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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年10月23日

高校選手権東京B2回戦 帝京×都立三鷹@東久留米総合G

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higashikurume1021③.jpg第3試合はこのラウンド唯一のT1リーグ対決。高校サッカー界の"超名門"帝京と、5年前に東京を制した都立三鷹が激突します。
「全国も2年出なかったら初出場と同じ」と荒谷守監督が話した帝京は、3年ぶりの全国を目指して今大会に臨んでいますが、主力選手に負傷者が続出。キャプテンを務める大野耀平(3年・浦和レッズJY)はこの一戦に間に合わず、CBとFWをこなす知念将太(3年・住の江キッズ)、快足FWの伊藤遼(3年・岐阜VAMOS)、FWからCBへ転向した吉田翔吾(3年・帝京FC)という3人も「無理してやらせているというか、無理をさせないようにしているというか」(荒谷監督)という状況での強行出場。帝京としてはその部分に少し不安を抱える中、ゲームはキックオフを迎えました。
立ち上がりからボールを握るのは帝京。キャプテンマークを巻いたボランチの松岡啓太(3年・AZ'86tokyo-ome)が低い位置まで下りてボールを引き出し、サイドからある程度は前線の知念へラフにクロスを入れるような戦い方で、8分には左クロスから高橋直也(3年・帝京FC)が枠を越えるボレーを放つなど、相手を押し込みます。
ただ、その知念には「彼がFWで出てきたリーグ戦は、前半で4点くらい取られた」(都立三鷹・香取毅監督)という苦い経験をしてきた三鷹も「体で負けないヤツをマンマークで付けた」と香取監督が触れたように、德永洸太(3年・FCクレセル)をマーカーに指名して、徹底したマッチアップを創出。伊藤も基本的には本橋朋大(3年・プロメテウスFC)が監視し、高瀬樹(2年・FC.GONA)が余るような形の3バック気味で対応すると、帝京もなかなかフィニッシュまでは持ち込めません。
三鷹も18分には成田雄基(3年・JACPA東京)がミドルでファーストシュートを放つなど、反攻の姿勢も。対する帝京は32分、松岡が左から蹴ったFKに知念が頭で合わせるも、三鷹GK喜岡太郎(2年・FCトッカーノ)がしっかりキャッチ。40+1分、吉田のフィードに知念が競り勝ち、伊藤がオーバーヘッド気味に狙ったボレーは枠の左へ。「練習通りよく跳ね返していた」と香取監督。帝京も攻勢の時間ほどはチャンスを創り切れず、スコアレスで前半は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも、大枠の展開は変わらず。44分は帝京。右から竜崎廉(2年・FC駒沢)がカットインしながら放ったミドルは喜岡がキャッチ。右の山中洸貴(3年・横河武蔵野JY)、左の深井翔太(3年・フレンドリー)とSBも積極的にサイドを駆け上がり、好機を窺います。
ところが、会場を衝撃が包んだのは52分。後半から最前線に送り込まれた藤田翔生(2年・東村山第七中)が右サイドを突き進むと、対応したDFに倒されたのはエリア内。1つの決定機も生み出せていなかった三鷹にPKが与えられます。キッカーはキャプテンの丸山航(3年・東久留米西中)。強烈なプレッシャーの中、冷静にGKの逆を突いて沈めたゴールは先制点。三鷹応援団の狂喜。誰もが予想し得なかった展開で、三鷹がリードを奪いました。
さて、まさかのビハインドを追い掛ける展開となった帝京。56分には山中に替えて、吉良光稀(3年・帝京FC)を最前線へ投入し、「1回後ろに下げて、元のポジションで落ち着かせたい」(荒谷監督)と知念はCBへ。高橋郁也(3年・帝京FC)を右SBへスライドさせて、変化を施します。
59分、伊藤が左からカットインしながら中へ入れたボールは、飛び込んだ高橋郁也もわずかに届かず。65分、竜崎が右から上げたクロスは、GKが一旦こぼすも、松岡のヘディングへ体を投げ出したGK喜岡と3人のDFが決死のブロック。67分、伊藤の右FKに高橋郁也が完璧に合わせたヘディングは、喜岡が驚異的な反応で掻き出し、スコア動かず。
「タイプの違う選手を入れて、相手の対応に変化があるか見ていた」荒谷監督も、知念を再び最前線へ押し出してラスト10分間の勝負へ。70分、竜崎のクサビを吉良が落とし、松岡が枠へ飛ばしたミドルは喜岡がキャッチ。74分、深井が左カットインから繰り出したミドルはゴール右へ。75分、「よっぽどのことがない限りやらない」(荒谷監督)知念の超ロングスローがこぼれると、頭から突っ込んだ吉良のシュートはわずかに枠の左へ。守る三鷹。焦る帝京。
80分、ここも知念のロングスローが入り、DFのクリアを竜崎が叩いたミドルは、ボール1個分の差で枠の左へ。時間はアディショナルタイム。80+2分、竜崎が右から入れたアーリークロスに、飛び込んだ吉良のヘディングは枠の右へ。80+3分、知念が右から左足で上げたクロスを、吉良が頭に当てるも枠の左へ。迫り来るカナリア軍団の終焉。
「9割じゃなくて9割9分よくやっていた」(香取監督)三鷹のアップセットがほとんど完結していた83分58秒。帝京は死なず。後方からのフィードを吉良が"魂"で落とすと、高橋郁也が"魂"で打ったシュート。スローモーションのようにゆっくりと、しかし確実にゴールへ転がり込んだ球体。「0.1パーセントを突いてくるのが帝京の力」(香取監督)。勝敗の行方はさらなる20分間へ持ち越されることになりました。
延長の争点は1つ。三鷹の"盾"か、帝京の"矛"か。89分の矛。左で松岡からパスを受けた吉良のカットインミドルは枠の左へ。92分の矛。伊藤の右クロスに知念が競り勝ち、深井が狙ったミドルはバーの上へ。そして、耐えに耐えた盾を矛が貫いたのは96分。高橋郁也の右から蹴ったクロスがこぼれると、そこにいたのは知念。丁寧に丁寧に右足で押し出したボールが、静かに揺らしたゴールネット。黄色の咆哮。このゲームで初めて帝京がリードしました。
懸命に攻める三鷹。残された時間を決して諦めることなく、前へ前へと出ていきましたが、3本目のシュートが記録されることはなく、訪れた100分間の終わりを告げるホイッスル。グッドウィナーとグッドルーザーへ会場中から贈られた万雷の拍手。「負け試合を何とか引っ繰り返した」(荒谷監督)帝京が、辛うじてベスト8へ駒を進める結果となりました。          土屋

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