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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年11月12日

高校選手権東京B準決勝 国士舘×実践学園@西が丘

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nishigaoka1111②.jpg第2試合は久々の全国を狙うチーム同士の解逅。9年ぶり4回目の国士舘か、8年ぶり2回目の実践学園か。セミファイナルの大トリを飾る一戦です。
新人戦は地区予選の初戦で敗退。インターハイ予選は準々決勝で帝京に完敗と、トーナメントではなかなか結果が付いてこなかった国士舘。ところが、T1リーグのラスト3試合で12得点を挙げると、今大会も2試合で6得点と攻撃陣が爆発中。2人で得点を量産している川口翔太(3年・三菱養和巣鴨)と大嶋武司(3年・川崎麻生中)を軸に、打ち合いへ持ち込みたい所です。
対する実践は関東大会出場にインターハイ全国出場と2冠は既に獲得。キャプテンの鴻田直人(3年・JACPA東京)と尾崎快斗(3年・POMBA立川FC)で組む都内最強CBコンビを最後尾に配し、最後の1冠獲得を狙います。4001人の観衆が見守る中、国士舘のキックオフで準決勝最後の一戦はスタートしました。
お互いにゆっくりと立ち上がったゲームは、動きの少ない展開に。少し国士舘がボールを持つ時間こそ長いものの、「前半は前からプレッシャーを掛けて、全体をコンパクトにしてセカンドを拾うような、当たり前のことだけをやろう」(深町監督)と送り出された実践は、ある程度後ろにブロックを作りながら、しっかりと守備から入る戦い方を選択。ほとんど相手をエリア内へ侵入させず、「ウチのペース」(深町監督)という認識でゲームを進めていきます。
ところが、21分に国士舘へ訪れた決定機。左に流れた川口のクロスは、魅入られたかのようにフリーの大嶋へ。余裕を持ったヘディングは実践GK天野将貴(3年・FC杉野)の正面を突き、先制とは行かなかったものの、大きなチャンスを創り出します。
すると、ここから「DFラインと中盤が怖がって消極的に下がってしまい、セカンドを相手に拾われ出した」と深町監督。中盤を支配し始めた国士舘は、特に左SBの平山起光(3年・FC東京U-15深川)が積極的にオーバーラップを繰り返したこともあって、サイドの攻防でも優勢に。30分にはピッチ中央、ゴールまで約20mの距離から、キャプテンの服部準平(3年・東京ヴェルディJY)が直接狙ったFKは枠を越えたものの、引き寄せたペース。
実践も35分には好機到来。安齋柊(3年・FC府中)のFKを原大和(3年・横河武蔵野JY)が繋ぎ、鴻田がボレーで枠へ飛ばしたシュートは、国士舘GK安藤浩睦(3年・FC東京U-15深川)がファインセーブで回避。攻撃の手数も多く、服部と額賀祐介(3年・駒沢FC)を中心に守備面も安定感を発揮するなど、国士舘が優勢に進めた前半は、結局スコアレスでハーフタイムに入りました。
後半に入ると、電光石火のファーストシュートは国士舘。開始わずかに22秒。右から米田仁志(3年・横浜F・マリノスJY追浜)の上げたクロスに、高い打点で合わせた大嶋のヘディングはクロスバーの上へ外れていきましたが、残り40分間への強い決意を表明します。
ところが、42分に意外な形で生まれた先制のチャンス。実践の前線に入った小林優(3年・FC BRANCO八王子)が、エリア内での接触で転倒すると、福島崇主審はPKを指示。深町監督も「ちょっとおいしかったですね」と振り返るなど、やや微妙な判定ではありましたが、実践に絶好の先制機がやってきます。キッカーは鴻田。向かって左スミを狙ったキックは、読み切った安藤もボールに触りましたが、わずかに及ばず。スコアが動きました。
さて、リードを奪われた国士舘は、失点直後からラッシュ。46分、米田の右クロスをGKがパンチングで弾くと、こぼれを拾った斉木勝也(3年・FCトッカーノ)シュートは枠の右へ。48分、町田大輔(3年・町田JFC)と田口圭介(2年・帝京FC)でセットしたチャンスも、川口はパスを選択してフィニッシュには到らず。49分には右SHの斉木を下げて、そのままの位置に外村裕太(2年・Forza'02)を送り込み、サイドにさらなる活力を。
