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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
大阪の地で実現した、今シーズン2度目のユース版横浜ダービー。横浜FMユースと横浜FCユースが、全国のクォーターファイナルで激突します。
夏のクラ選ではホーム三ツ沢でのファイナルまで進出したものの、柏U-18相手に2度のリードを守れず逆転負けを喫し、タイトルに手が届かなかった横浜FM。"あと1つ"を目指して臨んだ今大会は、予選リーグを2位通過。決勝トーナメント1回戦は、クラ選準決勝でも当たった京都U-18を伊東海征(3年・横浜F・マリノスJY追浜)のハットトリックを含む5ゴールで返り討ちに。2日前の鹿島ユース戦は先制を許しながらも、79分と89分のゴールで逆転勝利。頂点への執念を発揮して、ここまで勝ち上がってきました。
対するは、3回目の挑戦となったクラ選で初めて1次ラウンドを勝ち抜き、ベスト8へと躍進した横浜FC。今大会は磐田U-18と名古屋U18が同居するグループで、全勝という堂々の首位通過。初戦となった決勝トーナメント2回戦は、88分に逆転を許しながら、90+5分にマンチェスター・シティ入りも噂される木下康介(3年・横浜FCJY)が同点弾を叩き込み、PK戦で競り勝ってこの舞台へ辿り着いています。
今シーズン1度目の対戦はクラ選の関東2次予選で、結果は2-1と横浜FMが勝利。スタメン全員がジュニアユース出身者となった横浜FCからすれば、「こだわりを持って、中学生から積み上げてきたもの」(重田征紀監督)をぶつける格好の相手。ハマの盟主を懸けた一戦は、横浜FCのキックオフで幕を開けました。
横浜FCのファーストシュートは4分。左サイドでボールを持った木下が、積極的なミドルを枠の左へ。横浜FMのファーストシュートは10分。左サイドからカットインしてきた汰木康也(2年・横浜F・マリノスJY)が、そのままミドルを枠の右へ。お互いに左からのチャンスをフィニッシュへ結び付けます。
14分の決定機は横浜FM。左サイドで受けた汰木が、外側を巻くスルーパス。うまく潜った田中智也(3年・横浜F・マリノスJY追浜)のシュートは、うまくコースを消した横浜FCのGK高丘陽平(2年・横浜FCJY)が立ちはだかり、先制とはいかなかったものの、またも左からの崩しで好機を演出しました。
展開としてはほとんど五分に近い状態。横浜FMは左SHの汰木に加え、伊東と田中智也の2トップが積極的にボールへ関与し、そのアタッカーをボランチに入った、2種登録として既に今シーズンのナビスコカップで2試合に出場している喜田拓也(3年・横浜F・マリノスJY)が操る構図。一方の横浜FCは「DFラインから中盤では、時間をかけて運んでいく狙い」(重田監督)を確実なパス回しで体現しながら、右の河野稜磨(3年・横浜FCJY)と左の田中舟汰郎(3年・横浜FCJY)というSHコンビが、巧みなドリブルで縦へのギアを入れるスタイル。どちらも特徴のある攻撃性を前面に押し出します。
17分に汰木がまたもカットインシュートを枠の左へ飛ばすと、22分には河野が30m近いロングドリブルから枠を越えるシュートチャレンジ。24分には高徳勇輝(3年・横浜FCJY)のパスを受けた河野が鋭く縦へ入れると、斜めに飛び込んだ田中舟汰郎はわずかのズレでシュートまで持ち込めず。34分には伊東の繋ぎから、汰木が左へ流れて放ったシュートは高丘がしっかりキャッチ。両者譲らず。
42分の横浜FM。新里涼(2年・横浜F・マリノスJY追浜)のラストパスから、ここも汰木が打ったシュートは、横浜FCのCB青木優(3年・横浜FCJY)が体で勇気あるブロック。「ゲーム自体の運び方は狙い通り」と重田監督。五分でやり合った前半は、スコアレスでハーフタイムに入りました。
