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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年01月03日

高校選手権3回戦 京都橘×丸岡@駒場

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komaba0103.jpg48の精鋭が集いし全国の舞台も、既に残すは16。高校選手権は3回戦に突入します。今日選んだ会場は、浦和レッズの聖地・駒場。第1試合は、京都代表の京都橘と福井代表の丸岡が激突することになりました。
1回戦は正智深谷との"アウェイゲーム"を、PK戦の末に制した京都橘。続く2回戦では仙頭啓矢(3年・FCグリーンウェーブU-15)と小屋松知哉(2年・宇治FC JY)の2トップが揃って2戦連発弾をマークし、仙台育英に1-3と快勝を収めて、3回戦へ駒を進めてきました。実はキャプテンの高林幹(3年・京都サンガU-15)が体調不良で、昨日に続いて今日も欠場。「全国なのに"キャプテンなし"で負けるわけにはいかない」と小屋松。「まとまらざるを得ない状況」(米澤一成監督)をプラスに転化したい一戦です。
一方、初戦となった昨日の広島観音戦は、後半アディショナルタイムに辻川雄太(2年・丸岡中)の決勝弾が飛び出し、残り7分からの劇的な逆転勝利を収めた丸岡。昨年はほぼ指定席になっている県代表の座を失う屈辱も経験しましたが、今大会での復権を期しています。初のベスト8か、それとも6年ぶりのベスト8か。日なたはポカポカ陽気に包まれる中、京都橘のキックオフでゲームは始まりました。
開始12秒で生まれたファーストシュートは京都橘。キックオフの流れそのままに、仙頭が果敢なミドル。DFに当たって、ゴールの右側へ外れましたが、いきなりフィニッシュの形を取ると、2分と3分にはCKを獲得。さらに5分、やはり左CKから宮吉悠太(2年・J FORZA滋賀)が放ったシュートは丸岡GK北山和来(3年・丸岡中)が防ぎ、伊藤大起(3年・京都FC長岡京)のシュートはDFのブロックに遭ったものの、積極的な姿勢を打ち出します。
4分にはルーズボールを拾った半田耕一(3年・あわら芦原中)のミドルで1本シュートは放っていた丸岡は、10分にも前田亮(2年・TEKUNO FC 2007)のポストから、飯田啓祐(3年・丸岡FC)がチャレンジしたミドルは枠の左へ外れましたが、長いボールに前田や荒井秀斗(3年・福井市中央FC)の前線も絡み出し、少しずつリズムの萌芽は見えてきました。
しかし先にゴールを陥れたのは、自慢の2トップが躍動した古都の志士。21分、中央で宮吉がヘディングを飛ばすと、仙頭も頭で相手DFラインの裏へ。「スピードに乗ったドリブルは自分の得意な所」という小屋松は、併走していたDFの一歩前に踏み込むと、そのまま思い切り良くGKの右脇を射抜きます。「大会前はある程度はやれると思っていたが、点が取れるかはどうかなと思っていた」と指揮官も言及した2トップが最高のコンビネーションを見せ、京都橘が先制ゴールを奪取しました。
ここからはリードも得て、より主導権を握った形で京都橘の連続アタック。23分、仙頭の左FKをニアで小屋松は右足アウトボレーを敢行し、これは枠を捉えられませんでしたが、27分にも追加点機。中野克哉(1年・YF NARATESORO)のパスから、伊藤が枠へ飛ばしたミドルは北山が何とかセーブ。29分、中野が右から左足で蹴ったCKを、最後は仙頭がミドルに変えるもDFがブロック。「2トップに対して、ワイドやボランチのサポートもよくなっている」と米澤監督も認める攻撃の厚みが、自分たちの時間帯を長くしていた印象です。
また、宮吉と釋康二(3年・京都JマルカFC)で組んだドイスボランチは、攻撃へ出て行く積極性もさることながら、フィルターとしての役割をしっかり全う。ここである程度セカンドも回収しながら、2トップをシンプルに使うパスの配給も担うという2つのタスクを、2人ともよくこなしていたと思います。
