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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年10月29日

J2第40節 横浜FC×草津@ニッパ球

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mitsuzawa1028.jpg遅れてきたフリエの大逆襲。3節時点では最下位に沈んでいた横浜FCが、「選手起用に"固定"というのはないし、パフォーマンスが良ければどんどん使っていく」(高地系治)という山口素弘監督の下、37節でとうとう昇格プレーオフ圏内へ足を踏み入れると、前節は熊本に競り勝って今季最高位の5位まで浮上。ハマの昇り竜がいよいよJ1を、明確に視界の先へ捉えてきました。
対するは、副島博志監督の退任が発表された16位草津。一度も昇格争いに加わることなく、残り3試合となったこのアウェイゲームにも多数詰め掛けたサポーターへ、何とか勝ち点3を送り届けたい一戦です。一段と強まる雨足の中、横浜のキックオフでゲームはスタートしました。
開始早々のチャンスは横浜。3分、武岡優斗のドリブルで獲得したFK。高地が直接狙ったキックは草津GK北一真にキャッチされましたが、まずは機先を制します。ただ、「前半は非常に良い入り方だった」と副島監督が振り返ったように、比較的ペースを掴んだのは草津。
前線のキム・ソンヨンをスイッチにしたハイプレスと、やはりキム・ソンヨンをターゲットにした長いボールで、相手DFラインへプレッシャーを掛けると、セットプレーを頻繁に獲得。5分に松下裕樹が右から蹴ったFKはDFにクリアされましたが、8分にもFKのチャンス。今度は左から松下の入れたボールがこぼれ、ミドルレンジから狙った小林竜樹のシュートは枠の左へ外れたものの、アウェイチームがうまくゲームに入ります。
一方、「草津がしっかりブロックを作りながらプレッシャーも掛けてきたので、多少そこで落ち着きのない部分もあった」と山口監督が話した横浜はなかなかいい形が創れない中、前への推進力になっていたのは野崎陽介。10分には相手のクリアミスを拾ってチーム初シュートとなるミドルを枠へ飛ばすと、16分にも大久保哲哉が右サイドで粘って縦へ出したボールへ野崎がダッシュ。エリア内で乾大知と接触して倒れたプレーはノーホイッスルでしたが、持ち前のアジリティで相手DFを悩ませます。
すると、20分過ぎからは「徐々に落ち着いてきた」(山口監督)横浜が、確実にボールを動かしながらゲームをコントロール。32分に野崎、武岡と繋ぎ、カイオがミドルを枠の上へ飛ばすと、33分にもサイドから好機。カイオを起点に右サイドで井手口正昭が縦へ。1人かわした武岡のクロスをカイオが合わせたヘディングはクロスバーを越えるも、少しずつ漂い始めたゴールの予感。
そして、三ツ沢の歓喜は42分。「GKが前に出ていて先読みしている感じがした」という高地が左から蹴ったCKは、そのGK北を越えてファーサイドまで到達。ここで待っていたのはフィールドプレーヤー最年長の堀之内聖。33歳のヘディングは、雨粒に濡れたゴールネットへ綺麗に吸い込まれます。「クリアミスからのCKでマークを外した」(副島監督)草津の隙を見逃さなかった横浜が、したたかに1点をリードしました。
さらに、試合の趨勢へ小さくない影響を与えるプレーが起こったのは45+1分。草津がカウンター気味に大きく蹴り出すと、カバーに入った井手口と足の裏を見せて飛び込んだアレックス・ラファエルが接触。池内明彦主審は躊躇なくアレックス・ラファエルへレッドカードを提示します。失点に加えて、草津は数的不利まで背負う格好になり、最初の45分間は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、両チームに交替が。横浜は負傷の井手口に替えて森本良を投入。草津は櫻田和樹を下げて熊林親吾を送り込み、4-4-1で残された45分に臨みます。後半のファーストチャンスは草津。47分、中央右寄り、ゴールまで約25mの距離から松下が直接狙ったFKは、わずかに枠の右へ外れましたが、あわや同点というシーンに沸き上がるサポーター。
以降も「押し込まれていたのは感じていた」と高地が言及した通り、好リズムは草津。「10人であることの心理的なアンバランスさを突いて」(副島監督)、とりわけSBの小柳達司と、頻繁にポジションを入れ替えるSHの横山翔平と小林がうまく連携を取った右サイドが活性化。63分にもやはり右で獲得したCKから、最後は小林がわずかに枠を越えるボレーにチャレンジ。65分にも右でCKを奪うなど、人数の少なさを感じさせないアウェイチームの躍動。形勢が入れ替わりました。
「1枚多くても、その分各々が止まっていた」と高地が話した横浜は、67分に山口監督の決断。大久保を下げて、「前線で動きを出そうと」(山口監督)これが実に4月15日の湘南戦以来、約半年ぶりの出場となる永井雄一郎をピッチへ送り出します。この交替策は結果的に奏功。「久々にピッチに立てて楽しかった」というベテランのモビリティが再び横浜の"縦"に勢いをもたらし、76分には阿部巧の左クロスから、武岡が惜しいヘディングを放つと、直後には相手のミスをかっさらった野崎のシュートが右のポストを直撃。高まる追加点への期待。
その実現は78分。左サイドを永井が「前が空いていたので運ぼうと」ドリブルで突っ掛け、絶妙のタイミングでスルーパス。走り込んだ野崎がダイレクトで中へ送ると、カイオの冷静な一刺し。「見事に期待に応えて良いプレーをしてくれた」と指揮官も称賛した永井のビッグプレーから、エースの追加点。大きな2点目が横浜に入りました。
「ゲーム自体は悪くない」(副島監督)中で突き放された草津も反撃を試みますが、少し前へ出ていくパワーも減退してしまい、効果的な手数を繰り出せません。そして最後のゴールを記録したのも横浜。88分、バックパスを受けたGK北のキックは信じられないミスになり、右サイドにいた武岡の足元へ。素早く中へ送られたボールをカイオが受けると、巧みなステップでマーカーを外し、無人のゴールへ流し込みます。「自分の仕事ができた」と話すカイオの今日2ゴール目で打ち止め。横浜がホームでは今季最多タイとなる3ゴールを奪い切り、昇格プレーオフ圏内入りを引き寄せる勝利を獲得しました。
印象的だったのは、試合後の会見で山口監督が「笑われるかもしれませんが、まだ2番目のイスを狙っています」と 言及した後に、話を聞いたカイオ、永井、高地も揃って「2位を目指している」というフレーズを口にしていたこと。自動昇格を手に入れられる2位との勝ち点差はわずかに3。「最後までこういう上を目指せる所で戦えるのは、凄くいい経験だと思う」と高地。残されたリーグ戦は2試合。横浜の大逆襲が行き着く先は果たして。         土屋

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