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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
第91回の選手権大会も2回戦を終え16強に絞られた。ここフクアリで3回戦の第一試合を迎える事となったのは、全国大会の常連校、上位進出を幾度も成し遂げてきた歴史を持つ名門校同士のカードとなった。
初戦となった2回戦の富山第一(富山)戦を1-1とし、PK戦の末に3回戦進出を手にした岡山県代表・作陽(8年連続21回目)。第85回大会では準優勝の好成績を残し、8年連続出場を続ける経験と、個々の高いスキルに加え、組織力にも優れる。今大会で悲願の日本一を手にする事はできるか。
1回戦で山形中央を2-0で下し、2回戦では初出場の聖光(山口)を相手に1-1(PK6-7)のスコアで3回戦に勝ち進んだ、兵庫県代表・滝川第二(2年ぶり17回目)。前回出場時の第89回大会では、悲願の初優勝を飾る。現在の主力である3年生は、その歓喜の瞬間を国立の"スタンド"で味わっている。誰もが憧れる国立の"ピッチ"を目指し、2年ぶりの王座奪回に燃える。
滝川第二は、今大会既に2得点を記録しているFW寺田凌(3年・神野SC)や強烈な突破力を持つMF木下稜介(3年・イルソーレ小野FC)など、前線に個性の強い選手が揃う。一方の作陽は、キャプテンのDF米原祐(3年・FCフレスカ神戸)とDF河面旺成(3年・セレッソ大阪西U-15)の強固な両CBに加え、ボランチMF岡村憲明(3年・FCフレスカ神戸)を中心とした安定感のあるセンターラインを構成し、複数のポジションをこなす選手も数名抱え、高いチーム力で今大会に臨む。
試合は、序盤から攻撃の流れを掴みたい滝川第二が、ボランチMF高畑智也(3年・ヴィッセル神戸JY)やキャプテンMF太田皐介(3年・京都紫光SC)を中心に、前線の木下や寺田を使いながら攻撃の形を作る。7分には、木下からのパスを受けた寺田がシュート。11分には、FW馬場航(3年・神戸FC JY)からのパスに太田がドリブル突破で仕掛けるなど、スペースを上手く使いながら、人とボールを動かし決定機を狙う滝川第二。
一方の作陽も、14分、1トップに入るFW三野草太(3年・AZUL滋賀FC)が体を上手く使ったシュートを打つなど、少ない攻撃回数の中でも強かに得点のチャンスを狙う。作陽は、序盤の勢いのまま前掛かりになる滝川第二の攻撃に対し、素早いプレスと人数をかけた組織的な守備で、後方からのビルドアップを見せ始める。前半も半分を過ぎた頃には、作陽の最終ラインも高い位置取りが出来るようになり、ボールの支配率は作陽が上回るようになる。22分にはトップ下に入ったMF永松達郎(2年・ガンバ大阪JY)がドリブル突破を仕掛け、FKを獲得。ペナルティエリア付近の好位置だったが、このFKは枠を大きく外してしまう。
しかし32分、滝川第二の中盤からボール奪ったボールが、この試合ではボランチに入ったFW松本啓佑(3年・アヴァンサールFC)に渡り、松本からパスを受けた三野がDFをかわし右足を振り抜いてゴールネットを揺らす。前半の良い時間帯で先制ゴールをあげた作陽は、前半の残り時間を滝川第二の攻撃封じに費やし、1-0の作陽リードで前半を折り返す。
後半序盤から流れを取り戻したい滝川第二は、42分に木下、寺田、馬場とスピードある前線の選手が繋ぎ、作陽陣地に攻め入る。しかし48分、再び好位置でのFKを作陽に与えてしまう。キッカーの河面から蹴り出されたボールは、キーパーの前でワンバウンドをし右ポストに当たりゴールイン。続く52分には、永松とのワンツーで右サイドから中央へ入り込んだDF丸野了平(2年・EXE90FC)が、ダメ押しの追加点をあげ3-0とする。
このあともボールが収まらない滝川第二は、作陽の猛攻に合い、55分に永松からの好パスを受けた三野が抜け出し、落ち着いてゴールを決める。自身2ゴール目となったこの得点でスコアは4-0と滝川第二に大きなダメージを与えた。
しかしこのままでは終われない前々回大会の王者・滝川第二は、馬場に代えてMF星野遼河(2年・西宮SS JY)を投入。これを機に息を吹き返したい滝川第二は、すかさずカウンターを仕掛ける。62分、中盤の舵取り役である高畑から、前線へ送られたボールに抜け出した星野が、作陽DF青木大峰(2年・盾津東FC)のファウルを受け、ゴール正面という好位置でのFKを獲得。(このプレーで青木は一発退場となり作陽は10人で戦う事となる。)このFKを高畑が直接決め1点を返す事に成功。
残り時間が少なくなる中、なんとかして3点差を詰めたい滝川第二・栫裕保監督は木下を下げてFW谷本優(2年・シーガルFC JY)を投入。滝川第二は前線にロングボールを送り込み勝負を仕掛けるが、73分に作陽のチャンスメーカーであった永松に、更なる失点を許してしまう。
その後も作陽から主導権を取り返せずに、ロスタイムに入った80+3分。滝川第二は最後の最後まで攻撃の姿勢を見せ、ゴール前に人数を掛け攻め込んだこぼれ球にCBの佐々木慎太郎(3年・高砂鹿島中)がバーへ直撃する豪快なゴールを決め5-2とする。しかし、作陽に許した失点数はあまりにも多く、一昨年の選手権王者は3回戦で姿を消す事となった。落ち着いた試合運びと、守備の安定感、そして個々の高い決定力で上回った作陽が準々決勝へ駒を進めた。
「4点リードをした時点でもっとスマートに試合運びを進めていかないと」と、試合後に早速反省点を口にした作陽・野村雅之監督。2失点を喫した事や初戦に続いて退場者を出してしまった事など、ベスト8を手にしながらも大勝に気を緩める事は無かった。初の全国制覇まであと3勝。作陽は準々決勝で桐光学園(神奈川)と戦う事となった。 矢野
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