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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年10月29日

高校選手権東京B準々決勝 東久留米総合×関東第一@東久留米総合G

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higashikurume1028①.jpg1年ぶりの再会。2点を先制し、2点を追い付き、11mのロシアンルーレットで全国への切符を奪い合った両者が、この準々決勝で激突することになりました。
初戦で駒場学園を2-0で破ると、先週の2回戦は都立国立を4-0と一蹴した、昨年の勝者・東久留米総合。一方、初陣となった2回戦で日大鶴ヶ丘から7ゴールを奪う大勝を飾った、昨年の敗者・関東第一。「去年の自分はスタンドから見ていたが、凄い悔しさがあったので気合いは入っていた」(忠岡義紀・2年・フレンドリー)「去年の決勝は全然しなかったのに、今日は本当に緊張した」(星清太・3年・フレンドリー)と関東第一の2人が言及するなど、間違いなく"ただの"1試合ではない特別なゲーム。ファイナルのリターンマッチは、あの日とまったく同じ水色と黄色のユニフォームがピッチに散らばり、キックオフの時を迎えました。
ゲームが始まると、展開はやはりある程度予想された通り、関東第一がボールを握る格好に。ただ、「今日は裏への動き出しを意識して、相手のラインを引かせようとしていた」と忠岡。8分にはシンプルなフィードに走った田中ヨシ(2年・Az'86tokyo-ome)が収めて落とし、忠岡のミドルは枠を越えましたが、ファーストシュートは狙い通りの形から創出しました。
対する東久留米も9分に反撃。左サイドをハーフカウンター気味に切り崩し、最後はエースの菅谷翼(3年・FC東京U-15むさし)がフィニッシュまで。ここは関東第一GK渋谷飛翔(3年・ヴェルディSSレスチ)にセーブされたものの、鋭い刃を相手の推進力へ突き付けます。
15分は関東第一に好機到来。字羽井アハマド(3年・FC多摩)と忠岡のドイスボランチで演出した流れから、エリア内で田中がシュート。東久留米GK野中優志(3年・練馬谷原中)が懸命に弾いたボールは、竹本佳(3年・小倉南FC)が詰めるも、ボレーの軌道は枠外へ。先制のチャンスを逸してしまいます。
ここからは関東第一が続けた攻勢。とはいえ、しっかりブロックを作りながら、キャプテンの森田渉(3年・Forza'02)と谷中潤希(3年・JACPA東京)が不在の中、森祥行(2年・東京久留米FC U-15)と細井寛仁(3年・三井千葉東葛JY)で組んだCBを中心にして、引き過ぎずに高いラインを保つなど、東久留米の守備陣も安定。キープ率こそ上回った関東第一もチャンスは創り切れません。
23分、忠岡が右から蹴ったCKを、星が合わせたヘディングは枠の右へ。27分、右から小川絢生(3年・小倉南FC)がドリブルで運んで中へ送ると、ニアに潜った田中のシュートは枠の右へ。なかなか奪えないアドバンテージ。34分には決定機。左サイドで山崎健之郎(2年・WINGS)、田中と経由したボールを、飛び出した字羽井はえぐって中へ。小川のシュートは野中のファインセーブに阻まれましたが、ようやく「なかなか縦関係になれないので、推進力が出てこなかった」と小野監督も指摘したドイスボランチの一角が前へ出たことで、関東第一が惜しいシーンを生み出して、スコアレスの前半は終了しました。
迎えた後半は、まず東久留米にチャンス。45分、菅谷が右からクイックで始めたFKを中藤翼(3年・東京久留米FC U-15)がリターン。受けた菅谷のグラウンダークロスはDFに当たり、渋谷が何とかキャッチしましたが、まずはリズムを掴みます。すると、51分に訪れた絶好の先制機。ここも「前を向かせたら"できる"選手」と星も警戒を口にしていた菅谷が右サイドを切り裂き中へ。3列目から走り込んだ加藤有騎(2年・青梅霞台中)のシュートは、しかしクロスバーの上へ。このゲームで初めて迎えた決定的なシーンを生かし切れません。
