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J SPORTSのサッカー担当がお送りするブログです。
放送予定やマッチプレビュー、マッチレポートなどをお送りします。

Jリーグレポート 2012年09月18日

J2第34節 草津×富山@正田スタ

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kusatsu0917.jpg昨シーズンはクラブ史上最高位タイの9位を達成したものの、今シーズンはなかなか波に乗り切れないまま、終盤戦を迎えてしまった草津。現在の順位は昇格プレーオフ圏の6位まで15ポイント差の15位。降格に絡む可能性のある21位とも15ポイント差と、なかなか難しい立ち位置を強いられています。
一方、32節で愛媛相手に16試合ぶりの白星を手にすると、続く33節では昇格争い真っ只中の千葉を2-0で撃破。今シーズン初の連勝を飾り、5節ぶりに最下位を脱出した富山。怒濤の3連勝を懸けて、敵地へ乗り込んできました。
会場は心配された天気も持ち堪えた正田醤油スタジアム群馬。スタンドには強い風が吹き、肌寒さすら感じるようなコンディションの中、草津のキックオフでゲームはスタートしました。
まず、ペースを握ったのは「本当に入りはよくなかった」(安間貴義監督)富山を押し込んだホームチーム。1分、3分と今日は右SBでスタメン出場となった後藤涼が、続けてCKを獲得。5分には左へ流れた土井良太のクロスがバーに当たり、こぼれを最後は小林竜樹が狙うも枠を外れましたが、決定機に近いシーンを創出。以降も、「スローインやCKまで簡単に持っていかれた」という安間監督の言葉通り、サイドに流れることが多かった土井と、Jリーグ初スタメンとなったルーキーの横山翔平がうまくポイントを創り、20分までに6本のCKと2本のFKを集めるなど、サイドの主導権を奪取して攻勢を強めます。
対する富山は3-4-2-1気味の布陣を敷く中で、3バックから1トップの苔口卓也までの距離が非常に遠く、なかなか流れの中からは連動したアタックを繰り出せません。23分には國吉貴博の右CKが密集を抜け、足助翔はフリーでボレーを放ちましたが、草津GK北一真の正面。29分にも、左サイドをソ・ヨンドクとのパス交換で抜け出した苔口が、カットインから枠へ飛ばしたシュートは北が好セーブ。ようやく出した手数もゴールには繋がらず、さらに32分には精度の高いセットプレーを見せていた國吉が負傷で、西川優大と交替に。流れを掴み切れません。
すると、再び草津にチャンス到来。34分、松下裕樹が左へレーザーを送ると、キレキレの横山は利き足とは逆の右足シュートで、富山GK守田達弥を強襲。36分にも左サイドのパス回しから横山が絶妙のクロス。小林のシュートは守田のファインセーブに阻まれましたが、19歳の若武者がチームを牽引してみせます。
44分には富山もソ・ヨンドクが左から蹴ったCKのこぼれを、西川がGKを外して押し込むも、カバーに入っていた松下がライン上でさすがのクリア。全体的には草津優勢の中、スコアレスで前半は終了しました。
後半に入り、先にフィニッシュを取ったのは富山。48分にソ・ヨンドクの右CKから、苔口が放ったシュートは北がキャッチ。まずは思い切り良く打ち切って、流れを引き寄せにかかります。ところが、ここからはお互いに中2日という疲労もあってか、攻撃のギアを上げるポイントが定まらず、ターゲットになるべきキム・ソンヨンにも苔口にもボールが収まらないため、攻撃の流れがブツブツ切れる、両者にとってストレスフルな時間が長く続きます。
25分近くシュートシーンが訪れない展開の中で、先に動いたのは副島博志監督。72分、「相手が怖いと思う所に入り切れていない」現状を打破すべく、まったくと言っていいほど機能しなかったキム・ソンヨンを諦め、"個"のあるアレックス・ラファエルを投入。違ったタイプとの交替策で、攻撃のアプローチに変化を加えます。75分には横山が獲得したFK。ゴール右寄り、約25mの距離を土井が直接狙ったボールは枠のはるか上へ。
「動くと負けるようなゲームで、なかなか動きづらい」状況と認識していた安間監督も76分に決断。苔口と木本敬介を入れ替えると、西川を最前線にスライドさせ、1点を狙いに打って出ます。ただ、79分に副島監督が採った2人目の交替策は意外な選択。おそらく富山の守備陣にとっては、最も厄介な存在になっていた横山を下げて、同じレフティの林勇介を投入。4分前には鋭い突破からFKを獲得するなど、まだまだ足は残っていた印象もあったので、個人的にはもう少しシビアな時間帯までピッチで見ていたかった気がしました。
ラスト10分間もインプレーからのチャンスは繰り出されず、もはやアディショナルタイムでの攻防を誰もが思い始めた90分、突如として発動された富山のカウンター。西川が左サイドをドリブルで運び、そのまま縦へ。流れた木本が腰を回して送り届けたクロスは、ニアへ走り込んだ木村に到達すると、右足ボレーが撃ち抜いた草津ゴール。「何人もの選手がしっかりと走ってくれた」(安間監督)会心の先制弾に、遠く群馬の地まで少なくない人数で駆け付けたカターレブルーのサポーター沸騰。これが執念と勢いの差か。89分54秒にして、このゲームで初めて流れの中から掴んだ決定機を最高の形で結実させた富山が、今シーズン初の3連勝で勝ち点3を積み上げる結果となりました。
率直に言って、89分までの内容を考えればスコアレスドローが妥当な結末だったと思います。しかしながら、勝ったのはワンチャンスを生かした富山。結果的に2人の交替選手でお膳立てしたボールが、予想外の交替で左から右へ立ち位置が変わっていた選手へ渡って決勝ゴールが生まれた辺りに、今の富山が持つ、目に見えない勢いを感じるような"90分間"でした。          土屋

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