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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
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その他の試合レポート 2013年01月12日

高校選手権準決勝 鵬翔×星稜@国立

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kokuritsu0112y.jpg宮崎県勢初の国立進出を果たした宮崎県代表・鵬翔(6年ぶり12回目)が、第83回大会以来8年ぶりに国立行きを決めた石川県代表・星稜(14年連続23回目)と、快晴の国立競技場で準決勝の第1試合を飾った。
初戦と2回戦では、GK浅田卓人(3年・セントラルFC宮崎)とキャプテン矢野大樹(3年・セントラルFC宮崎)を中心とする守備陣の奮闘で160分間を無失点。2戦連続となったPK戦では運も味方に付け、佐野日大との3回戦、国立行きをかけた立正大淞南との準々決勝では3得点をあげ、初のベスト4入りという快挙を成し遂げた鵬翔。
星稜は、初戦で2ゴールをあげたFW采女優輝(3年・千里丘FC)と、3回戦、準々決勝で2戦連続途中出場からゴールを記録しているFW今井渓太(3年・長野東北中)が前線に入り、青森山田(青森)、東海大仰星(大阪)といった厳しい相手との戦いを勝ち抜いてきた。
この試合で先発メンバーに手を加えたのは星稜の河崎護監督。これまでベンチスタートをさせていた今井と、初戦以来となったMF寺村介(2年・FC四日市)を「前半から(点を取りに)行きたかった」として先発起用。采女と今井の2トップで勢いを付けたい星稜が試合前から変化を見せていた。憧れの舞台でもある国立競技場に立った選手達は、それぞれに緊張を抱えながらピッチへ入場。約2万人の観衆の中、青と水色のユニフォームを纏う鵬翔のキックオフで試合が始まった。
1週間前の準々決勝で、全3ゴールをセットプレーから記録した攻撃力を見せた鵬翔は、開始直後、2トップの一角を担うFW澤中拓也(3年・摂津三中)にボールを送り込む流れの中から、早くもFKを獲得。しかし左SB日高献盛(3年・セントラルFC宮崎)が左足で蹴り込んだボールは、高さのある今井にクリアされ、開始1分以内のチャンスをものにすることは出来なかった。
一方の星稜は、この1週間で「考えに考え抜いた」と話した河崎監督が、鵬翔の守備網に対して取り入れた対策は、ロングスローとサイド攻撃で打開していく事。ここまで2ゴールの采女、決定力とキープ力に長ける今井の2トップを生かしながら鵬翔ゴールを狙う。その星稜は序盤から、MF井田遼平(3年・星稜中)や采女が右サイドを広く使って展開をしていく。
3分には左SB森下洋平(2年・エスポワール白山FC)からのクロスに今井がGK浅田と競り合い、采女がこぼれ球をシュートまで持ち込む。7分には、右SB松岡哲(3年・ヘミニス金沢FC)が縦に出した素早いロングスローに抜け出した采女の突破でCKを獲得。MF植田裕史(3年・京都サンガU-15)が蹴ったCKは、CB寺田弓人(2年・ヘミニス金沢FC)が頭で繋ぎ、采女がそのままヘディングシュート。ゴールまであと僅かのプレーも生まれ、河崎監督のプラン通りに左右のサイドを上手く使い攻撃を築いて行った。
縦横にボールを回された鵬翔は、「もう少し川崎晧章(2年・ヴィラル木花SC)と東聖二(3年・都城山田中)の2人を中に絞らせたかった」と中盤の距離間について話したアンカーの矢野だったが、我慢と粘りの守備で徐々に鵬翔のリズムを掴んで行く。鵬翔はスローインの場面から立て直し、FW北村知也(1年・セントラルFC宮崎)や東を使い、左サイドから星稜ゴールへ攻め込んだが、当たりも強く、連動した星稜の守備陣に阻まれてしまう。そんな中スコアが動いたのは14分。右サイドからの攻撃を試みた星稜は、前線の采女へと繋ぎ、中央で待ち構えた寺村が押し込んだ左足のシュートは、河崎監督の狙い通りの早い時間帯での先制点となった。