さて、「斜めのボールや内側での基点がなく、縦にしか入れられない」(小野監督)状況で、アタックがシュートまで辿り着かなくなってきた関東第一の交替策は57分。小川を下げて、「サイドにいながらインサイドも取れる」と指揮官が評したレフティの渡辺哲也(3年・三井千葉SC)を右SHへ送り込み、"中"への意識をもう一度取り戻しにかかると、63分には山崎のスルーパスに抜け出した角口大征(1年・FC府中)が中へ送り、田中のシュートは枠の右へ。ようやく後半初シュートが生まれました。
齋藤登監督の決断は69分。今日は右SHに入っていた小島広大(3年・FC東京U-15むさし)に替えて、都立国立戦でもチームに前へのパワーをもたらした関口昂佑(3年・杉並FC)を投入。さらに、75分には1トップで奮闘した斉藤一輝(3年・三井千葉東葛JY)と守川直樹(3年・杉並FC)を入れ替え、最前線へスライドした関口の下に、右から守川、菅谷、中藤を並べ、バランスを整えながら勝負に出ます。
渡辺の投入で「最前列と2列目の間に入る選手が出てきたので、少しウチらしくなった」と小野監督が語り、「後半20分過ぎからテンポが掴めてきて、相手陣地へ入っていけた」と忠岡が振り返ったように、"中"でのポイントも創れ、流れ自体は良くなった関東第一でしたが、肝心のフィニッシュがなかなか取れず。76分には田中を下げて、大村俊道(3年・CONSORTE)を送り込むと、直後に山崎が左から蹴ったCKにその大村が合わせるも、枠の左へ。両者譲らず。1年前の西が丘と同様に、ゲームは100分間で決着を付けることになりました。
「ウチがゴールを取れたら連続で狙える。ゴールを取られても必ずチャンスは来るから、20分間ちゃんと"サッカー"をやれ」と指揮官に送り出された関東第一。その想いの結実は83分。渡辺の仕掛けで得たFKからの流れはCKに。「なかなかいいボールが上げられなかったが、次こそはと意識して思い切って蹴った」忠岡のキックへ、頭から飛び込んだのは小松雄貴(3年・大宮FC)。ボールは懸命に食らい付いたGKとDFをすり抜け、ゴールネットに到達します。173センチのCBが見せた執念のヘディング弾。「子供たちに自分たちで考えろとやらせていた」(小野監督)セットプレーで、とうとう均衡が破れました。
86分には、佐藤碧(3年・ヴェルディSSレスチ)のクロスから角口が放った決定的なシュートも、もはや畏怖すら感じさせる野中のファインセーブで凌いだ東久留米でしたが、勢いは止め切れず。90分、右サイドをスルスル持ち上がった竹本のシュートは、またも野中が弾いたものの、こぼれ球をプッシュしたのは角口。「何か仕事をして帰ってきて欲しかった」という小野監督の期待に応える、1年生の追加点。関東第一のスコアボードには"2"の数字。点差が広がりました。
残された時間はわずかに10分。追い込まれたディフェンディングチャンピオン。ところが、連覇への情熱が呼び込んだ一筋の光。92分、中藤の右CKから、左へ流れたボールを平塚達也(3年・中野北中野中)が放り込むと、GKがまさかのファンブル。拾った中藤は無人のゴールへ確実に流し込みます。1-2。1点差。1点差。
95分、山崎がグラウンダーで左から送ったアーリークロスを、最後は竹本が枠へ飛ばしたシュートも、野中が貫禄のファインセーブで回避。「とりあえずここは守ろうと」(忠岡)ゲームを閉めたい関東第一。スコアを引きずり戻したい東久留米。
98分は東久留米。菅谷が左から蹴ったCKは関東第一のDFが必死にクリア。100+1分も東久留米。菅谷が左から蹴ったFKはこぼれ、跳ね返し、押し戻し、跳ね返して関東第一が脱した危機。そしてキックオフ前から降りしきる雨を切り裂いたホイッスル。「リベンジだけを考えていた」(星)昨年度準優勝チームの雪辱がここに完結。関東第一が3年連続となる西が丘へ歩みを進める結果となりました。
戦前、「今年は平凡な選手の集まり」と齋藤監督が話していた東久留米は、しっかりと王者の意地を見せてくれました。どうしても周囲が課すハードルは高くなる中、インターハイ予選では屈辱とも言うべき1次トーナメント敗退。そんなチームが立ち返ったのは「"久留米"本来の繋いで崩す」(齋藤監督)スタイル。地区予選から1つ1つ勝利を積み上げ、6試合目となった今日も押し込まれながら、随所にそのスタイルは発揮されていました。1年間、おそらく前年のチームとの比較と戦いながら、最後の最後で"久留米"らしさを見せてくれた彼らにも、大きな拍手を贈りたいと思います。        土屋

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