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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年11月04日

J2第41節 東京V×横浜FC@味スタ

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ajista1104.jpg8節終了時では3位と22位。ポイント差は実に13。折り返しの21節終了時では3位と10位。ポイント差は9。37節終了時に初めて横浜FCが昇格プレーオフ圏内に当たる6位へ浮上した時、7位へ転落したのが東京V。そして今日、4ポイント離れた7位と5位として、両者が味スタで対峙します。
8月下旬に喫した3連敗以降、監督交替を経たものの、8試合で2勝4分け2敗と思うように勝ち点を伸ばせなかった東京V。6位と3ポイント差で迎えた今節は、限りなく勝利のみが求められるデスマッチ。崖っぷちからの生還を狙います。
対するは、ここ8試合で5勝2分け1敗と驚異的な追い上げを見せ、一気に昇格プレーオフ圏内へ突入してきた横浜FC。「選手はこの状況をワクワクしながらやっているんじゃないか」と山口素弘監督が話せば、「監督が『ミスを恐れずにやれ』と言ってくれるのがプラスに働いている」と高地系治。残された2試合で目指すは、自動昇格となる2位。J2史上最大級の逆転昇格に自信を覗かせます。この一戦を見届けようと、会場に集まったのは13093人。問答無用の決戦は、横浜のキックオフでスタートしました。
3分にカイオが35m近い距離からゴールを直接狙い、バーを越えるFKで時計の針が動き出したゲームは、「相手が結構前から来て、ペースを握られた」と高地が認めたように、東京Vが先にリズム。ここに来てスタメンに抜擢されている18歳の中島翔哉が、少し前線から下りながらボールに触り、SHの西紀寛と梶川諒太とのコンビネーションからチャンスを窺うと、13分には流れるようなチャンスメイク。西、阿部拓馬と繋ぎ、梶川が左へ付けると、膨らんだ中島はフリー。ここはオフサイドを取られましたが、いいイメージのアタックを1つ繰り出します。
決して悪い流れではない中、攻撃の手数を出せない横浜に訪れた決定機は16分。左から高地が蹴ったCKはフリーの大久保哲哉へ。しかし、狙ったボレーはクロスバーを越えてしまい、先制点とはいきません。
逆に連続チャンスは東京V。カウンターの芽を森勇介が最高のカバーで潰した直後の19分、相手のミスを拾った梶川が縦へ。中島のかかとに当たったボールを、再び梶川がボレーに変えるも枠の上へ。20分、森が右からアバウトなグラウンダークロスを入れると、寺田紳一のクリアは足に当たらず、フリーの中島へ。こちらも決定的なシーンでしたが、シュートはわずかに枠の左へ逸れ、スコアは動かず。
すると、この逸機を境に今度は横浜にペースが移行。高地と寺田で組んだドイスボランチがパスを捌き始め、「SHが中で受けられるようになった」(高地)ことも手伝い、ポゼッションが上昇。23分にはSHの野崎陽介がインサイドに切れ込み、こぼれをカイオが枠外ミドル。24分にもカイオを起点に、井手口正昭が浮かせ、大久保の落としをカイオが右足で狙ったボレーは枠の上へ外れたものの、「受けずにこちらから仕掛けよう」という指揮官のメッセージを体現するようなプレーが出てきます。
とはいえ、ホームチームもSBの森勇介と高橋祥平はもちろん、時にはCBの深津康太まで前に飛び出していく積極性を披露。空いたスペースはボランチの和田拓也が必ず管理するなど、バランスは崩さずに攻撃姿勢を発揮。30分過ぎからは一進一退の時間が続き、43分から横浜が3連続で掴んだセットプレーのチャンスもゴールには至らず、「我慢比べのような」(東京V・高橋真一郎監督)前半はスコアレスで終了しました。
