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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年01月28日

東京都クラブユースU-17サッカー選手権大会2次リーグ 三菱養和SCユース×横河武蔵野FCユース@養和巣鴨G

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yowa0128.jpg2次リーグ屈指の好カードは三菱養和SCユースと横河武蔵野FCユースの対峙。これは東京の"街クラブ"ユース最強決定戦と言っていいでしょう。
2年続けて最終節で残留を決める「奇跡のチーム(笑)」(生方修司監督)ぶりを発揮し、今シーズンもプレミアEASTで戦う権利を勝ち取った養和。近年では全国で最も結果を出している"街クラブ"であることは誰もが認める所。まずは1つ目のタイトルを獲得して、気持ちよく新シーズンに入っていきたい大会でしょう。
対する横河は木曜日のゲームで、FC東京U-18を0-1で撃破。昨年は東京Vユースに0-10と大敗を喫し、町田ゼルビアユースにも1-1で引き分け、無念の2次リーグ敗退を経験したことから、2年ぶりの突破に向けて「もう1度西が丘へ」を合言葉に、2試合続けての大物食いを狙います。会場はおなじみの巣鴨。19時キックオフということでかなり冷え込むコンディションにもかかわらず、少なくないギャラリーが見守る中で、ゲームはキックオフを迎えました。
いきなり1分経たない内に養和が獲得したCKのピンチを凌ぐと、序盤からペースを掴んだのは横河。4分には相手のバックパスをかっさらった渡辺悠雅(1年・横河武蔵野FC JY)が枠内シュート。10分にも右からしっかり繋いで、佐野樹生(2年・横河武蔵野FC JY)が狙ったシュートは枠の右へ。同じく10分、中央をドリブルで運んだ佐藤大介(2年・横河武蔵野FC JY)がそのまま枠へ飛ばしたミドルは、養和GK野津幹陽(2年・三菱養和SC巣鴨JY)が何とかキャッチしましたが、まずは手数を繰り出します。
この前のFC東京戦は、3トップの頂点に位置する佐野にクサビを入れて、そこへ何人もの選手が連動していくという形が多く見られた横河でしたが、「相手CBも強いので佐野の所は外して、いかにサイドから崩せるかを考えていた」と話したのは、中盤のキーマンとも言うべき吉山遼馬(2年・Az'86 tokyo-ome)。確かに横河はしっかり最終ラインからビルドアップしながら、サイドにボールを付けていくアタックが多く、15分には渡辺が左へ送ると、SBの菅波錬(1年・横河武蔵野FC JY)が折り返し、1つ溜めてから放った長岡克憲(2年・横河武蔵野FC JY)のシュートはわずかに枠を越えましたが、狙いをしっかり形に結び付けてみせます。
一方、「ボランチの所で散らしたり前に仕掛けたりが少なく、前に急ぎ過ぎた所はあるかな」と生方監督が振り返った養和は、そのドイスボランチが相手の出足にやや圧された感もあり、なかなか攻撃の基点になりきれず、サイドの部分でも「SHがかなりノッキングしていた」(生方監督)こともあって、なかなかギアを上げるポイントを掴み切れません。
また、「昨年からCBの2人が抜け、不安要素が後ろにあったので自分たち主体でやろうと思った」と吉山が語った、その初田駿(2年・横河武蔵野FC JY)と根地嶋隼人(2年・横河武蔵野FC JY)で組む"新"CBコンビも、馬力のある養和の1トップ・黒木周(2年・三菱養和SC巣鴨JY)をうまく監視し、その下に入った秋本和希(2年・三菱養和SC調布JY)とのライン分断に成功。これには、生方監督も「後ろが抜けたのでもう少し守備が緩いかと思ったんだけど、能力が高かったしボールも繋げる」と相手2CBを評価するなど、彼らがチームに与えていた安定感は小さくなかったと思います。
28分も横河。左で崩した形から、長岡が右スミを狙ったシュートは野津がファインキャッチ。30分も横河。長岡を基点に吉山が渡辺とのワンツーから前線へ飛び出し、右から折り返したボールはDFが何とかクリア。34分には決定機。古山の鋭いスルーパスに、抜け出した佐野のシュートはここも野津のファインセーブに阻まれましたが、チャンスを創り続けます。
35分に養和も秋本が右から蹴ったCKに、中尾風(2年・三菱養和SC巣鴨JY)が食らいつくもシュートは打てず。40分は横河。右サイドをドリブルで運んだ渡辺の折り返しに、長岡がニアで合わせたシュートはDFが辛うじて体を投げ出し、枠のわずか右へ。44分は養和。金裕志(2年・三菱養和SC調布JY)が右へ振り分け、秋田翼(2年・柏レイソルU-18)が中へ送り込んだボールは黒木に入りましたが、こちらもDFがナイスブロック。前半は横河ペースもスコアレスで終了しました。
「随分やられたけど、取られてもおかしくない場面を何とか粘ってゼロで終えるのは、いつものウチのパターン」と生方監督も言及した養和。46分にはドイスボランチの一角を任された天満大介(2年・三菱養和SC巣鴨JY)が、チーム初シュートとなるミドルを枠の上へ。ホームチームもやられっ放しで黙ってはいません。
