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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

その他の試合レポート 2012年10月10日

天皇杯3回戦 川崎×徳島@等々力

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tennnouhai1010.jpg天皇杯も今日が3回戦。このステージからJ1勢とJ2勢の対戦が組まれることになります。訪れたのは等々力。川崎と徳島の一戦を今回はチョイスしました。
リーグ戦ではお互いシーズン当初に掲げた目標の達成は、限りなく難しくなってきている両者。この大会でのモチベーションを考えると、川崎はわずか1枠ではあるもののACL出場権の獲得。徳島はリーグ戦が例年より早く終了するため、1日でもオフの期間を短くしたい所です。また、両チームの指揮を執る風間八宏監督と小林伸二監督は、マツダ時代のチームメイト。そんな因縁も含んだゲームは、川崎のキックオフでスタートしました。
まず、目に付いたのは両チームのシステム。川崎は「ウチにはCBが3人いるので、うまく活用できればともう少し前でサッカーができるかなと」(風間監督)、最終ラインに右から實藤友紀、井川祐輔、ジェシを並べる3バックを選択。中盤は田中裕介、風間宏希、山越享太郎がフラットに配され、1トップを務める楠神順平の下に登里享平、山瀬功治、レナトが入る3-3-3-1を採用します。
対する徳島は、やはり最終ラインを福元洋平、三木隆司、那須川将大で組む3バックに。青山隼、上里一将をドイスボランチに、右が太田圭輔、左が鈴木達也という中盤。前線はキム・ジョンミンを頂点に、アレックスと津田知宏がシャドー気味に入る3-4-3で「攻撃的なパワーアップ」(小林監督)にチャレンジ。いつもとは違う布陣同士で立ち上がります。
先に流れを掴んだのはホームチーム。中盤の構成に生じたミスマッチから、ピッチの中央で風間宏希が空きがちになり、散らして散らしてボールの回るリズムを創出。2分にレナトがオープニングミドルを放つと、3分にも登里がドリブルから積極的なミドルを枠内へ。以降も個で上回る川崎の「かなり押し込んだ」(風間監督)時間が続きます。
一方の徳島は守勢を強いられますが、「中盤のワイドがボールサイドと逆の1枚は下がって、後ろに4枚をキープする」(三木)ことを徹底して、何とか対応。エリア周辺までは迫られながら、しっかりと踏み止まると18分、青山のパスから鈴木が左サイドを切り裂いて中へ。走り込んだ津田はシュートを打ち切れませんでしたが、ようやく掴んだチャンスであわやというシーンを創ると、少し変化した空気。23分、上里がFKをクイックで右へ。アレックスを回った太田の折り返しは鈴木に届き、シュートはヒットしなかったものの続いた好機。
そして、その流れが結果に繋がったのは24分。鈴木を起点にキム・ジョンミンが右へ振ると、受けたアレックスは目前のマーカーを外して、ゴール左スミへ確実に転がします。「今日は凄くよかった」と小林監督も認めたブラジリアンが、古巣相手に一仕事。徳島のスコアボードが"0"から"1"に変わりました。
リードを許した川崎でしたが、その点差もわずか2分で帳消しに。26分、中央やや右、ゴールまで約25mの距離で獲得したFK。レナトが左足で狙ったボールは、徳島GKオ・スンフンの伸ばした手も届かず、ゴール左スミを捕獲。「イージーミスで与えたFK。もったいない失点」と小林監督。徳島のアドバンテージは早々に霧散しました。
こうなると、一度徳島に振れかけた攻勢の針も再び川崎へ。得点直後には登里を下げて、大島僚太を送り込むと、その大島は風間宏希と中盤センターで並ぶような形になり、システムも3-4-3に近い並びへ変化。徳島も津田とアレックスの2シャドーはボールをよく引き出し、チームにアクセントをもたらしましたが、攻撃の時間が長かった川崎優勢で最初の45分間は終了しました。
