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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年10月15日

第48回全国社会人サッカー選手権大会準々決勝 ファジアーノ岡山ネクスト×FC刈谷@西が丘

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nishigaoka1015①.JPG全社もいよいよ準々決勝。32チームの中からサバイバルを勝ち抜いた精鋭の8チームが、さらなるステージを目指します。2つの会場で行われる今日、訪れたのは西が丘。ピッチの状態もかなり良好なサッカー専用スタジアムが、雌雄を決する舞台となりました。
1-0という最小得点差を2試合続け、ここまで勝ち上がってきたのはファジアーノ岡山ネクスト。J2に在籍しているファジアーノ岡山の、いわばセカンドチームに当たり、その大半はトップチームに入団して、その後でネクストの登録となった選手たち。「チームの目標はJFL昇格」と真中幹夫監督が話したように、2位に終わった中国リーグで獲得できなかった地域決勝へのチケットを、何としてもこの大会で勝ち取りたい所です。
対するは、こちらも2試合連続完封で準々決勝に乗り込んできたFC刈谷。「失点をしないサッカー」(FC刈谷・加藤知宏監督)が機能し、辿り着いたクォーターファイナルは、12月へとシーズンを続けるための大一番。既に地域決勝への進出権を手にしている2チームがまだ勝ち残っているため、この一戦に勝利すれば今日にもJFLへの最終関門に挑戦する権利が得られる可能性もあるという中、第1試合は岡山のキックオフでスタートしました。
最初の歓喜は秒針が360度回り切る前に意外な形から。最前線で収めた新中剛史(25・ファジアーノ岡山)が右へスルーパスを通し、受けたSHの竹内翼(21・ファジアーノ岡山)が鋭く折り返すと、戻りながらの対応を強いられた刈谷DFはクリアしきれず、ボールはゴールラインを割ってしまいます。「3バックの両脇のスペースは必ず空いてくるから、そこを積極的に狙っていこう」という眞中幹夫監督の指示がいきなりズバリ。結果的にはオウンゴールになりましたが、狙いを体現した岡山が早くも先制してみせました。
4分にも馬場悠(26・ファジアーノ岡山)の右FKに、キャプテンの西原誉志(26・ファジアーノ岡山)が合わせたヘディングは枠の右へ外れたものの、「ああいう形で失点してしまったので、選手が受けてしまった」と加藤監督が言及した刈谷を尻目にペースを掴んだ岡山。
すると13分には追加点。角島康介(24・ファジアーノ岡山)が獲得したCKを馬場が右から蹴ると、金光栄大(26・ファジアーノ岡山)が打ち下ろしたヘディングは、ゴールネットへズドン。JFL時代を知る岡山出身のCBが圧巻の高さを見せ、点差が2点に開きました。
以降もゲームは岡山が主導権を握りながら推移しますが、お互いに3-4-3で対峙する中で、最も違いが浮き彫りになったのは3トップの機能性。「3トップはそれぞれの狙いと動きが噛み合ったと思う」と眞中監督が話した通り、岡山は中央の新中と、右の中野裕太(23・ファジアーノ岡山)、左の角島の距離感が良く、特に中野と角島はバイタルに潜ったかと思えばワイドに開くなど、ボールを引き出す動きに工夫が見られ、うまく高い位置でポイントを創っていきます。
一方、刈谷の3トップは「これだけプレッシャーがある中だと、フィジカルで潰されてボールを収められない」と加藤監督も渋い顔を見せたように、中央の大石治寿(23・神奈川大)は懸命に体を張りますが、右の北野純也(23・東海学園大)と左の松葉司(22・四日市大)はなかなかサポートに入れず、自らもスペースへボールを受けに入れません。この前線での基点創出に現れた差が、そのまま趨勢に直結していたような印象を受けました。
30分には角島との連携から、新中が狙ったミドルは枠内を強襲し、刈谷GK水谷允俊がファインセーブ。直後のCKはDFのクリアに遭うも、拾った竹内のクロスを西原が叩いたヘディングは、水谷が何とかキャッチ。刈谷も33分には3列目からボランチの庄司圭佑(26・静岡産業大)が、征矢貴裕(25・東京学芸大)とのワンツーで飛び出し右へ。北野のグラウンダークロスは中と合いませんでしたが、ようやくいい形を生み出すと、待望の追撃弾が飛び出したのは39分。
