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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年12月19日

インカレ1回戦 鹿屋体育大×高知大@BMWス

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BMW1219①.jpg大学サッカー界にとっては今年最後の全国大会。全日本大学サッカー選手権大会、通称"インカレ"が今日から開幕します。1月6日に国立競技場で行われるファイナルの舞台を目指し、全国9地域から集結した16の精鋭たち。1回戦4会場の中から、今回は平塚をチョイスしました。第1試合は九州第2代表の鹿屋体育大と四国代表の高知大という対戦。西日本勢同士が激突します。
九州では随一のタレントを誇る福岡大と熾烈な優勝争いを繰り広げ、最終節の直接対決で惜しくも2位となった鹿屋。最終ラインには坂井達弥(4年・東福岡・鳥栖内定)、中盤には山崎侑輝(4年・FC東京U-18・熊本内定)と2人のJリーグ入団内定選手を擁し、九州勢初の頂点を狙います。
一方、今回で19年連続出場というギネス級の記録を誇る高知。国立大学ということで推薦での選手獲得はできず、「野球部と共用で使う土のグラウンドでのトレーニング」(野地照樹監督)を強いられながら、ここ数年は菅和範(栃木)や實藤友紀(川崎)、中野圭(山形)などJリーガーを継続して輩出するなど、全国規模で存在感を発揮しています。曇り空の下でかなり肌寒さを感じる中、鹿屋のキックオフでゲームはスタートしました。
いきなりの決定機を掴んだのは鹿屋。3分、中盤で福田晃斗(2年・四日市中央工業)が小谷健悟(2年・神村学園)とのワンツーから左へ展開。大瀬拓人(3年・鹿児島中央)を経由して、上がってきたSBの下坂晃城(1年・東福岡)が入れたクロスは、ファーで完全にフリーの坂田良太(3年・大津)へドンピシャ。坂田が頭で難なく流し込み、早くもスコアが動きました。
以降も勢いは圧倒的に鹿屋。4分にも坂田が枠の左へ逸れるミドルにチャレンジすると、5分にもビッグチャンス。福田がややアバウトに右へ送ったボールを、中原優生(1年・佐賀東)が叩いたボレーはわずかに枠の右へ。さらに13分、最後は坂田が繋いだパスを福田がダイレクトで狙ったシュートはクロスバー直撃。追加点も時間の問題というような展開が続きます。
さて、「イメージしている立ち上がりではなくてビックリした」と野地監督も話したように、精神的支柱のCB山部晃(4年・作陽)がインフルエンザで欠場した影響もあってか、かなりバタバタした格好でゲームへ入った高知でしたが、15分を過ぎるとようやく落ち着きを取り戻し、「元々は右のワイドだけど、ボランチの方が気持ち良くできるだろうと」(野地監督)中央に配された中田龍吾(4年・土佐)を中心に、しっかりボールを繋ぐスタイルが少しずつ表出。これで必要以上にボールロストする確率が減ったことで、それがそのまま相手の攻撃に対する抑止となり、ゲームはフィフティに近い流れで推移していきます。
31分には高知のカウンターが発動。中田の体を張ったシュートブロックが起点になり、福本圭(4年・備前緑陽)が右へ展開。開いた有間潤(2年・宇和島東)のクロスはわずかにパスアンドゴーを体現した福本へ届かなかったものの、初めて相手ゴールへ迫る形を創ります。
38分には鹿屋も、小谷のミドルパスから坂田がドリブルでエリアまで運びましたが、山部の代役としてCBに入った西岡大志(1年・初芝橋本)が粘り強い対応でシュートを打たせず。逆に42分の決定機は高知。渡部亮武(3年・作陽)のクサビを有間がバイタルへ潜ってポスト。福本が左へ回したボールを、ダイレクトで狙った竹内宏次朗(4年・エストレラ姫路ユース)のボレーは数十センチの誤差でクロスバーの上へ。「サッカーの楽しい所」と野地監督も表現した"ゴール前"でも、アイデアを好機に結び付けた高知。次第に四国王者がリズムを掴みながら、スコアは鹿屋が上回って前半は終了しました。
