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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2013年02月24日

FUJI XEROX SUPER CUP 2013 広島×柏@国立

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xerox0224.jpg"12月の王者"と"1月の王者"が対峙する舞台は聖地国立。Jリーグに春の訪れを告げる「今シーズンの大きなタイトルの1つ」(広島・森保一監督)を懸けた90分間は、おなじみゼロックスです。
悲願のリーグタイトルを獲得し、充実のオフを過ごしたであろうJリーグ王者の広島。主力の流出も最低限にとどまり、確固たる意志で積み上げてきたものにさらなる肉付けを施していくことが、今シーズンの狙いのはず。あとは「決勝まで来てもなかなか勝てていなかった」(森﨑和幸)、鬼門とも言うべき国立を克服することも今回のテーマかもしれません。
一方、Jクラブの中で最も始動が遅かった天皇杯王者の柏。先週のちばぎんカップでは今シーズンから本格的に導入している3バックと4バックを前後半で併用しながら、千葉に0-3で完敗を喫するなど、まだまだ準備段階といった様子。ただ、3日後にはACLの初戦が控えており、いいイメージを持って中国へ乗り込みたい所です。選手整列には両監督も加わり、君が代も斉唱されるなど、スペシャルな空気に包まれた一戦は13時36分、柏のキックオフでその幕が上がりました。
お互いに比較的ゆっくりと立ち上がった序盤で、少し前へのパワーで上回ったのは今日も後ろは3バックながら、3-4-3気味の布陣でスタートした柏。「このシステムでターゲットを置いて形をどう創るかを観察したかった」(ネルシーニョ監督)と、最前線に置いたクレオへシンプルにぶつける形が多く、3分にはジョルジ・ワグネルの浮き球を受けたクレオが、水本裕貴にブロックされたものの強引にシュートまで。その後も最終ラインからでも前へ早めに付けながら、セカンドを拾っていく狙いで押し込む展開を創り出します。
15分には柏がスムーズな崩し。茨田を起点にレアンドロとクレオを経由すると、飛び込んできたのは足を止めなかった茨田。ここは塩谷司が抜群のカバーでシュートを阻止しましたが、少し浮いたポジショニングのレアンドロとクレオの連携から、1ついい形が生まれました。
さて、「公式戦のプレッシャーはあったと思うし、柏は力があるので繋がりができなかった」と森保一監督も振り返った通り、なかなかうまく1トップ2シャドーへボールが入らず、攻撃の形を生み出し切れなかった広島で、躍動していたのは右WBに位置する石川大徳。10分にはワグネルからボールを奪ってCKを獲得したように、ブラジル人レフティとの主導権争いはこのゲームにおける1つのポイントだったと思いますが、同サイドのCBを務める塩谷が「ジョルジ・ワグネルの"裏"は狙い目だと思っていたので、効率的にできたと思う」と言及したように、広島の前線3枚に対応している柏3バックのサイドが空くことも手伝って、石川が裏へと飛び出していくシーンが目立ち、チームの使い所として機能します。
20分に高萩洋次郎が距離のあるミドルでチームファーストシュートを放つも、まだ勢いは柏。21分、高い位置でレアンドロがボールを奪うと、工藤壮人の反転シュートはクロスバーの上へ。28分にも相手クリアを増嶋竜也がヘディングで跳ね返すと、ボールは工藤の足元へ。1人外して放ったボレーは西川周作にキャッチされたものの、新9番がゴールへの意欲を前面に打ち出します。
国立の衝撃は29分。主役はやはりあのストライカー。左サイドでボールを持った青山敏弘が中へクロスを送り込むと、中央にいたのは再三の攻め上がりに千葉和彦も「気合が入っているなと思った」と話した水本。「絶対にプルアウェイしていると思ったので、大体の感じで流し込んだ」フリックは、予想通りプルアウェイでマーカーを外していた佐藤寿人へ。跳躍の1秒後、左足ボレーで撃ち抜かれたボールは、右のポストを叩いてゴールへ吸い込まれます。「あんなに綺麗なゴールはあまりないので、手応えのあるゴール」と自画自賛も納得の一発に、沸き返るゴール裏と静まるゴール裏。エースのゴラッソで広島が先制しました。
以降はゲームをコントロール下に収めた広島ペースに。34分にも森﨑浩司が正確なフィードで左へ回し、高萩のシュートはDFに当たるも、これを拾ったのはまたしても上がってきていた水本。フリーでのシュートはクロスバーを越え、追加点とはいかなかったものの、41分にも千葉のクサビを高萩がベルベットワンタッチで左へ。清水航平が果敢にカットインミドルへチャレンジするなど、ようやく広島らしいアタックが披露され始めます。
対する柏は「攻撃に移った時にちょっと手詰まりになってしまった」と大谷秀和が話したように、最終ラインでのビルドアップが効果的な攻撃に繋がるシーンがなかなか出てこず、単調な長いボールやサイドを崩し切れないシーンが続きます。特にちばぎんカップでは前半の3バック時に積極的なオーバーラップを繰り返していた右WBのキム・チャンスもほとんど上がれず。当然システム的なマッチアップ上、サイドのスペースが埋まりがちとはいえ、前半は石川との対比でもやや物足りない印象があったと思います。シュート数は4対2。確実にワンチャンスを生かした広島がアドバンテージを握って、45分間は終了しました。
