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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年11月03日

ナビスコ決勝 清水×鹿島@国立

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kokuritsu1103.jpg20度目の夢舞台。新進の橙。風格の赤。ナビスコカップファイナルは、鹿島と清水の間で争われます。
カップ連覇まであと1勝となった鹿島。リーグ戦では苦しい戦いが続く中、ナビスコは順調に勝ち星を重ねると、迎えた準決勝も昨年度のリーグチャンピオン柏相手にホームで3-2、アウェイで2-2と打ち合いを制し、堂々の8度目となるファイナル進出。なかなか結果の出ない今シーズンだからこそ、目前へ迫った"16冠目"に並々ならぬ執念を燃やしているのは間違いありません。
対するは、準決勝第2戦を大前元紀のハットトリックで抜け出し、4年ぶりの国立へ勝ち上がってきた清水。前回のファイナルを経験しているのは山本海人ただ1人であり、スタメン平均年齢23歳、ベンチメンバーも含めた18人の平均年齢23.11歳と、ヤングエスパルスとして決戦に臨みます。
選手入場と同時にバックスタンドへ浮かび上がったのは、2時間後にどちらかが掲げることになる聖杯。45528人の観衆が創り上げた「素晴らしい雰囲気」(清水・アフシン・ゴトビ監督)の中、キム・ヒョンソンがボールを蹴り出し、最後の一戦が幕を開けました。
まず、この1週間前にリーグ戦で両者は顔を合わせているという前提があり、そこからの最も大きな相違点は「鹿島は違ったメンタリティで臨んできた」とゴトビ監督も指摘する、ジョルジーニョ監督の送り出したスタメン。ボランチに本田拓也、1.5列目に興梠慎三、さらに左SBには指揮官自ら「皆さんが驚かれたと思いますが」と語った昌子源を起用し、柴崎岳は左SHでゲームに入ります。
立ち上がりはほとんど互角の攻防。ボールを持つ時間は清水が長い中、「僕が頭から出るということは、守備から入るということ」と昌子が話したように、鹿島はある程度しっかりブロックを作って、奪ったら素早く縦へというスタイルを徹底。特に昌子は大前をマンツーマン気味でケアしにかかり、8分にはGKとの連携不足からやや危険なシーンを招いたものの、基本的には相手の右サイドをうまく消すことに成功します。
逆にイ・キジェの積極的なオーバーラップもあって、清水は左サイドに活路。ただ、両チーム通じて最初のビッグチャンスは清水の右サイドから。14分、左にいたイ・キジェが中へ送ると、CBの平岡康裕は右に展開。上がってきたSBの吉田豊が左足でクロスを放り込み、DFのクリアを高木俊幸がダイレクトボレー。曽ケ端準のファインセーブに阻まれましたが、左右への揺さぶりから1ついい形を創出します。
杉山浩太を出場停止で欠いた清水は、3枚で組んだ中盤の構成が特徴的。八反田康平は明確に高い位置を取り、「前の2人に合わせてポジションを取る」と話した村松大輔がバイタルを監視。河井陽介は2人の中間くらいのイメージで攻守のバランスに腐心するなど、3人の連携がスムーズだったことは清水にとって大きなアドバンテージに。中でも「相手のボランチに仕事をさせないことだけを考えた」という河井は、守備面でうまく小笠原満男の配球を制限しながら、攻撃面でも「河井が低い位置に下りて、ボールに触ってくれた」と八反田が言及したように、ボール回しのアクセントとしても機能。攻守に効いていた印象です。
お互いにフィニッシュまではなかなか持ち込めない時間が続く中、ここ最近はポストプレーに無双のキレを見せていた大迫勇也も収め切れず、前で時間を創れない鹿島にファーストシュートが生まれたのは43分。左から遠藤康が蹴ったCK。キム・ヒョンソンのクリアを拾った柴崎が枠を越えるミドルにチャレンジ。両チーム通じてわずか3本のシュートという前半は、スコアレスで終了しました。
ハーフタイムに動いたのはジョルジーニョ監督。「守備を求められるポジションで、前半でカードをもらってしまった」興梠を下げて、ドゥトラをそのままの位置に投入します。すると、ピッチに飢えたブラジリアンが早くも解き放たれたのは後半開始わずかに47秒。小笠原の浮かせたパスを右から大迫が折り返すと、飛び込んだのはドゥトラ。GK林彰洋の鼻先で触ったシュートは枠の上に消えましたが、いきなり好機を創り出します。
52分も鹿島。遠藤のクサビを大迫が溜めて絶妙のリターン。レフティのフィニッシュは平岡にブロックされるも、大迫にもポストのリズムが。56分も鹿島。清水のCBカルフィン・ヨン・ア・ピンがオーバーラップから左クロスを上げると、跳ね返した小笠原は丁寧に遠藤へ。スルーパス一閃。走ったドゥトラのドリブルシュートは林が抑えましたが、「嫌な所で受けてドリブルしてくるのは気になった」(村松)「前で基点を創られた。正直興梠さんよりドゥトラの方が怖かった」(河井)と2人が声を揃えたように、11番がもたらした推進力で鹿島がペースを奪取してみせます。
