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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年12月25日

インカレ準決勝 福岡大×阪南大@西が丘

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nishigaoka1225.jpg全国の大学生にとって、最後に辿り着いた2チームのみが踏みしめることを許される聖地。国立競技場への最終関門が、今日行われる西が丘の準決勝です。
第1試合は総理大臣杯でPK戦までもつれ込んだ熱戦のリターンマッチ。関西王者の阪南大と九州王者の福岡大が、東京で再会することになりました。
初戦の仙台大戦を2-0で切り抜けると、一昨日の準々決勝は工藤光輝(3年・札幌U-18)の4発を含む7ゴールで中央大に大勝を収め、ファイナルに王手をかけた阪南。2004年に駒澤大が達成して以来、8年ぶりとなる夏冬連覇を目指します。
一方、一昨日は今大会の優勝候補にも挙げられた明治大を前半の4ゴールで打ち破り、3年前のファイナルで敗れた借りを返して、4強まで進出してきた福大。「リベンジシリーズ」(乾真寛監督)第2弾は、前述の総理大臣杯で敗退に追い込まれた阪南戦。舞台は整いました。
世の中の"今日"に背を向けて、スタンドに詰め掛けたのは1080人のサッカージャンキー。注目の好カードは福大のキックオフでスタートしました。
先に主導権を取ったのは、風上に立った阪南。2分には可児壮隆(3年・川崎U-18)の右CKから、二アへ工藤が潜るも先にDFがクリア。3分にも左からSBの二見宏志(3年・奈良育英)が入れた低いアーリーに、ニアで工藤が当てたボレーは枠の左へ。前の試合で当たりまくった工藤は、今日も立ち上がりから"感覚"を披露します。
以降もキャプテンのSB飯尾竜太朗(4年・神戸ユース)と、今大会初スタメンとなった本来のレギュラーSH神門拓弥(4年・G大阪ユース)で組んだ右サイドが好リズム。14分には可児が蹴った右FKから、左で泉澤仁(3年・新潟ユース)が拾って送ったアーリーは、わずかに工藤へ届かず。19分にも可児の右CKを、工藤が合わせたヘディングはクロスバーの上へ。右サイドで獲得するセットプレーが、チャンスを生み出します。
"右"が生きれば、"左"にも好影響。21分、それまでも切れ味鋭いドリブルで会場のどよめきを誘っていた泉澤が、左から2人を軽く外してミドル。ボールは枠の右へ逸れましたが、流れの中からもフィニッシュまで。すると27分に阪南へ歓喜を呼び込んだのは、やはり"右のセットプレー"。可児の4本目となる右CKは一旦クリアされたものの、待っていた神門は思い切り良くダイレクトでシュート。バウンドしたボールはDFの間をすり抜け、ブラインドになったGKも反応できずに、ゴールネットへ到達します。帰ってきた10番の先制弾。夏の対戦同様に、まずは阪南がリードを奪いました。
「後ろと横は何本繋がれようと、へこたれずに守れる自信はある」と乾監督が明言するように、ある程度守備に軸足を置く「全国でやるサッカー」(岸田和人・4年・大分U-18)は想定していた福大でしたが、風下とはいえ「あまりにも押し込まれ過ぎた」(乾監督)のは想定外。33分には早くも1人目の交替策。右SHの伊賀上竜希(3年・大分鶴崎)に替えて、山崎凌吾(2年・玉野光南)を投入すると、1トップ下の田中智大(4年・福岡U-18)が右へ移り、最前線は岸田和人と山崎のタワー2トップへ移行します。
それでも流れは変わらず、39分には珍しい牟田雄祐(4年・筑陽学園・名古屋内定)のミスから、阪南2トップの一角を占める小池恭一(4年・佐賀東)が抜け出し、あわやというシーンも。逆に福大は準々決勝で先制ゴールを演出したCB大武峻(2年・筑陽学園)のロングスローも、4回ありましたがすべて不発に終わり、前半のシュート数はゼロ。点差こそ1点しか付かなかったものの、阪南が必然とも言うべきリードを握ってハーフタイムへ入りました。
後半もまず好機を演出したのは阪南の"右"。50分、神門がうまくポストに入り、飯尾が右から放り込んだクロスへ工藤が合わせたヘディングはゴール左へ外れたものの、変わらぬ攻勢。51分に福大も平田拳一朗(3年・高川学園)の右FKを大武が折り返し、牟田がチームファーストシュートとなるヘディングを枠の上へ放ちましたが、56分には可児が右から2本連続でCKを蹴り入れるなど、ゲームリズムに変化の兆しは現れません。