それでも、ゲームリズムはやはり横河。51分、長岡が中央を自ら持ち出すと30m近いミドルを枠の上へ。57分、吉山は相手GKの位置を見定めて、45m近いロングへ果敢にチャレンジ。そして60分に再び創出した決定的なチャンス。右から長岡がFKを蹴り込み、ファーサイドへ飛び込んだ根地嶋は体を倒しながらボレー。枠へ向かったボールは、しかしクロスバーとGKに当たって、先制弾とはいかず。61分にスローインから佐野がスライディングボレーを放つも枠の上へ。スコアを動かすまでには至りません。
すると、「前半のウチはいいリズムでできていたが、養和に前半0-0というのは正直怖かった」と吉山が感じていた、その養和の反撃はここから。63分、左から中尾が付けたボールを、黒木は巧みな間合いで1人外して、わずかにクロスバーを越えるシュート。
67分、右から天満が蹴ったFKは横河GK宗仲光(2年・横河武蔵野FC JY)がしっかりキャッチ。68分、中尾がミドルレンジからトライしたシュートはクロスバーの上へ。「相手が少し落ちてきた」(生方監督)所も見逃さず、ようやく養和らしさが随所で攻撃の積極性に繋がっていきます。
「小さいことをやろうとして、ゴールへの意識が全くなくなってきていた」とチームを見ていた増本浩平監督は決断。既に投入していた左SBの平賀雅也(2年・府ロクJY)に続き、68分には2枚替え。「ボールを奪えるし、バランスを見ながらやってくれていた」島村直利(1年・横河武蔵野FC JY)と佐藤を下げて、七枝拓己(2年・ディアマンテ鹿児島)と北原祐希(1年・JACPA東京)を「リズムを創ることと、より前に行けるように」という狙いで送り込み、前線も渡辺と佐野の位置をスイッチ。「飲まれた時間帯」(吉山)の打開を図ります。
養和も76分に天満と下田悠哉(1年・三菱養和SC巣鴨JY)を、79分に黒木と木村陸人(2年・府ロクJY)を入れ替えると、木村の下には下田が入り、秋本はボランチへスライド。ゲームは残り10分の勝負へ。
81分は横河。北原が右へ捌き、上がってきたSBの松野崇紀(2年・横河武蔵野FC JY)が懸命に入れたクロスは中と合わず。82分も横河。北原が粘ってボールを奪い、長岡を経由して松野がループ気味に狙ったシュートは枠の左へ。「押される時間は試合前にも想定していたので、そこを耐えて自分たちのリズムを創ろうと思っていた」(吉山)横河が再びラッシュ。
86分の閃光。平賀のクサビを佐野は絶妙のワンタッチポスト。左サイドを抜け出したのは「ずっとブチギレていて、何にキレてるんだかわからなかった」と指揮官も笑った渡辺。「勝ちたかったんで、何にキレていたのか自分でも覚えていない」という1年生は、「昔から得意な」ドリブルでDF3人を引きずりながら縦へ運ぶと、飛び出したGKより一瞬早くフィニッシュ。揺れたゴールネット。ピッチの選手もサブメンバーも集まり、ベンチ前に咲いた大輪の青い花。「キレてはいたけど、相手を冷静に見る所は見ていたので、もうちょっと使ってみようと思ったらやってくれた。まあ、"良し"とします(笑)」と増本監督。渡辺のゴラッソで、横河がとうとう1点をもぎ取りました。
「やっぱりウチは勝たないといけない」と指揮官も話した養和は88分、失点シーンの激突でプレー続行が難しくなった野津と荷見龍太郎(2年・三菱養和SC巣鴨JY)が交替。中尾と相馬勇紀(1年・三菱養和SC調布JY)も同じタイミングで替わり、CBの飯泉涼矢(2年・FC杉野JY)を最前線に上げて、何とか1点でも返そうという態勢を整えます。
90分、左から秋本が蹴ったCKを飯泉が懸命に頭へ当てるも、ボールは枠の右へ。90+2分、飯泉が本職顔負けのポストプレーで右へ流すと、受けた木村のミドルは強烈な弾道で右足から飛び出すも、枠は捉え切れず。「偶然ですよ」と増本監督は話しましたが、いわゆる"都内3強"の2つを相手に堂々の2連勝を飾った横河が、目標の西が丘を大きく引き寄せる結果となりました。
養和はこのゲームに限って言うと、良くて引き分けが精一杯という内容だったと思います。守備陣は特に前半の劣勢にも、持ち前の粘り強さと集中力でしっかり最後の所は締めていましたが、「コンビネーションや個々の判断がちょっとね」と生方監督も首を傾げた攻撃面は、これからまだまだ伸ばしていく余地がありそうです。ただ、木村や出場機会のなかった青山航(2年・三菱養和SC巣鴨JY)、さらにベンチ外の赤松謙(2年・三菱養和SC巣鴨JY)や横山道一(2年・三菱養和SC巣鴨JY)など、ケガ人が戻ってくれば、また違う色もしっかり出てくるはず。今シーズンも注目のチームには変わりありません。
FC東京、養和と難敵を続けて撃破した横河は、敵将も「この時期にしては完成度が高かったね」と認めるほど。「全員が同じ役割を担って、その中で一番いいタイミングで出られる選手が出て行くようにしている」と吉山も語った中盤3枚は、現時点でもかなりバランスが取れており、増本監督も「後ろと前のケアができるようになってきたので、そこの入れ替わりがうまく出てきた」と一定の手応えを口にしていました。来週の大宮ソシオ戦で引き分け以上の結果を残せば、西が丘で対戦するのはおそらく東京V。「途中からは遊ばれてる感覚もあって、戦意喪失というか相当キテました」(吉山)という昨年のリベンジというポイント以外にも、今の全国における立ち位置を確認するには絶好の相手でしょう。個人的にも2月の楽しみがまた1つ増えました。              土屋

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