鵬翔は、今大会初となる流れの中からの失点を喫し、初めて追う展開となったが「まだまだ時間もあったし、次は自分たちが点を取りに行く気持ちで試合に入った。」(矢野)とピッチ上のイレブンは落ち着いて試合に戻った。中盤の粘り強い守備から前線でチャンスを作りたい鵬翔は22分、前線へ通そうとしたボールが星稜DFに当たりハンドの判定。ペナルティエリアのすぐ外という好位置でFKを獲得する。セットされたボールには、澤中、日高、MF小原裕哉(2年・都城西中)がキッカーの位置に付く。2選手がフェイントをかけ、小原が右足で直接枠を狙うも「緊張もあったせいか、力が入らなくて(届かなかった)」と振り返ったシュートは、星稜の壁へ吸い込まれてしまう。
31分には、再び鵬翔が好位置でのFKを獲得。ここでも3人のキッカーがボールを囲み、鵬翔、星稜ともに時間をかけて慎重に壁を整備。今度は澤中のフェイントに続き、「キーパー(置田竣也/3年・セレッソ大阪U-15)の動きを見て蹴った」という小原の右足のFKは、低く速い弾道で壁を超え、準々決勝から続くセットプレーで、華麗で貴重な同点弾を生んだ。
その後流れを掴んだ鵬翔は、出場停止明けの川崎と北村でチャンスメーク、守備の要である矢野や小原がミドルシュートを打つなど、攻撃の姿勢を見せたものの、決定機を見出せず前半を1-1で折り返した。
ハーフタイムには「人に釣られずセカンドボールを拾い、ボールも人も両方見る事」という指示を送った鵬翔・松崎監督。鵬翔は、後半の立ち上がりに、セカンドボールへの対応の早さを取り戻し、中盤から攻撃のリズムを掴もうとしていた。しかし、先に交代策を投じ、流れを取り戻したのは星稜だった。56分に寺村に代わりFW村上駿(3年・ガンバ大阪JY)を投入。61分には右サイドで得たFKを井田が中央に預け、ゴール前へ走り込んだ植田へダイレクトで繋げるサインプレーを披露し、鵬翔のゴール前を沸かせて見せる。
68分には、インターセプトからカウンターに転じた星稜が、ロングフィードに抜け出した今井の決定機を迎える。しかしGK浅田の良い飛び出しもあり、このチャンスをゴールに結びつける事が出来なかった今井。直後に鵬翔は、澤中に替えて負傷明け間もないFW中濱健太(3年・ディアブロッサ高田FC U-15)を投入するも残り10分を切ったところでチャンスを得たのは星稜だった。
81分、攻め上がりを見せていた右SB松岡のクロスが鵬翔DFに当たり、このボールがゴール前に入り込んだ井田がダイレクトで合わせ2-1とし再びリード。この流れを最後まで持ちこみたい星稜だったが、2分後にハーフウェーライン付近で与えてしまったFKが流れを大きく変えてしまう。
準々決勝・立正大淞南戦の先制点とほぼ同じ距離のFK。CBの芳川隼登(2年・セントラルFC宮崎)と原田駿哉(3年・セントラルFC宮崎)をゴール前に上げ、高さの勝負に出る。右SB柏田崇走(3年・国富本庄中)が大きく蹴り込んだボールは、原田が競り勝ち、こぼれたボールに走り込んだ東が右足で振り抜いたシュートはネットを揺らし、2度目のビハインドを2分間で取り戻した。試合終盤も両チームの攻め合いは続いたが、さらなる追加点は生まれず、2-2で90分間のゲームは終了。鵬翔は3度目、星稜は準々決勝に引き続き2度目のPK戦へ縺れる事となった。
先攻の星稜は、1人目の井田が左上に決める。続く鵬翔はキャプテン矢野が落ち着いて決め、両校共に良いスタートを切ったと思われたが、鵬翔2人目の選手が蹴ったボールはGK置田の好セーブに合い失敗。しかし星稜は4、5、6人目が連鎖的に外してしまい流れが一変。鵬翔も5人目の選手が外したものの、6人目の川崎がゴールネットを揺らし、鵬翔が初の決勝進出という更なる快挙を成し遂げた。
試合終了の瞬間を「正直びっくりしました。あと一つで全国制覇を達成出来るので、絶対次も勝とうという気持ちになりました」と振り返った鵬翔・キャプテンの矢野。宮崎県の期待も背負い、第2試合を勝利したこちらも初の決勝進出校、京都府代表京都橘(4年ぶり2回目)とここ国立で最後の1戦を迎える事となる。           矢野

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