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このブログについて

J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

スタッフブログ 2013年01月11日

続・2点差は本当に危険な点差なのか?(スピンオフ・J1編)

mas o menos
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昨日の企画はなかなかな反響を頂きまして嬉しい限りです。
やはり俗説とデータの関係には、皆さんもご興味をお持ちのようで。
で、"2点差"についてこんなことを調べろ!というのがあればと
お聞きした問いに対して、一番多かった答えが
「"1点差"や"3点差"と比較したらどうなるか」というものでした。


調べましたよ。
まあ1点でも入れば確実に"1点差"が発生しますから、
気の遠くなるような作業だなあと自覚しながら、
でも、そこまで気が遠くならずに調べ上げました。
サンプルは前回同様、2012シーズンのJ1です。
以下、"1点差"と"3点差"のリサーチ結果です。


一時的に1点差が付いた試合は全部で282試合、
一時的に1点差が付いたシチュエーションは全部で435回。
90分間で2回以上"1点差"のシチュエーションが発生するのは
2-1のゲームも含まれるので多過ぎて割愛しますが、
3回以上の"1点差"が発生したのは27試合。
さらに4回の"1点差"が発生したのは2試合。
1つは18節の清水×柏で0×1、2×1、3×2、3×4(最終スコアは3×5)。
1つは22節の磐田×C大阪で1×0、2×1、2×3、4×3(最終スコアは4×3)。
リーグ全体で考えれば0.006%の確率で起こった"奇跡"と言えそうです。


続いては一時的に"1点差"が付いたゲームの勝敗の帰結を調べたいのですが、
"1点差"というのは非常に複雑です。
前述した清水×柏では両方のチームが
それぞれ2回の"1点差"リードを経験している訳ですから。
なので、ここでは先制した(つまり1-0を経験した)チームの
結果で行きたいと思います。
パターンは3つ。
①先制したチームが勝利
②先制したチームがドロー
③先制したチームが敗戦

282試合の内訳は以下の通りです。


190試合(67%)
52試合(19%)
40試合(14%)


先制したら7割弱は勝利を収めると。
これはある程度想定通りの数字でしょう。
ちなみに逆転負けということを考えると、
2点差を引っ繰り返されたケースは7試合でしたが、
1点差を引っ繰り返されたケースは43試合
(90分間で2度の逆転が起きた試合も1試合と換算)でした。
ざっと6倍弱という所でしょうか。
なお、再逆転、つまり1×0→1×2→3×2のようなケースは
この282試合の中で、上記の清水×柏を含めてもわずかに4試合しかないので、
1-0→1×1→2×1のような得点経過も中にはありますが、
上記の数字はほとんどそのまま"1点差"でリードした場合の
勝敗と考えて良さそうです。


では、"1点差"のシチュエーション別統計へ行く前に
"3点差"の概要をご紹介しておきましょう。
一時的に3点差が付いた試合は全部で51試合、
一時的に3点差が付いたシチュエーションは全部で60回。
2回の"3点差"が発生したのは9試合で、
その大半は3-0から1点追い付かれるも、再び突き放して4-1というもの。
例外は第16節・G大阪×柏の0×3→2×5と、
第23節・G大阪×札幌の4×1→5×2でした。


そして、一時的に"3点差"が付いたゲームの勝敗の帰結です。
パターンは5つ。
①3点リードしたチームが3点差以上で勝利
②3点リードしたチームが2点差で勝利
③3点リードしたチームが1点差で勝利
④3点リードしたチームが追い付かれてドロー
⑤3点リードしたチームが逆転されて敗戦

51試合の内訳は以下の通りです。


41試合(80%)
6試合(12%)
4試合(8%)
0試合(0%)
0試合(0%)


とうとう出ました!
"3点差"を付けたチームの勝率は100%です!
ちなみに1点差まで迫られた試合は、
第8節のC大阪×磐田で3×0→3×2、
第9節の川崎×磐田で4×1→4×3、
第17節の浦和×鳥栖で3×0→4×0→4×3、
第31節の鳥栖×磐田で3×0→3×2の4試合。
何と磐田がその内、3試合で1点差に迫っています。
磐田を相手にした3点のリードは、負けはしないものの
非常にスリリングだと言えそうですね(笑)
来シーズンは是非このジンクスを打ち破り、
追い付くか逆転まで持って行って欲しいと思います!


あと、17節の浦和×鳥栖は弊社の放送カードで
私も埼スタで中継スタッフとして立ち会っていました。
4×3になってから鳥栖に追い付くチャンスがあったんですよねえ。
非常に面白い試合でした。この日の鳥栖は実質3点まで返してますよね。


最後に、"1点差"のシチュエーション別統計ですが、
ハッキリ言って一番多く発生する点差ですから、
435回のすべてを解析するのは手間もかかるしめんどくさいし
あまり意味がないような気がします。


ということで、ここでは"1点差"の逆転が発生した43試合に絞ります。
その43試合の中で逆転が発生した
全54回の時間帯は以下の通りです。


①試合開始~15分...1回(2%)
②16分~30分...2回(4%)
③31分~前半終了...2回(4%)
④後半開始~60分...7回(13%)
⑤61分~75分...16回(29%)
⑥76分~試合終了...26回(48%)


これは予想通りの数字だと思います。
衝撃の①で起きたたった1つのケースは
鹿島に2分で先制された浦和が、
3分に追い付いて5分に逆転した第5節。
こんなのはこれから先もなかなかないでしょうねえ(笑)


さらに、逆転が発生した54回の
同点に追いついた時間帯をまとめておきましょう。
①~⑥の時間帯は上記と同様です。


①1回(2%)
②11回(20%)
③11回(20%)
④7回(13%)
⑤14回(26%)
⑥10回(19%)


意外だったのは②や③より、④の回数が少なかったこと。
やはり前半の終盤で「行ける!」と思うのと、
後半の終盤で「行ける!」と勢いに乗るよりも、
後半開始前後だと少し気持ちの持ち方が違うのでしょうか。
ちなみに逆転に繋がる同点弾が記録された
最も遅い試合時間は88分。
そのゲームの逆転弾は90+4分に決まっています。


最後に2回の考察のざっくりまとめをしておきましょう。
2012シーズンのJ1を紐解いたデータから言えることは、


1点リードした場合の勝率は67%。
2点リードした場合の勝率は90%。
3点リードした場合の勝率は100%。


1シーズンの内に、
1点差を逆転する瞬間が見られる可能性は14%。
2点差を逆転する瞬間が見られる可能性は2%。
3点差を逆転する瞬間が見られる可能性は0%。


最後はざっくりですが、
1点差を逆転したければ88分までに1点を返せ。
2点差を逆転したければ75分までに1点を返せ。
3点差を逆転したければ"奇跡"を起こせ。


といった感じです。
また、機会があれば色々とやりたいと思います。
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土屋

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