後半はスタートから山口監督が決断。大久保に替えて、永井雄一郎を投入。「カイオが1トップでその下に入り、中盤でしっかりゲームを支配できるように」(永井)とベテランに45分間を託します。すると50分には、その永井が右サイドをドリブルで運んで中へ。深津のクリアは小さく、拾った武岡優斗の目の前にはゴールと土肥洋一のみ。左足で蹴ったシュートは枠を越え、横浜ベンチも頭を抱えましたが、早くも永井投入の効果が。53分にも永井はドリブルからゴール前でFKを獲得するなど、アクセントとして躍動します。
56分も横浜。相手のクリアミスを奪った高地のボレーは枠の左へ。60分も横浜。武岡が激しいプレスで梶川からボールをつつくと、こぼれをカイオがダイレクトで狙ったシュートは枠の左へ。畳み掛けるアウェイチーム。東京Vが久々にチャンスを迎えたのは63分。右サイドを抜け出した中島がマイナスへ折り返すと、走り込んだ西がフリーで放ったシュートはゴール右へ。今度は東京Vベンチが頭を抱えました。
そのベンチが動いたのは65分。十分脅威になっていた中島を下げて、同じポジションに飯尾一慶を送り込む決断を下します。一方の山口監督は68分、野崎に替えて八角剛史を投入。「間延びしてきたので、中盤を締める役割」(八角)を与え、もう一段ギアを上げる選択を。さらに両指揮官が、ほとんど同時に講じた交替策。73分、高橋監督2枚目のカードは、梶川と17歳のユース所属・前田直輝をスイッチ。74分、山口監督最後のカードは、好調のカイオと田原豊をスイッチ。この采配が当たったのは、監督1年目の43歳。
79分、「しっかり蹴れば合わせてくれるのはわかっていた」という高地が右から蹴ったFKを、中央でDFと競り合いながら頭に当てたのは田原。ボールはクロスバーを叩くも、跳ね返りが土肥に当たってゴールへ転がり込みます。「選手交替を積極的にチャレンジできるのも、選手誰もがいい状態でいてくれているから」と選手を称えた山口監督の采配ズバリ。横浜が大きな大きな1点を手に入れました。
追い込まれた東京Vも必死の反攻。82分のピンチを武岡のシュートミスに助けられると、83分には"らしい"パスワーク。西が右へ振り分け、森は中へ。飯尾が繋ぎ、柴崎晃誠が打ち切ったシュートはDFのブロックに遭い、GKがキャッチ。同じく83分、森のパスから柴崎晃誠が1人かわして放ったシュートもクロスバーの上へ。
87分には3人目の交替として、木島良輔と和田と入れ替え、前線の人数を増やしてまさにシーズン最後の勝負に。そして90+1分、千載一遇の同点機が。森が右へ回したボールを前田が上げたクロスはファーサイドの西まで届き、放たれた決定的なヘディングは、しかし無情にもわずかに枠の右へ逸れ、万事休す。「特に今日は選手を褒めたいというか、褒めなきゃいけない」と山口監督も言及した横浜は、これで6位以内がひとまず確定。東京Vは6位の千葉が松本を2-0で下したため、6位以内へ入る可能性が消滅。現在の勢いを象徴するような、明暗がくっきりと分かれる結果となりました。
東京Vは中島の交替が、結果論ですが奏功しなかった印象です。おそらく現時点で東京Vの中では最もゴールに絡む可能性の高い選手であり、今日も2度の決定機に関与するなど、その感覚を見せていただけに、替わった飯尾の奮闘は語り落とせないものの、あの交替でゴールできる確率は小さくない割合で下がったのではないでしょうか。クラブの"未来"に賭ける選択があっても良かったように思いました。
勝った横浜は「どっちもどっちだった後半」(高地)の終盤に、しっかりセットプレーで決勝ゴールを上げて0-1で勝ち切る辺りに、力強い安定感を感じました。その安定感を八角は「勝ちを意識する中で、質の高いサッカーを突き詰めようとすることから来ていると思う」と表現。山口監督に「選手が成長しているのが目に見えてわかる」と言わしめるチームの結末が、非常に楽しみです。          土屋

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