後半はスタートから動いた松橋力蔵監督。田中智也を下げて、深澤知也(2年・横浜F・マリノスJY)を投入。最前線の顔触れに手を加えます。48分のチャンスは横浜FM。上野海(3年・横浜F・マリノスJY追浜)のフィードから、キレのあるドリブルで運んだ伊東のフィニッシュは、高丘が何とかキャッチ。勢いはトリコロールか。
ところが、ここから攻勢に転じたのは青白のフリエ。53分、「スピードもあって突破力もある」と重田監督も評した田中舟汰郎が、左サイドをぶち抜いて中へ。松田大斗(3年・横浜FCJY)がトラップから素早く振り抜いたシュートはゴール左へ外れたものの、引き寄せた流れ。55分には田中舟汰郎、高徳、松田、木下と細かく繋ぎ、最後に高徳が放ったシュートはクロスバーを越えましたが、3年生4人の「長く一緒にサッカーをしている強み」(重田監督)が凝縮されたようなコンビネーションで、横浜FMゴールを脅かします。
どちらもシュートは繰り出せない中、以降も全体の流れはわずかに横浜FC。70分は横浜FMも左サイドを崩し、伊東の折り返しを新里がミドルで狙うも、クロスバーの上へ。71分は横浜FC。中へ入った河野が外へ付けると、右SBの剣聖矢(3年・横浜FCJY)が上げたクロスを、木下が懸命にヘディング。横浜FMのGK田口潤人(1年・横浜F・マリノスJY)が辛うじて触れたボールは、右のポストを静かに直撃。「河野が中へ入った時に、SBが上がってくるのもウチの形」と重田監督も話した狙いから、あわやというシーンを創出してみせます。
突如として巻き起こったトリコロールの疾風。74分、深澤からパスをもらった喜田は左へ完璧なパス。開けた視界。駆け上がったSBの飯塚澄(2年・横浜F・マリノスJY)は"25番のレフティ"らしい完璧なクロスをファーへ。走り込んだ伊東の完璧なヘディングが、ゴールネットに突き刺さります。これぞ、完璧なカウンター。横浜FMがとうとう均衡を破ってみせました。
1点を追い掛ける展開となった横浜FCは、75分に河野を下げて窪園大地(2年・FC町田ゼルビアJY)を投入。77分に村原大輝(3年・横浜F・マリノスJY追浜)のミドルを、78分に深澤のドリブルを起点に伊東のゴール左へ外れるシュートを相次いで食らうと、79分には2枚替え。高徳に替えて奥津翔太(2年・横浜FCJY)、そして「ケガもあって、コンディション的にあまりよくなかった」(重田監督)木下に替えて、榎下隼人(3年・横浜FCJY)をピッチへ送り込み、何とか追い付くための勝負に出ます。
ただ、横浜FMの守備陣も岩壁裕也(3年・横浜F・マリノスJY)と上野で組んだCBを中心に、かなりの安定感を持って対応。「シュートまでなかなか行けなかった」と敵将も振り返った通り、フレッシュな相手アタッカー陣に付け入る隙を与えません。
86分は横浜FC。石井圭太(2年・横浜FCJY)の右CKは、DFが力強くクリア。87分も横浜FC。剣が獲得したCKを、右から石井が蹴り入れるも中と合わず。90+1分のラストチャンス。石井が左から丁寧に蹴ったCKは、横浜FMの選手に当たり、横浜FCの選手に当たる"パチンコ"状態でゴール方向に向かいましたが、ボールが行方として選んだのはわずかに枠の左。"シーズンダブル"を達成した横浜FMが、2年ぶりの戴冠へまた1つ歩みを進める結果となりました。
しっかりと勝負強さを見せ付けた横浜FMの素晴らしさと共に、横浜FCの健闘が光ったゲームだと思います。今の3年生はジュニアユースの2期生に当たり、6年間に渡って切磋琢磨してきた成果の「あうんの呼吸」(重田監督)が、1試合を通じて随所に散りばめられていました。「ウチは継続していくことを強みにしなくてはいけないクラブ」と重田監督。横浜からの新しい息吹を、確かに感じることのできる90分間だったと思います。 土屋
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