後半開始からベンチが動いたのは、リードしている鹿屋。先制点にも絡んだ大瀬を下げて、大山直哉(3年・神村学園)をそのまま左SHへ投入します。すると47分、その左サイドで獲得したCK。山崎が蹴ったボールをGKが弾くと、これを小谷が右足でハードヒット。綺麗に揺れたゴールネット。後半もファーストシュートを成果に繋げる集中力。点差は2点に広がりました。
追い掛ける高知は、しかしすぐさま反撃。51分、キャプテンマークを巻いた赤木俊秀(4年・銀河学院)が右から蹴り入れたCKを、福本がヘディング。鹿屋GK井上亮太(4年・FC東京U-18)はよく防ぎ、詰めた西岡のシュートにも反応しましたが、ここは西岡の執念が勝ります。スタメンただ一人の1年生が大仕事。再び鹿屋のアドバンテージは1点になりました。
ここからの攻勢は、前へのパワーで上回った"桂浜の戦士"。54分、中田が左へ送り、塚本諒(3年・帝京大可児)のクロスは、ニアに飛び込んだ有間が当て切れず。58分、赤木のFKがこぼれると、拾った宮川晃至(3年・富士)のフィニッシュはクロスバーをかすめて枠の上へ。63分、塚本が左サイドをドリブルで運び、福本の打ち切ったシュートは井上がキャッチ。「少し足が止まってきたように見えた」(野地監督)相手を尻目に、高知が圧力を掛け続けます。
対する鹿屋は68分にカウンターからチャンス創出。福田が左へ振り分け、小谷はキレキレのドリブルでマーカーを翻弄してから枠内へ。これは高知GK安達慎恭(4年・三田学園)がファインセーブで阻止しましたが、福田と小谷の"個"は常に脅威を孕んでいることを、高知ディフェンスに突き付けました。
何とか1点を返したい高知は75分、赤木のフィードに抜け出した福本が左クロス。ファーに走り込んだ伊藤拓史(3年・なんこくトラスターFC)のヘディングは枠の右へ。ビハインドの状況に野地監督は相次いで交替を決断。76分に有間と植木二朗(3年・島原)を、79分に渡部と横山雄大(4年・宮崎妻)を入れ替え、中盤の配置もスライドさせながら、最後の勝負に出ます。
80分には塚本のFKから、植木が確実なポストプレー。左SHからボランチへ落ちた竹内のミドルは大きくバーを越えたものの、「植木が入ると高いボールからセカンドを拾える」(野地監督)という狙いは1つ形に。膨らむ期待。加えて、81分に小谷とのコンビから福田の決定的なシュートを安達に阻止された鹿屋は、その直後に下坂が2枚目のイエローカードを受けて退場に。数的不利で残り10分余りを戦うことになりました。
流れは高知。苦しい鹿屋。しかし、ここで圧巻のパフォーマンスを見せたのはJ1での出場経験を持つ鹿屋のCB坂井。植木というはっきりしたターゲットを得て、高知が多用する長いボールを、冷静にことごとく跳ね返し、ゴールへは近付かせず。5バック気味で守る最終ラインに絶対的な安定感をもたらします。
終盤は86分と87分に大山が惜しいシュートを放つなど、むしろ鹿屋がフィニッシュまで取り切ることが増え、高知はサイドまでボールを運びますが、「クロスの質が単調過ぎた」(野地監督)こともあってチャンスは迎えられず。アディショナルタイムも危なげなく消した鹿屋が、2年連続となるベスト8へ駒を進める結果となりました。
高知は「立ち上がりのコレはないやろと思ったね」と指揮官も苦笑いしたように、前後半の入り方で後手を踏んでしまいました。それでも、山部を欠きながらもこのゲーム内容を見せてくれたのは、「サッカーの"エッセンス"だけ教えている」と語る野地監督の"シンプル・アンド・リアリティ"に基づいた練習の成果。また来年も見てみたいと思わせてくれるような、好チームでした。      土屋

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