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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。
帝王の矜持。後半アディショナルタイムのラストプレーで追い付き、延長で突き放した先週の都立三鷹戦。まさに"崖っぷち"から甦った帝京が第2試合に登場します。
対峙するのは1回戦の都立狛江戦と2回戦の中大杉並戦と、共に7ゴールを叩き込んで勝ち上がってきた堀越。攻撃陣の好調さは今大会でも図抜けている印象があります。負傷者続出の帝京ですが、ここに来て遂にキャプテンの大野耀平(3年・浦和レッズJY)がベンチに入るなど好材料も。西が丘を懸けた古豪対決は、少し雨も小降りになる中でキックオフを迎えました。
ポリバレントな選手を揃え、メンバーはもちろん、ポジションさえ日替わりという印象の帝京。その中でも対戦相手にとって最も気になるであろう、187センチの"DFW"知念将太(3年・住の江キッズ)はCBでスタート。前線には吉良光稀(3年・帝京FC)を配する布陣で荒谷守監督はこの一戦に臨みます。
対する堀越はほとんど不動に近いスタメンが顔を揃え、最前線にはT2リーグの得点王であり、初戦では4ゴールをマークした絶対的なストライカー大川力哉(3年・JACPA東京)が鎮座。いつものスタイルで勝負してきました。
ゲームは一進一退の攻防が続く中、先にチャンスを掴んだのは帝京。快足FWの伊藤遼(3年・岐阜VAMOS)がGKと1対1のシーンを迎えましたが、ゴールは決め切れず、先制とはいきません。すると、一際眩い輝きを放ったのは紫の9番。31分、大川は右サイドでレンジに入ると、冷徹にボールをゴールネットへ送り届けます。やはり決めたのは大川。堀越が1点のアドバンテージを奪取しました。
さて、先週に続いてビハインドを追い掛ける展開となった帝京。「あんまりにも勢いがなかった」と見た荒谷監督も即断。失点直後には知念を最前線へ送り込み、やはり先週の後半終盤と同じ配置に組み直します。とはいえ、そこは当然堀越も万全の対策。184センチのCB長谷川翔一(3年・三菱養和調布)がしっかり対応し、前半の残り時間は確実にクローズ。堀越がリードしてハーフタイムへ入りました。
後半はスタートから帝京がラッシュ。44分、右から高橋直也(3年・帝京FC)が上げたクロスに、伊藤が合わせたヘディングは堀越GK鈴木悠生(2年・川崎住吉中)がキャッチ。45分、途中出場の竜崎廉(2年・FC駒沢)が繰り出したスルーパスに伊藤が抜け出すも、フィニッシュは枠の右へ。49分、伊藤の左CKは一度跳ね返されたものの、再び拾った伊藤がクロス。知念のヘディングは、しかし右のポストを直撃。追い付けない帝京。
堀越も61分には犀川稔久(3年・東京ウエスト)がFKを獲得すると、鈴木信司(2年・青梅FC)の蹴ったボールに大川が舞ったヘディングは枠を越えましたが、このシーン以外にも時折カウンターから相手陣内へ侵入するなど、2点目を窺う意欲は十分に披露してみせます。
63分は帝京。キャプテンマークを巻いた松岡啓太(3年・AZ'86tokyo-ome)の枠内ミドルは鈴木悠生がキャッチ。66分も帝京。松岡が右から入れたアーリークロスを高橋郁也(3年・帝京FC)が繋ぎ、高橋直也が狙った"ツインズ"シュートはわずかに枠外へ。ジワジワとにじり寄る名門の圧力。
そして、70分に見せ付けた不撓不屈の意志。右サイドからのボールをうまく中央のスペースで受けた高橋郁也は、巧みなトラップから振り足鋭いボレーを見舞うと、ボールはゴール左スミへ一直線に飛び込みます。都立三鷹戦に続く"ミスター同点弾"の貴重な一撃。「どんどん人間的にも選手としても、逞しくはなってきている」と荒谷監督。今日も帝京が追い付きました。
残された所定の時間は10分。勢いを得て、80分間で決めたい帝京。75分、松岡がドリブルからヒールで残し、深井翔太(3年・フレンドリー)が放ったシュートはGKがキャッチ。79分、山中洸貴(3年・横河武蔵野JY)が右へ振ると、竜崎が狙ったミドルはクロスバーの上へ。80分、松岡が左へ渡し、伊藤が全力で叩いたミドルは左のゴールポストにヒット。1-1。帝京はまたも延長戦を戦うことになりました。
3分間のブレイクを経て、開始されたエクストラタイム。82分は帝京。伊藤のドリブルシュートは鈴木悠生がしっかりキャッチ。86分は堀越。犀川、川出京一(3年・CONSORTE)を経由したボールが行き着いたのは大川。枠へ収めたシュートは帝京GK澤野亮太(3年・帝京FC)がファインセーブで回避するも、隙を見せたらすぐさま噛みちぎらんとするストライカーの獰猛さに帝京もヒヤリ。
88分は帝京。伊藤を起点に高橋直也、知念と回り、伊藤が打ち切ったシュートは鈴木悠生の正面。91分も帝京。高橋直也の左クロスに、足を引きずりながら懸命に頭へ当てた知念のシュートは枠の左へ。
動かないスコアに、荒谷監督が決断したのは96分。「キャプテンだから、心の支えだしね」と、とうとう大野をピッチへ送り出します。100分には帝京にチャンス。その大野が気持ちで放ったシュートは、長谷川も気持ちでブロック。100+1分、深井が右から蹴り入れたCKも長谷川が決死のクリア。グラウンド中の歓声と溜息を集めたホイッスル。100分間の結末はドロー。次のステージへの挑戦権は、PK戦へ託されることになりました。
先攻は帝京。1人目のキッカーに指名された吉田翔吾(3年・帝京FC)が左へ蹴ったキックに、鈴木悠生が飛んだ方向はピタリ。スーパーセーブに思われましたが、主審は蹴り直しを指示します。命拾いした吉田は逆に蹴って成功。後攻の堀越も1人目の大川が確実に沈めると、ここからはお互いに3人目まで全員がゴールを記録。譲らない両雄。
帝京4人目の大野も全力で蹴り込み、迎えた堀越4人目。左を狙ったキックは、細田が完璧なセーブで阻止。スコアの均衡が初めて崩れます。帝京の5人目は知念。気合いを発し、鈴木悠生も気合いに応えた"決闘"の軍配は知念。堀越の健闘及ばず。カナリア軍団が土壇場で発揮した底力。「どんな試合をやっても、負けないようにはなってきている」と荒谷監督も評価した帝京が、2年ぶりに西が丘へ勝ち進む結果となりました。 土屋
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