乾監督の決断は57分。平田に替えて投入したのは、「足首はまだ本調子じゃなかった」という清武功暉(4年・大分U-18・鳥栖内定)。この交替に「みんなも『勝負を仕掛けたな』とわかったと思う」と話したのは岸田和人。切り札のピッチインがもたらした意志統一。
58分に右サイドで獲得したスローイン。投げるのは入ったばかりの清武。短い助走から発射されたボールは、前半のスローワーだった大武がニアでGKに競り勝ち、ゴール方向へフワリ。詰めた田中が阪南DFともつれると、岡部拓人主審はホイッスルを鳴らし、ペナルティスポットを指差します。
福大に訪れた初の決定機はPK。キッカーは「僕がボールを取りにいったら誰も来なかったので、蹴ってやろうと思った」岸田和人。「普段は田中か清武が蹴っているが、岸田和人がボールを置きに行ったので、あの時が一番ドキドキしました」と苦笑いした指揮官の心を知ってか知らずか、ストライカーが選択したのは「自分はアレしかやらない」というパネンカ。ボールはゆっくりとゴールへ辿り着き、阪南のアドバンテージはなくなりました。
ここから突如として始まった、福大の"マジックアワー"。60分、相手の横パスを読み切って奪った清武が、運んで運んで浮き球スルーパス。岸田和人のシュートは阪南GK原田直樹(3年・広島観音)がよく弾き、リバウンドを田中が打ち切ったシュートも左ポストを直撃しますが、そんな逸機も"マジックアワー"の前には些細な出来事。
62分、カウンターから山崎が正確に落としたボールを、清武は運んで運んでエリア内へ侵入。マーカーとの対峙で少しこぼれた球体に、反応したのは岸田和人。素早く左足を振り抜いたシュートは、GKの股間を破る逆転弾。「絶対自分が取り返してやろうと思っていた」岸田和人の2発が、3分で反転させた形勢。福大がすべてを引っ繰り返します。
止まらない疾風。65分、右からドリブルで持ち出した田中は、岸田和人のリターンを受けてエリア内へ。マーカーを華麗なキックフェイントで抜き去ると、放ったシュートは懸命に飛び付いた原田も一歩及ばず。「ここがポイントだという所を、今回は選手が嗅ぎ分けている」と乾監督も評価した怒濤の6分間。3-1。一気に福大が突き放しました。
悪夢とも形容できる時間帯を凌げなかった阪南。須佐徹太郎監督は73分、工藤と河田篤秀(2年・阪南大高)を入れ替え、前線にパワーを注入して、何とか2点を取り返す姿勢を打ち出します。76分は阪南。谷本泰基(4年・広島皆実)が右へ振り分け、飯尾のクロスから3本連続で打ったシュートは、3本連続でDFが体を張ってブロック。77分も阪南。可児の左CKに、ニアで合わせた小池のヘディングはクロスバーの上へ。82分も阪南。河田の強烈なミドルはわずかに枠の上へ。手数は繰り出すものの遠いゴール。
乾監督は83分に田中と椛島典哉(4年・筑陽学園)をスイッチすると、「普通の受け方では止まらない」二見と泉澤対策として、岸田翔平(4年・大分U-18・鳥栖内定)と椛島を縦に並べる「ダブルサイドバック」の5バック気味にシフト。万難を排して、クローズに入ります。
90+4分、可児のこの日11本目となるCKから阪南が見せた意地のラストアタックも、泉澤のシュートに体で飛び込んだのは椛島。「最後は自分たちの得意な守備」(岸田和人)が一層の輝きを放ち、聞いたタイムアップのホイッスル。「リベンジシリーズが2つ終わった」(乾監督)福大が、悲願の初優勝に王手を掛ける結果となりました。
阪南は飲み込まれた"6分間"を跳ね返せず、悔しい敗戦になってしまいました。あの時間まではほとんど負ける要素のない展開だったと思いますが、1失点目でメンタルと守備組織の両面に綻びが生まれたのも確か。夏冬連覇には一歩届きませんでした。
対して、劣勢を強いられていた福大を支えていたのは、「前半をゼロか1失点で抑えておけば、後半は自分たちの流れになるとわかっていた」(岸田和人)という揺るぎない自信。それは、「それだけ練習で積み重ねてきているから、結果になっている」(乾監督)セットプレーへの自信でもあるように感じます。「総理大臣杯も初優勝は3度目の決勝だった」と乾監督。冬の"3度目の正直"へ。機は熟しています。         土屋

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