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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
昨日、東京高校年代によるリーグ戦のトップディビジョン、
T1リーグの最終節が行われました。
プリンスリーグ関東参入戦への切符は
優勝チームに与えられる1枚のみという
過酷なレギュレーションの中、最後の1試合を残して
その切符を手にする可能性があったのは
40ポイントで首位に立っていた國學院久我山と、
38ポイントで2位に付けていた帝京。
ただ、得失点差には10の違いがあったため、
久我山は「引き分けでも優勝」(李済華監督)というシチュエーション。
日程も元々の予定を変更して、
清瀬内山運動公園の(1)で帝京と駒澤大学高の一戦を、
(2)で横河武蔵野FCユースと國學院久我山の一戦を、
18時から同時キックオフという形に。
素晴らしい舞台が整えられました。
ということで、昨日のT1最終節を
この2試合に絞って同時進行ドキュメントで
再現したいと思います。
17試合を終えて、1位と2位のポイント差はわずかに2。
関東への挑戦権を得ることができる1枠を巡って、
2つのチームが最後の戦いに臨みます。
帝京対駒澤大学高。
横河武蔵野FCユース対國學院久我山。
隣合ったグラウンドで18時、運命の2試合がキックオフされました。
最初にスコアが動いたのは帝京のゲーム。
ただ、動かしたのは立ち上がりから勢いで上回った駒澤。
16分、広瀬貫太(3年・ヴィヴァイオ船橋)のラストパスを受けた
大川雅史(2年・フッチSC)がループでゴールネットを揺らします。
選手権予選では保善に敗れ、
3年生にとってはこれが最後の公式戦となる駒澤の意地。
帝京はビハインドを追い掛ける展開となりました。
一方のコートでは、
久我山が最終ラインから焦らずにしっかりポゼッション。
対する横河はボールを持たれる時間が長い中でも、
守備面では高い集中力で"縦"への侵入を防ぎつつ、
素早いカウンターで対抗する構えを見せ、
一進一退の攻防が続きます。
結局、前半の2コートで生まれたゴールは駒澤の1点のみ。
帝京はリードを許す格好で、
久我山はスコアレスという格好で、
それぞれハーフタイムに入りました。
泣いても笑っても今年度のT1としては最後の45分間。
やはりほとんど同じタイミングで、
両コートの両主審が開始のホイッスルを吹き鳴らします。
次に歓喜が爆発したのは帝京のゲーム。
そして、爆発させたのはまたも駒澤。
53分、右からのクロスがゴール前の混戦を誘発。
その中から最後に蹴り込んだのは桑原智(3年・東京久留米FC U-15)。
おそらく保善とのゲームで、
最も悔しい想いを味わったであろうレフティの執念。
駒澤のリードが2点に広がりました。
さて、優勝のためには3点が必要になった帝京。
ただでさえ主力3人を負傷で欠く中、
CBとFWを高次元でこなすチームの絶対的な中心ながら、
やはり負傷でベンチスタートとなった
187センチの知念将太(3年・住の江キッズ)をスクランブル発進。
さらに183センチのFW二宮亮(3年・横浜FC鶴見)も同時投入し、
前線に強烈な"高さ"を加えます。
62分、とうとう久我山のゲームでも先制ゴールの到来。
ミドルレンジからの素晴らしいゴラッソ。
沈めたのは小学生からの生え抜きであり、
10番を背負う横河のエース岡庭裕貴(3年・横河武蔵野FC JY)。
久我山も先制される展開となりました。
帝京の圧力を懸命に跳ね返す駒澤。
渡辺夏彦(2年・FCトリプレッタ)、平野佑一(2年・東京ヴェルディJY)、
途中投入の鈴木大樹(3年・川崎フロンターレU-15)で組む
都内最強とも言うべき久我山の中盤に
決定的な仕事は許さない横河。
首位と2位が追い掛ける構図は続きます。
「最短でプリンスに戻ろう」というテーマを掲げて2年。
その目標を果たすためにも負けられない
久我山の気迫が結実したのは75分。
鈴木のCKから頭で押し込んだのは、
古巣対決となったディフェンスリーダーのCB巽豪(3年・横河武蔵野FC JY)。
終盤に差し掛かっての同点弾で、グッと引き寄せた"最短"。
ラスト15分の攻防は共に上位チームが猛ラッシュ。
攻める久我山。攻める帝京。
凌ぐ横河。凌ぐ駒澤。
駒澤は広瀬、日野直輝(3年・Az'86tokyo-ome)、
キャプテンの東史弥(3年・赤羽岩淵中)、黒田大介(3年・クラブ与野)と
全員3年生で組んだDFラインが跳ね返し、
前線ではやはり最上級生の飯泉優人(3年・FC東京U-15深川)が
力を絞り出しての果敢なチェイス。
ほとんど同時に迎えたタイムアップ。
75分以降は両コートともスコアに変化は訪れず。
勝ち点38は帝京。勝ち点41は久我山。
「ここまでの17試合を頑張ったからこういう状況になった訳で、
18節の中の1試合という位置付けですから、今日も非常に良かった」と李監督。
久我山が関東への切符を見事に獲得する結果となりました。
とにかく濃密な90分間でした。
2つのコートにそれぞれの想いが集約され、
四者四様の"今"を全力で戦う姿は
なかなか言葉で言い表せるものではありません。
おそらくあの場にいた多くの方々も
それぞれに感じるモノがあったのではないでしょうか。
最後にこの2試合で唯一の勝者となった
駒澤のことにも触れない訳にはいかないでしょう。
主力の大半を務める3年生にとっての
"引退試合"で見せた最高のパフォーマンス。
選手権での敗退から約半月の難しい時期に
しっかりと向き合って乗り越えてきたからこそ、
最後の最後で素晴らしいゲームを繰り広げてくれたのだと思います。
彼らもやはり優勝を勝ち取った久我山と同じくらい
"主役"としての輝きを放っていました。
駒澤の3年生が見せてくれた奮闘と、今後へのエールを込めて、
大きな拍手を贈りたいと思います。
土屋
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