左からCKをショートで始めた征矢は、高橋良太(25・ツエーゲン金沢)からのリターンを受け取り、シュート気味のクロスにトライ。北野が頭に当てたボールは、右のポストを叩いてゴールの中へ飛び込みます。前半終了間際の一撃で点差は1点に。刈谷からすれば、いいムードでハーフタイムを迎えられるはずでした。
しかし、その思惑が吹き飛んだ次のゴールは岡山。40+2分、FKの流れから西原がミドルを放つと、水谷は懸命に弾いたものの、こぼれ球を難なくプッシュしたのは中野。「嫌なムードでも頭を下げずに、次へ行こうという所が出てきたのはこのチームの成長なのかな」と眞中監督。再度2点差に状況は戻り、前半の40分間は終了しました。
「とにかく点を取りにいかなきゃいけない」加藤監督の決断は、後半スタートからの2枚替えとシステムチェンジ。左CBの川上玄太(24・日本福祉大)と松葉を下げて、阪本一仁(21・FC岐阜)と松田忠(24・東海学園大)を投入。SHの征矢と福谷尚也(24・中京大学FC)をそのままSBにスライドさせ、SHは右に松田、左に阪本を配置。前線は北野と大石が並ぶ4-4-2で勝負に出ます。
後半は先に刈谷へチャンス到来。42分、大石がドリブルから放ったシュートは岡山GK松原修平(20・ファジアーノ岡山)にキャッチされましたが、まずはフィニッシュまで。49分も刈谷。福谷、阪本と繋がり、高橋のミドルはDFに当たってGKへ。52分も刈谷。征矢のパスから、高橋が枠へ飛ばしたミドルはGKキャッチ。「相手も選手を入れ替えて勢いを出してきたので、ちょっと戸惑った部分はあった」と眞中監督。
ようやく引き寄せた攻勢に、加藤監督も「彼らは本当に今年の1年に懸けてやってくれていたので、もうアグレッシブに行くしかないなと」、新中の決定機を水谷が回避した直後の54分には、北野に替えて鈴木翔悟(21・四日市大)をピッチへ送り出し、交替枠を使い切ります。
その1分後に動いたスコア。動かしたのは岡山。飯田涼(18・ファジアーノ岡山)を起点に、山本拓矢(24・ファジアーノ岡山)が左からクロスを上げると、角島のヘディングはGK一歩も動けず。勝敗は決しました。
66分、岡山は中野、馬場、山本とスピーディーなパス交換から、最後は中野が冷静に沈めて5点目。68分は刈谷。鈴木が右へ振り分け、征矢がクロスを上げ切り、阪本が頭で狙ったシュートはGKがキャッチ。71分も刈谷。またも鈴木が絡み、征矢が枠内を捉えたシュートは松原がファインセーブで阻止。
74分は岡山。途中出場の呉大陸(19・ファジアーノ岡山)が左サイドをドリブルで切り裂き、折り返したボールは刈谷DFに当たるオウンゴールで6点目。「こんなに点差が付くとは正直思っていなかった」と眞中監督が話した岡山の大爆発。
「点を取りにいく姿勢は見せた。最後までよく走ってくれたなと思う」と指揮官が称えた刈谷のアディショナルタイム。キャプテンマークを巻いた庄司のミドルが枠を越えると、打たれたゲームの終止符。「この大会を通じて、ますますチームが1つにまとまってきている」と眞中監督も評価した岡山が3連勝を飾り、地域決勝を力強く手繰り寄せる結果となりました。
点差ほどの実力差はないように見えましたが、終わってみればやはり先制点がゲームに及ぼした影響は大きかったと思います。眞中監督もゴールに関しては「たまたまですよ」と笑いましたが、「アレでさらに自分たちの自信と勢いを見せてくれたなと思う」とその効力について言及。岡山にとっては会心の勝利で、両会場の第2試合の結果を待つことになりました。
敗れた刈谷は「1点目、3点目、4点目ですね」と加藤監督が触れたように、開始早々、得点直後、好リズムのエアポケットと、特にこの3つのゴールを奪われたタイミングが非常に悪く、最後まで流れに乗り切れませんでした。とはいえ、昨年より1つ多く勝ち進んだ事実は確かな成長の証。「選手たちには感謝の気持ちしかない」と加藤監督。最後の最後まで声援を送り続けたサポーターも含め、決して小さくない爪痕を残して、"赤襷"の勇士たちは大会を後にしました。     土屋

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