後半のファーストシュートは川崎。49分、レナトがドリブルから枠へ飛ばし、オ・スンフンが何とかセーブ。まずは「成長して、チームの力になってくれている」と風間監督も認める10番がチャンスに絡みます。さて、「前の選手も相当ハードワークしていた」(三木)こともあり、フィニッシュはなかなか取らせなかった徳島にも久々にチャンスが訪れたのは61分。上里が浮き球を川崎DFラインの裏へ落とすと、津田が絶妙のラインブレイクから絶妙のトラップ。ところがシュートを打つ直前に、DFとの交錯で津田は転倒。山本雄大主審のホイッスルはならず、絶好の得点機は潰えてしまいます。
このワンプレーを境に川崎がラッシュ。64分、山越、レナトと回り、山瀬の左足シュートは枠の左へ。67分、左から風間宏希が蹴ったFKをジェシが頭で叩くも、オ・スンフンが何とかキャッチ。69分、三木のパスミスが風間宏希に渡り、楠神のフィニッシュは福元が懸命に体でセーブ。直後には井川に替えて風間宏矢を投入すると、システムもいつもの4-3-3へシフトして、取りにいく1点。
72分、山瀬のパスからレナトが繰り出したミドルは、オ・スンフンがファインセーブで回避。74分、風間宏希の左FKをジェシがフリックすると、できた混戦から青山が何とかクリア。75分、右サイドを楠神が切り裂き、上げたクロスをファーでレナトがボレーで狙うも枠の左へ。「個人の能力はやはりJ1を感じた」と三木。水際で耐える徳島。
しかし、とうとう訪れた水色の歓喜。78分、山越が左から中へ戻し、レナトのパスを引き出した楠神はDFともつれながらシュートを打ち切ると、意外なタイミングにGKはまったく反応できず、ボールはゴール左スミへ吸い込まれます。後半10本目のシュートが動かしたスコア。川崎が逆転に成功しました。
「全体的にうまく機能した」(小林監督)中で、今度は追い掛ける展開となった徳島。失点の直前には青山と濱田武、81分には太田と衛藤裕、84分には上里と花井聖と、中盤の3枚を入れ替え、何とか勝負に出るものの着々と消え去る時間。所定の時間は終了し、もはや勝負は決したかに見えた91分、突如としてイルカを飲み込んだ渦潮。
鈴木が右へ送ると、衛藤は縦に持ち出してクロス。DFに当たったボールをキム・ジョンミンが懸命に頭で繋ぎ、至近距離からやはり頭で押し込んだのは津田。後半のチームファーストシュートは劇的な同点弾。決着付かず。等々力は延長戦にその舞台を移すことになりました。
迎えた延長は川崎が圧倒。97分に楠神を下げて小林悠を投入すると、一層強まった攻勢。108分にはレナトのスルーパスから、112分には風間宏矢のパスから、相次いで小林がフィニッシュまで。徳島も116分には濱田の浮き球スルーパスに津田が抜け出しましたが、杉山力裕が好セーブ。そのカウンターから小林が仕上げたミドルは、わずかにゴール左へ。118分、大島と山瀬で創ったチャンスを小林が狙うも、足を攣りながら奮闘していた福元が決死のブロック。
もはやPK戦を誰もが覚悟したであろう、延長後半アディショナルタイムの121分。狡猾に輝いたのは「この2、3週間、ものすごくチームの中に入ってきている」と指揮官も評価したレナト。カウンターの応酬気味になった最終盤にも「守備をしなくて、あそこで休んでいた」(小林監督)10番は、風間宏希のパスを左サイドで受け取ると、仕掛けて仕掛けてニアサイドへズドン。ボールはポストをかすめて豪快にゴールネットを揺らします。「気持ちで決めた」というレナトのゴールは、激闘に終止符を打つ決勝ゴール。川崎が苦しみながら次のラウンドへ駒を進める結果となりました。         土屋

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