53分、平山、勝川幹大(3年・町田JFC)と回し、田口の左クロスを大嶋がバックヘッド気味に枠へ飛ばしたボールはGKを破るも、カバーに入った実践の左SB佐藤剛(3年・あきる野FC)が決死のクリア。ジワジワと押し込む赤い情熱。そして、その勢いが実践を飲み込んだのは54分。米田が右から蹴ったCKに、やはり中央で待っていたのは大嶋。この日自身4本目となった ヘディングは、とうとうゴールネットに吸い込まれます。1-1。スコアは振り出しに戻りました。
吹き荒れる国士舘タイフーン。56分、田口が左サイドを平山とのワンツーから抜け出して中へ。飛び込んだ外村のダイレクトシュートは、惜しくもバーの上へ。深町監督は60分に小澤哲太(3年・Az'86tokyo-ome)と渡辺隆斗(3年・新宿牛込第三中)を入れ替え、63分にはその渡辺が流れの中からは、後半のチームファーストシュートとなるミドルを放つも枠外。変え切れない流れ。65分も国士舘。平山のCKから大嶋が頭で繋ぎ、外村がトライしたダイビングヘッドは外側のサイドネット。応援団の声援にも力が入ります。
そんな中、「アイツは"日替わり定食"だけど、いい時は止められない」と深町監督も評価していた男が大仕事。68分、国士舘の選手が足を攣ってピッチ外へ出ている、1人多いタイミングで実践が掴んだ好機。後方からのフィードを小林が頭でフリックすると、ボールは原の足元へ。「縦へはべらんぼうに速い」(深町監督)原は、DFを引き連れながら右サイドを駆け抜け、そのままシュート。これがGKの足元を抜け、ゴールネットを揺らします。本来は左サイドの突破に特徴を持つものの、8分前の交替で右にポジションを移していた原の千金弾。次の1点は実践に入りました。
電光石火。1分後の69分、相手キックオフを素早く奪うと、原からパスを受けた小林は、ゴールまで35m近い距離にいたにもかかわらず、果敢にロングシュート。これが最高の軌道を描いて、ゴールを捕獲してしまいます。「この大会になって大胆なシュートが出てきた。ちょうど替えようと思っていたんですけどね」と指揮官も笑った小林はシュートの瞬間に足を攣り、中里岳史(3年・青梅第三中)との交替となりましたが、自身のラストプレーで大きな追加点。点差は2点に広がります。
赤の執念。71分、平山がエリア内までドリブルで侵入すると、たまらず実践DFが倒してしまい、国士舘にPKが与えられます。キッカーは平山が自ら。左に蹴ったキックは、しかし天野が横っ飛びでセーブ。頭を抱えたベンチ。スコアを詰められません。
赤の執念再び。74分、左サイドに展開すると、勝川が上げ切ったクロスはファーサイドへ。こぼれを押し込んだのは、1分前にエースの大嶋に替えて投入されたばかりの高山大(2年・FC東京U-15むさし)。2-3。1点差。1点差。
押し込みたい国士舘。凌ぎたい実践。アディショナルタイムは4分。ゲームは死力を尽くした最終局面へ。粘る国士舘はあえて蹴らずに、繋いで繋いで、ズラしてズラして、穴を見つけようとボールを動かすものの、鴻田と尾崎が待ち構える実践に穴は開かず。そして、西が丘の曇天に吸い込まれたタイムアップのホイッスル。「粘り強く最後までやってくれるのがウチの選手」と深町監督も称えた実践が、ファイナルへ勝ち進む最後の切符を獲得する結果となりました。
国士舘の驚異的な粘りは、特筆に値すると思います。PK失敗で一度は消えかけた同点への炎を、再び灯らせた高山のゴール。全国へ懸ける想いは、最後の瞬間まで見る者に激しく伝わってきました。セミファイナルというステージに恥じない、素晴らしいチームでした。
2度目の全国切符に王手を懸けた実践。長野インターハイでは惜敗したもの、流通経済大柏と接戦を演じるなど、深町監督も「全国でも戦えるチームになってきた」と自信を口にしています。最後の一戦は都内最強の攻撃陣を擁する関東第一が相手。来週17日、14時15分キックオフ。舞台はもちろん西が丘です。         土屋

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