対する清水は58分、八反田の展開から吉田が左足で右クロスを上げると、高木のボレーはクロスバーの上へ。後半のファーストシュートまで13分を要すなど、前へのパワーが減退。握っていた左サイドの優位性も霧消してしまいました。
ゴトビ監督の決断は64分。動き回った河井を下げて、小林大悟をやはり中盤そのままの位置へ送り込みます。67分は清水。イ・キジェの左クロスを八反田が頭で繋ぎ、エリアで前を向いたのは大前。対峙したのは昌子。2秒後、ボールを奪ったのは昌子。「源も慣れないポジションでよくやっていた」と小笠原も認めた19歳が、全うし続ける自らのタスク。
70分、ジョルジーニョ監督は2人目の交替。本田に替えて増田誓志をSHとして投入し、柴崎をボランチへスライドする策に。すると、その布陣変更が実行される前に、鹿島が掴んだ決定機。増田投入直後のCKは清水。大前のキックをドゥトラが弾き返し、拾った遠藤は右に流れながら縦へ。クリアから全力で駆け上がったドゥトラが中へ送り出すと、これまた全力疾走してきた柴崎がエリア内で抜け出し、シュート態勢に入った所でイ・キジェの右手に押し倒されます。家本政明主審が迷わず指し示したペナルティスポット。やはりキーマンはドゥトラ。鹿島に訪れたPKの先制機。キッカーは「試合前に監督から蹴れと言われていた」柴崎。キックは向かって右。林は左。「強靱な精神力」(ジョルジーニョ監督)を持つ20歳が大仕事。遂に均衡が破れました。
ところが、そのリードは束の間の夢。75分、大前が右からCKを蹴り入れると、家本主審が吹き鳴らしたホイッスル。一瞬スタジアム中が状況を把握できないような間合いが生まれ、公式記録では青木剛に警告が出ているため、彼のファウルという判定で、清水にもPKが与えられます。キッカーは大前。キックは向かって左。曽ケ端は右。1-1。わずか4分間でスコアは振り出しに戻りました。
ラスト10分の攻防。83分、鹿島は足が2回攣ったという昌子を諦め、新井場徹を投入。87分は清水。高木の強引なカットインミドルはクロスバーの上へ。89分は鹿島。青木の高精度フィードに新井場が抜け出し、中への折り返しはヨン・ア・ピンがクリア。90+1分は清水に2人目の交替。八反田に替えて、ニューヒーロー賞を獲得した18歳の高校3年生・石毛秀樹がピッチへ。
90+2分は清水。その石毛が2人に囲まれながら、完璧な浮き球パスを通しましたが、フリーの小林は中途半端な折り返しを選択してしまい、DFがクリア。90+3分も清水。大前の右FKを、ファーで頭1つ抜け出して叩いたキム・ヒョンソンのヘディングは枠の左へ。90+5分も清水。高木のラストパスから、石毛が自ら狙ったシュートは曽ケ端も落ち着いたキャッチ。龍虎譲らず。カップの行方は30分間の延長戦へ委ねられることになりました。
王者の意地が結実したのは93分。増田のサイドチェンジから、西はカットインしながら中へ。「ヨン・ア・ピンが足元を狙ってきていたのはわかっていたし、ボールがちょっと長かったので、狙いと偶然が半々」という柴崎のワンタッチ目は3人のDFを一瞬で置き去りに。2バウンド目をボレーで合わせたシュートが、ゴールネットを激しく揺らします。「なかなかあれだけの選手とは出会えない」とジョルジーニョ監督も絶賛した柴崎がまたもスコア。鹿島が体半分前に出ました。
さて、再び突き放された清水。96分、ゴトビ監督は村松に替えて、「ゴール前での効果を使い、相手CBにプレッシャーをかけていく狙い」で特別指定選手の瀬沼優司をキム・ヒョンソンと最前線に並べ、1ボランチを務める小林の前に右から高木、大前、石毛を並べた4-1-3-2 で最後の勝負に。
97分は鹿島。ドゥトラとのワンツーから、大迫のミドルは枠の右へ。101分も鹿島。柴崎のあわやハットトリックかというフィニッシュは、わずかに枠の右へ。102分は清水。吉田が右から上げたクロスは、ファーでフリーの高木へ流れるも、シュートは増田がブロック。104分は鹿島。ここもドゥトラとのワンツーで抜け出した遠藤のヒールシュートは林がファインセーブ。105分は清水。瀬沼のポストプレーから、吉田がニアへ放り込んだクロスを、キム・ヒョンソンは頭に当てるも枠外へ。いよいよ延長も残すは15分間。
110分は清水。高木のミドルは枠の左へ。「早めにクロスを入れて、そこからセカンドを奪いたい」(ゴトビ監督)清水の思惑も、「4トップ気味で来たけど守りやすかった」と振り返った岩政大樹と青木を中心に跳ね返し続ける鹿島。「臨機応変に、状況に応じて勝つためのプレーに徹する」(小笠原)王者の狡猾なタイムコントロール。
116分のCKは遠藤がクリア。118分のFKは新井場がクリア。近付く戴冠の瞬間。120+3分、ヨン・ア・ピンのロングスローを岩政が弾き、ドゥトラが大きく蹴り出すと、国立の秋空へ吸い込まれたタイムアップを告げるホイッスル。「予選を含めて数多くの選手で勝ち上がってきた大会なので、これまでとは少し違う、チーム全員で掴み取ったタイトル」と小笠原も胸を張った鹿島が、16個目の"星"を獲得する結果となりました。         土屋

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