39分には丸岡も寺尾亮佑(3年・坂井春江中)がゴール左寄り、約30mの距離から直接FKを狙うもわずかにクロスバーの上へ。40分は京都橘。吉中波緒人(3年・奈良YMCA)のフィードを、小屋松がマーカーと体を入れ替えて収め、仙頭を経由して宮吉が狙ったミドルは枠の左へ。「相手のDFラインも裏をケアしながらやってきた」(小屋松)中でも、その"裏"でゴールを貫いた京都橘がリードして、前半は終了しました。
後半は丸岡にスタートから選手交替。なかなか流れに乗れなかった最前線の荒井を下げて、2回戦勝利の立役者でもある辻川を投入。"高さ"もエッセンスに加え、まずは1点を返しに出て行きます。
ただ、ペースは変わらず京都橘。44分、仙頭が鋭い加速で前を向いて右へ。伊藤の折り返しを仙頭がボレーで狙うも、やや重心が後ろに残り、ボールは枠の右へ。47分と48分にはいずれもFKから釋が落とし、CBの林大樹(1年・京都サンガU-15)がフィニッシュまで。「色々な経験をしているし、物怖じしない」と米澤監督も認めるルーキーが、攻撃面で主張してみせます。
50分も京都橘。小屋松のスローインを起点に、宮吉が中野からのリターンを受けて枠内シュートまで。直後には丸岡も久々に右サイドへスムーズにボールを運び、SBの五十嵐尭(3年・坂井春江中)がクロスを上げ切るも、京都橘GK永井建成(2年・京都FC長岡京)がしっかりキャッチ。51分にも右サイドから寺尾がクロスを上げるなど、"右"が少しだけ活性化してきました。
そんな中で生まれた京都橘の追加点。52分、右サイドでボールを受けた仙頭はDFを抜き切らない、絶妙のタイミングでクロスを中へ。対応したCB2枚の裏に潜っていた小屋松が、このボールを難なくプッシュ。またもこの2人であっさり記録したゴール。大きな1点が京都橘に入りました。
苦しくなった丸岡は、2失点目の直後に2枚目のイエローカードを提示され、DFが退場を余儀なくされてしまいます。すると、容赦ない京都橘はセットプレーから加点。54分、右から仙頭が蹴ったFKへ「いつもはファー気味に入るが、ニア気味に行ったらボールが来た」宮吉がダイビングヘッドで揺らしたゴールネット。「あんまりああいう形で決めることはない。入っちゃいましたね」と笑った2年生ボランチの2戦連発弾と共に、仙頭はこれで驚異の3アシスト。試合の大勢は決しました。
こうなると、采配もズバリ当たる米澤監督。58分、1年生の中野に替えて、赤澤祥平(2年・FCグリーンウェーブU-15)を送り込むと、この2年生アタッカーがすぐさま大仕事。61分、釋が右から中へ入れたパスを小屋松はさらに左へ。フリーでボールを呼び込んだ赤澤は、ゴール右スミへ冷静に蹴り込みます。これで4-0。強い京都橘。
一矢報いたい丸岡応援団がようやく沸き上がったのは64分。こちらも途中出場の辻川が右サイドで粘って、粘って中へ。走り込んだ飯田のシュートはGKも弾き切れず、ゴールマウスに吸い込まれます。3年生が見せた意地の一発。丸岡のスコアボードに"1"が躍りました。
数的不利の中で何とか相手の攻撃を凌ぎ、隙を見て反撃を試みる丸岡最後のラッシュ。78分、半田が繰り出した渾身のミドルは、惜しくもクロスバーの上へ。80分に左から寺尾が2回、右から飯田が1回、計3連続のCKもシュートまでには至らず。80+3分、右サイド、ゴールまで25m強の位置で得たFKを飯田は枠に飛ばすも、永井がしっかりキャッチすると、熱戦の終わりを告げるホイッスル。「メンバーとメンバー外の応援団も繋がっているし、ホテルにいるキャプテンも繋がっている」とは宮吉。キャプテン不在を乗り越え、京都橘が国立へ王手を懸ける結果となりました。
古都の2トップは相当強力です。「裏のスペースをうまく使えた」という米澤監督の言葉を待つまでもなく、多少アバウトなボールでも確実にモノにしてしまう走力が"2つ"あるというのは、どの対戦相手にとっても大きな脅威になるのは間違いありません。「全国大会での得点王は自分でも目標にしている」とは3戦連発の4ゴールと大爆発中の小屋松。京都勢として久御山以来、2年ぶりとなるファイナルへ、そして洛北以来、45年ぶりとなる頂点へ。「国立に3年生を連れて行きたい」と意気込む2年生ストライカーから目が離せません。         土屋

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