいボールを蹴る」と指揮官も評価した中村の右CKは鳥海がパンチングで回避。直後の37分、自ら蹴った左CKのクリアボールを、大瀬が再び中へ。それまでも高さに自信を覗かせていた佐藤のヘディングは、鳥海がキャッチ。「チームのストロング」と中村も話したセットプレーから勝ち越しゴールを狙います。
今大会は交替制限がないため、実践は52分までに5人が入れ替わると、少しずつ足の止まった流経柏を攻め立ててペースを掴みましたが、落ち切らなかった1年生たちの運動量。54分、相澤の左FKがこぼれると、浅沼がシュート気味に蹴ったパスを、途中出場の武川昇平(1年・FC駒沢)が懸命に合わせたボールは枠の左へ。56分、右に繋いだボールを伴がカットインしながらチャレンジしたミドルは枠の右へ。芽生え始めた逆転への予感。
59分に弾けた赤い歓喜の輪。実践の縦パスを鋭い出足でカットした小川は、少し運んで右へ。前半終盤から投入されていた辻真人(1年・RIP ACE)のシュートは実践GK遠藤透(2年・FC GONA)が素晴らしい反応で弾き出しましたが、こぼれを辻が拾って中へ。待っていた武川は冷静に、かつ丁寧にゴール右スミへボールを送り届けます。途中投入された2人のアタッカーが大仕事。流経柏が力強く逆転ゴールを手にしました。
終盤は双方が続々切り合う交替カード。お互いに3人ずつフレッシュな選手をピッチへ送り出し、繰り広げられる最後の攻防。押し込みたい実践。守り切りたい流経柏。結果、福井と山田を中心にゴールへ固い鍵を掛けた後者に軍配。後輩ができる直前の春休みに、"新2年生"たちが栄えある優勝カップを西が丘で掲げる結果となりました。
この日の2試合で流経柏がチームとして得たものはかなり大きかったのではないでしょうか。プレミアイーストのライバル、そして全国で対戦する可能性もある"上級生たち"を撃破した1年生たちが、今後に向けて小さくない自信を掴んだのは言うまでもありません。春の気配が漂う西が丘のピッチに立った選手の中から、全国屈指のタレント集団でどれだけ出場機会を奪っていく選手が出てくるのかを今後も楽しみにしていきたいと思います。
一方、大会の総括を聞かれ、「コンサドーレなど格上相手にそれなりの結果を出してきたので、『これぐらい自分たちもやれるんだ』というのは確認できた」と深町監督が振り返った実践は、ほとんど主力メンバーが入れ替わった中でも、昨年の好結果がチーム全体に良い影響を与えているように感じました。今シーズンのチームが掲げるのは"連覇"。「全国ベスト16を超えることが目標。できればインターハイ、選手権の両方で昨年の成績を超えたい。今日負けた悔しさを生かして、練習から100%でやっていければ超えられると思う」と中村。今年も実践はかなり"やりそうな"印象を受けました。 土屋
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