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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2013年01月01日

高校選手権1回戦 常葉学園橘×長崎総科大附@フクアリ

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fukuari1231.jpg2011年、待望のJ1王者となった柏レイソル。ここフクダ電子アリーナを本拠地とし、毎試合熱い声援を送り続けるサポーターを持つジェフユナイテッド千葉。今年度も大混戦の高校選手権予選を勝ち抜き3年ぶり9度目の本大会出場を決めた八千代など、サッカーどころとなっている千葉の地で、サッカー王国と言われて永い静岡県と長崎県の代表校同士がフクアリの開幕戦を飾る。
試合開始20分以上も前から大声援を送り始めた常葉学園橘(7年ぶり2回目)応援団。初出場初勝利を目指す長崎総科大附(初出場)の応援も次第に始まり、えんじと黄色の縦じまユニフォームをまとう長崎総科大附のキックオフで試合は始まった。
キックオフ直後から両校ともに球際へ激しく向かうアグレッシブな入り方となった。静岡県予選を全試合無失点で勝ち上がって来た常葉学園橘らしく、長崎総科大附の左サイドに入ったFW吉岡雅和(3年・FC雲仙エスティオール)やキャプテンでボランチに入るMF前川聖也(3年・黒髪FC)のドリブル突破には、CBのキャプテン石川大輔(3年・常葉学園橘中)、CB登崎雅貴(3年・常葉学園橘中)が中心となり強固な守備を見せる。一方の選手権初戦となった長崎総科大附は、攻撃が注目されるチームであるが、この試合では特に、無失点で勝ち上がってきたチームを相手に「失点ゼロ」を全員で意識し臨んだ試合でもあった。
堅守の常葉学園橘に対し、左サイドを中心に攻撃の機会を掴んでいった長崎総科大附は10分、中央でボールを持ったFW安藤翼(1年・FC佐伯S‐Play MINAMI)が見事なスルーパスを2列目中央に入るFW堀晃一朗(3年・アルバランシア熊本)へ送る。しかしこのボールも常葉学園橘の鉄壁の守備陣に抑え込まれ決定的な場面がなかなか作れない。
長崎総科大附のスピードと個の持ち味を生かした攻撃に対する守備陣形が整い出した常葉学園橘は、左SHに入るFW鈴木蒼太朗(2年・清水エスパルスJY)と1トップに入った182㎝の大型FW山本一輝(3年・清水FC)を使いながら攻撃を組み立てる。23分には長崎総科大附の攻撃の起点となっていた前川からボールを奪い、MF久保山純汰(2年・常葉学園橘中)、FW島田隼希(3年・常葉学園橘中)とつなぎCKを獲得。キッカーは中盤の守備にも貢献する久保山。右CKからニアサイドへ真っすぐのボールを蹴ったが、相手DFに当たり再びCK。久保山は、直後の2本目CKをファーサイドへ大きく放り込み、ゴール前に上がっていた石川の頭に合わせた。ゴール枠外へのシュートとなったが、攻撃ではやや劣勢となっていた常葉学園橘が、セットプレーの場面で得点の雰囲気を感じさせた瞬間でもあった。
その後も長崎総科大附の2列目中央に入る堀から放たれるパスに、個々で仕掛けられるFWの吉岡、安藤、宗中恭平(3年・長崎福田中)の前線3枚が自由に動き回り自陣エリアに侵入を許すも、守備のリズムを掴んだ常葉学園橘は長崎総科大附の攻撃に対し、落ち着いて対処をしていく。
30分を過ぎたところで長崎総科大附・定方敏和監督はピッチ脇に姿を現し選手を鼓舞。長崎総科大附は、中盤からのロングボールを何度が前線へ送り、チャンスの機会を待つ。そして37分、前線で構えていた安藤にボールが渡り、常葉学園橘・石川を素早いドリブルで振り切り、左サイドからエリア内に上手く切れ込み豪快にシュート。しかしここでも落ち着いた反応を見せた常葉学園橘・GK北郷健太郎(3年・ACNジュビロ沼津)の右足に弾かれ、スコアレスのまま前半を折り返す事となった。
後半に入ると、安藤を中心に積極的にシュートを打ち、勢いをさらに増した長崎総科大附。互いにセットプレーが増えてきた49分、常葉学園橘がFKを獲得。キッカーのMF石井光輝(3年・常葉学園橘中)が正確なボールをゴール前へ送り、今度こそ石川のヘディングシュートが決まるのか、と思われた瞬間、166cmと小柄ながら「試合度胸がある」(定方監督)GK田中佑昌(3年・島原第一中)が右手を延ばし会場を沸かせるビッグセーブをしてみせた。
そこからは、常葉学園橘はセットプレーを中心に、長崎総科大附は前線の4選手を中心に、それぞれシュートまで持ちこむも、双方の集中力高い守備陣を崩しきれない時間が続いた。70分までに前田直輝(3年・常葉学園橘中)、後藤克也(2年・常葉学園橘中)のFW2選手を送り込んでいた常葉学園橘・新井裕二監督。
72分には島田のスルーパスに抜け出した前田がゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定。続く77分には、FKのロングボールに石川が応え、こぼれたところに島田が詰めてシュート。これをGK田中が正面で弾くも、島田の体に当たり跳ね返ったボールは左ポストに直撃。長崎総科大附としては救われた場面となった。
しかしその後も常葉学園橘の攻撃は続き、CKから三度、石川にヘディングシュートを許してしまう。ここで再び会場を沸かせたのが、ジャンピングセーブを見せたGK田中だった。バックスタンドでは両校の大声援がなおも続き、ロスタイムには長崎総科大附も最後まで得点を諦めなかったが、タイムアップとなりスコアレスドローで前後半80分を終えPK戦へ。
コイントスで先攻となった長崎総科大附。1人目の吉岡は低い弾道で正面を狙いネットを揺らす。続く2人目は両校共に外してしまう。6人目となった長崎総科大附・宗中がゴール左上にきっちりと決め、続く常葉学園橘6人目のキッカーは、GK田中にコースは読まれていたが、右ポストをかすめボールはピッチ外へと抜けて行った。その瞬間、攻守に見応えのある好試合となった一戦は、0-0(PK4-5)で初出場の長崎総科大附が初勝利を手にし、2回戦へ進出する事が決まった。
試合終了直後、会場内は長崎総科大附の大歓声と常葉学園橘応援席からの悲鳴が入り混じる事となったが、最後まで声援を送り続けた両校応援団、決定機やビッグセーブの度に聞こえてくる会場全体の歓声には、一つのプレーに全観衆が注目し一体感が生まれていたように感じる程でもあった。7年ぶりの出場となった常葉学園橘も選手権初勝利を目指しての初戦ではあったが、大健闘を見せた。攻守のスタイルは異なる両校ではあるが、試合を通しての集中力、粘り強さ、能力の高さは、見ているものを魅了する試合となった。まだ選手権本大会は始まったばかりだが、他会場の大波乱、大混戦もしっかりチェックをしつつ、フクアリでの激闘を日々追わせて頂く。         矢野

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