後半はスタートから柏に勢い。47分、右サイドでキムからのリターンを受けたレアンドロのミドルはクロスバーの上へ。51分、やや右、ゴールまで30m強の距離からワグネルが直接狙ったFKは、カベに当たってコースが変わるも、西川が素早く反応してキャッチ。54分にも鈴木大輔が頭で押し出したボールをレアンドロがクロスに変え、中とは合いませんでしたが「少しアグレッシブになって、勇気を持って攻撃に出てくれた」とネルシーニョ監督。同点へ向けてペースを奪取します。
それでも広島が繰り出す"集中力"の一手は、すぐさま決定機に直結。55分、左サイドで青山が粘って粘って縦へ。清水は中を見ると、絶妙のグラウンダーでラストパス。走り込んだ佐藤のシュートは菅野孝憲がビッグセーブで防ぐも、続くチャンス。森﨑浩司が左からCKを蹴り入れ、水本がフリックしたボールをファーでまたも佐藤が完璧なオーバーヘッドを枠内へ。ここも菅野が完璧なビッグセーブで失点を阻止しましたが、2度の追加点機を立て続けに創出しました。
58分に動いたネルシーニョ監督。ドイスボランチの一角を占める茨田を下げて、栗澤僚一をそのままボランチへ投入すると、直後にその栗澤が右へ大きく展開し、キムのクロス気味とも取れるシュートは枠の右へ。大きなサイドチェンジを交えつつ、「後半は少しボランチが降りていくというやり方」(大谷)のボール回しにもすぐにアシャストした栗澤の投入が、柏の攻撃に厚みをもたらします。
森保監督は60分、軽度の負傷を抱えた佐藤に替えて、石原直樹をそのまま1トップへ送り込む選択。直後、63分に柏へ訪れたチャンス。中央左、ゴールまで約25mの距離で得たFK。レアンドロがコンパクトな振りからゴール左スミギリギリへコントロールしたシュートは、「ボールも見えなかったし距離もなかったので"無"になれた」という西川がほぼライン上で弾き出します。さらに65分、右からレアンドロが合わせるボールを放り込んだFKに、増嶋がドンピシャで叩いたヘディングはクロスバー直撃。攻勢の時間ではあるものの、流れの中ではいい形を創り切れない状況下で、可能性を感じさせるのはやはりセットプレー。
71分に石原、清水と繋ぎ、森﨑浩司のパスから高萩が枠を越えるシュートを放つと、2分後に2枚目の交替カードを切った森保監督。前半から飛ばしていた石川と、同じく上下動に定評のある山岸智をスイッチ。サイドのリスク管理も怠りません。一方、セットプレーではチャンスを創りながら、相変わらず流れの中からはスムーズなフィニッシュが出てこない柏。78分、79分と共に森﨑浩司のミドルを浴びると、ここで2枚替えの決断。ワグネルとクレオの両ブラジアリアンを、山中亮輔と田中順也に切り替え、残り10分間で1点、そして2点を奪いに行く勝負へ出ます。
すると、「パスが前線へ回るように考えていかないと、このシステムはなかなか攻撃にならないと外で見ていて感じた」という田中が広範囲に降りて動いてを繰り返すことで、「必要だった縦と横の入れ替わり」(近藤直也)が整理され始め、「真ん中が使えるようになった」(田中)ために、ボールの動きがスムーズになっていきます。
それでも、「落ち着いてプレーすることができた」という塩谷を含む3バックを中心に「粘り強く守れた」(森﨑和幸)広島は、最後のブロックをしっかり形成しながら、田中の所でポイントこそ創られるものの、エリア周辺ではタイトな守備でしっかり掛けたゴールへの鍵。87分、山中と工藤を経由し、大谷が思い切って狙ったミドルは枠の左へ外れると、スコアはこれ以上動かず。「我々がやろうとした形をピッチ上でも出すことができて結果を出せたので、今後の試合の自信になると思う」と森保監督も一定の評価を口にした広島が、今シーズンの"1冠目"を力強く獲得する結果となりました。
柏は「新しいシステムで臨んだ2度目の試合だったが、トータルの仕上がりはよかった」とネルシーニョ監督が言及したように、先週と比べれば守備はかなり改善されたように見えました。ただ、「少しずつコンディションは上がってきている」と語るクレオをどうアジャストさせていくかと、ビルドアップ時にボランチをどう使っていくかという攻撃面に関しては、まだまだ試行錯誤といった印象。「前の選手がもう少し動きを付けないと」という近藤の提言を、クレオを含めてうまく消化していくことが今後に向けてのポイントではないでしょうか。
広島は「練習してきたことが90分間出せて、非常に楽しかった」という西川の言葉にも頷ける内容だったと思います。森﨑和幸も「昨シーズン結果を出したことが自信になっている」と話していましたが、石川や清水、塩谷といった20代前半の若手も堂々としたプレーを見せるなど、随所にその自信が感じられるようなゲームでした。ACLとの並行となる今シーズンも、リーグを牽引していく存在になるのは間違いなさそうです。         土屋

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